メーカー:任天堂
開発:ブラウニーブラウン、HAL研究所
機種:ゲームボーイアドバンス
発売年月日:2006年4月20日
価格:4800円
ジャンル:RPG


かいたひと : アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
10 81
プレイ時間・・・80〜100時間程度
※映像〜シナリオは10点満点、総合は100点満点
ここがいいです。ぐんまけん だめです、ぶーぶーぶー
・ストーリーはヘタしたら「1」より暗いし泣きそうになる。だが、暗い一辺倒ではなく、笑える場面があったり謎過ぎてポカ〜ンとするような場面があったり・・・、そのメリハリを利かせた巧みな展開はさすがと言ったところか。ベタと言えばベタなんだけど、それをそう思わせないところが糸井マジックとでも言いますかね(いや、実を言えば結構わざとらしいとこはあったけど、まーそれも糸井風の味としておこう)。悪いとこの欄で散々文句書いてるけど、お話の内容自体は良いんだよ。とにかく遊んでいる間はとても引きが強い。やめ時が見つからないぜよ〜!

・BGMの作曲者が変わった事もあり、発売前は不安に思っていたサウンドの出来であったが、その完成度は健在と言ったところ。ジャンルはポップ、ジャズ、ロック・・・と相変わらず幅広いが、今回はクラシック的な曲が多めかな?右の欄で述べている音質の悪さは残念だが、曲自体は間違いなく高品質だと思う。これらサウンドは最初から「サウンドプレイヤー」モードで聴くことができるのが嬉しい。音源を向上させたサウンドトラックが是非とも欲しいと思えるね。

・グラフィックはファミコン、スーパーファミコン時代を連想させる古風なドット画スタイルながらも、非常に丁寧に作られている印象。その動きのパターンは豊富で動作も滑らか。ちょこまかと動き、見ていて飽きない作りなのが良いですな。まだまだドット画も悪くない、と思える内容だった。非常に芸が細かいですなぁ。職人芸に拍手を送りたい。

・戦闘は前作までのスタイルを継承しているが、新システム「サウンドバトル」によって多少味付けは変わった感じ。コンボを繋げるのが曲によっては難しいが、「リズムに合わせてボタン押せ!」なる内容自体は分かりやすいのが良いですわな。調子の良いときはなるべくコツコツ繋いで、ピンチのときはコンボを打ち切って回復を急ぐ、といった具合で状況に応じた使い分けができるバランスはグッドですな。

・RPGとしては良く言えば「オーソドックスで遊び易い」。奇抜でとっつきの悪い要素が無いと言う点では敷居は低いと言える。スリープ機能やセーブポイントの多さからも、しっかり携帯機向けに調整しておるな、と感じたよ。「聖剣伝説」や「マジカルバケーション」など、良くも悪くも濃いゲームばかり作ってきた開発元のブラウニーブラウンにもこんなまろやかなゲームが作れるのねぇ、とちょっと感心。
・ストーリーの展開が唐突なためか、登場人物に感情移入できないシーンも。とりあえず言えるのは「好意的な想像で補完してあげないと厳しい」ということ。「2」の気楽な雰囲気なら味と思えた強引さも、今回のようなシリアス調の物語ではプラスに作用しない。また、「ここで感動してね」的な露骨なお涙ポイントが所々用意されているのも興ざめ。終盤、「前作を知っていると嬉しい」ではなく「前作をやってないとついていけない」類のイベントも「2」未経験者には辛いだろう。その新規参入者へのフォローの無さが惜しい。シナリオ自体は悪くない出来なのだが、詰めは甘い感じ。ダラダラ作り続けて中止になった苦い過去から、「今度こそ早く出さなきゃ!」という焦りがあったのかも知れないね。中盤の物語をもっと丁寧に描いていてくれれば・・・。

・前作までと比べ、自由度が低くなり一本道でお使いゲー的な色合いが濃くなった。キャラの育成要素やボリューム等、RPGとしての完成度は前作の方が上。ストーリーを優先した結果こうなったのは、理解できなくもないが・・・。

・ゲームバランスはやや荒め。特に序盤のHP回復手段の少なさに因る難易度が高さが少々苦しい。レベル上げで充分カバーできる範囲ではあるけどね。

・サウンドバトルは楽しいことは楽しいが、ゲーム下手・リズム音痴の人そういった人を救済する上でも、ヒットとミスの間に「カス当たり」(ダメージは少ないがコンボを繋げる楽しさはある程度味わえる)みたいな救済措置はあった方が良かったと思う。

