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不思議のダンジョン 風来のシレン6
とぐろ島探検録

メーカー:スパイク・チュンソフト
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2024年1月25日
価格:6985円
ジャンル:RPG(ローグライク)


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スイッチさん版

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
5 7 9 8 7 9 8 83
プレイ時間…30〜40時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
アニキ、最高だよ!(ペケジ風に)
《操作性・快適性部分》
・グラフィックは3Dポリゴンになったが、非常にサクサク軽快に動くのが良い。『トルネコの大冒険3』や『風来のシレン3』等、チュンソフト製でポリゴン描写だった過去作は軒並み挙動モッサリで快適性が犠牲になってただけに、「ポリゴングラで快適操作」を15〜20年越しで遂に実現できた、とも言えるか。

・矢や杖などを複数のボタンにセットする事ができるようになり、別のアイテムを使う際にわざわざメニュー画面から選ばなくとも良くなった点は嬉しい。

・マップ上で歩いた箇所の色が変わるため、「絶対ワナが無い安全な場所」って判断できるようになったのは良かった。余計な素振りが要らなくなったかんね!

《バランス部分》
・発売前のスタッフインタビューでも触れられていたが、かなりシリーズ初期作を意識して設定された高めの難易度であり、「原点回帰」という宣伝に偽りナシといった印象。序盤から全力で殺しに掛かって来るようなキツ目の難易度と思うが、その分序盤から良いアイテムが引けたりする事もある調整になっており、「知識の蓄積」・「アドリブ性」・「危機管理能力」がより重要になり、よりローグライクらしいバランスに回帰した…とは言えると思う。

・「夜」システムだとか「武具成長」システムだとか、あんまりウケが良くなかったとか活かせる場面の少なかった前作までのシステムをバッサリと無くしたのは(アレはアレで面白い部分もあったと思うが)まぁ良かったと思う。

・同行してくれる味方のCOMキャラが強めの設定になっており、動きも足引っ張りな行為はせず賢く作られておりストレスが少ないのは嬉しい。

《グラフィック&サウンド》
・下で触れている通り正直2024年のゲームとしてはショボいレベルとは思うが、ジオラマチックな趣きもあり、初公開時(ニンダイのPVとか雑誌掲載時)に比べれば印象はかなりマシには思えたり。グラフィックの路線としてはN64の『2』とかDC/PC『アスカ』に寄せてる感じなんで、懐かしさもあるにはある。

・またガラリとBGMが一新、全曲新曲って考えれば豪華(また作曲家代わった?)。お馴染みの曲が一切無いのは寂しいが、しっかり場面に合った曲ではあるかと。

《シナリオ・テキスト部分》
・明らかに悪ノリし過ぎでネットスラングとか深夜アニメとかそっち方面に媚び過ぎだったゲーム内のモンスター・アイテム等の図鑑の説明文はヘンにネタに走る事も無くなり、無難で最低限の内容に戻っている。個人的には『4』や『5』程のノリはちょっと引く一方で『2』や『アスカ』くらいはあっても良いって思える人間なんで、コレはコレでちょっと遊びが無さ過ぎで寂しい気もするが、開発者の暴走でネタに走って滑られる・世界観を崩されるよりは遥かにマシか…(苦笑)。
イッカーーーーン!!!(ガイバラ風に)
《バランス部分(戦闘)》
・近年の作品(4や5)と比べると、序盤から殺しに掛かって来る難易度で、最初のダンジョンの3階辺りから一撃でHPを半分以上持っていく敵がワンサカ湧くだとか、所持品の消失を防ぐ「持ち帰りの巻物」や「装備のタグ」などの便利で敷居を下げる要素もバッサリをカットされているだとか、壺が未識別だったりとか、序盤からやたらと難易度を吊り上げ過ぎな印象。過去作を遊んである程度クリアして知識が蓄積しているのが前提のバランス取りであり、コレはコレでちょっと極端な気も。明らかにシリーズ未経験者が遊ぶにはキツい難易度調整と思う。恐らく、シリーズ初期作ゆえの粗さ・不親切さがある『シレン1』より純粋な難易度で言えば難しい調整と思う。作る側の「ローグライクってこういうモンだ!」が通じなかったからこそ一度このシリーズは衰退してて低迷期が長く続いたワケで、あまりに経験者重視・一見さんお断りな作りってのもかなり危ない気もするが…(笑)。

