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スーパーマリオオデッセイ
メーカー:任天堂
開発:任天堂 企画制作本部
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2017年10月27日
価格:5980円
ジャンル:アクション(3D)


広告(良かったら買ってくれぃ)
 

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
10 9 8 9 8 7 90
プレイ時間…20〜25時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ワーオ!よかですタイ。
・ステージごとに全く異なったロケーション。それぞれの国の風景やらキャラクターの造形やらの個性が立っていて、見た目的にも旅をしている気分が味わえる。フォトリアル系のゲームでは無いが、風景の質感や空気感など、臨場感溢れる演出がプレイヤーのテンションを高めてくれる。絵的に言えば『良い意味でヘン』とも言えるか。マリオでは禁じ手とも言えるリアル等身のキャラクターの登場の他、統一感のまるでないステージごとの画作りは良い意味で闇鍋的。これまで以上にどこかシュールさ・ユニークさを感じられる独特の雰囲気が最高に良い。うん、こういうの、好き。

・諸々のアクションに反応するステージのギミックの1つ1つ、過去のマリオ作品へのセルフパロディ等、ゲーム全体に散りばめられた遊び心が楽しい。

・同じスイッチというハードで先に出たゼルダがブレスオブザワイルドで従来型のゼルダと別物に生まれ変わった印象があったが、こちらマリオは『マリオ版スカイウォードソード』(Wiiで出たゼルダ)のテイストに近いバランス。当時のスタッフが「襲いかかるオモテナシ」(ゼルダスカイウォードソードの『社長が訊く』でも読んでみてネ)と例えていたあの感覚に近い。言うなれば、マリオ版襲いかかるオモテナシ。ステージの道中における自由度は広さに反してマリオサンシャインやマリオ64ほどムチャだの好き勝手だのできないが、何かしらプレイヤーの行動に対してのフィードバックはあり、その分濃密さがあるといった印象。正統な3Dマリオではあるけど、ジャンプアクションとしての色合いはかなり薄めで、どっちかと言えばレア社の『バンジョー・カズーイ』のパワーアップ版って例えると近いかもしんない(笑)。世界観はちゃんとマリオだけどね。

・ステージクリアに必須のハードルはかなり低めに設定されており、各種のアシスト機能も使えば、アクションが苦手なプレイヤーでもかなり楽しめるのでは。過去のお助け機能は「味気ない動きで勝手にクリアする」のを眺めているだけだったが、今回は操作はプレイヤーにある程度委ねられているのでその点でも配慮されているとは感じた。1回クリアしたステージの追加要素はオニのように難しい物も多く、その点で腕に覚えのあるプレイヤーでも充分楽しめる作りと言えそうな。

・操作は最近のマリオに比べるとかなり複雑だが、動画付きで解説が載っていたり、相応に配慮はある。また、種類は多くとも必須と思えるアクションの種類はそれほど多くは無いので、極端な話、キーとなるキャプチャーの基本投げと距離や高さを稼ぐ系のジャンプアクションだけでも何とかなる。それ以上はいわば魅せ技・覚えているとちょっとずつ便利といった趣のアクション。その点でプレイヤー毎に自分の腕と相談しながら遊べる采配とは言えるか。

・ロードはほぼ無い。この世代のアクションゲームだとデータ量が多いせいかゲーム開始前やらステージ読み込みやら長くて鬱陶しいけど、このゲームはいかなるナゾ技術を使ったかロードに悩まされる事が皆無。
ムホッ!だめですぞい。
・フィールドの広さに対してやれる事がきっちり決まっていて逸脱できない作りになっており、そういった意味では窮屈さも感じる。箱庭系マリオの出発点『スーパーマリオ64』やスイッチで先に出た『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』よりも攻略の自由度・遊びと言った点ではかなり見劣りする、と言えなくもないか。キモとなるアクションであるキャプチャーは楽しいのだが、バグ回避やらバランス取りやらのためか、決まったエリアの外には持ち越せない事が多い。そのため、クリエイターの掌の上からはまず逸脱できないであろう作りであり、マリオ64の頃みたいな「ボスを運んでバトルエリア外に出す」等のべらぼうな行動や「○○に変身したまま△△地点に言ってこれでアイツ倒したろ」とかムチャは出来ない点は残念。解法がきっちり決まってい過ぎる印象で、ゼルダBOWのような『要素同士の掛け算』的な工夫の余地&遊びの予想外の広がりがほぼ期待できない点には物足りなさも感じる。没入感についても同様で、ぶっ通しで何時間も遊んでも気にならんかったゼルダよりちょっと見劣りする部分ではある。いや、贅沢な悩みなのは分かるんだが、一度凄いモノを味わうとどうしてもそれが基準になってしまってな…(苦笑)。

