縮緬遊戯堂　レビューランド　ゲームレビュー　《DS　二ノ国　漆黒の魔導士》

二ノ国　漆黒の魔導士
メーカー：レベルファイブ
機種：ニンテンドーDS
発売日：2010年12月9日
定価：6800円
ジャンル：RPG

映像	音楽	快適性＆操作感	独自性	難易度・バランス	ボリューム	シナリオ	総合評価
6	9	4	6	5	6	6	59

プレイ時間…20～30時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点

ヨロシイぞい。

・実物の本を見ながら遊ぶ、なる一見奇異に思える内容だが、実際のところはオーソドックスで無難なRPGといった印象。奇抜さが無い分、案外すんなり馴染めはする。

・難易度自体はかなり低めでサクサク進むので、世界観を楽しむことに重点を置いて遊べるのは◎。雰囲気重視の作風とは言えそう。

・アニメはスタジオジブリ、音楽は久石譲氏担当とのこと。演出部分の出来出来はしっかりしており、さすがのクオリティ。まぁ実際のゲーム部分はそれほど突き抜けた部分は感じられんが。

・ゲーム部分にプラスになってるとは思えないが、付属の本の作り自体は豪華であり、雰囲気作りにはちゃんと貢献してくれてはいると思う。

イッカ～ン！！

・とにかくめんどくさい！！いちいち「マジックマスター」なる同梱のドデカイ本を参照しながらゲームを進めることを強要されるので、ゲーム画面←→本で探す、の切り替えが悪い意味で物凄く原始的。言うならば、攻略本を常に横に置いてのプレイを強制されてる如き感覚。個人的には他の作業しながらゲームするってのがすごく嫌い故、ちょっと抵抗が強いのが事実。「何が何でも買わせてやる」だとか「意地でも中古に回したくない」とか「エミュレータで遊ぼうとしてもこれなら遊べまい、ふっふっふ」だとか、製作者の意志がこれでもかとばかりに伝わってくるが、「切り替えがメンドクサイ」、「外で遊べない」、「万事が作業的」などなど、しわ寄せがことごとく正規に遊ぶ側ユーザに押し付けられてるのがどうも納得できないよなあ…。テンポが悪くて終始イライラする。このシステムのせいで家の外で遊ぶのはまず不可能と思われる。携帯機の良さを自分から進んでぶっ壊してますな。

・違法DLの警告がゲーム開始時に強制的に挿入される。上の項目と合わせて正規の方法で遊ぶ大多数の客をバカにしてると思う。むしろ、何も知らない客が不正DLという存在を知るキッカケにすらなり得る（≒逆効果）とすら思うんだが、如何か？＞メーカーさん

・ジブリらしさがあるかって言えば別にそうでもない。絵のタッチだけはそれっぽいがシナリオ部分にしても物の造形にしてもそこまでのコダワリや作り込みは感じられず。ムービーの一部分、ほんのちょこっと関わってもらった程度なんだろうが、それなのにそれを前面に出して宣伝するってのは、ちょっと詐欺の域に足突っ込んでるとも思う。

・確かに演出面は凄いけど、街の人にしてもただの通行人で会話できないとか街は広いけど移動できる範囲が凄く狭いだとか、全体的に看板倒れな印象。フィールドの作り込みに関して言わせていただくと、広さに相応しいだけの密度が無い。

・戦闘システムは手軽だが、薄い。どうにもワンパターンな作業的になりがち。もうちょい深みのあるシステムでも良かったとは思う。レベル5製らしく育成のめんどくささだけはかなりのものだが、手間がかかるだけでその作業が面白いと思えないのが痛い。

・キャラの名前や地名がことごとくオヤジギャグレベルかつやっつけ感丸出しでちょっと萎える。ファンタジーの雰囲気をぶち壊しにしてると思う。少なくともジブリは自ら世界観をぶち壊しにする、こういうサムい事はしないよ…（苦笑）。

・寄り道要素もあるにはあるが、全体的に内容が薄い。同じレベルファイブ製の「ドラクエ９」と同様の欠点だな。色々詰め込んだのはいいが、広く浅く、と言った感じで、全体的に薄味。そんなんゆえ、遊んでてワクワクしない。シナリオ面でもシステム面でも斬新さが皆無なのが原因か？

・セーブが一個しかない。もっとも、これはDSのRPGでは別に珍しい仕様でもないが。

感想なり。

　基本的にはオーソドックスなRPG。「本を見ながら魔法を覚えたり用語を参照したり」って部分を面白いか感じられるかどうかが面白いと思えるかどうかの分かれ道だと思うのだが、個人的には否。「参照するのがメンドクサイ・作業的」って感じられてちっとも面白いと思えなかった。『不正コピーは断固認めん！！』って強い意志だけはビシビシ伝わってくるんだけど、結局のところそこだけに終始しており、しかも、その仕組みのために正規のユーザーの負担が重くなるってのがどうも納得がいかねえな。

　他の部分はそこそこ丁寧に作られているとは思うが、全体的に物量の割には密度が薄く、突き抜けて良く出来ていると思える部分は無い。それでいて前記の分厚くてデカい本のせいで携帯して遊ぶこともかなわず、完全に携帯機である良さを殺してる。薄く広く的な作りが良くも悪くも『いつものレベルファイブ製作品』って感じ。どうも個人的には面倒で必要以上に回りくどいって感覚しか持てず。そのクセ薄味だから堪ったものではない。

　まあ、『ベーシックなRPGがやりたい！！』だとか『ドラクエ9がめっちゃ面白かった！』ってプレイヤーさんなら充分楽しめるかも。個人的な感想は『一見凄そうにみえるけど、決して大作ではない』、『宣伝はめちゃくちゃ巧いけど、結局中身はフツー』。いかにも、レベルファイブらしい。過度に期待しないで遊んだのは正解だった。…たまにはそう言った事前の警戒を良い意味で裏切ってほしいものだが。

掲載日：2015年11月2日

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