縮緬遊戯堂 > レビューランド > ニンテンドースイッチ > マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!

マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!
メーカー:任天堂
開発:アクワイア
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2024年11月7日
価格:7128円
ジャンル:RPG


広告(良かったら買ってくれぃ)

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
7 8 6 7 7 8 7 75
プレイ時間…50時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
イヤッフゥー!!(良いところ)
《ゲーム全体について》
・ゲーム全体を通して船島を基本の拠点としつつ、コネクタルランドの様々な海域に散らばった島へ行くという形式でゲームは進んでいく。島から島へ、決まった航路に乗って船を進めて行くという点はDSのゼルダの伝説『夢幻の砂時計』『大地の汽笛』に近く、世界各地を巡っていき旅をしているような面白さも感じられた。拠点となる船島も人が多く集まるので、ゲーム全体を通して孤独感に悩まされる事もほぼ無く、人と人との繋がりが増えていく世界観は歴代シリーズ的にも新しい。

・シリーズ特有のマリオ&ルイージによる特殊アクションによる攻略の奥深さは健在。ダンジョンの謎解きの難易度も適度に難しく、訪れる島の特徴を活かしたギミックが豊富。

・シナリオ全体についてはともかく、マリオ&ルイージやクッパ軍団などシリーズお馴染みの面子同士で行われるやり取りは中々面白いものが多かった。絆の繋がりをテーマにした内容なだけあり、その中でもお馴染みのキャラクター達のやり取りには見所が多い。

・過去作品とは異なりゲーム中での描写は全て3Dグラフィックになっているが、マリオ&ルイージの大振りなアクションも上手くデフォルメされていて見応えあり。Switchの撮影機能で一コマ一コマをゆっくり見ていくと、マリオやルイージがとんでもない形になっている事が多いと分かるが……ゲームプレイ中に通しで見ると、このデフォルメ具合のおかげで迫力ある動きとして感じられる職人技が素晴らしい。

《バトルシステムについて》
・バトルも自ターン中は兄弟でのコンビネーションを活かした攻撃、敵ターン中はタイミングを合わせて回避やカウンターを決める、従来作通りのバトル仕様がそのまま引き継がれている。敵の攻撃パターンは一癖二癖あるものばかりで、初見で全て避けきるのは難しいが、ゲームに慣れてくるにつれ徐々にプレイヤーが適応できる良い塩梅。

・ゲーム序盤を終えるとバトルプラグなるシステムが追加される。バトルプラグは種類豊富で、通常の攻撃手段の威力を上げる攻撃的なものや、プレイヤーの状態異常耐性やダメージを軽減するなど防御的なもの、体力の回復やコインの取得量が増える補助的なものなど様々なプラグが用意されており、解放する面白さもひとしお。バトルの状況に合わせて付け替えるのが面白く、上手く利用すればボス戦でもターン消費せず体力の回復が出来るなど、工夫の甲斐も大きい。使用回数を全て消費するとリキャストターンが必要になるので極端な壊れ仕様にもなっておらず、本作独自のバトルシステムとしてバトルプラグは特筆すべき点と言えそう。

・ボス戦ではある程度バトルが進むと状況を一変させるコマンド、ルイージセンスが使用可能になる。ステージのギミックを活かしてルイージが特殊な攻撃をボスに仕掛けるというもので、成功するとボスがダウンし大ダメージを与えるチャンスが訪れる。ボス戦にメリハリが付く良システムで、ボス戦ごとに異なる攻略方法で挑めるのが特徴的。

《その他》
・ゲーム進行を快適に進めやすくするためのプレイヤーの誘導やワープ手段などが豊富。ブラザーアクションなど忘れがちなゲームシステムや操作方法もTipsで何度も伝えてもらえるほか、サブエピソードの期限通知なども頻繁に行われるので、プレイヤーがゲーム進行上で忘れがちな仕様も思い出しやすいよう配慮されている印象。

・音楽は過去作品の下村陽子氏は関わっていないものの下村陽子氏の曲調に寄せたシチュエーションごとに合わせた良曲が多く、特にボス戦の曲は中々にアツく白熱出来る。

・本作もマリオ&ルイージの声はチャールズ・マーティネー氏から新しいケビン・アフガニ氏の声になっているが、スーパーマリオワンダーの頃よりもさらに自然な演技になっていると感じた。シリーズ伝統としてマリオ&ルイージはイベント時などは謎の言語を使って流暢に喋り合うが、感情を込めたやり取りも自然で聴きやすい。マリオ&ルイージのボイスに関してはほぼ完璧な出来栄えになったのではないかと。
オ~!マンマミ~ア……(悪いところ)
《ゲーム全体について》
・ゲーム序盤の魅力に乏しい。マリオシリーズお馴染みのキャラクター達は中盤に差し掛かるまで本格的には登場しない他、上記の魅力で挙げたバトルプラグやブラザーアタック等のバトルの戦略性が増す要素は最序盤ではあまり扱われないので、プレイ開始から10時間近くは経たないと本作の本領が発揮されないように感じた。