・攻撃の命中率がやたらと低めに設定されてるっぽいのはちょっとイライラする。敵の耐久力もあって殴り合いで5ターンとか掛かったりするのも、被ダメージが大きいだけにチトしんどい。「一撃が重い」と「やたらと空振る」が相性悪い気がするのよね。

《バランス部分(モンスターの配置や仲間など、他の要素)》
・ミスした人を助ける『風来救助』は救助に成功しても得られるモノがほぼ無いタダ働き状態同然なため、よほど親切で物好きな人しか救助側に回らん気がする。過去作みたいにアイテム集められるとかメリットは残しても良かったのでは。

・追加ダンジョンだと割と浅い階層からひまガッパ・畑荒らし系だの落ちてるアイテムを消しまくる嫌がらせ重視の敵がワンサカ湧いてウンザリする。難しいとかでなく単純にイライラ・理不尽要素にしか思えず良い印象に繋がりにくい調整と思うが…。

・難度高めの追加ダンジョンをクリアしないとそのダンジョンに関係する旅仲間が出て来なくなるのは、話の整合性を考えると仕方ない部分もあるが、チグハグ感も強い。上手いプレイヤーなら独力でも攻略できるワケで、旅仲間ってのは下手な人間への救済措置的な位置付けであるハズ。それにも関わらず高難度の追加ダンジョンと旅仲間を結び付けてしまう辺り、配慮が足りんよなァと思えたり。

《操作性・快適性部分》
・快適性は非常に良好と思うが、唯一、UIの文字が一部小さくて見辛い点があるのは少々しんどい(携帯で遊ぶ時は特に)。

《グラフィック&サウンド》
・PVなんかで見るよりはだいぶマシに思えたが、それでもやっぱりグラフィックの品質はかなりショボく、2〜3世代くらい前(ドリームキャスト・PS2・ゲームキューブ辺り)の印象も受ける。まぁ元からシレンに超絶グラは求めていないし、この辺りは挙動の軽量化の為の犠牲になったって部分もあるだろうから一概に悪いとも言い難いが、ソレにしたってもうちょい頑張って欲しかったとも思う。

・曲の出来自体は悪くないと思うのだが、また全曲一新されて過去の楽曲が一切無くなってしまったのは残念にも思えたり。メニュー画面とかセーブ時とか店やモンハウの定番曲くらいは使えんモンですか?

・細かい点だが、中継地点の街とかで同行してる旅仲間がいない扱いなのは違和感がある(過去作では町中にいて専用のセリフとかもあったのに)。
感想でござる(アスカ風に)
 完全新作としては14年ぶりの登場となる『風来のシレン』シリーズのナンバリング6作目。

 原点回帰を強く意識し、肉を削ぎ落としてかなりシンプルなゲームシステムに回帰している。同時に難易度そのものも非常に高く、手応えが増した内容になっている印象。「シンプルだけど難しくて楽しい」って作りでシリーズの過去作をラクにクリアしちゃうような上級者さんにはウケが良さそうな一方、過去作であった救済措置がほぼ撤廃されている等、あまりに初心者を突き放し過ぎに思えるのも気になる。
 わしは「シレンシリーズほぼ全作やってる常連サンだが腕前はヘタクソ」って関係上、ちょっと難易度吊り上げ過ぎじゃないかなーって印象は拭えず。楽しいんだけど、飴と鞭のバランスが鞭に寄り過ぎじゃねえかなーって思って(笑)。

 難易度バランス以外の点では、グラフィックは初出のPVの時点で「ショボいなァ…大丈夫か?コレ?」とすら思ったが、遊んでみた感じ、ジオラマ写真っぽい趣きもあり、最初の印象よりはだいぶマシに思えた(綺麗ってくらいでもないのは間違いないにせよ)。一方、グラを軽量化した甲斐があったか、ポリゴン描写の過去作(トルネコ3・シレン3)ではモッサリだった挙動もシリーズトップクラスに改善されたのは純粋に嬉しいと思える。

