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大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
メーカー:任天堂
開発:ソラ、バンダイナムコスタジオ
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2018年12月7日
価格:7700円
ジャンル:アクション(2D・格闘)


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ついでにマスターハンド
…じゃなくて軍手もどうぞ。

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
8 8 7 8 9 10 80
プレイ時間…500時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
遊ぶと楽しい!(良いところ)
《ゲーム全体に関して》
・なんと言っても圧倒的すぎる物量がスゴい。まず手始めに『全員参戦』の名目通り、過去作に登場したファイターはなんと全て参戦。物量だけで言えばシリーズ中でも間違いなくトップクラスに豊富で、遊びの幅ややり込み度合いはもはや底なしと言えそうなほど豊富。

・スマブラシリーズ特有の爽快感や、対戦の盛り上がりは相変わらず楽しい。状況に合わせて他プレイヤーと戦い、派手に吹っ飛ばす、この面白さとカタルシスは流石スマブラならではのものだと痛感する。

・グラフィックは他のゲームより際立ってキレイ!!という訳ではないが、過去作や他ゲーからのステージモデリング流用が多めなものの、スマブラならではの脚色も加えて上手く構成されている物が多い。新しく作られたステージやファイターのモデリングも丁寧に作られていて、粗が見えると感じる箇所も普通にプレイしている分にはほとんど無く。

《バトル等の仕様について》
・ゲームバランスはシリーズ中でもトップクラスに良い。ファイター間の相性やファイターごとの優劣はもちろん存在するものの、多少の実力差さえあれば挽回出来る範囲に収まっている。過去作ではありがちだった性能が低すぎる攻撃技、いわゆる『死に技』がかなり減ったのも特徴で、ファイター間でのゲームバランスはこの物量を考えるとかなり良バランス調整が成されていると思う。

・ゲームバランス調整に携わる方々に格ゲーを手掛けた開発者の方が増えた影響か、スマブラ独自の特殊操作やキャラ固有の特殊操作等が充実していてやり込み甲斐が深くなっている。どのファイターも一朝一夕では身に付かないほど奥が深い操作方法&ファイター性能を持っており、さながら格ゲー以上のファイターの作り込みの深さと言うか。

・最初から実装されてるファイター74体+2種類のファイターパス購入によって追加される、合計ファイター12種という、破格のファイター数。
そして大半のファイター性能や技は千差万別で、ダッシュファイターとして既存のキャラの一部性能とモデリングのみ変更したキャラクターも複数居るが、それらも賑やかしとして良い塩梅になるよう上手く調整されている。発売から三年ほど経ち、最終的には90体近くのファイターが使えるようになったが、このプレイアブルキャラクターの多さは他のゲームとは比べ物にならないほど潤沢すぎる。

・素早いアクション的対応力を楽しむようにするためか、全体的にキャラクターの移動速度やジャンプ速度がアップし従来作と比べてもゲームスピードかなり早くなった。機動力が低いとされているファイターでもレスポンス良くスピーディに動かせるので、プレイヤーの腕前次第では機敏な動作で動かせるのが中々に快感。

・回避連発や相手からの攻撃待ち戦法など、過去作ではありがちだった絵面的にも相手側としても面白くないようなワンパターンな戦法はどれも通用しないよう、バトルシステム調整が抜本的に考え直されている。例えば、回避連発が有効な場面が多かった前作までとは違って、本作では回避を連続で使用すると隙が大きくなり気軽に出せなくなるとか。その場回避の隙が少なくなり、相手の投げをスカすのに有効な術として進化したなど。多彩な立ち回りを常に考えさせられる、良バランス調整になっていると思う。

・前作では全ステージの形を平面な台地のみにしてシンプルな形にする『終点化』がガチ対戦向けに用意されていたが、本作ではそれに加えて3つのすり抜け床を空中に用意したステージ『戦場化』や2つの足場が左右に用意されている『小戦場』等も用意されたのは嬉しかった。終点化では地上戦や低空での戦いをメイン、戦場化では高空での戦いや台上での駆け引きなど、ステージによって遊びの幅が広がるようになったのは素直に嬉しい。

・トレーニング専用ステージでは当たり判定や無敵判定が表示されたり、1フレームごとにゲームを進めて技検証がしやすくなったりと、ガチ勢にとっては助かるシステムが加わった。物足りない部分も多いもののキャラ検証や練習がある程度やりやすくなってるので、キャラクター性能を色々と調べたい人にとっては有り難いかと。

