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ファイアーエムブレム外伝
メーカー:任天堂
開発:インテリジェントシステムズ、任天堂開発第一部
機種:ファミリーコンピュータ
発売年月日:1992年3月14日
価格:6800円
ジャンル:シミュレーションRPG


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3DS版VC

リメイク(Echoes)

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
6 9 7 9 8 9 8 87
プレイ時間…400〜500時間以上
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
よひですぞ。
・前作とは異なり、フィールドを自由に主人公を動かし移動できる事、人間だけでなくモンスターが敵として現れる事、武器の使用回数の制限が無くなった事など、あくまで人間同士の戦いがメインだった前作よりも一般的なファンタジー色の濃いRPG寄りのシナリオ・システムデザイン。難易度が下がり全体的にまろやかな仕上がり。 同じマップを何度も遊ぶことでかなり自由にユニットを育てる事ができるので、自分のレベルに合わせてある程度難易度を調整できるのも初心者やシリーズ経験の少ないプレイヤーにも優しい。一方で一切稼ぎ無しで遊べば初代FE程の高難度で楽しむ事も可能。

・アルムとセリカ、主人公が2人おり、それぞれが別に進軍する展開が面白い。物理攻撃ユニットの多いアルム軍、魔法ユニットが多いセリカ軍という個性があるのも良い。

・グラフィックはファミコン後期のゲームとしてはそれほど抜きん出て綺麗な部類でもないと思うが、キャラのドット画の出来は前作よりかなり上がっているように感じる。戦闘のアニメなんかも凝った作りになっているので、たまにはアニメONで楽しんでいただきたい作り(大抵の人は戦闘アニメOFFで遊んじゃうでしょうからネ…)。

・前作『暗黒竜と光の剣』とはストーリーや登場人物に一部繋がりがあり、前作を遊んでいるとニヤリとできるシーンもある。物語の根幹には影響のないサイドストーリーながら、その設定にはグッとくるものがありますな。
イカンぞな。
・殆ど平地のみというマップが多め。「敵軍の全ユニットが開始と同時に一斉に突撃して来るだけ」ってパターンが妙にと多く、流れとしては「強いユニットで受け止めて各個撃破しておしまい」って流れで単調になりがち。その点においては戦略を組み立てる重要性が前作より薄まった点は否めんところか。どちらかというとユニットの強さに依存する力押しの戦闘(こちらが一気に圧倒するか、稼ぎが足りなければ敵に一気に圧倒されるか)が展開されやすい。自由に稼げてしまう反面、ある程度自分で縛りをかけないとファイアーエムブレム本来のシビアさがあまり感じられないのは欠点と言えば欠点か。

・様々な職種へと自由にクラスチェンジできる『村人』の存在は面白いが、職種ごとの格差がやたら大きいせいで自ら制限をかけるとかでなければほぼ魔戦士一択(剣士系、歩兵の癖に馬から見劣りしない脅威の脚力、山や沼など地形変化に強い、武器の呪いを受けない、全体的に隙の無いパラメータ、通常は一切底上げできない魔防へ+15なるべらぼうなボーナス加算、果ては複数回CC可能で魔戦士→村人の無限ループで簡単にオール40ユニット作成可能などなど、やたらとぶっ飛んだ性能)。よって、効率や強さを考えると実はそれほど選択肢の幅は広くないなど、改善の余地は結構ある(…のだが、何故かリメイク版『Echoes』でもここはそのままだったのはナゾ)。

・前作よりかなり進化しているとは言え、グラフィックはやっぱり全体的にはちんまい。スーパーファミコンが既に出ている事もあるし、同じファミコンのメジャーどころタイトルと比較しても見劣りする事が多かった。
感想ばい。
 『外伝』というタイトルの通り、前作『暗黒竜と光の剣』からかなりガラリとシステムが変更され、ファイアーエムブレムシリーズ全体から見ても毛色が異なる作品。
 自由に経験値稼ぎし易い分だけ前作よりも難易度が低くなり通常のRPGに近い作り。シミュレーションが苦手な人でもシステムに慣れさえすればしっかり楽しめるのではなかろうか。

 わしは最強ユニット育成やレアアイテム収集に没頭しておりましたな(チマチマ育てる楽しさって意味ではシリーズでも屈指と思える)。かなり後に出た3DSでのリメイク版『Echoes』も出てはいるが、シナリオ・演出・バランス面がかなり弄くられており、良くも悪くも体感的にはかなり別物になっている。こちらはこちらで味があるので、たまにはこちらファミコン版も遊んでみていただきたいトコではある。

掲載日:2005年2月13日
更新日:2020年9月29日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
7 10 7 9 7 9 8 87
プレイ時間…100時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
上々の出来映えでございます!!
・初代ファイアーエムブレムとは少し変化してファンタジー風味がさらに強くなり、武器の使用回数の撤廃や広大なマップをプレイヤーが自由に進めていくなど、当時の一般的なRPGに少し寄せた内容になっている。良くも悪くも取っ付きやすい作りで、雑魚敵の召喚やマップ兵器の多用など、違う意味でSRPGっぽい魅力を感じられる要素もあった。

