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リングフィットアドベンチャー
メーカー:任天堂
開発:任天堂企画制作本部、SRD
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2019年10月18日
価格:7980円
ジャンル:その他(フィットネス・アクション)


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フラフープもついでにどうぞ!

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
7 7 8 10 7 8 7 80
プレイ時間…35時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
いいね!最高に仕上がってるよ!
《全体・ゲーム部分について》
・フィットネスゲームの中でも、かなり激しくストイックなトレーニングメニューが充実しており、さらにアドベンチャー仕立てでゲームらしさも強いのが最大の特徴。ゲームらしさを実際の運動とリンクさせる事によって運動に励めるよう考えられており、ゲーム好きな人のプレイ意欲を掻き立てられるようにデザインされたゲームだと思う。

・ゲーム中に登場するミニゲームの種類が多く、その何れもが独特の動きを行うミニゲームばかりなので独自の面白さがある。ゲームセンター等にある体感型ゲームや学園祭での出し物などが実際にプレイしている感覚としては一番近いと言えそうな。Wiiの時代から任天堂が幾つも出してきた、一風変わった体感型ゲームのような魅力を楽しめた。

・UIは中々洗練されており、基本的には不便さは感じられず分かりやすい。不安だったリングコンによる操作もそこそこ快適にプレイ出来るように考えられてるし、リングコンを使った際のレスポンスも良くプレイヤーごとのペースに合わせて進められるよう作られていると思う。

・悪いところで通常バトルに味気なさが強いとは言ってるものの、ターン制バトルRPGとしては王道的と言えるバトルシステムは一通り揃っているので、通常バトルが矢鱈と複雑過ぎて難しいといった弊害はまず起きないのは素直に良い点かなと。終盤になるにつれ、スムージーによる一時的なバフ効果や特殊なスキルの活用などでゲームを如何に有利に進めていくかの戦略性も多少は増えてくるので、その段階にまで進めればまだバトルを楽しめなくもなかった。

《運動面・その他について》
・トレーニングの最中にかけてくれるかけ声やゲーム中で提示される運動面でのアドバイスが豊富で、モチベーションアップには余念がない。貶してくる事もほぼ無く、ポジティブに励めるように丁寧に盛り上げてくれるのは○。

・ドスドスと騒音を出してしまうのが嫌な人にはサイレントモードが用意されていたり、筋トレはしたいけど膝や腰が痛い…という人には特定部位に負荷をかけないように設定する事が出来たりと、プレイヤーのプレイスタイルに合わせて細かく設定出来るのがポイント。運動音痴な人や体がやや弱い人でも、ゆっくりとならプレイ出来るはず。

・ゲームのちょっとした合間に表示されるTIPSの種類もかなり豊富で、ダイエット知識やトレーニング知識が色々と見れて面白い。本作をやり込んだ後なら、ちょっとしたダイエットのうんちくなら語れる程度には覚えられるかも。

・本作を買った時に付いてくるリングコンだが、ものすごく丈夫な作りで凄い。コントローラーというよりかは、トレーニング器具にコントローラー性能が備わってるという感じで、とにかくタフで適切な使い方をしていればまず壊れる事はないかと。
マズイ…!!このままじゃ…
《ゲーム部分について》
・大筋のシナリオは良く言えば王道的に楽しめると言えるが、悪く言えばやや子供っぽく先が読める安易な展開がやや多め。様々なゲームに触れてきた人にとっては、ちょっと肩透かしを喰らうかもしれないなと感じる部分も。

・一見するとゲームとしての自由度は高いようにも思えるが、最適解を求めていると実際のところはプレイヤーに選択の余地があまりない事が多く、一般的なRPGほどの自由さは楽しめない。そういったゲームを幾つもプレイしてるようなヘビーゲーマーにとっては、一本道に近い内容に物足りなさを感じるかも。

・所々でゲームのテンポが悪いなと感じる部分がある。普段の敵と戦闘に至るまでの展開はほぼワンパターンだったり、スムージー作り等の作業は演出の時間が長いだけで省略の余地を感じられる部分も多い。何よりも気になるのがアドベンチャーでの通常のバトル。運動強度を上げすぎると通常バトルやボス戦で10分くらいかかる事もあり、敵の攻撃からの防御や戦い方などもほぼ同じルーチンワークを繰り返すだけの事も多いので、精神的にダレてくる事もままあったり。