《バトル以外のモードに関して》
・従来の『シンプル』に相当する『勝ち上がり乱闘』がキャラクターごとによってお題がしっかり作られていて面白い。原作のストーリーに基づいて作られた物も多く、着想は良かったと思う。

・さらに『勝ち上がり乱闘』及び、灯火の星で戦えるボス戦が中々面白い。Xの『亜空の使者』でもボス敵が多く登場していたが、本作もそれらと近い系統で、様々な出展元のゲームのラスボス格のキャラがボスとして登場してきてくれる。

・『灯火の星』は思ったよりはストーリー要素が薄かったが、作る手間や登場するキャラ数の関係を考えればこのくらいで妥協しても仕方がなかったかもしれない。終盤のある展開は(流石にここでは伏せるが)歴代スマブラプレイヤーにとっては中々面白かったし、全体的には王道を目指した作りだったと思う(ダメな点も多い『灯火の星』及び『スピリッツ』だが、全否定まではしないって事デス)。

・ゲーム内にあるヘルプの説明が細かくて中々親切。普通にプレイしているだけでは気付かないようなテクニックや、ゲームモードの解説等も細かく知る事が出来る。

・リプレイ機能が充実した。スーパーマリオオデッセイのスナップモードのように、カメラワークを色々変えたり、映像を止めてる時は簡単なエフェクトをかけたりして、ちょっとしたお遊びムービーを作れるのも良いところ。

《その他》
・多数のゲーム作品のキャラクターを紹介するという名目上、従来のフィギュア名鑑ではキャラモデルを作ったり説明文を追加する必要があり手間暇の関係上限界があったと思うが、本作から登場したスピリッツのシステムは登場させるゲーム数に鑑みると妥当なシステムだったのではないかと思う。玉石混交な感じもするが色んなゲームソフトタイトルのキャラが纏めて連続で見れるので、多ゲーマーとしては眺めているだけでも懐かしい気分に浸れる。

・本作では原作再現を頑張っている点がそこそこ感じ取れた。キャラクターのモーションの細かさや、原作で使われていた技の性能をスマブラの仕様へとさほど違和感無く組み込めてるものが多く、いずれもわりとしっくりくる物が勢揃いかと。

・新規参戦ファイターは(総合的には)スマブラの殴り合いにマッチしたキャラクターが多くて、個人的には良かった。キャラサイズ的に難しいと思われていたクルールやリドリーも違和感無くファイターとして組み込めており、再現性も高くてグッド。DLC参戦ファイターも任天堂枠の幅を大きく超えた他社枠が多過ぎてファイター選択画面では違和感が大きいものの、通常試合で殴り合っている分には一ファイターとしてしっかり同調しているのでそこまで違和感もない。

・使える場所はオフライン上など限定的ではあるが、ファイターごとにキャラパワーを自由に変更出来るシステムが用意されてるのは驚いた。『このキャラが強い、弱い』という判断はプレイヤーごとに異なるし、この点は言い出すともはやキリが無いので、公式の調整が気に食わない人が自らキャラパワーを調整出来るのは(ヤケクソ気味のシステムではあるが)良いと思う。

・本作で使われているゲームの出展元の名曲と言える曲はほぼ取り揃えており、サウンドテストで聞き流しているだけでも非常に楽しめる。およそ1000曲も収録されているらしく、音楽に関するボリュームは他のゲームと比べても文字通り桁違いに多い。

・プレイヤーが自由にステージを作る事が出来る、ステージ作りがアップデートで追加された。これまでのシリーズ以上に様々なギミックを追加する事が可能になり、プレイヤーのセンス次第では色々と作れるのが面白い。

・自作ステージやリプレイ動画にIDが振り分けられており、オンライン上で他人とも共有しやすくなった。該当する相手とフレンドである必要もなく、面白いステージをネット上で見付けたら簡単に共有する事が出来たので便利。
なんてゲームだ…(悪いところ)
《ゲーム全体に関して》
・総じて言うと、パッと見た目では前作『for』とそこまで変化は無く、目新しさは無い。発売前から読めていた事ではあるが、大雑把に言うと『for』の超バージョンアップ版と言える。『初代』→『DX』や、『DX』→『X』の時のような完全新作を遊んでるという感覚は無い。さらに言うと、『X』→『for』の時も目新しさは少なめだったが、本作はその時よりも目新しさが少ないように感じた。元々がゲームシステム的にほぼ完成しているシリーズだったので仕方ない部分ではあるんだけども、よほど極めようとしない限りは同じゲームをプレイしてるような感覚しか味わえないかと。