 まだ数時間しか遊んでいない状況だが、今のところだと総じて、「やたら難しくて間口も狭い、見た目もショボめだけども出来自体は良好」って感じか。シリーズ常連だけどヘタクソな関係上、死ぬ回数ばっかり増えそうだが、まぁ気長に遊んでみたい骨太な新作である。
 大雑把な本作の印象は「シレン2やアスカをシレン1のシンプルさを目標に今風に再構築してみた新作」って感じか。世間様の声とか聞いてる感じだと「初心者やヘタクソさんには厳しく、上級者にはそれほどでもない」って感じでバランス部分がやや歪つには感じられるが、全体としては良く出来てて今後の展開にも期待ができる水準には達していると思う。まぁ急いで出すと「前作からたった10ヶ月で出して見事に埋もれたシレン5」みたいになるんで、しっかり数年練り込んだ上で展開していただければ。シレンってグラで押すシリーズでもナイし、そんな乱発しても飽きられるだけと思うしね。シレン5以降は暫くの間4と5と1の劣化移植のDSの再移植ばっかでやる気が感じられんかったチュン社がまたしっかり質の伴った新作を開発して復活してくれた点、その事実が嬉しい。

掲載日:2024月1月30日
更新日:2024年2月20日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
6 7 8 7 8 8 7 81
プレイ時間…60時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ごっつぁんです。最高ッス。
《ゲームシステム・ゲームバランスなど》
・本作もダンジョンの種類は中々多い。基本のストーリーの始まりとなる30階建てのダンジョンに始まり、シリーズお約束である罠・モンスター変身能力を使うダンジョン、最後は99Fまで続くいわゆる『もっと不思議のダンジョン』も用意されており、更には……。本作ならではの独自性のあるシステムが含まれるダンジョンも複数登場しており、個人的に評価したいダンジョンは『推測の修験道』。アイテムの多くが未識別なものの、3択の選択肢の中に正解が含まれているというダンジョンで、未識別ダンジョンに慣れていない初心者向けの登竜門の役割を果たしていると思った。

・過去作品でもあった風来救助に加えて『パラレルプレイ』などもオンライン要素として追加されている。風来救助も見知らぬプレイヤーからオンライン救助してもらえる機会が大幅に増えたため、気軽に試せるようになり敷居が低くなった。

・初代風来のシレンをベースにしつつ、過去作品で好評だった異種合成や祝福システムなどが広く取り入れられており、全シリーズの良いとこ取りをする形で本作のゲームシステムが作られている。派手にゲームバランスが崩れる物はなく、それでいて敵モンスターやアイテムもそれぞれ特徴的なものばかりでゲーム攻略の奥深さはかなりのもの。

・本作で追加された新要素の一つとして『願いのほこら』『熱狂の祭り』『クロンの挑戦』などのダンジョン内イベントが挙げられる。プレイヤーにはほぼ利点しかない上に挑戦するかどうかは任意のイベントなので、気軽に挑める新しい試みとしては悪くなかったと思う。

《UI・快適性など》
・ZRボタンやZLボタンを同時に押して使うショートカットコマンドも最初はちょっと慣れないが、慣れてくると矢や石の射ち分けや細かなアクションの使い分けもしやすくて便利。無理に使わなくても昔ながらの操作方法だけでプレイすることも十分可能。

・ゲーム中でいつでも閲覧可能な手帳の内容がとにかく充実している。過去に識別済みのアイテムは値段や効果、異種合成が可能かわかることや、過去に到達済みのフロアであれば出現するモンスターの階層なども分かるという仕様などなど、ゲームプレイ中に知っておきたい情報の大半はここで確認できる。過去作品では予めメモしておいたり便利ツールを参照するなどの工夫が必要だったが、本作ではほぼゲーム内のシステムだけで把握できる。

・正直言ってグラフィックのポリゴンの質感はシンプル過ぎてショボく感じる事もあるが、敵味方共にテンポ良く動くモーションになっている上に視認性は良いので、快適さとしては強く褒められる。Wii時代のように精巧な描写を意識しすぎてモッサリ挙動になるよりは遥かに良いし、グラフィックの美麗さを求めることがあまり無いローグライクゲームというゲームジャンルとしては必要十分かと。

・イベント発生中のエリアにはビックリマークで分かりやすく表記されていて分かり易い。過去作品では一部存在した『〇〇のイベントを進めるには〇〇のアイテムが必要』といったものもほぼ存在せず、どのような状況でも段階的にゲームシナリオが進められるようになっている。

《音楽・シナリオ・その他》
・楽曲制作に過去作品にかかわってた、すぎやまこういち氏や松尾早人氏の名前は無かったものの、本作のBGMは風来のシレンの過去作品に寄せた曲調のものが多く長時間に渡って聴いていても違和感などはほぼ無し。下手に変更されると違和感が大きくなりそうな敵の攻撃時の音やレベルアップの曲(※初代風来のシレンでも使われていた3331拍子のもの)など、効果音系は過去作品のものが流用されている。新規BGMはダンジョンの階層ごとに大きく変化する雰囲気に合わせた曲が多く、概ね満足できた。個人的には特殊モンスターハウスの曲がお気に入り。

