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ドラゴンクエストXI
過ぎ去りし時を求めて
メーカー:スクウェア・エニックス
機種:ニンテンドー3DS
発売年月日:2017年7月29日
価格:5980円
ジャンル:RPG
映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
5 | 6 | 7 | 6 | 8 | 9 | 6 | 71 |
うむ、最高じゃっ!! |
・アクション要素がほぼ皆無で難易度もかなり低めなので、ゲーム慣れしてないプレイヤーさんやドラクエでのみゲームに復帰する系の年配さんでもまず間違いなくしっかり楽しめる内容とは言えそうな。正直なところ、突き抜けた完成度っては感じないが、安心してしっかり遊べる安定感と理不尽さをとことん取り除いたゲームバランス部分の調整がいかにもドラクエ本編らしい。その点では安心できる作りだったかと。 ・「バリバリの最新RPG」か「超古典的RPG」かに最近のRPGが二極化する中、「"古き良き"を真っ当に進化させた」系の内容に仕上がってる点は意外と貴重である気はする。 ・プレイステーション4版とニンテンドー3DS版があったが、3DS版はとにかく「懐かしさ」を重視した作りで3Dと2Dモードを切り替えながら遊べるのがジジイホイホイ的。道中に散りばめられたテキスト込みでノスタルジックな味わい。見た目的にはシリーズで一番売れた『IX』の延長上にある、って点では親しみを持てるユーザも多いかも。 ・ドット絵の2Dモードは移動も戦闘も非常にスムーズでストレスを感じにくいのが良し。3Dモードに関しては、こちらニンテンドー3DS版は正直3DSの水準レベルに達してない表現だとは思うが、プレイステーション4版のやたらと等身の高いリアルな表現よりはこちらディフォルメ路線の方が最近の鳥山明先生テイストに近くてかもしんない。従来のドラクエらしいロード無しで遊べるバージョンを選ぶならこっちに軍配が上がるか。 ・従来作よりもかなり難易度は抑え目。アクション要素も皆無なままなので、だんだん体力的にキツくなってきたシニアのゲームマニアさんでも絶対安心!!…って意味では流石の安定感。 |
おお勇者よ、イカンきにー! |
《全体として》 ・2017年発売のゲームとして突き抜けた何かがあるでもなく。全体的に広く浅く的な作り。『見た目はショボいけど中身は無難に良く出来た続編モノRPG』って印象。2012年あたり、3DSの初期に出てたならだいぶ印象も違ったろうが、どうも色々と「古臭さ」が前面に出ており、待たされた割には物足りなさはある。日本を代表する超大作シリーズの最新作としては少々スケールがちんまいのは否めんかなァ(ボリュームが無いってワケではないのだが)。良くも悪くもサブタイトルの『過ぎ去りし時を求めて』通りでちょっと後ろ向き過ぎる感じがするのよな。 《ボリューム、バランス面》 ・3DS版限定と宣伝されておった『時渡りの迷宮』はひたすら作業続きで、プレイヤーの工夫の介入の余地が無いせいでハッキリ言ってツマラン。「懐かし要素」なるエサを除くと単調さと理不尽さしか残らん気が。色々勿体無い出来。 ・良い点で挙げた難易度のユルさだが、流石に簡単過ぎる感も否めず。ゲームバランスをどの辺りに設定するかは作る側でも物量があって客層も広いゲームならではの悩みではあろうが、もうちょっと幅を持たせてくれても良かった気はする。 《グラフィック&サウンド》 ・わしは「グラがショボくとも面白けりゃ構わんよ」系ゲーヲタだと思うんだが、この3DS版のグラフィック表現は「懐かしい」と言うよりは「ショボい」と言った方がしっくり来る出来。リメイク版『VII』・『VIII』よりも2回りほど見劣りする(テクスチャのドットが丸出し、非常に粗いキャラクターのポリゴン、ポップアップするオブジェクトの表現、360度どこから見ても同じ向きの樹木などなど)は20世紀のゲーム機を思わせる感じで、物足りなさはある。まぁハードの水準以下の見た目っていうとPS1の時の『VII』に近いとも言えるし、ある意味ではシリーズ伝統なのだが…(笑)。 ・3DSなのに立体視が無いのは地味に残念。使わんで遊んでる人が多いからスクエニ側でバッサリ切ったんだろうけど、かと言って別にグラフィックが優れてる訳でもなし。個人的には立体視は好きなんでちょっと残念。 ・BGMは音源の音質が軽くてチープに聞こえる。あと、すぎやまの大将に対して不遜な言い方になるが、純粋に新曲の出来が総じてイマイチな気が。特に新曲のパワーが足りないかな…と。旧作の名曲も流用されててそっちは音質が悪かろうと「うむ、相変わらず良い曲ですやね!」って思えるから、純粋に新曲の出来がよろしくナイと思う。 ・3Dモードは戦闘もフィールドでの移動も会話も全体的にもっさり。あと、カメラの出来がかなりショボい(スクエニ内製のゲームってこの部分がヘボい事が多い…)。カメラの動きのショボさ(近すぎて周りが見えない。地形にめり込みがちで調整が面倒くさい・10年以上昔に出たPS2時代の『VIII』で出来たカメラの上下移動が一切無いなど)も残念。フィールドの移動は馬に乗るなどカバーする要素もあるにはあるが、正直な所、馬に乗ってもまだ遅い。 ・2Dのドット絵のクオリティは今一つ。スーパーファミコン『VI』や『III』とかより見劣りする部分もあるのが残念(スーファミ『VI』・『III』と異なり戦闘で一切動かない。GBカラー版『III』でもちゃんとアニメしとったのに)。安価なアプリの移植じゃなくてフルプライスの超大作のナンバリング最新作なんで、半端な妥協はして欲しくなかったが。低予算っぷりが見て取れるようで残念。 《シナリオ》 ・ジジイホイホイ的な演出やエピソードが多くて懐かしさを色々味わえるのが嬉しい一方、それら元ネタを知らんと充分楽しめんような要素が多いのは新規・若いプレイヤーに対して優しくないよなぁ?…って思う部分も。手法として『プレイヤーの思い出でのプラス補正を誘う格好での上げ底狙い』ってのは、やり方としては少々セコいし客層を狭め過ぎじゃね?…って印象は拭えず。 |
感想ですばい。 |
オンラインのRPGだった前作『X』からそれより前の従来型のオフライン型RPGに回帰したドラゴンクエスト新作。ドラクエらしい圧倒的な安定感と安心感は健在。驚きとかとは無縁だが安心して遊べるって点でやっぱ貴重な存在とは言えるかも。PS4版/3DS版とまったく特性の異なる機種で同時発売だが、こちら3DS版は懐かしさを前面に出してのジジイホイホイ作戦で来ておる印象。とりあえず10以外はクリアしとるわしとしてもグッと来る要素が多かった。 ただし、日本を代表する超大作RPGのナンバリング新作としては無難に小さくまとまり過ぎて刺激が足らんし、快適性等で至らんと思える部分も少なくない。演出面は3DSの他の大作と比べても相当見劣りする出来だし、BGMはそもそも新曲がイマイチ。3DSかつ大してグラ自体に力が入ってないのに立体視非対応なのも不満。シリーズの特長の1つである快適なUI・テンポの良さも3Dモードでは今ひとつ。FF的な見せ方が多い関係か、主人公が無言な事にも違和感のある展開が多く、その辺もモヤモヤ。 楽しい事は楽しいけど、没入感に横槍を入れる欠点も多い。良作の域にある事は間違いないと思うけど、かつて一時代を築いた頃のドラクエと並ぶ超傑作か?…って問われたら個人的にはかなり微妙に思えるかなぁ、やっぱ。ちょっと「懐かし」狙い過ぎで後ろ向きに偏った感があるのよなー…。 あ、でもとりあえず、個人的にはクリアまでやったけどイマイチだった『IX』、合わなくて速攻で投げたMMO-RPG『X』よりはドラクエらしいドラクエに回帰してずっと楽しめたとは思う、一応。 次回作『XII』ではもうちょっと「懐かし要素満載で過去作を知ってるのが前提な後ろ向きな作り」じゃなくて「ドラクエのフォーマットは守りつつも、従来の安心感に加えてもうちょっと野心的で斬新な試み」のある内容だと嬉しい。贅沢な要望だろうけど、実現してくれると良いけどな。 |
掲載日:2017年8月22日
更新日:2024年8月6日
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