・登場するアイテムやステージ、音楽等も数こそはかなりあるが、過去作品で使われた物をそっくりそのまま引き継いでいるものばかりであり、ボリュームに反して目新しさはあまり感じられなかった。水増しや使い回しはシリーズでも一番多いと言っても過言ではなく、新規で追加された素材もかなり多いが使い回しされている箇所が大半を占めるせいで影が薄く感じる。

・参戦しているキャラだけでなく、スピリットとして登場してるキャラ等も含めるとゲームの出展元が任天堂以外のものがかなり増えており、ネタ元のごった煮感が半端ではなく多い。前作の時点で他社枠が多くてごった煮感が強かったが、本作ではそれらを上回る。本作の三分の一近くは他社枠に関連する物が出ており、任天堂以外のゲーム界隈などにも広く精通している人でないと出展元がほとんど分からなさそう。

・『全員参戦』という売り文句の通りこれまでのスマブラシリーズに登場したファイターは全て登場しているが、一部のキャラは必要性があったのか微妙なラインに感じる者も。例えばこどもリンクは、『X』にて軽量リンクとしてほぼ同じ立ち位置に変わったトゥーンリンクが登場してるのに、同時に二人登場していたりしている。他にも、ファイアーエムブレムシリーズから(DLC込みで)8人も登場してるなど、FEシリーズは好きだけどこれは流石にもっと減らした方が良かったのではとツッコミたくなるようなものも。『全員参戦』を成し遂げようとする上ではこれらの決断も致し方ないし、賛否両論なところではあるンですが…。

・前作まではあったゲームモードのオールスターやホームランコンテスト等の一人用モードや、複数人でも遊べるフィールドスマッシュといった本来のゲームモードとは少し傍流のゲームモードが尽く無くなっている。通常の乱闘の延長線上でしかなくそこまで複雑な作りではないのに、これらまで削除したのは理解し難い。通常の乱闘以外でも遊びの範囲を増やしてほしかったところ。【追記】→ホームランコンテストに関してはアップデートで追加された。他に追加される旨の情報は無いので、傍流の遊びの追加はこれ以上期待しない方がいいかもしれない。

《バトル・バランス調整について》
・ファイターのバランス調整は、1vs1のタイマンを意識して作り込まれているのが明らかに目に見えて分かる。例えば、タイマンでのコンボや素早い読み合いを極めて得意とするためタイマンでは実力を発揮できるが、体が軽くて吹き飛ばし力が低いため複数人との乱戦では他ファイターよりも勝ち筋を見出すのがキツいシーク。敵を追い払いながら時間をかけて素材を集め、本体を強化してから本格的なバトルを始めるスティーブ等、過去作以上にタイマン向けのバランス調整のファイターが多い。競技性を重視すると複数人戦よりもタイマンの方が盛り上がるしプレイヤー人口的にもそちらの方が多いので需要に合わせてるのは分かるんですが…スマブラの元々のコンセプトからは完全に掛け離れてしまってるのがなんとも…。

・再現性が高すぎて逆にゲームデザイン的に異質なファイターが幾つかいる。特に有名なのがミェンミェン。異常すぎるほど長い横リーチを誇る技を連発可能で、重量級ファイターのような当たり判定が大きく近付くのに難儀するファイターと戦う時には、シールドと攻撃の応酬がひたすら続く別ゲーのような光景が繰り広げられる。これも対処方法さえわかればゲームバランス的にはそこまで酷くならないんですが…。もはやスマブラとしてのゲームデザインそのものが崩壊してしまってるのではと思う。

・本作は全体的にステージの明るさがキャラクターへ影響しやすくなっており、背景にキャラクターが紛れて分かりにくくなる事がある。さらに、激しいエフェクトに紛れてキャラクターが吹き飛んだ時にどの方向へ飛んだのか見失う事がある。ゲームスピードが早く激しくキャラクターの位置関係が入れ替わるゲームなので、慣れるまではかなり苦労する。

