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ゴーストトリック
メーカー:カプコン
機種:ニンテンドーDS
発売年月日:2010年6月19日
価格:4800円
ジャンル:アドベンチャー


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DS ベスト版

ついでに逆転裁判
スイッチさん版もどうぞ♪

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 9 8 9 8 8 9 89
プレイ時間…30時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
とても!スバラシイです!!
・DSのタッチペンの性能を活かした直感的な操作によるアドベンチャーパズルゲーム。主人公は死んだ人間の4分前まで時間を遡る能力を持っており、その死人が何故死んだのかを追体験しつつ死の運命から逃れられるように謎解きをしていくという設定がかなりカッコいい。完全に一本道のストーリー及び謎解きだが、ゲーム中には様々なオブジェクトが登場する上、様々なシチュエーションで物語が展開されるので、単調な謎解きは少なく常に新鮮味あるパズルゲームらしい体験が出来る。アヤツル及び、中盤からはトリカエる等のアクションの種類が増え、適当にギミックをゴチャゴチャと動かしてるだけでも意外な反応に繋がって楽しい。

・逆転裁判シリーズのシナリオ・ディレクターの担当だった巧舟氏がディレクターを勤めており、シナリオ周りのクオリティの高さは健在。適度に伏線や謎を残しつつ物語が展開され、場面の区切りが多めでテンポが良いので次から次へとゲームを進めたくなる。

・見た目にも言動にも奇抜なキャラクターが多いものの、基本的に主人公一人だけになるシーンは少なめでこれらの一味違う仲間達が謎解きのヒントを細かく教えてくれたりして場面を盛り上げてくれる。台詞の量も多いので、独特の反応を見るためにもわざと間違えた行動をしたくなるくらいには会話が楽しい。

・ゲーム中では人や動物がかなりのペースでバンバン死んでいってるものの、グロさや残酷さはほとんど感じない。逆転裁判に登場するキャラクター達のノリがほぼそのまんま引き継がれてる感じで、登場人物の死亡シーンが多いゲームなのに、生存する運命へ変える事が多い内容なこともあってそこまで暗い気分にはならない。

・キャラクターのアニメーションがとても細かい。登場するキャラクター数もモーション数もバリエーション豊富で、ドット絵ながらどれもヌルヌル動く。現実離れしたオーバーリアクションかつコミカルな動きをするキャラが多くて絵面が常に楽しいのも評価点。

・逆転裁判シリーズと同じく、ゲームのシチュエーションとよくマッチした良曲が多い。基本的にはシリアスな雰囲気の曲が多く使われているが、緊迫したシーンや大きく運命を変えるシーン等では迫真のBGMが流れるし、全体的に過度に主張し過ぎないBGM群がかなり良い感じ。
うわーっ!マズイ事になってます!!
・ストーリー展開がかなり駆け足気味に感じる部分がある。特に終盤はかなり展開が駆け足になり、よく読み解かないと分からなくなる事がある。説明不足なだけでご都合主義な訳ではないんだけど、人によってはよく分からないまま終わりを迎えてしまう事もありそうな。

・パッケージから魅力が感じられない。暗い背景に一人の男がケツを突き出しながら倒れている…というのは確かにインパクトがあるし、ゲームの趣旨としても合ってると言えなくはないんだけど、何も知らない人が買おうとする上でこのデザインは微妙なのではと思ったり。表面だけ見れば、なんのゲームなのかチンプンカンプン。同封されている取扱説明書のデザインは、主人公シセルとヒロインが写っている無難なデザインなので、こっちをパッケージにした方がまだ売れたんじゃあ…と思わなくもなかったり…(苦笑)

・アクションゲームのように瞬発力を求められる事はあまり無いが、複数ある手順を何度も繰り返して覚えて、キャラの動きを見た上で正しい手順で進める必要がある物が多く、しっかりと記憶していかないと『何で解いたらいいかは分かるけど手順が分からない』という事態に陥りやすい。
イヤハヤ。感想を見てみましょう…。
 死んだ人間の4分前まで時間を遡り、能力を駆使してその人間が死ぬ運命を変えるという名目は字面だけでもカッコいい上、実際に運命を変えられた時にはなんとも言えない爽快感がある。ディレクターや製作陣が似通ってる事もあって逆転裁判シリーズと同系列の作品として挙げられる事もある作品だが、逆転裁判シリーズとはまた違うカタルシスや、アドベンチャーゲーム及びパズルゲームとしての面白さがある。

 逆転裁判シリーズも個人的にはオススメのゲームではあるんだけど、逆転裁判シリーズは派生作品も含めると10作以上の作品に渡って作られている事もあって、お手軽さで言えば本作の方が薦めやすい。シナリオ周り以外にも、キャラクターのモーションの細かさや、謎解きの難易度調整等も丁寧な作りで、逆転裁判シリーズ以上に色々な方向性で製作者達がかなり尽力していると感じるゲームだった。

 残念ながら本作の売上はあまり良くなかったらしく、本作のみでストーリーは完全に決着がついている事もあってどうにも続編は作られる事が無いような雰囲気なんだけど…この独自性の高いアドベンチャーパズルのシステムを一作だけで終わらせてしまうのは勿体ない!!万が一、ゴーストトリック2らしき物が今の時代に作られるとしても、元となった本作の影が薄いのでこれまたあまり売れなさそうなのがなんとも…。あまり売れていないながらも評価は高い、独自性が強いゲームなのに万人にオススメしやすい、なんとも奇っ怪なアドベンチャーゲームだった。

掲載日:2021年2月23日


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