・ストーリー展開は過去作品で例えるならばアスカ見参の頃までの作品の特徴に近く、適度に謎や意外性を含ませながらもシンプルで分かり易いシナリオ。風来のシレン3以降の過去作品や昨今のゲーム作品と比べるとアッサリし過ぎてると感じる人もいそうなものの、個人的には満足。

・過去作品には多かった微妙な効果しか発揮しない妙なネーミングの偽アイテムが大幅に減った。最初こそ笑えるが、難しさよりも識別が面倒臭くなり段々と面白味が感じられなくなるだけだったので個人的には好評。

・新システムのパラレルプレイでは、他のユーザーと全く同じ内容のダンジョンを共有する事が可能に。Discordサーバーやゲーム実況配信などを用いてリアルタイムでゲームプレイ体験を共有することが多い昨今のゲームコミュニティに沿ったシステムで、面白い試みだったと思う。画面表示も変更すれば現在の装備などのステータスが常に表示可能になる他、本作はゲームプレイ画面の公開・収益化が可能となっており、過去作品以上にゲーム実況者・配信者向けへの配慮が行き届いている。ゲーム本編の評価とはちょっと異なるので点数には影響させてませんが、この点を重視するユーザーも最近は多いので一応の記載。
親方ぁ!マズいッス!!
《ゲームバランスなどについて》
・『原点回帰』のキャッチフレーズ通りにし過ぎたせいか、ゲーム開始当初は登場するアイテムの種類や倉庫の使い勝手などが敢えて初代風来のシレンの頃の古いシステムを踏襲する形になっている。ゲームの進行度合いに合わせて少しずつ最近の風来のシレンシリーズらしい便利なシステムが取り戻されてくるものの、過去作品に慣れてるプレイヤーにとっては余計に違和感が大きい。最初のシナリオをクリアをする頃にはだいぶ快適になるだけに、最序盤の不便さは煩わしく感じた。

・脱出の巻物(※過去作品の持ち帰りの巻物)が序盤は登場しない、風来のシレン4・5で登場していた武器や盾のタグ付けなども無いなど、『武器や盾を強化しながら最初のダンジョンをクリアしていく』という手法がほぼ通用しなくなっているのが初心者にとってはキツい。過去作品以上に序盤の不便さや難易度が上がっていて、ローグライクゲーム初心者に対するハードルが極めて高くなっている。

・本作の戦闘の特徴として、『攻撃の命中率が敵味方共に低め』『攻撃力・防御力共に強化された種族が多い』事などから、全体的に一体のモンスターを倒すまでの時間が長くなりやすい。この辺りのゲームバランスは人の好みによるが、テンポが悪くなりがちなので個人的には微妙だった。

・その一方で、本作において一番難易度が高い持ち込み不可能ダンジョン、いわゆる『もっと不思議のダンジョン』の難易度がややヌルいようにも感じた。間違いなく初心者向けとはいえない高難易度ではあるものの、他作品のもっと不思議のダンジョンと比べると一回りほど難易度が低い。青の神器・金の神器や白紙の巻物・復活の草などの優秀なレアアイテム類がそこそこ登場する、本作の新システムのドスコイ状態が便利である事などプレイヤー側が有利に働く点が多く、終盤の難易度がややヌルいようにも感じた。他にも、ギタン投げのダメージが金額の20%になっているのもダメージが上がりすぎな気が。

《新システム全般について》
・オンライン上で他者を風来救助しても得られる成果が奥義ポイントのみなので、他者を風来救助するメリットが薄い。おそらくは奥義ポイントを貯めて自分救助の際に救助の奥義を使ってもらう事を想定してるのだと思われるが、プレイヤーの旨味としては物足りなく感じる。過去作品のようにアイテムが持ち帰れるとか、貯めたポイントを自分のプレイデータ上で他の方法で使えるといった事があれば、尚の事良かったのではないかと思う。

・4・5の夜システムやアスカ見参の秘技システムなど、新しいシステムの攻略方法を必要とするダンジョンが少なめなのはやや寂しい。本作にも新要素としてデッ怪や大砲などもあるが、これらは常に登場するものではなく、デッ怪に至ってはプレイヤー側も逆に利用できる点がほとんど無いので、新しい攻略性による面白さよりも新しい面倒臭さの方が強く感じるというか…(デッ怪については、すべての部屋を巡るとレアアイテムが一つだけ落ちている事があるという利点はある)。

