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悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲
メーカー:コナミ
開発:KCE東京
機種:プレイステーション
発売年月日:1997年3月20日
価格:5800円
ジャンル:アクション(2D)


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PS1ベスト版

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執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 9 7 9 7 8 7 78
プレイ時間…40時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ふーむ…良きかな…。(良いところ)
・ステージクリア型の2D横スクロールアクションだった従来の悪魔城ドラキュラシリーズとは大きく変わり、月下の夜想曲ではステージクリア型ではなく探索型のアクションゲームに大きく変化、メトロイドシリーズ等に代表される探索型ゲームの形になった。他にもアドベンチャー・RPG要素もあり、独自性がかなり強い。

・ゲーム全体の演出はどれもインパクトが強く、特にゲーム後半から悪魔城のマップが上下反対になる『逆さ城』は有名だがとても印象深かった。プレイヤーの意表を突くものが多く、混沌の産物である悪魔城という設定上何が起きても不思議ではないと実感させられる演出・ギミックの豊富さが魅力的だった。

・悪魔城ドラキュラシリーズの『血の輪廻』から引き続き、2Dドット絵によるグラフィックのクオリティが高い。背景のゴシックホラーな雰囲気の良さはもちろんのこと、敵味方共に動きのアニメ枚数が多く、職人技とも言えそうなほどグラフィックモーションにこだわりを感じる。

・従来のサブウェポン以外にも、武器や防具を装備する概念が生まれている。主人公のアルカードは従来主人公とは違って鞭による攻撃は行わないが、短刀・大剣・杖・盾など、攻撃手段の豊富さはかなりのもの。どの攻撃方法もそれぞれ使い心地が大きく異なるので、プレイヤー次第に好きなスタイルでゲームを進行出来るのがハマる。

・プレイヤー側の小回りが利くようになった分、敵の攻撃パターンもアクティブかつ豊富に。難易度は従来作と比べると低下しているが、その分だけゲームスピードも向上しアクティブかつテンポよく進めやすくなったのもポイント。

・音楽。西洋の雰囲気を感じる重々しいクラシック風音楽から、激しいエレキギター音が鳴り響くロック音楽まで、とにかく幅広い。音楽と世界観がよく合っている名曲が多い印象。

・本作の主人公アルカードはファミコンの『悪魔城伝説』に登場していたキャラだが、ドラキュラ伯爵の実の息子という設定を面白くゲームシステムに活かしている。自らがコウモリや霧の姿へ変身したり、使い魔を使役する姿など、魔族の者ならではといえるアクションも多い。こういう実際の史実に則ったアクション技などが悪魔城ドラキュラシリーズで増え始めたのも本作から始まった傾向な気がする。
なんたる狼藉じゃあ!(悪いところ)
・クリアするのに必須な訳ではないが、コマンド入力を求められるアクションが多いわりにコマンド入力の判定が厳しめで、慣れるまでは苦労する。コマンド技に限って強い攻撃や格好イイ攻撃が多いのがなんとも勿体ない。

・難易度は全体を通してややヌルめで、なおかつバランス調整はやや不安定気味かと。アイテムが揃っていない序盤は難易度がやや高めではあるものの、ゲームシステムに慣れてくる中盤からはアイテムが豊富になりプレイヤー自身が工夫を凝らす事で有利になる手段がどんどん増えていくので、ゲームが終盤に近付くにつれ難易度が下がっていきやり応えは薄くなっている。

・使用系アイテムを使う手順がかなり面倒。メニュー画面を開き、装備してる武器を外してアイテムと交換し、そしてフィールド上でボタンを押してアイテムを使用するという複雑な手順を踏まえる必要がある。後の作品ではメニュー画面から一発でアイテムが使える分、この点は特に気になった。

・個人的な好みではあるのですが、従来作とは違って探索する場所が城の中だけというのはやや閉塞感を感じた。これまでの作品は『ドラキュラ城に赴くまでの過程』もステージとして用意されており、墓場・ゴーストタウン・森などを進むのが面白くて…。それもゴシックホラーとしての魅力と感じていたのでやや寂しい。
コメント失礼致し候…。
 "メトロイドヴァニア"という、後にメトロイドシリーズや悪魔城ドラキュラシリーズなどの探索型アクションゲームを指す言葉が作られる切っ掛けともなった、月下の夜想曲。ステージクリア型の2D横スクロールアクションだった従来の悪魔城ドラキュラシリーズとは大きく変わり、ステージクリア型ではなく探索型のアクションゲームに大きく変化。アドベンチャー・RPG要素も強めになり、タイトルこそ同じだがほぼ新規アクションゲームシリーズとして言っても過言ではないほど変貌を遂げている。

 探索型アクションゲームとしては既に人気ブランドとして幾つも作品が出ていたメトロイドシリーズとはまた異なる潮流のゲームで、独自の要素が強くメトロイドシリーズとは異なる点が多い。個人的には探索型アクションゲームとしては総じてメトロイドシリーズの方が好きなものの、悪魔城ドラキュラシリーズの方が難易度的にはライトユーザー向けで、人によって好みが分かれやすいところだと思う。どちらも秀逸なシリーズであるには違いないと思います。

 グラフィックは従来作と同じくドットアニメによる2D表示で(※内部処理的には微妙に異なるらしいンですが)、ポリゴン処理を得意とするプレイステーションでありながらも手間がかかるドットアニメを主とした表現を続けてくれたのは良かった。長年続く悪魔城ドラキュラシリーズの魅力の一つにドットアニメ・背景の魅力も含まれていると考えていたので、これは心底感じた。

 そして主人公、アルカードのキャラもカッコいい。ファミコンの悪魔城伝説に登場していた時は「ハゲ頭のマントを着たおじさん」的なドット絵の見た目だったのに対して、本作は長身長髪の若々しいイケメンになるという…(笑)もはや別人並に変わっているが中々格好よく、思い切ってビジュアルを変更したのも正解だったと思う。ダークサイドに居るはずの人間が、ライトサイドのキャラとして立ち回る設定も王道的だが面白い。

 プレイヤー側が有利になるシステムがとても多く用意されているゲームなので、システムを理解して明らかに何かバランスがおかしいと感じる箇所が出てきたら、意図的にその要素を縛るプレイがオススメ。
例えば、本作は武器を装備せずとも『すで』で攻撃は可能なので、攻撃力がやけに高くなったきたなと感じたら武器を封じて素手縛りでプレイするにするなど…(笑)。

 "メトロイドヴァニア"系の中でも悪魔城ドラキュラシリーズは全体的にライトユーザー向けだがその中でも本作、月下の夜想曲を初歩とするのも良さそう。

掲載日:2022年8月23日


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