・ストーリー全体の流れはやや安直で子供向けな印象を受けた。人間関係構築の未熟さから生じた分かり易い悪役が多く、個人的にあまり好感が持てないキャラクターが多かった。マリオ&ルイージやクッパ軍団などの既存のキャラクター達は昔ながらの深い関係性が見て取れるだけに、本作の新キャラクター達の思慮の浅さは却って悪目立ちしているような。

・3Dグラフィックによるマリオ達のアクションのデフォルメ表現は上手いものの、モブキャラクターや背景のオブジェクトなどは良く言えばシンプル、悪く言えば単純過ぎるものが多い。Switch世代の他のマリオゲームと比べると、全体的な3Dグラフィックの質感はイマイチな部類かと。

《快適性について》
・バトルプラグは楽しい一方、付け替えの手間がかかるので少し面倒臭く感じる事も。ソート機能も攻撃系、防御系、その他系で分けられているが、終盤はプラグの数が多く表示方式も縦にズラーッと並ぶ仕様のため、一画面に収めきるなどの方が慣れれば付け替えしやすかったのかもしれないかと考える。

・バトルは全体的にテンポが悪い。特にブラザーアタックは最初は魅力的な演出に惹かれるが、慣れてくると演出時間の長さが気になってくる。特に後半のブラザーアタックは実操作時間そのものが長いことが多く、手数と時間をかけて敵にダメージを与えていくものが大半を占めてくるため、テンポの悪さは終盤ほど気になる点だった。

・過去作品をプレイしている身としてはルイージの決定操作がBボタンでなくなっている点には却って違和感を覚えた。普通のRPGのように常にAボタンが決定、Bボタンがキャンセルとなっているが、ルイージのアクションそのものはBボタンなので慣れるまではやや困惑する。他にも通常のカウンターでのハンマーは『A・Bボタン長押し→放す』事によってハンマーを振るが、ルイージセンス時にハンマーを使う時は長押しではなくワンボタンでハンマーを振るなど、咄嗟に指示される操作方法で迷う機会が幾つかあった。

・ロード時間も地味に長め。例えば普段のバトルも敵とのエンカウントから10秒弱、島から島への移動時は20秒弱ほどかかる。船を高速移動させると若干の処理落ちが発生するなど、処理落ちも度々発生する。

・何故か過去作品よりもフィールド全体を把握し辛いと感じたが、これは過去作品がDSや3DSの2画面のうち下画面の方にマップが表示されていたのに対して、Switchの本作ではマップが常に表示されていない作りだからだと分析。画面左上に現在の船の位置が表示される機能はあるが、現在の島のマップ画面の方も表示出来るようになっていれば良かったように思う。メニュー画面を開くとマップ全体を見る事は出来るが、立体的なフィールドを複雑に進むゲームなので頻繁にマップを閲覧する手間はかかる。

《その他》
・ラスボスを倒した後のやり込み要素が少なく、特にボス戦が再度行えるボスラッシュが無いのが残念。終盤になると強化されたボス戦が3つ用意されているが、大半のボス戦はやり直す事が出来ない。発売から一ヶ月経っても追加要素のアップデートは特に行われていないので、恐らく本作では用意しないっぽいんですが……。ボス戦が魅力のゲームなだけにとても残念。

・サブイベントの報酬として貰えるアイテムが微妙なものが多いのは気になった。特殊な性能を持つものもあるが、その時点で店売りで手に入る装備品やアイテムが貰える事が大半で、サブイベントをクリアする旨味が今一つに感じる事がある。
ルイージセンスを活かしながら感想。
 かつてマリオ&ルイージRPGシリーズを作っていたアルファドリーム社が突然の倒産を経てからはや数年。もはやマリオ&ルイージRPGは作られることは無いのかと思っていたが……アクアイア社開発による完全新作の発表が出てきたのにはかなり驚かされた。

 開発社は異なるものの、フィールド上でのアクション性に富んだ攻略、バトル中に行われる攻防のやり取りなど、まさしくマリオ&ルイージRPGに求めていたものが的確に再現されているなと。良い意味で予想外といえる内容で、特にボス戦の面白さはシリーズ中でも特に楽しめた部類。開発チームのインタビューを見る分にはアルファドリーム社時代のマリオ&ルイージRPGをかなり研究した上で作られていたようで、歴代シリーズの魅力はしっかりと引き継がれているように感じた。

 クッパ軍団など既存のマリオキャラクター達の描写が丁寧だったので、次作はオリジナルキャラだけでなくマリオシリーズのキャラ達の出演が大幅に増えると、シナリオ面の良さも大幅に改善されるのではないかと思う。アルファドリーム社のマリオ&ルイージRPGが遊べないのは残念なものの、マリオ&ルイージRPGシリーズは引き続きアクアイア社に作り続けてもらっても良いかもしれないと個人的には思った。本作での目立った問題点さえ改善されれば、次作も継続して購入していきたいところ。

掲載日:2024年12月17日


シリーズ別一覧:スーパーマリオ

縮緬遊戯堂 > レビューランド > ニンテンドースイッチ > マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!