・帽子を投げてのアクション(=Y/Xボタンまたはジョイコンを振る動作)がキモとなるのだが、このボタンに機能が多く集約されていて、似たようなゲームが少ない分慣れるまではちょっと苦労する。余っているボタンがあるのだから、そこに振り分けるなどの工夫(もしくは任天堂内製ゲームが嫌う傾向の強いキーコンフィグとか)があっても良かったとは思う。また、キャプチャーの操作(帽子を投げるアクション)は細かい方向や距離の調整がやりづらい。自動でホーミングさせろとは言わんが、投げる前に方向を矢印で表示するとか、もうちょっと融通が利いても良かった気も。

・カメラは細かい地形ではたまに融通の利かない動きをする事で、視界外から攻撃を受ける事もあり、この点ではちょっと不親切・前時代的かな…と思える部分も。マリオは半透明表示で位置を把握できるが、敵や敵の出す弾までは表示してくれないので、視点が悪くてダメージを受けるとちょっと理不尽な気分にはなる。

・これまでの箱庭系マリオ(マリオ64・サンシャイン・ギャラクシー)と比べると、マリオ自身の運動性能が控えめに思える。ジャンプ力が足りない感じに思える箇所が多くて、ちょっと難儀した。
感想でござるよ。
 暫くはギャラクシー等の重力をテーマにした物・2Dと3Dの中間的な性質のマリオが続いた事もあり、久しぶりの箱庭系の3Dマリオ。順当にスケールアップしているし、見た目もアクションの挙動も随一。アクションゲームとして触っていて純粋に楽しいと思える作り。

 それでも正直、革新性だとかインパクトだとか単純な物量だとか諸々において、先に出た『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』程の恐ろしさは感じないかなー…。なんだかんだ言って完成度・独自性は随一で例年なら文句なしでその年のNo.1に据えられる程の完成度を持つゲームとは思うが、先にゼルダを遊んでしまったが故の贅沢な物足りなさとは言える気はするけど。

 しかし同じハードで同じメーカがこれほど短いスパンで神ゲークラスの物を連発してきた事ってあったかな?64の時だってマリオ64→ゼルダ時オカで2年半を要していた事を思えば、正にオソロシイとしか言えぬ気もする。そういう意味で久しぶりに任天堂の本気を見た気分に。まぁ予想してたより上に振れる分なら歓迎だし、ニンテンダーとしては嬉しい誤算ですかね。あとはコンスタントにラインナップを途切れさせなきゃ完璧だったんだけどもなー(薄々イヤな予感はしてたが、結局2018年以降は割と手抜き…と申すか、ちょくちょくソフト日照りをやらかしとる任天堂ではある)。

掲載日:2017年10月31日
更新日:2020年8月4日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
10 9 9 9 8 7 7 92
プレイ時間…20時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
オ〜イエ〜!イヤッフ〜!!(良かったところ)
・世界各地の風景のグラフィックがとても綺麗。オブジェクトもただ立ってるだけでなく動きも細かくあり、本当によく作り込まれているなと感じる。国ごとに個性が大きいグラフィックのおかげで新天地に行った時の、その場所ごとの雰囲気の大きな違いといったものを楽しむ事ができ、まさに異国へ旅行に行く楽しさを感じる事が出来る。マリオの普段の世界であるキノコ王国とは完全に異国だからという理由で、これまでの世界観にそぐわないようなニュー・ドンク・シティの8頭身のキャラの方々や完全にファンタジーゲームに出てくるようなリアルなドラゴンも出てくるが、それが逆にマリオとマッチしていたり…(笑)。

・箱庭空間ではあるが、一つ一つのステージが最近の3Dマリオ系の中でも特に広いので探索しがいがある。遠くから見て何かがあるかな?と思って行くとまず殆どは何か用意されているので、新しい場所を見つけて見に行くという楽しさはさながら旅行のよう。次の国へ行けるようになってもウロウロと探索したくなるような中毒性がある。

・ステージごとのギミックやキャプチャー出来る敵のアクションも豊富で飽きさせない。敵の操作も複雑な操作を求められるものは滅多に無いので、初めて見る敵でも直感的に動かせて気持ちがいい。

・ややこしさも増えているが、マリオを動かす通常時のアクションが増えているので、これまで以上にマリオをフリーダムに動かす事が出来るのが良かった。

・アクションが苦手な人に対するアシストが充実している。最近のマリオにはよく搭載されているお助けモードが用意されていて、ゲームをどう進めたらいいか迷わないように道しるべが表示されるようになっていたりと親切。