・敵のバリエーションが混ぜ物動物系に極端に偏っていて、ネーミングも安直。今までのシリーズのようなセンスの良さが感じられなかった。

・メニューや戦闘での操作性が悪い。L・Rを多用させたり、戦闘(十字キー上下)とフィールド(L・R)でキャラ選択時の割り振りが違うのがややこしい。アイテムの整理・持ち替え・装備の切り替えも煩雑なのにはイライラした。

・詳しい内容は伏せるが、エンディングは「想像の余地を残す」というよりは「手抜き」にしか感じられず味気ない。ハンパな内容ゆえ納得がいかない、ワシ的には。
かんそうです。ぽてんしゃる!
 前作から待つ事12年!!ようやくの発売となりました。(ストレート過ぎて少々強引さは気になるけれど)糸井重里氏が送る感動のストーリーに引き込まれること請け合いです。(超大作では無いけれど)「時にニンマリ、時にホロリ・・・」なシナリオが秀逸な癒し系の良作と言えそうな感じです。ぐんまけんに移住した甲斐があったですね。ぽえーん。
 雰囲気的に人を選びそうな作品だけど、MOTHERファンならやっといて損は無いと思うぜよ。内容的には「3」とはついてるけど、どちらかというと「MOTHER2外伝」と言った方がしっくり来る感じかも。見た目は似てても「1」、「2」の大作路線とは別の方向を向いた作品である事は念頭に置いとくべし。ある時は、肩の力を抜いて「ムフッ」っとうすら笑いを浮かべて遊ぶべし。ある時は感情のままにひたすらに涙すべし。自然体(+スタッフの皆さん12年間ごくろーさんというキモチ)で挑むことでこの作品の良さがグ〜ンと分かるハズ。
 しかしまァ、もしもこの作品が据置機(ゲームキューブとか)で作られていたとしたらどうなってたんだろうね。ニンテンドウ64版はイベントはムービーで表現されていたようだから基本的にはその方向性を受け継いでいたかもしれない。しかし、アドバンス版「3」の開発でもいっぱいいっぱいだったというから、据置機での開発は無理だったのかもしれない。途中には夢の中のような風景を走る主人公の姿だけが描かれた短い章があったことからも、内容的には構想時の12章からだいぶ削られてしまっているであろうことは想像に難くない。シナリオ面で消化不良な点が多かっただけに、その辺が残念でもある。

 まぁなにはともあれ、96年のニンテンドウ64版の発表時、そして発売延期・中止から、ゲームボーイアドバンス版としての開発再開、その発売まで、ファンとして一喜一憂してきた自分にとっては遊んでいる間のひと時は嬉しくもあり、寂しくもあり。作者である糸井重里氏は自身のホームページにて明確に「4」の存在は否定しているようだ。ということは、ひとまずシリーズもこれで完結となる。
 さすがに一本の作品でここまで辛い思いをするハメになるとは思ってなかっただろうなあ。そりゃ〜、「ゲーム作りに関わるのやめよう」って気持ちもわからんでもない。あるいは軽めのゲームが好まれる昨今、大作である「MOTHER」の役割は終わったと感じられたのかもしれん。が、時が経てばきっとまたムズムズと作りたくなってくるだろう、「4」を!(かなり希望的な思い込み含む)。糸井氏69歳の夏頃に出るであろう「MOTHER4」を勝手に楽しみにしつつ、ぐうたら生きていくことにしよう。
 おっと、糸井さん。「4」作らないならその前にWiiで「バス釣り」の新作出してちょーだいよね。大作作るのがイヤでもそっちならいいでしょ!?あのコントローラ、ぴったりでしょ!ゲヘヘ。「糸井重里のバス釣り大革命」をたのんます。ン、革命?任天堂の次世代機の正式名称がレボリューション(革命)じゃなくなったって?まぁそんな細かいことはいいじゃありませんか、ゲヘヘ。
 さて、バナナ片手に皆で祈ろう。

掲載日:06年5月18日
更新日:09年7月3日

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MOTHER (1989年・FC)
MOTHER2 ギーグの逆襲(1994年・SFC)
MOTHER1+2 (2003年・GBA)

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