・カメラワークが激しすぎるのもファイターを見失う要因かと。タイマン時が特に顕著で、二人のファイターが場外で密接しているとそこばかりズームしてくるせいで、ステージが何処にあるのかハッキリと分からなくなる事がある。崖に掴まろうとしても場所が何処なのか瞬時に判断出来ないなど、感覚頼みでファイターを動かす事が稀にある。

・前作に引き続き、一部のアイテムやアシストフィギュアが強すぎる。対処法が分からない初心者だと成す術もなく撃墜されてしまう事がとても多い。

・アイテムが小さいものがあり、画面が引き気味になると何処にアイテムがあるのか分かり辛い。Xでも同様の問題があり、forである程度改善されて良かったのに、また問題点として再燃してるのではと。

《操作・快適性に関して》
・画面が移動する時に細かくロード時間が入るのが煩わしい。普通に他のモードをプレイしていてるだけでも画面移動の鈍さに鬱陶しさを感じる事が多く、ロード時間が細かく入るのは不満点。

・ジャンプ移行フレームがかなり短くなったらしく、小ジャンプが出しにくくなった。名前ごとに決められるボタン設定ではじき入力が出にくくする設定をしても、まだ咄嗟には出せないほど難しい。【追記】→ジャンプボタンを二つ設定しておき、ジャンプボタン二つ押しで小ジャンプが必ず出せるシステムがアップデートで追加された。ボタンごとに小ジャンプと大ジャンプを完全に振り分け可能なら文句なしだったんだけども、これならまだ許せなくもない範疇かなと。

・ファイターのカラーリングを変更しても、一度戦闘待機画面を抜けると前作のように引き継がれず通常のカラーリングに戻ってしまう。好みの姿や色を自動的に保存してくれる前作の仕様に慣れてると、毎回一手間かかるのが面倒。

《スピリッツ、灯火の星(1人用モード)等に関して》
・一部のスピリッツのお題がやたらと難しい。というか普通にプレイするとバランス的に理不尽な物があり、例えば『CPU2体とアシストフィギュア一体がチームを組みプレイヤーを執拗に攻撃してくる』といった物や、『メタル状態の敵8体と体力制乱闘』といった真っ向勝負では到底勝てる訳が無さそうなものが多い。一部の強力なアイテムを使ったり、特殊なサポートを装備して逃げ戦法に徹さないとクリア出来ないようなバランスのものがあり、面白味に欠ける。

・スピリッツの敵も、結局は普段の大乱闘と同じルール設定の物ばかりであり、スピリットを集めていても段々作業感が強くなってくる。同じようなお題のもので無理矢理物量を増やしてるだけの物も多く、飽きが来るのも早い。

・灯火の星のマップがかなり広いのに一度行った場所へワープする術が少なく、探索が面倒臭い。さらにクリアするために倒さなければならない相手が多く、しかも難易度が高い敵も多いので、プレイヤーの腕前が足らないと詰んでクリア出来ない可能性がある。

《オンライン周りについて》
・オンライン対戦では戦いのモードをプレイヤーがある程度は選べるが、必ずしも希望通りのモードで遊べる訳ではないシステム。例えば1on1のみをプレイしたい人がそのルールを優先的に選ばれるように設定しても、稀に通常の4人対戦の大乱闘へとマッチングしてしまったりする事がある。やりたくもないゲームモードを無理矢理やらされる事もある訳で、何故このような仕様にしたのかは理解し難い。

・回線が重い相手や馴れ合いをしている相手との対戦は試合途中であっても抜けたいものなのですが、本作では途中抜けする事が出来ない。悪質なプレイヤーとマッチしなくとも、ストック制での対戦では先にストックが無くなったプレイヤーは試合が終わるまで強制的に観戦させられ続けるのでこれも煩わしい。

・レート制も用意されているが、自分よりも下のランクのプレイヤーが世界に何人いるかが分かるだけで、大まかな実力がイマイチ分かりにくい。

・フレンドとのネット対戦について。前作まではプレイヤーだけでなくCPUをバトルに追加する事も出来たのだが、本作ではCPUを追加する事が不可能になっている。前作まではCPUを追加しても問題なくオンライン対戦で動いて楽しめただけに、本作でのこの仕様は不便。誰でも部屋に入れる設定にした場合、見知らぬ誰かが乱闘に入ってきてくれる可能性もあるので、それで無理矢理枠埋めする事も出来るが…どんな相手が来るか分からない上に人が必ず来てくれるかも分からないので、どちらにしろCPUも使える必要があったはず。