《運動面・その他について》
・ゲーム中で提示されている動きを厳格にこなさなくても、ジョイコンの動きによる判定はかなり緩めなので、簡単な体勢でプレイする等のいわゆる『楽な動き』をして進める事は可能。厳密に判定し過ぎると快適に進めにくくなってしまうから仕方ない事ではあるし、こればかりは最終的にはプレイヤーの良心であり、手を抜いても損をするのはプレイヤーの肉体なので、仕方ない部分ではあるんですけどもネ…。

・その反面で、一部のトレーニングは太ももに付けたジョイコンが水平になるまで倒さなければならないものや、複雑な動きをさせられるせいで判定が少々厳しい物もある。自分のような太ももが大きい体型の人だと、一部のトレーニングでは判定がやたらと厳しくてやり辛かった。

・とにかく身体を動かすので、一日で長時間プレイするのは一般人にはまず不可能。キツい運動をした翌日だと筋肉痛になるのはほぼ間違いないし、慣れないうちは疲れも大きい。ゲーム中で設定できる運動強度をどれだけ下げても、バトル等の難易度は下がるがゲーム中での移動等は運動強度に関係なく同じなので、誰でもある程度はしっかり運動する必要がある。運動は短期間で長時間やるよりも、毎日継続してやるのが効果的とされているので、さっさとクリアしようとするよりも持続的にプレイする方が良いのは分かるんでが…(苦笑)。

・ここまでゲームらしさを増やした内容ではあるが、つまるところプレイヤーがやらされてるのは運動であり、継続して続けられるかどうかはその人次第であると言える。運動が三日坊主で続けられない、という人でもある程度は続けられるんじゃないかとは思うが、それでもプレイ前後での準備はある程度必要な訳で、ゲーム側がどれだけモチベーションアップに余念がないような作りにしていたとしても、最終的にはプレイヤーの『継続しようとする意思』が必要。そういう意味では、誰でも本作のみで絶対に運動に励める、とは言い切れない。
筋肉痛になりながら感想。
 ゲームの内容が内容なので、普通のゲームレビューというよりも、エクササイズ製品のレビューとしての色合いもあるような内容なのは悪しからず…(笑)

 これまでの体感ゲームの中でも、運動のキツさにはかなり定評のあるゲームとして、Twitter等のSNSではかなり話題になったリングフィットアドベンチャー。運動をする事を除けばストーリーやゲームデザイン等はかなり王道的なRPGやアドベンチャーゲームと言えるんだけども、戦闘中での攻撃や普段の移動、ちょっとしたミニゲームから何から何まで、とにかく身体を動かしてのフィットネスが必要なシステムになっている。過去に任天堂が出した『Wii Fit』等と比べても、運動の激しさが大きく上回ってるのは間違いなし。

 RPGやアドベンチャーゲームが好きなゲーム魂を持つ者としてはどんどんゲームを進めたくなる気持ちが強くなり、無理を強いらされる事なく、自ら運動をしようという気持ちにはなれる。…と最初は思うんだけども、筋肉疲労により日常生活に支障が出る点や、プレイ開始前&終了後に手間取るなどの関係上、忙しい現代社会を生きる人にとって、本作をプレイするにはある程度の余裕が毎回必要になるとは思う。

 「一般的なソシャゲ等ではスタミナ制のゲームが存在するが、本作をプレイするには肉体的な意味での『スタミナ』が必要になる」とネット上では揶揄されてたのも記憶にそう遠くないんですが、まさしくその通り。『ゲームの面白さ』もそうなのだが、運動は継続して行わなければならない関係上、『ゲームを継続出来るか』も本作においては重要なところかと。身体の疲れだけを考慮すれば良いというものでもなく、運動出来るだけのスペースを確保してゲームを起動してプレイして、運動後にはシャワーを浴びて…と、ゲームを実際にプレイしている時間以外にかかる時間や手間は結構大きい。

 さらにこのゲーム、序盤は目新しい操作感覚を楽しめる事もあって惹き込まれる部分も強いんですが、中盤に入るにつれて段々と飽きやすい気が。ストーリー展開やバトルシステムなどがあまりにも王道的である上に、ゲームデザイン上しょうがないもののある程度は使い回しも幾つか目に付くゲームなので、ゲームを多数プレイしているプレイヤーからすれば最初のインパクトだけで後が長続きしにくい作りだからなのではないかと。

 粗が少なく、独自性の高いゲームなのは間違いないのでハマる人はハマるゲームではあると思う。フィットネスをゲームとして深く取り入れたゲームとしては他に類を見ない画期的なソフトなのは間違いなく。ただ、エクササイズを継続して楽しめるゲームだよと誰しもにお薦めさせられる内容…かと言えばそうでもないような…?

掲載日:2020年2月11日
更新日:2021年8月10日


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