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Nintendo World Championships
ファミコン世界大会
メーカー:任天堂
開発:インディーズゼロ
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2024年7月18日
価格:3828円
ジャンル:ミニゲーム集
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映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | 総合評価 |
7 | 7 | 7 | 6 | 6 | 5 | 57 |
良いところ。 |
・本作は前身となったWiiU及び3DSで発売された『ファミコンリミックス』の実質的な続編。本作は世界ランク争いが重視されており、競技内容として選ばれるファミコンソフトの名シーンの数がかなり多いのが特徴。数秒程度で終わる一定のノルマを達成するものから、数分かけてエンディングまでプレイするものまで難易度やジャンルも多種多様。 ・ゲームの攻略情報がしっかり用意されており、昔の攻略本を読んでいるかのような図解説付きで分かりやすい攻略記事が各ゲームごとに用意されている。プレイ中にも矢印を表示してプレイヤーに次に行く道を指示するなど、攻略方法を上手く覚えられないプレイヤーでも分かりやすく指南してもらえる事もある。 ・一つのファミコンソフトの最序盤から最後までの名シーンを飛び飛びでプレイする形になるため、全てクリアした頃にはなんとなくそのソフトの全貌の雰囲気を感じる事が出来るかも?Nintendo Switch ONLINEのファミコンで同じソフトが配信されているので、本作を切っ掛けに実物を最初から最後までプレイしようとする気になるかもしれない。 |
悪いところ。 |
・シーン一つ辺りにつきクリアする時間は5秒から1分程度でありお手軽ではあるものの、ただ単にクリアするだけではどれもお手軽過ぎるためやりごたえが今一つ感じられない。そもそも本作はタイムを縮めるのが楽しい人向けに作られたゲームなので、需要がある人が限られる。例えば何かしらのアクションゲームで「アイテムを取るまでの時間をあと零コンマ◯秒…なんとかして縮めてやる!!」と、ストイックな競争心を幾度も楽しめる人なら良いかもしれないのですが…。世の中はこういった競争心を持ってゲームを遊んでいる人は少数派に入るため、短時間だけならともかく本作の妙味を長時間楽しめる人はかなり限られると思う。 ・そして本作はWiiU時代にあったリミックスステージが存在しない。全く異なるファミコンソフトのキャラが別ゲームの世界で使えるなど、遊び心のある設定が面白かったのですが…。 ・世界ランキング大会の順位表は、現開催中のものより一つ前の結果しか見ることが出来ない点はかなり疑問を抱いた。本当に一つ前の結果しか見れず、他者の記録は疎か自己ベスト記録も昔の記録は全く見れない。世界ランキング争いが重要なゲームなので、スコアの記録はもう少し長い期間残してほしかったところ。 ・攻略のための矢印表示が、本当に欲しい所で用意されていないことがある。ゼルダの伝説のダンジョン攻略で最短クリアのために部屋に入る順序など、矢印を表示してもよかったのではと思うところが幾つかある。進め方を大きく間違えると本来のプレイの想定を逸脱する事もあるので、やり直しが面倒になるなどの問題点に繋がっている。 ・WiiUの頃からずっとファミコンソフトしか扱われていないのですが、そろそろファミコンソフトだけでなくスーパーファミコンやゲームボーイ等のソフトは扱うわけにはいかなかったのだろうかと思う。処理能力やエミュレータの都合では無いはずなんですが…。操作の複雑さなどの理由があるのかもしれないが、ファミコンソフトだけでは単調過ぎるように感じた。いくら名作だからと言っても、ファミコンのマリオやゼルダなど、同じファミコンソフトが連続して扱われ続けるのも流石にくどく感じる。 ・そして最大の問題点。このボリュームで3000円を軽く超える値段はかなりの高額設定だと感じた。名作ファミコンソフトや、ファミコンエミュレータ機能などが本作のゲーム素材の大半を占めている訳であり、制作コストに鑑みてもこの値段は高過ぎる。SwitchONLINE加入者限定で無料でプレイ出来るとか、せめて1000円程度の値段設定なら、本作程度のボリュームでもまだ納得出来たのではないかと思うのですが……。 |
感想です。 |
現代日本ではNintendo World Championshipsという名前は聞く機会が無いが、これは1990年頃にアメリカのPowerFestで実際に行われていたゲーム大会のこと。この大会では、ファミコンのスーパーマリオブラザーズで50コイン集めるまでの早さ、テトリスでハイスコアを狙うといった形式で、ゲームの一部シーンを参加者がプレイして競い合っていた。そして凄い事に10000ドルの賞金や景品が用意されており、当時のアメリカゲーム業界ではちょっとした話題になっていたそうな。 そのNintendo World Championshipsのようにファミコンゲームの一部シーンをプレイしてハイスコアを競い合うのが本作の特徴なので、普通のゲームとは少し変わった趣旨のゲームであるという前提を踏まえた上で書いています。 まず致命的な事から言うと、名作ファミコンソフトの極一部を切り取ってプレイしたところでそれを面白いと感じるかどうかはハッキリ言って人を選ぶ。WiiUの頃はリミックスステージが用意されていて遊び心も感じられたが、本作にはどうやら無い模様。要するに本作はファミコンソフトの一部シーンを遊んでタイム短縮を自主的に狙う、あるいは期間限定のランキングで名前が乗るようストイックに挑戦し続けるのが妙味のゲームなので、この行動が面白いかどうかはかなり人を選ぶ。 個人的なゲーム観として、ゲームはそのゲームならではの世界観や展開の流れを感じながら時間をかけて進めていき、その区切りとしてボス戦などの重要なシーンをプレイする事によって、後からその重要なシーンが印象深く心に残るのではないかと考えている。そうしたゲーム観もあって、いきなり断片的に名シーンが始まるだけの本作を自分は残念ながら面白いと感じる事はほぼ出来なかった。昔から思い入れのある名作の名シーンをプレイした時に感慨深く感じたのは少しはあったものの、総じて楽しめたとは言い難い。 ランキング表記などの細かい点でも不便だと感じる部分があり、ランキング争いを売り文句にするならこれらもアップデートで改善するべきだと思うのですが…発売から3ヶ月経っても特にアップデートで改善する様子が無いのは謎。 そして最後に値段。これらの内容で価格が無料か格安であればまだ人を選ぶゲームとして許容できたのですが……このボリューム、この完成度で軽く3000円超えはかなり高い。ゲーム内容がどれだけ面白いと感じるかは人によるが、このボリュームの薄さ、この作り込みの少なさでこの値段は高過ぎる。昨今のゲーム事情は昔と違う事を踏まえても、本作より安い・無料のSwitchゲームで本作以上に作り込みがしっかりしているゲームは多数存在するので尚の事気になる。ネット上の一部の人が騒いでいるようにクソゲーと断じるほど面白くない訳ではないが、問題を多数抱えている作品なのは間違いない。 |
掲載日:2024年10月15日
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