・そのわりに普通にプレイするとそこそこやり応えを感じられる難易度になっていてヌルすぎなかった。終盤のステージはマリオサンシャインの時を思い出すような難しめのステージも用意されていて硬派なゲームを好む人も楽しめると思う。

・音楽もよろしい。主にスーパーマリオギャラクシー系の派手なオーケストラミュージックを引き継いでいて、ステージにの雰囲気に合っているものが揃っている。このゲームの主題歌である『Jump UP super star』もこれまでのマリオシリーズでは珍しく歌詞がしっかり入っている曲だが、とてもワクワクさせられる曲で良かった。世間的にもiTunesでダウンロード数が一時的にトップになった事もあるらしく、中々好評だった模様。

・会話文が多いわけではないが、どの登場人物もキャラが立っている。キノピオ隊長やスフィン・クイズの台詞は笑った。

・マップを見た時に書かれてている国ごとの説明文にセンスがあってニクい。こういう小ネタは好き。

・マリオの服装のコーディネートも豊富で着せ替えが楽しかった。個人的にはマリオが上半身裸になり乳首が見えるようになるキノコ柄のパンツに大ウケした。

・過去のマリオシリーズをやっている人はニヤリと出来るネタを所々に仕込んでるファンサービス。こういうさりげないサービスは嬉しい。

・ゲーム内でスナップモードというかなり自由に撮影する事が出来るシステムがあり、スナップモード中はカメラ角度や位置を自由に変える事が出来るので絶好の一枚を撮りやすくて便利。特に風景が綺麗なゲームなので、取り合えずスナップモードを使って少し調整すれば誰でもそこそこ綺麗な写真が撮れるのは他のゲームには無い面白さだったかと。
オ〜ノ〜!マンマミ〜ヤ!!(悪かったところ)
・ゲームがサクサク進む事もあり、全体的なプレイ時間は従来のマリオシリーズに比べると控えめ。満足感はあるので物量が少ないというよりかは、単にクリア時間までが短くなりがちと言ったところか。ゲームとして短すぎるという事は無いのだが、Wiiのマリオギャラクシーシリーズ等と比べてしまうとやはり短さは感じてしまう。

・一部のアクションが独特の操作方法になっていて慣れにくい。水中での平泳ぎがヒップドロップからの派生技になっているのは違和感があったし、Aボタンが調べる行動とジャンプを兼ねているせいで、人に話しかけようとしてもジャンプが暴発したりするのも気になった。

・全ての敵をキャプチャー出来るのかと思ったらそうでもなく、かと思いきや意外すぎるものがキャプチャー出来たりする。キャプチャー出来る対象の判別がパッと見で分からないのも気になった。

・マイナス要素…という程ではないが、CEROが『B(12歳以上対象)』なのは少し気になった。暴力、犯罪面が引っ掛かったらしいのだが、このせいでほんの僅かでも子供向けに購入しにくくなる可能性が出てきてしまうというのはゲームとして勿体無かったかも。子供がプレイしてもほとんど問題は無いゲームだとは思うが…。
イッツ!マリオタ〜イム!!(感想です)
 丁寧な作りの箱庭3Dマリオ。世界旅行をモチーフに作られただけあり、演出面では妥協していない。どの国であっても初めて行く時の旅行のワクワク感が刺激されるような所ばかりで、旅先で写真を撮りたくなるようなニーズに応えたかのように写真を自由に撮りやすくなるスナップモードも用意されていたりとゲームを楽しませてくれる。旅先での多種多様なイベントもまさに旅の楽しみとも言えそう。ピーチ姫を助けるという本来の目的そっちのけでここまで没入してしまうとピーチ姫に悪い気もするが(笑)。

 キャプチャーシステムもあり、アクションの豊富さやイベントの多様さはマリオシリーズの中でもトップレベルだった。使い回しのアクションや似たようなイベントがあまり無いのには驚いた。どの国であっても、とにかくその場所ごとのアクションを要求させられて新鮮さが大きい。アクションが難しい時でもアシスト機能がいつでもON/OFF出来るので気軽さが嬉しい。

 主題歌も魅力的で、細かなネタも豊富でとにかく楽しませてくれるマリオと言えそう。堅実なアクションの面白さという面ではやはりマリオがしっかりしている。switchを持っている人は是非とも、マリオと一緒に世界旅行へGO!!

掲載日:2017年10月31日


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