・道具手帳を見るときは道具の価格帯を気にする事が多いので、ソート機能で値段順の表示があればほぼ文句なしだった。一般的にはこの手の便利ツールを使うと必ずといってもいいほど搭載されているので……。

《その他について》
・アイテム解説やモンスター解説の文章がちょっと堅苦しく、必要な情報だけしかないのもそれはそれで却って寂しい。風来のシレン4・5のようにネットミームや漫画アニメネタが多過ぎるのもサムいが、守りに入り過ぎてるせいで堅苦しく感じる台詞回しもあり…。

・『過去作品には登場した〇〇が存在しない』と、気になってしまった点が幾つかある。例としては、謎解き問題のフェイの問題や仲間モンスター育成、仲間と共に攻略するダンジョンの少なさ等々。やり込み要素としては実績解除やモンスター・アイテム図鑑集めなどが揃っているので十分なのですが、カスタマイズの幅があるものも個人的には欲しかった。

・ちょっと制作期間が間に合わなかったのか、手が込んでいない部分も散見される。特に気になったモンスター種でいえば〇〇忍者種や〇〇面山伏種で、これらはカラーリングの変化こそあるものの、シルエットやモーションはほぼ同じであることなど。他にも、メインストーリー以外で何かしらのイベントが発生しても文字だけの解説だけで終わる事もあったりと、ビジュアル的に華やかさを感じにくい場面が幾つかある。手の込んだムービーを用意するとかでなくとも、フィールド上でキャラクターが動くだけで構わないのでもっと用意してほしかったところ。

・最終盤のあるダンジョンの目標の中に『アイテムの〇〇を集めながら進んでいく』というものがあるのですが、その該当アイテムが敵モンスターによって消失させられる事もあるという仕様はキツすぎると感じた。特にダンジョンのシステムやモンスターの登場階層が変化する訳でもなく、リカバリーも不可能な縛りプレイを強要されるだけで面白味が薄い。

・大半の登場人物は本作初登場なので違和感はさほど無いものの、準レギュラーのアスカとの会話については違和感が。ニンテンドウ64の風来のシレン2の時代であるシレンの幼少期から続く年季の入った間柄なので、できれば本作でも更なる掘り下げが欲しかったところなのですが……。
ドスコイ状態を維持しながら感想。
 これらの評価はバージョン1.0.2にて登場するダンジョンを全て一回ずつクリアした上での内容になります。

 原点回帰というキャッチコピー通り、スーパーファミコンで発売された初代風来のシレンを思い出す部分が多い。シャッフルダンジョンの雰囲気や敵モンスターのモーションなど、よくよく見ると明らかに初代風来のシレンやアスカ見参などを強く参考にしたであろう部分も多く、シチュエーションによってはシレンシリーズの過去作品をプレイしているような感覚になることも。過去作品を楽しめるプレイヤーであれば本作のダンジョン攻略は更に熱中する事になるはず。

 惜しい点として真っ先に上げられるのは、初心者向けとは言えないゲームバランス・ゲームデザイン。ローグライクゲームそのものが初心者向けではない傾向にあるものの、それでもせめて序盤くらいはもう少し難易度を下げてほしかったところ。令和時代のゲームにありがちな丁寧なチュートリアルやゲーム側からの親切な接待は少なく、平成初期に作られた初代風来のシレンのように死んで覚えるタイプのローグライクゲームであるため、良くも悪くも原点回帰のキャッチフレーズ通りになっている。

 繰り返し遊ぶ事が多いゲームデザインのためゲームバランス的な問題はつい目についてしまい不満点も多くなるのですが、つい過去作品と比べてしまうだけで一つのローグライクゲームとしては良作の部類に入るのは間違いない。風来のシレン5が発売されてから14年ほどの間に発売された様々なローグライクゲームのシステムや便利ツール等を参考にされたであろう部分も幾つかあり、マッシュアップされた操作性・快適性の良さも誇れるところ。

 発売から2週間弱でシリーズ中最速の国内累計出荷本数20万本を記録した事もあり、売り上げは上々でホッと安泰。14年も完全新作が作られてなかったものの、制作技術の上での深刻な問題点はそこまで無さそうという印象を受けた。現在でも風来のシレンが製作可能である事は十分理解したので、風来のシレンシリーズも7・8と続いていったら良いですネ。

掲載日:2024年2月13日


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