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ファイナルファンタジー
タクティクスアドバンス

メーカー:スクウェア
機種:ゲームボーイアドバンス
発売年月日:2003年2月14日
価格:5800円
ジャンル:シミュレーションRPG


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 8 5 7 7 9 8 81
プレイ時間…150〜200時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
よかばいね〜。
《システム・難易度・バランス部分》
・前作は難易度が極端に上がってハマりかねないポイントが複数あるなど、かなりキツいバランスだったのだが、本作はだいぶマイルドな調整であり、S-RPGの初心者でもムリなくクリアを狙えるゲームバランスになっているかと。サブシナリオの中には簡単一辺倒ではなく手強い物もあるなど、しっかり幅広いユーザに配慮された作りという印象。

・基本的にはユル目の難度設定だが、ワールドロウ(バトル中の制限事項。バトルの度に内容が変化する)がちょっとしたアクセントになっており、緊張感のあるバトルが楽しめる(後述のデメリットも大きかったりはするが…)。

・ユニットのカスタマイズの自由度が高く、ジョブとか装備とかを切り替えつつ育てていく過程が非常に楽しい。この「チマチマ」感が個人的には好きである。

・育成の楽しさがしっかり味わえるバランス。抜け道的なバランスブレイカー要素も結構あったりするが、ソレ込みで楽しいし、救済要素にもなってるかと。

《グラフィック&サウンド》
・タクティクスオウガ→ファイナルファンタジータクティクス譲りの完成度の高いドット絵グラフィックは健在で、携帯機ながら遜色のないクオリティになっておるかと。動きとかバリエーションも豊富で、見た目でも楽しめる作り。

・音質が軽くなりがちなゲームボーイアドバンスってハードでの発売ながら、それを感じさせない重厚な響きの曲が多い。

《操作性・快適性部分》
・中断システムや繰り返し遊べつつもボリューム感のある内容なのが嬉しい。遊ぶハードによって色合いを調整できる細やかな配慮もいい。携帯機のゲームとして色々考えられてるなぁと思えた。

《シナリオ》
・メインシナリオ自体はいやにあっさりしているが、脇を固めるサブシナリオは圧倒的なボリュームがあり、続き物で展開する物・サブキャラクターを掘り下げた物も多く、遊びごたえがある。シリアスなものからギャグ色の濃いものまでバリエーションも豊か。むしろ、サブシナリオの方が充実していると言えるカモ。
お〜の、イカンぜよ。
《システム・難易度・バランス部分》
・ロウと呼ばれる縛りプレイを強制され、全体的に窮屈なプレイを要求される。終盤はワールドロウによる制限だらけで快適に遊べない(縛りが窮屈過ぎると判断されたか、続編のDS『A2』ではかなりマイルドに改められているが)。

・様々な種族が登場しジョブも別々の物が用意されているが、強さのバランスはかなり大味であり、使えるジョブ・アビリティとそうでないものの格差がやたらと大きい感じなのは惜しまれる。有用なジョブが多く素早くて頻繁に行動できる(しかも一撃死や広範囲高威力の攻撃すら普通に習得する)ヴィエラや二刀流でどのジョブでも威力を確保しやすくジョブの種類自体も多いヒュムが強い一方、鈍重かつクセが強いジョブだらけのバンガ・ンモゥ両種族は性能に穴が多くて使いにくいのがしんどい。

《操作性・快適性部分》
・クオリティの高いドット絵で見栄えは良いのだが、アクションの際の動きのタメとか演出とかが必要以上に長いため、全体的に戦闘のテンポは悪い。

・編成画面での操作性が悪く、アイテムの整理、装備変更に伴なうパラメータ変化やアビリティの確認がかなりやり辛い。ワールドロウもわざわざ別の画面で確認しなければならないので面倒。

《シナリオ》
・メインストーリーはかなり短めであり、そこだけ追って行くと物足りなさがあろうかというボリュームに留まっている。また、前作であるFFT本編に比べると、中心キャラクターが皆低年齢かつファンタジー色が強めなので、シリーズ特有の重苦しさとかを期待すると肩透かし感はあるかも(もっとも世界観自体は軽めだが、部分部分のキャラの心情描写などシリアスな場面も少なくないんで、その辺の味付けはよく出来ているとは思うが)。
感想じゃけんのう。
 PS1で人気だったS-RPG『ファイナルファンタジータクティクス』の携帯機向け作品だが、国同士の戦争を描いた前作と比べるとファンタジー色・冒険活劇的色合いが濃くなり、システム部分以外はだいぶ別物に仕上がっている印象。全体的な難易度はかなり下がっているとは思うが、開発側でも単純にヌルくするのに抵抗があったか、ロウシステムなる縛りプレイで課す事で緊張感を保つ工夫がなされている……のだが、本作の続編の『A2』に比べるとバランス的にやや過剰なしばりで窮屈に思えたりも…。

 とは言え、全体としては、携帯機向け作品というと中途半端なアレンジや手抜き・規模縮小など、スケールダウンしてる作品が多い中で、この作品は内容的にはボリュームもあり、長く楽しめるのが良いですな。内容的にはキャラ育成に凝り始めると戦闘の繰り返し作業がメインになってくるので、チマチマ遊ぶのが好きな人向けと言えそう。UIの出来が今一つで快適性の部分で課題はあるが、全体的には骨太でしっかり楽しめる内容かと。

 個人的にはFFT本編よりもこちらAシリーズ(GBA〜DS)の方がマイルドに遊べて好きだったのだが、近年は続編が出ないのがすこぶる残念だったりする。

掲載日:2006年11月9日
更新日:2022年11月15日


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