・フレンド対戦ではオフラインでは使えるはずの特殊なルール設定をしたり、チーム乱闘で対戦する時には自由にチーム編成を変える事が出来ない。さらに一度部屋を作ると部屋を解放するまでルールの変更が出来ない。これらも前作までは出来ただけに、なおさら不便さを感じる。知っている者同士でワイワイ楽しめるように、フレンド対戦くらいはもう少し快適に出来てほしかった。

《その他》
・スマブラシリーズのお約束通り、挑戦者として出てくるキャラを倒す事によってキャラ追加する事が出来るのだが、この挑戦者の強さがやや強めに設定されているらしく初心者だと太刀打ちするのが辛い。倒せなかった場合でも『挑戦者の間』へ行くと再戦が出来るようになっているが、このモードはいつでも使えるという訳でもなく気軽に挑めないのも問題。Xからのお約束として何度か挑むと難易度が下がるようにはなってるようではあるのですが、参戦するキャラが非常に多く特に全ファイターを揃えるには初期状態からさらに60体以上のファイターに勝っていく必要があるのがとにかく面倒臭い。灯火の星でファイターを討伐すると手に入れる事も可能なものの、こちらの方が総合的な時間はさらに長くかかるので代案としても微妙。本作の『全員参戦』の目標を最後まで完全に成し遂げるまでには、誰でも一苦労するかと。

・従来作の曲の再利用や他社ゲーム含む新規収録曲やアレンジ曲の数こそ凄まじい数を誇るが、スマブラオリジナルの完全新曲は相対的に少ないせいで本作の新曲には目新しさがあまり無い。スマブラDXの時のように、大半の任天堂の曲をスマブラならではの形で大幅にアレンジしていた頃が最も良かったのではと思ったり…。

・ボス敵がせっかく色々作られたのに、Xの時のようなボスラッシュモードが存在しない。Xの時のようにキャラクターごとにタイムやスコアを記録して楽しめるようにしてほしかった。

・他のゲームのように、スクリーンショットボタン長押しで録画が出来ない。実はリプレイを使って、Switchに刺したSDカードへ動画を送る機能が搭載されているようなのですが、これに関する説明も無く気付きにくい。SDカードを用意して、PC等の他のデバイスを使ってネットに上げて…とする手間を考えると、30秒という短い枠組みでも良いから普通にSwitchで映像を撮って、気軽にTwitter等に上げれるようにしてほしかったかなと。
感想なのでした。
 自分はスマブラにおけるタイマンの腕前もかなり上手い方ではあるものの、その一方でスマブラは昔から、『複数人で大乱闘を楽しむパーティゲーム』という認識を基本に考えているので、スマブラSPを『ストイックに1on1で楽しむ対戦ゲーム』として極めている方々とは意見の相違が激しい事になってしまうのは悪しからず…。

 《全員参戦》というこれまでのゲーム史上においても破格すぎるキャッチコピーの通り、とにかくキャラクター枠の豊富さは物凄い。ダッシュファイターなるコンパチに近い同性能のキャラクターも少しは存在しているが、それらを差し引いても圧倒的すぎるキャラクター数。ゲームバランスも参戦キャラクターの数を考慮すればまだ良い方で、様々なキャラクターが入り乱れて乱闘を楽しむ事ができ、《全員参戦》のコンセプトをしっかり活かしきれている。

 任天堂関係以外の他社枠参戦キャラも大幅に増えており、前々作の時点でセガとKONAMI、前作でバンナムやカプコン、スクウェア・エニックスとまで増えてきたが、本作では更にATLASやMojang、挙げ句の果てにMicrosoftやDisneyと、羅列された企業名だけ見れば任天堂とどういった関係のある企業なのかパッとは思い出せない企業ばかりで…(苦笑)。
 Microsoft名義はバンジョー&カズーイの今の権利関係上で表示してるだけで元々は任天堂側のキャラに近かった事、そしてDisneyもスクウェア・エニックスの延長線としてソラを参戦させる都合上、名分してるだけではあるのですが。

