F-ZERO GX
メーカー:任天堂
開発:セガ(アミューズメントビジョン)
監修:任天堂情報開発本部
機種:ニンテンドーゲームキューブ
発売年月日:2003年7月25日
価格:5800円
ジャンル:レース


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ソフト


サウンドトラック

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
10 9 8 8 5 9 91
プレイ時間…1000時間以上
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
サイコーッ!
・圧倒的なスピード感は前作『X』をも更に凌駕。ゲームキューブのマシン性能とレースゲーム開発&グラフィックデザインに定評のあるアミューズメントヴィジョンの開発力によりグラフィックは大幅にパワーアップしており美しい。もっとも、操作に慣れるまでは風景に見とれている暇など無いけど。

・BGMは『X』のロック調とは趣が異なるが良くできている。どちらかと言えばスーパーファミコン版の流れを汲んでいる感じ。ファイナルラップで曲調が自然に切り替わるキモチを盛り上げてくれますなァ。パイロット毎にテーマ曲が用意されているという、無駄な贅沢振りも素敵。

・30台のマシンとのレースを行う「グランプリ」、コンマ1秒のタイム短縮に燃える「タイムアタック」といった従来のモードに加え、「ストーリーモード」や「マシンカスタム」、「ショップ」等が追加された。やり込みがいがあり長く楽しめるボリュームは嬉しい限り。

・デフォルトの全40台のマシンは性能の個性がはっきりとしており、色々な機体をコースに応じて乗りこなす楽しさがある。ブースト作動時の演出やエンジン音等も細かくマシンごとに作りこまれており、芸の細かさに脱帽。オリジナルマシンもパーツ数・性能のバリエーションが豊富でこれだけでも飽きさせない作りになっているのはある意味すごいかも。名前やデザインまで自由にできるわけではないのがやや残念だが、非常に楽しい。ひたすら軽いマシンや緩いカーブさえ曲がれないマシンを作って、多人数でワイワイ対戦するも一興。

・これまでの任天堂のレースゲームのグランプリモードではCOMマシンの序列がガッチリ決まっていて露骨な譲り合い走行しているなど不自然な点が多かったのだが、今作ではそれが改善されている。30台で競争しているという実感が持てるのがイイ。『マリオカート』等の任天堂内製の他のレースゲームと比べてもCOMの挙動はしっかり作り込まれている印象。

・作中に殆どキャラクターが出て来なかった過去作と比べると、設定周りがかなり細やかに描写されるようになった。グランプリで優勝した時に見ることのできる「F-ZERO TV」や「ストーリーモード」でパイロットのプロフィールが分かるのも嬉しい。
だめぢゃんねー。
・全体的に高難度でシリーズ経験者でないと(と申すか経験者であろうとも)投げ出してしまうであろうインフレ気味のバランスがしんどい。 特にストーリーモードは難易度ノーマルでも鬼のような難しさ。任天堂が単独で製作したならばここまで初心者を突き放した作りには絶対にしなかっただろうなぁ。その辺の配慮の足りなさが勿体無い。初心者にも遊びやすく設計する努力は順調に(?)先細り気味のF-ZEROシリーズを存続させる上で必須事項と思われるのだが…。操作を手取り足取りレクチャーしてくれるモードとか、一番簡単な階級なら「穴に落ちてミスしてもその場で復帰できる」、「エネルギー切れしても速度ゼロ・燃料半分程度で復帰可能」とか大胆に敷居を下げる工夫は欲しかった。

・加速設定での連続スライドでの3000キロオーバーでの走行、超軽量マシンでの飛行など、バグ的な走法がやたらと多いせいでタイムアタックの公式大会が荒れ、廃れるのは早かった。一部スタッフゴーストなどはこの走法を使ってる物すらあり、開発側はバグを認識しておきながら黙認して製品版に流してしまった事になる。これらバグ走法も技量が要る以上はテクニックの一つとも言えなくもないが、通常の走法が霞むような破天荒すぎる要素を残してしまうってのはどうかと思う。

・前作ではあった、パイロットごとに決められていたグランプリでのライバルパイロット(例えば、ファルコンで遊ぶとサムライゴローやブラックシャドーが攻撃的になるなど)がいたが、今作では誰でプレイしても変わらないのが残念。

・デフォルトマシンに関しては、画面に表示される性能評価のアルファベットの性能評価が当てにならないことがやたら多かったのがやや疑問(当サイトの攻略コーナーでの検証結果、ブースト&グリップのみならずボディも表示からかけ離れてたマシンがあった事が判明)。

・ゲームキューブの任天堂作品の中ではややロード時間が長い。

・ほぼ同時期に稼働開始した『AX』との連動がある割には設置されているゲーセンが少な過ぎる。このゲーム自体の欠点じゃないけど、筐体自体の値段の高さがネックにはなってたろうから、他のゲームへ流用可能な汎用的な低価格の台を用意するとか、もうちょっとメーカー側にも工夫の余地はあったと思う。

・パーツ等のダウンロードサービスは場所は限定され過ぎ。東京近郊の特定のゲーセンに行かないと入手できないと言う、驚異のイナカ軽視!!ゲーム内でゲットできる機会を用意するか隠し要素オープンコマンドを後で公開するか、救済措置は欲しかった(その配布パーツがトップクラスのスピード性能を持ってたってのもズルさ・不公平さに拍車を掛けとったと思う)。
感想ですけん。
 据置機のF-ZERO本編としてはN64『F-ZERO X』以来5年ぶりとなる新作。

 社外開発、しかもセガの開発子会社が製作担当とのことで発売前はかなり不安だったが、スピード感やグラフィックのレベルの高さは『デイトナUSA』等のセガのレースゲームの名作を手掛けたチームながらではか。まぁ、「任天堂×セガ」っていうある意味で奇跡の組み合わせのインパクトに比べると、そのゲーム内容自体は想像以上に、そして良くも悪くも「真っ当な進化」だなぁ、って印象は強かったけども。

 何はともあれ、発売から15年以上の長きに渡り楽しませてもらってますな。ただし、気になる点もあり、何より「コレはどーかな」って思ったのがただでさえ少ないF-ZEROユーザを更にふるい落とすような異常な高難易度。また、公式のタイムアタックが荒れて途中で中止になるようなバグ的な加速テクニックが多かったなどバランス部分は欠点に思える部分も多く、ソレを考えると「もうちょっとやりようはあったのでは?」と微妙な気分にもなる。

 既に20年近く新作が出ておらず、事実上終了してしまったF-ZEROだけど、この『GX』の移植でもいいから、なんとか新ハードでも遊べるようにしてもらいたいもんだ、頼んますぜよ、任天堂サン。
 ま、本作開発の名越氏率いるセガのチームは『龍が如く』一色、プロデューサーだった名越氏自身は失言問題などで役員から降格→失脚した上にセガを退職。任天堂側もシリーズ全体のデザイナーの今村孝矢氏が退職。シリーズ他作品を手掛けたエライ人だと、ファルコン伝説系のディレクターの田島梓氏は海外子会社へ異動、F-ZEROシリーズ生みの親の清水一伸氏も既に前線から隠居した感が強い…となると、新作とかとことん困難な感じしかしないですけどもね…(嗚呼トホホ)。

掲載日:2004年6月30日
更新日:2022年8月9日


当サイト他コーナー、『F-ZERO攻略 F-ZERO GX』もよろしかったらどうぞ!


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