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クロノ・トリガー
メーカー:スクウェア
機種:スーパーファミコン
発売年月日:1995年3月11日
価格:11400円
ジャンル:RPG


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DS版 PS版 サントラ

カエルのフィギュア!
(あれ?これ違くね?)

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
10 10 9 9 8 9 9 86
プレイ時間…70時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
うん…とっても…良い感じ…
・タイムトラベルによる歴史改変が大筋のストーリーなんだけども、当時のSFモノにありがちな複雑過ぎるストーリーではなく、簡潔かつ王道で分かりやすいストーリー構築になっているのがシナリオ面での特徴。専門用語や難解な展開は少なめで、多数存在するイベントを着々とこなしていく、わりとシンプルなゲーム展開も却って魅力と言えそうな。

・バトルシステムはほぼファイナルファンタジー4以降のFF作品におけるアクティブタイムバトルと同じで、敵の行動を伺いながら攻撃と回復をこなしていくという王道のスタンスは崩していない。当時のRPG基準から見てもバトルシステムは簡略化されてる部分が多いものの、その分だけ理不尽さや複雑過ぎる部分が無いので快適といえば快適。

・ダンジョンの途中であってもほぼいつでも自由にメンバー変更する事が出来るので、プレイヤーの気分次第でこまめに戦略を変えられるのも面白かった点。メンバーによって得意分野や連携技がしっかり異なるので、魅力的な仲間達を使いこなしていくのが中々に楽しい。

・クロノ・トリガーの独自の仕様としてよく挙げられる、ほぼいつでもラスボスに挑む事が可能というシステムはかなり驚いた。ストーリーの進行具合に応じてエンディングが変化するという仕様で、一周目は普通に最後まで進めてクリアするのが通常プレイになると思うが、それでもプレイヤーの腕前次第では中盤くらいの時点で無理矢理ラスボス踏破に至るのも可能だったり。能力値の大半を引き継いで初めからプレイし直す2周目プレイ、いわゆる『つよくてニューゲーム』も、現代のゲームで類似したシステムが増え始めた要因となったのもこのゲームの影響が大きかったんじゃないかと。

・ドット絵のアニメーションの細かさも目を引く部分で、キャラクターの動きや表情が細かく作られていてかなりの力作。バトルシステムやフィールドの形の関係上、画面を縦横無尽に動いてる事が多いものの問題なくスムーズにアニメーションが動いていて感動した。

・当時は今ほどの知名度も無かった光田康典氏によるBGM群もかなりの良曲揃い。イベント曲やフィールド曲の数も多いのに、仲間メンバー一人一人に固有のテーマ曲も用意されていたりと純粋に曲数も多め。曲調や音源も変えて、その場の雰囲気やキャラクターに合致した良曲が多く音楽面に関してはかなり評価が高い。
あれっ、問題かな、ヌゥ…
・難易度がやや低め。敵の攻撃力が全体的に弱めで、最低限だけ回復に気を付けてたらラストまで一度もゲームオーバーにならずにまずクリア出来るほど。序盤が簡単ならともかく、終盤になるにつれ有用なアイテムや技がどんどん揃ってくる関係上、普通にプレイしていれば終盤の方がヌルくなってくるので、RPGに慣れてる人にとっては通常バトルのやり甲斐は微妙なところ。

・本作のバトルは『アクティブタイムバトル2』という新しい触れ込みなものの、実際にはやや大味のバランスで作り込みの甘さを感じる部分がある。敵の位置取りと仲間キャラの位置取りが重要なシステムになっているのに、戦闘開始時で仲間キャラの立ち位置は予め決まった場所に立ち続けるだけで戦闘中に位置取りを変えられなかったり、終盤になると位置関係がほぼ機能しない広範囲の技が増える事もあって、体感的にはFFシリーズのアクティブタイムバトルと大差なく感じる。キャラの位置取り等でもう一工夫あれば独自性の高いバトルも展開出来たのかなあと。

・2周目以降で引き継ぎ有りのゲーム全般に言える事なんだけども、やる事は基本的に同じ内容を見て繰り返すだけで変化に乏しい。まだ発展途上中の時代なので致し方ないものの、2周目のプレイを強く推奨してるゲームのわりには少し配慮が足りないかなと。

・マルチエンディングの中にはしっかりと作り込まれてるエンディングもあるものの、そのうちの幾つかは内容の変化に乏しく新鮮味を感じられないものが多めなのはやや残念だった。

・一部のオブジェクトが背景に溶け込んでいて、やや見つけ辛い物がある。特にワールドマップ上などで、何処が入り口や出口なのか分かり辛い所があるのは困った点。
ヌゥを一体欲しいと思いながら感想。
 現スクウェア・エニックス社がまだスクウェア社とエニックス社で別の会社だった時代に、ファイナルファンタジーとドラゴンクエストの二大RPGを手掛けているディレクターが手を組んで一つのRPGを作るという、まさにドリームプロジェクトという名目通りのRPG。坂口博信氏や堀井雄二氏らが一緒に作ったという事もあり、王道RPGらしいゲームデザイン及び、細かい作り込みっぷりはお墨付き(とは言うもののこのお二人は一部の原案や監修等を手掛けた程度で、メインの製作陣は他の方々のようなんですが)。

 先に問題点を挙げておくと、個人的に最も気になったのはバトル部分。難易度がやや低めでバトルのシステムも大味な作りで、RPGにおける通常バトルの奥深さを楽しみきろうとするには物足りない部分もあるので、RPGを難なくクリア出来るような人はその点だけはやや注意。

 高く評価されてるシナリオについては、全体的なストーリーだけなら当時のRPGとして見ればわりとシンプルなんだけども、その中に組み込まれている一つ一つのエピソードの良さが魅力的なシナリオと言えそうな。安直ではないものの分かりやすく纏めたイベントを幾つも用意する、というのもRPGの表現の一つとしてはアリなんだとこのゲームで痛感した。

 このゲームが長らく語り継がれてる最大の要因は、豪華開発陣の『ドリームプロジェクト』及び、『演出力の高さ』にあるのではないかと。ストーリーやバトルなど、一つ一つだけ見ていけば他の名作RPGでも在りがちな気はするんだけども、とにかく全体的に魅せ方や演出の組み合わせ方が上手い。数あるゲームの中でも名オープニングの一つとして語り継がれている本作のオープニングだけを見ても、何か壮大な物語が始まるのだと良い塩梅にイベントを見せていき、プレイヤーの好奇心をググッと強く揺さぶる演出が素晴らしい。

 最高のRPGの一つとして今もなおよく話題に挙げられているが、難易度的にも初心者にお勧めしやすい部類のRPGなのは間違いさそう。自分もクロノ・トリガーが一番好きなRPGという訳では無いんだけども、RPG初心者に対して王道的なゲームを薦めるとするならクロノトリガーはまず外せない、と言い切れるくらいの内容。

掲載日:2021年8月3日


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