GRAVITY DAZE
重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

メーカー:ソニーコンピュータエンタテイメント
機種:プレイステーションVITA
発売年月日:2011年2月9日
価格:5980円
ジャンル:アクション(アドベンチャー)


かいたひと : アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
74
プレイ時間・・・15〜20時間程度
※映像〜シナリオは10点満点、総合は100点満点
良かばい。 駄目だじぇい。
・重力をテーマにしたアクションゲームと言うとWiiの『スーパーマリオギャラクシー』とかを思い出すが、それとはまた違った新しさがある。自分で重力のかかる方向を操作できるのが面白い。操作が独特なだけに最初は面食らったが、導入部分が親切で難易度も高過ぎず、遊びやすい作りなのは良し。

・どこか現実的でありながらも同時にファンタジー色も強いと言う、何と申すか「おれのみた夢」的な物をそのまま映像化したみたいな独特の世界観がナイス。派手さは無いけどしっとりとした落着きのある表現はVITAの高性能があってこそか。主人公キトゥンのデザインとか設定も、PS系のハードの作品で多い安易な萌え路線とかに走らずに可愛さをうまく表現してるのが好感が持てる。

・章立てで物語が進行していくが、一話あたりの長さが程よい塩梅でサクサク進むのは◎。

・街とか結構入り組んだ作りになっているので、目的地までの距離を表示してくれる機能があるのは助かる。

・いい意味でゲーム音楽っぽくないBGMは上品でオシャレ。オーケストラの重厚さと軽やかさな曲調の響きが心地良い。
・アクションゲームとしてはアクション部分の面白さが思ったほどインパクトはない。戦闘も宙に浮かんで重力キックか距離を取って物をぶつける程度で事足りてしまい、どうにも展開が単調なのが気になる。楽しい事は楽しいんだけど、常に単調さが付きまとい、どうも新しさを十分に活かしきれてないような物足りない感もあるのが惜しい。また、時々重力を扱えなくなるシーンが挟まるのだが、重力アクション無しだと細かい挙動だとか足場の移動の不便さなどストレス満載で、途端にゲームとしての魅力がガタ落ちする。開発側でも何とか単調さを無くしたいと思って入れたのだろうけど、逆効果な気がした。

・街の絵的な作り込みは凄いのだが、建物に入れるでもなく、人と会話できるでもなく、買い物できるでもなく、イベントが多いわけでもなく。広い割にはギミックが少なく面白みに欠ける。いくら主人公の性格が開放的だからとは言え、電車だとか乗り物の中に入れず、上に乗って「こっちの方がいいもんね!」はさすがに手抜きだと思った。

・基本的にはそんなに難しくないんだが、一部のボスだけ妙に強過ぎて気持ちが折れた。飛んでも逃げても攻撃を避けられず、こちらの重力キックはフラフラと動きまくる弱点に当たらず反対側にすり抜けてばかり、ならば物をぶつけてやろうと思いきや敵の攻撃が激しくて攻撃する前にこちらがダメージを受けて物を落とす、何とか苦労してダウンさせたのだが手間取ってるうちにすぐ復帰して体力までグーンと半分くらい回復してるとか・・・これオニや、鬼畜や!!(苦笑) そこ以外は特に酷いって箇所は少なかったと思うが、簡単 or 難しいのバランスが両極端で、もうちょい巧く難易度設定してくれてれば良かったのになー、とは感じた。

・頻繁に画面をタッチする操作を強いられる。アクション部分はまあ良いとしても、マップやメニューの階層移動だとか、別にタッチパネルじゃなくてボタン操作でもいいじゃない・・・と思うような場面でタッチ操作を強要されるのがもどかしくもあり。

・ロード時間がクソ長い。道中ではイベント前に少々入る程度だが、ゲーム開始時・ミッション開始時・エリア切り替え時などなど、節目節目での読み込みでのロードは20秒クラスのが来て萎える。

・明らかに続編を匂わせる終わり方をするので、クリアしてもどうもスッキリしない。続編はあっても駄目とは言わんケド、6000円級のソフトなんだし、もうちょい一本の作品として満足の行く終わり方であって欲しかった。
こめんとじゃい
 巷での評判が凄いから期待し過ぎたか、アクションゲームとしてのインパクトは思った程じゃなかった。ただ、これまでにない試みを取り入れつつ破綻なくまとまってはいるので遊びやすい。彩度を抑えながらも暖か味を感じるグラフィックやオーケストラのお洒落なサウンドが醸し出す独特の雰囲気はとても好み。
 アクションそのものだとかストーリーだとかよりは世界そのものを楽しむ方向の味付けなのかなァ、とは感じた。世界観重視のアクションアドベンチャーと言う点ではPS2『大神』あたりに通じるものがあると思う。言うなれば、『大作系雰囲気ゲー』。
 続編ありきでスッキリしない終わり方だったけど、続編自体は楽しみに思える内容。今作でストレスに感じた部分を取っ払った続編であることを強く期待。

掲載日:2012年6月25日
更新日:2012年7月9日


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