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真・女神転生V
メーカー:アトラス
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2021年11月11日
価格:9878円
ジャンル:RPG


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スイッチ版

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 8 7 8 8 7 6 74
プレイ時間…80時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
イヒー!!タマラネェゼ!!
・ATLUS社のRPGではお馴染み、敵の弱点属性を突いて有利を取るプレスターンバトルの戦闘システム。本作は銃属性が無いため全体的に真・女神転生3のバトルシステムにかなり近い仕様に。戦闘時のバランスは全体的に良い方で、プレイヤーの好きなスキル技を使って自由度の高いバトルが楽しめる。迂闊に攻撃を仕掛けたりすると一気に不利になる事もあり、ボス敵のみならず雑魚敵相手でも油断禁物で緊張感がある。

・ストーリークリアまでに戦うボス戦の数はかなり多いが、攻略方法やギミックはボスごとに大きく異なり、攻略の奥深さはかなり良質な部類かと。手持ちの悪魔によって攻略方法も大きく異なるので、咄嗟のアドリブ力も試されるバトルがとても楽しい。戦闘バランスの良さやボス戦攻略の奥深さにのみ目を向ければ、かなり楽しめる部類。

・一つのエリアを読み込む時間は長めだが、一度読み込みが終われば同エリア間のファストトラベルやバトル突入時のロード時間はほぼ無し。一部のクエスト実行時や悪魔集めなど作業的になるシーンも多いが、かなりテンポよくプレイ出来るのは有り難い。

・ゲーム内に登場する悪魔達の3Dモデリングはよく出来ている。個性豊かな造形を持つ200種類以上の悪魔がいるが、美しいものや不気味なものまで良い意味でごった煮感満載で面白い。色替えバージョンやペルソナ5に登場したシャドウの流用もあるが、モーションも複数追加されていてさらに手が込んでいる印象。悪魔ごとに異なるボイスが収録されており、手持ちの悪魔に対する思い入れも深くなりやすい。

・メガテンシリーズらしくNormalモードでも中々に難しい難易度を誇るが、並程度の難易度としてCasualモードも用意されているので難易度設定の幅は広め。それをさらに下回るSafetyモードもあり、こちらは負けるほうが難しいほど簡単になるが最終手段としてはアリかと。

・悪魔合体のシステムがかなり快適。手持ちの悪魔からの逆引き検索は勿論のこと、一度登録した悪魔の呼び出しを含めた検索も可能なので、次から次へと好みの悪魔を合体させられる。最近のATLUS社RPGの仕様をさらに快適にしたような形で、昔の女神転生シリーズのような必要な悪魔を揃えるためにわざわざ序盤のエリアに戻って悪魔会話をする…といった必要も当然なく、悪魔合体の快適さはシリーズ中でも随一だと言える。

・ストーリーそのものはシンプルで分かり易い。主人公は特に喋らないが、ナビゲーションキャラの悪魔や数々の人間・悪魔キャラクターが頻繁に情報を小出しにしながらストーリー展開してくるので、時間をかけて理解させてくれる。さらにサブクエストは基本的に友好的な悪魔から受ける事もあって、立場や性格が様々な悪魔達との交流はどこか奇妙で好意的になる。
グゲゲェ…コリャヒデェゾ……
・ゲーム序盤は細かく伏線が張られストーリー描写も丁寧に描かれているが、中盤に差し掛かる辺りから急展開や描写不足なシーンが増え始める。最終的に伏線回収がされるならともかく、最後まで進めても全く伏線回収がされず有耶無耶のまま終わる部分が多すぎる。風呂敷を広げるだけ広げて折り畳みきれておらず、不消化感が強い。

・マップ表示とダンジョンの出来が悪い。マップはプレイヤーや敵の現在地が大まかに分かる程度で、建物の高低差や繋がりがほとんど分からず頼りにならない。後半のダンジョンの作りは雑で、同じ敵が連続して配置されていたり、単純な道がひたすら続くだけであったりと面白みに欠ける。女神転生シリーズは全体的にフィールドの作りがあまり良くない傾向にあるが、本作もその例に漏れず。

・ゲーム中での選択肢によってロウ、中立、カオス属性への変化も用意されているものの、ストーリー的な違いはほぼ無く最後の最後で選んだ選択肢で3つのルートが変わるという仕様。セーブデータを分ければそれぞれのルートのエンディングが確認しやすいという利点もあるものの、ラストまではストーリー的な変化はほとんど無いのでこれまでのシリーズと比べると物足りなさもある。

・レベル差補正が激しい。ダメージ計算をする際にステータス上の数値だけでなくレベル差も考慮されているようで、敵と味方とのレベル差が大きいと途端に与えるダメージが大きく減ってしまう。高レベルの敵を低レベルでありながら戦略的に倒していく……といった芸当がやり辛く、レベル上げを強制されている感覚がある。

・本作は真・女神転生3を意識した仕様が多く主人公の武器・防具装備などが全く無い上、属性相性も同じレパートリーの属性しか無いのがやや寂しい。単純化された利点もあるので好みの問題ではあるものの、真・女神転生4系統のようなカスタマイズ性が高い仕様の方が個人的には好み。

・ゲームリセットが無いのが不便。ボス戦などで最初からやり直したくなった時など戦闘中にセーブデータからやり直したくなるケースが幾つかあるので、有れば便利だっただろうなと思う。
コメントダァ、ウケトリナ!
 真・女神転生3と世界観設定の緩い繋がりはあるものの、本作は本作で独自の新しい世界線の物語になっている。ゲーム序盤はかなり丁寧な導入で、シリーズ未経験者への配慮もよく考えられているように感じる。ただし、中盤からは明らかに駆け足の展開や描写不足なシーンが増え始めるため、序盤の手の込み具合と比較するとかなり勿体無い部分が多い。ゲーム製作のペース配分を間違ってしまった裏事情があるようにも思えるが、その一方で戦闘バランスや悪魔達の3Dモデリング、モーションといった分野に関しては結構よく出来ている。

 悪魔会話で仲魔を集め悪魔合体で新しい悪魔を作り、立ちはだかるボス戦を攻略していく…。まあ基本的なゲームシステムは歴代女神転生シリーズと同じなので、良い意味で作業的な面白さはある。これらの女神転生シリーズの基本に重きを置いてプレイすれば、最初から最後までRPGとしてもまだ楽しめる部類かと。

掲載日:2023年8月29日


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