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ファイナルファンタジーIX
メーカー:スクウェア
機種:プレイステーション
発売年月日:2000年7月7日
価格:7800円
ジャンル:RPG


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
10 9 5 7 8 9 9 89
プレイ時間…250〜300時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
うむ!素晴らしいですぞ。
<システム&ゲームバランス部分>
・ここ数作のFFと比べてゲームシステム部分で尖った要素が少なく、マイルドで遊びやすいのが最大の長所といえるかも。オーソドックスなRPGであり難易度もそこまで高くないため、変に構えず遊べるのが嬉しい。アイテムの収集やユニット育成などのやりこみ要素も豊富なため、しっかり深く遊べるって意味でも懐が深いのも良し。

・武器毎に異なる「アビリティ」が付加されており、戦闘を重ねる事で習得できるのはシンプルなシステムであるが面白い。

・バランスはマイルドで遊びやすい。良くも悪くも尖った要素が増えがちなファイナルファンタジーにしては奇抜な要素も少なく、オーソドックスで良く出来たRPGとして楽しめる。

<グラフィック&サウンド>
・相変わらずグラフィックは素晴らしい。同一ハードでの3作目ながら、更に映像のレベルは上がりCGムービーも美しい。『VII』や『VIII』と違ってファンタジー色が強めで、風景も(序盤〜中盤は特に)どこか牧歌的で彩度が高めの場面が多かったのも良かったと思う。

・キャラクターは前作とは180度転換しデフォルメ路線だが、愛着を持てるキャラが多かったように思う。ガーネットやエーコのように、かわいいだけでなく、燃えるような強い意志を内面に秘めた人物が多かったのもツボですな。

・FF伝統の植松伸夫氏によるサウンドは健在といったところ。本作は他の部分と同様に「懐かし」要素が多めで過去の曲っぽいフレーズが多かった印象。『X』以降は氏はメイン作曲家で無くなったため、FFにおける植松サウンドの総集編的な部分も感じられるかも。

<シナリオ・テキスト部分>
・シナリオはどこか重苦しい部分もあるのだが、部分部分では結構軽妙に描かれてたりしてメリハリは効いている。王道的・シンプルで派手さは無いが、引き込まれる力はある内容かと。同時期のPSのRPGだとひたすら重苦しい物語の作品もあったりするが、個人的には本作くらいの重い一辺倒でない作りの方が好みではあった。

・SF系恋愛アドベンチャー風味(爆)で個人的には「コレジャナイ」に感じられてしまった前作と異なり、スーパーファミコン以前のファンタジー的色合いの濃い雰囲気に戻った点は個人的には良かった。まぁこの辺は好みの問題でもあるが。

・ヘルプやちょっとした会話部分などにネタ的なテキストが挟まっている事があるのが面白い。
Oh、イカンですきに〜。
<快適性部分>
・戦闘のロードが非常に長いのが難点。暗転からバトルフィールドが表示され、カメラ視点がぐるりとゆっくり回転、そこからキャラクターが表示され…ってのが戦闘発生ごとに繰り返されるのがダルい。昔ながらのスタイルのRPGでエンカウント率もそこそこ高いため戦闘の頻発で足止めを食らうパターンが多く、必然的にテンポもあんまりよろしくない。レベル上げ等で戦闘を繰り返すとかなりイライラする。ここさえもうちょっと短くテンポよく遊べりゃ完璧に近い内容だったと思うが。また、魔法や召喚獣の演出も全体的に長い。見栄えの良さのために快適さが犠牲になってるのは否定できない。

・コマンドを選択してから実際に動くまでのラグがあり1つ1つの行動が長いため、全員のATBメータが満タンになり頻繁に渋滞するのも難点。ボスの特殊な攻撃や召喚魔法などの際に状況にもよく出くわすし、通常の魔法が連発された時なんかも割とそうなる。ロードの長さと相まって、余計にテンポが悪く感じられる要因になってるかと。

<システム・ゲームバランス部分>
・プレイステーション以降のFF(『VII』以降)の伝統とも言えるが、ミニゲームのゴリ押しは少々クドいと感じられたりもする。本作だと『VII』や『X』程は強制されていない分、多少マシかもしんないけども…(笑)。

・作中のミニゲームであるカードゲームは札の数字や記号などの意味が分かりづらいのに作中で殆ど説明が無い。オマケ要素とは言えど、シナリオ中必ず1度は遊ぶ必要のあるミニゲームでこれは不親切としか言えん気も。

<シナリオ・テキスト部分>
・メインキャラクターの内、クイナやサラマンダーはシナリオに絡む頻度が極端に少なく、見せ場が少なくて地味なのは気の毒かも。
THE 感想。
 『ファイナルファンタジー』シリーズのナンバリング本編の9作目。同じプレイステーションで出た『VII』や『VIII』と比較するとかなりマイルドでオーソドックスな作りに回帰した印象のファイナルファンタジーと言えるか。

 発売前からしきりに「昔のFFへの原点回帰」を謳っていた点や、同一ハードでの3作目って部分もあって、目新しさはあまり多くはなく、斬新さで驚かされるって事は少なかった印象。一方、システム部分でもシナリオ部分でも過去作である程度完成した要素への回帰+それらの組み合わせって事で、遊んでいて安心感が強い(なお、公式側の宣伝で言われてた「原点回帰」は一番最初のファミコンの『I』ってよりは、あくまで「同じPSのVII・VIIIじゃなく、それよりちょっと前のスーファミ期のFF(IV〜VI)」ってニュアンスに近いかと)。
 わしの中ではファイナルファンタジーのナンバリング作ではトップクラスに好きだった作品かもしんない。最近は俗に言う「ノムリッシュ系FF」(=スタイリッシュでSF色が強い)や11・14等のMMO-RRGの作品が幅を利かせており、本作路線が少なく…と申すか、ほぼ無くなっちゃったのが残念ではある。

掲載日:2004年11月7日
更新日:2025年8月12日


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