 DXくらいまでの物量&複雑さならパーティゲームとしても覚えるべき事柄はまだそこまで多過ぎなかったものの、SPのような凄まじい物量&複雑さのゲームになってくると、気軽なパーティゲームとして見れなくなってくる。本作を乱闘メインのパーティゲームとして、なおかつストレスゼロに楽しもうとするとかなりの量の前知識やゲームの腕前を必要とするので、この時点でまず初心者お断りな側面が強い。

 前作『for』の時点でスマブラは物量を重視する路線になってきたと感じてたが、本作ではまさにその物量に特化したような作りになってきた。自社枠だけでなく他社枠のファイターも大幅に増やすようにしてきたが、出展元のあまりの豊富さ故に発生した弊害も多く…。
 これらを全て綺麗に纏めあげられれば良かったのだが、結果的にはとんでもなくゴチャゴチャしてるように感じた。公式が新要素として推していたスピリッツがまさにそれで、無理矢理物量を増やしてるだけで基本的には使い回しばかりで飽きが来るのが非常に早い。スピリッツに関してのみ言及すれば、これは物量を増やしすぎたせいでプレイする面白さよりも作業感の方が圧倒的に勝ってしまっている。

 普通に対戦のみを楽しみたいプレイヤーにとっては通常の対戦やオンライン対戦だけ楽しめれば良いのだが、対戦する上での快適性でも従来作の問題を引き継いだり、新たな問題が発生したりしている。
 特にオンライン周りには前作とはまた違う形で劣化点が生じてきていて、前作より快適にプレイ出来るとは到底言い難く。オンライン対戦はエンジョイ勢もガチ勢も住み分けして楽しめる事が重要だったと思うのですが、それらさえ一つに纏めてしまった本作独自のオンラインシステムは何故こうなってしまったのか理解に苦しむ。発売から三年以上、オンライン対戦で不特定の相手との野良対戦をメインで楽しんできた身なのですが、未だにオンライン周りの不便さは目につく。

 ただし、本作には新たな問題点も多いその一方で、バトルシステムやバトルのバランス調整にのみ言及すると、『ゲームを極めた上でやる通常の対戦の面白さだけなら、シリーズ中でもトップクラスに面白い』のは間違いないとは思う。初心者や経験の浅い者では覚える事の多さ等故に楽しみきれない事もあるので、『ゲームを極めた上で』という前置きは必要になってくるンですが、バトルの奥深さや全体的なゲームバランスだけなら歴代シリーズの中でも限りなく完成に近いスマブラになっていると思う。最近流行りのeスポーツのような競技性が高くストイックに楽しむのが目的であれば、本作は本当にかなりよく出来ている部類。

 自分はどういったゲームソフトにおいても、『多キャラ使い、多武器使い』をモットーにしているので、スマブラSPでも全ファイターを使いこなそうとは思ったのですが…これは中々にキツかった!!!
 一応、全ファイターを一度はVIP入りさせる事は出来たものの、これはあくまで自前のゲームの上手さで無理矢理勝ち進めてきただけなので、全てのファイターを"使いこなす"のは自分にはとても不可能と判断。高難易度コンボを安定して繰り出す事を前提に設計されたアイスクライマーやリュウ&ケン等々のファイターだとかは特にキツすぎまして。覚えようとしたらキャラ限コンボルートとか相手のずらし読みコンボ構築といった言葉が出て来てと…完全に格ゲーをプレイしている気分に…(苦笑)。

 スマブラを100時間以上プレイしてるプレイヤーの大半は大乱闘を主にしたパーティゲームとして楽しむよりかはストイックな対戦ゲームとして楽しんでるのではないかと思うんですが、自分はちょっと付いていけそうになかったので一通りファイターを使ってVIP入りさせて満足した後はほぼ乱闘勢に。ランクだとかも気にせずプレイしています。

 「スマブラは昔から大好きなゲームシリーズだし、次回作は大乱闘を問題なく快適に遊べるならそれでOK」というのが畢竟、自分が最低条件として求めている所でありまして。欲を言えば次回作で原点回帰であったり、《スマブラのアマリマエ》を見直すような形になってくれたら嬉しいのですが…期待と不安が入り混じっている所存です。

掲載日:2018年12月11日
更新日:2021年1月11日


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