・アルム軍とセリカ軍で仲間になるキャラや攻略マップは全く異なり、この二つの軍を交互に進めて攻略していくシステムはかなり新鮮。それぞれの軍ごとに加入する仲間は決まっていて、お互いの軍でユニットをやり取りする等の事もほぼない。一応、バルボ等のもう一つの軍に入れた方が便利になるキャラは、わざと敵に倒されてもう一つの軍の方で生き返らせる事によって同じユニットを流用する等の無茶なテクニックもあるが、裏技に近く普通のプレイではそこまで使わないと思う。全く別の軍を操作するのでメリハリが出やすく、後のシリーズでも少し使われている物もあるが、個人的にはかなり好評。

・ゲームミュージックだが、雰囲気に合わせてしっかり盛り上げてくれる曲調のものが多くてグッド。正規軍との戦いの日々を過ごすアルム軍と、ファンタジー風味ながらも魔物や不穏さを残す敵を相手にするセリカ軍とで普段のバトルマップの曲が変化しており、これらの曲も含む多くの曲が名曲揃い。ゲームの始まりから終わりまで随時的確に盛り上げてくる。

・戦闘アニメーションでのユニットの動きが機敏になり、初代ファイアーエムブレムの時は地味だったアニメーションが格好良くなっている。アニメーションオフにしなければ何度も見る物なので、戦闘アニメーションも魅力的にしようとし始めたのは良かったと思う(発売された時代を考えればそれでもショボい部分もあるけど)。キャラ固有の顔グラフィックもやや出来が悪かった前作とは違い、しっかりと描かれてるのも良かった。

・初代よりも稼ぎプレイがやりやすいおかげで、自らの腕前に合わせて難易度の調整がしやすい。初心者の人でもユニットの大量ロストなどを起こさない限りはプレイの途中で詰んでしまう事も無いと思うし、自信がある人なら最速でプレイすれば丁度良い難易度になる。隠し要素としてゲーム開始時に特定のコマンドを入力する事によって使えるようになるイージーモードも用意されており、初心者への配慮はわりと考えられてるゲームなのかと。
ぬおっ!これではマズいですぞ!
・ゲームバランスはアバウトで優劣がかなり激しく、敵も味方も異常に強かったり便利過ぎたりする物が多い。ワープの魔法や弓の射程、一部アイテムの強さなど挙げればきりがないんだけど、特に際立って強いのが魔戦士の存在。あまりにも基礎性能が高く、村人へのループを繰り返す事により無限に育成出来る事もあり、ゲーム中に登場する村人達の複数クラスチェンジ先が選べる仕様も、変わったプレイをするとかでもない限りはほぼ魔戦士一択になってしまう。メキメキ強くなっていく爽快感はあるが、バランスとしてはやはりよろしくない。

・ギミックに富んでいて見た目には面白いステージが多いんだけども、マップが広大でどちらかと言うと力押しのプレイが可能な物が多く、戦略を立てる必要性は初代よりも薄い。強いユニットでバッサバッサと敵を倒していく爽快感だとかはあるんだけど、戦略性を楽しむといった方向性ではやや弱いファイアーエムブレムかと。

・クラスチェンジは特定の場所でしか不可能な都合上、クラスチェンジのためだけにフィールドを戻ったりするのがやや面倒臭い。

・スーパーファミコンだとかが既に出ている事もあるがこの時代のゲームにしては、ファミコンという事を差し引いてもグラフィックはやや地味。戦闘中の背景の描写等くらいはあっても良かったんじゃないかと感じた。
よろしい、ならば感想だ。
 ファンタジー感が強まり、初代ファイアーエムブレムでのゲームシステムを幾つか変えた事によって違う方向性での魅力が強く感じられるようになったファイアーエムブレム。

 個人的には音楽の臨場感はかなり好きで、舞台設定ともよく合っており耳に残りやすかった。ゲームバランス等はかなりアバウトではあるんだけども、味方だけでなく敵も敵で異常な性能を持つ敵も多く存在しているので、お互いにバランスがおかしいせいで逆にバランスが取れてるという変な部分も。どこか泥臭さのあるファンタジーの世界観や、敵も味方も異端な性能を有してる物が多かったりなど、語る事の尽きないゲームだったり。

 『ファイアーエムブレム ECHOES』としてリメイクも3DSで作られてはいるが、全体的には似通せているものの相違点はかなりあるので、別物と言える面白さがある。お互いに独自の魅力があるので、どちらか片方しかプレイしてない人でももう片方共にプレイしてみてほしいところ。

掲載日:2020年9月29日


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