マリオカート8
メーカー:任天堂
開発:情報開発本部
機種:WiiU
発売年月日:2014年5月29日
価格:5700円
ジャンル:レース(コミカル)


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
9 8 5 6 6 6 62
プレイ時間…40時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ヒーヤッホォウウ!!
(注:良いと思われます)
・うんまぁ、まずは順当にグラフィックが綺麗。遠景の描写まで無駄に綺麗です。WiiUになってから遠くの風景まで描かれた作品ってのが思い返してみると無かった(箱庭チックで近景にカメラが寄った物が大半だった)だけに、任天堂ゲーと言う括りで考えればトップクラスの描き込みを達成していると思う。キャラの動きも多彩でしっかり凝っているのもいいね。んでもって、ここまでの映像でしっかり秒間60フレーム維持はWiiUの性能を考えれば健闘していると考えていい(PS3・箱360、更に踏み込めばPS4級でもここまでの快適な動き込みでのグラフィックを達成しているレースゲームって実はたぶん少ない)。暫くゲームキューブ級の世代の機械での作品が続いただけに、世代が一気に2つくらい進んだ感あり。

・BGMも生演奏の物が多く豪華。良くも悪くもお洒落な方向に傾き過ぎてゲーム音楽っぽくない部分もなくはないが、まぁ過去作と大幅に差別化はできてるので、いっつも同じ感じから変化したって意味で、これはこれで良し。

・「超軽量カートで減速なしで砂利道突っ切ってヤッホー!(DS版)」「バイクでウィリーでイッヒー!」(Wii版)とか「ワイルドにダートでミニターボ溜めてGOGOでござる♪」(3DS版)とか、バランスブレイカー的な要素の穴に関してはしっかり塞がれてる事は評価できる。

・対人戦であんまり使えない事が多かった重量級だが、今回は速度が他のカテゴリのキャラより結構速く、しっかりメリットになっているのは良し(過去作では加速がクソな時点でグランプリ・対戦ではハンディ用だったので)。どれかのマシンが一強とか突き抜けた性能の物が無く、割とバランスも取れているように思える。

・グランプリではどうもうまく作用してないアイテムの出のバランスだが、対人戦ではこれまでよりもパターン化しにくくなった分、「わざと抜かされて下位でサンダー拾って穴に突き落とすべ」とかやりにくくなったのは良いと思う。

・壁・天井を走るF-ZERO的な要素が加わりよりダイナミックな展開を楽しめるようになった。システム的にもしっくり馴染んでいて違和感なし。しれーっと馴染み過ぎて目新しさすら感じない感じなのはアレだが…(言い換えると壁・天井を走ろうがマリオカートはマリオカートだとはっきり再認識できたんで、任天堂さん、…F-ZEROもたまには出してあげてつかぁさい)。

・過去の焼き直し16コース分はまぁ数量的には以前と変わらないが、手の入り具合がなかなか凝っていて、原作の趣を留めてない大胆に手を加えられているくらいなのはある意味凄い(そこまでやるならいい加減32縛りはやめて新コース増やせよ、とも思うが)。

・タイムアタックで複数のゴースト相手に切磋琢磨できる仕様は良し。自動で自分よりちょっと上の相手をチョイスしてくれるので、その辺りの煩わしさも感じない。

・発売から時間が経っても新コースやマシンを増やしたりシステム部分を改善(まぁ精々ようやく元に戻った程度だが)してくれた点は良かったとは思う。
ン~マンマァミィィィア!
(注:イカンでげしょう)
・UIデザインは全体的にかなりヘボい、もしくは野暮ったい、あるいは手抜きくさい。ちょっと遊んで感じるのは『とにかく不便』。画面がすっきりしてるのは良いとしても必要な情報が表示されておらず、カスタマイズさえも一切不可。表示できる情報は多く出来たはずなのに、ミニマップ・COMの所持アイテム表示も持って来ることができず、拡大マップとタイム表示は一切なし(タイムが無いのは前作からだが)。サブ画面に色々表示はできるが、3DSの下画面と違ってテレビ画面とは距離があって咄嗟に見比べたりできない&ボタン操作で手一杯でタッチパネル触るの無理(左手はスティック、右手はアクセルで手一杯)ゆえ、使いにくさばかりが目立つ結果に。でかでかと意味のないクラクションのボタンが映されてるが、そりゃ違うだろ、と言いたくなる。この手の無理矢理ハードの機能を使おうとして利便性が犠牲になってる仕様が一番嫌だって過去にも任天堂には意見送りつけてんですが、なんで一向に改善してくれんのかなァ!?それとグランプリで次のコースに進むのにデフォルトのカーソルの位置がハイライト(=リプレイ)に合わさってんのはなんで?A連打して先進もうとすると勝手にリプレイに移行してしまうじゃねーか。あのなァ、これさマリオカートであってグランツーリスモじゃねー、リプレイなんて毎回見ねぇよ!!(苦笑)…と言うわけで、くどいようだが駄目な内は何度でも言う。『パッと見の奇抜さ』より『遊び易さ』を優先せぇ、『開発者の自己満足押し付け仕様はクソだ』って、初代DSで無理矢理なタッチパネル強制の時以来、何度も何度も何度も何度も指摘してるでしょ!?(←実際アンケートとかみっちり文字書いて送ったかんね!!)どうして学習しない!?COMの所持アイテムを確認でき、マップをリアルタイムで確認でき、飛んでくる甲羅とかも確認可能な3DS版の便利さを体験した後だと、明らかに劣化したUIが不便過ぎてしんどい。表示スペースが足りないって事は絶対ないはずなんだが。せっかくの任天堂内製なのに、操作周りだとかの部分でストレスを感じさせるようでは…。本来、任天堂の強みってシステム周りの完成度の高さ・ストレスを感じない快適な作りだったはずなのに、今回は完全にその辺りが足を引っ張ってる感あり。どうしちゃったの、一体!?

・グランプリでのアイテムのバランスが劣化したように思う。まずアイテムが複数持てず、ガードアイテムを常備できない。そのくせにやたらめったら『コイン(使うと所持コインが+2されるだけのハズレ)』が出まくるため、敵からの攻撃をロクに回避できない。COM相手のグランプリはいかに守るかが重要なのに、「コイン・コイン・バナナ・コイン・コインとか出られるとどうやって敵の攻撃回避すりゃいいの?ガードアイテム明らかに足りないよ?」…ってなるんですがどうしろと…?グランプリでは必然的に1位を走る時間が長くなるだけに、コインばっかり出ても面白くもなんともない。従来の作品でも1位走る時は単発バナナや甲羅ばっかりだったが、それはそれで仕掛ける場所考えて穴に叩き落とすとか面白味もあったが、コインが増えるだけのアイテムじゃゲーム性も糞もあったもんじゃないからね!!攻めにも守りにもならず、単純に面白くない。これは明らかに駄目な調整だと思う。とりあえず、「複数保持禁止」と「コインばっか」は1位潰し、特に対COM戦としては過剰過ぎで、逆に不公平感を煽る結果に。ゲームとしても詰まらなくなってしまっている。確実に、どっちかに絞るべきだったと思う。ってか、路面に落ちてるの以外、コインは要らない。実質アイテム無しと一緒でつまんない。1位に居るだけでマリオカートの肝であるアイテムを使えないのとほぼ一緒。いくらなんでも酷過ぎる。

・あと、アイテムバランスと組み合わさって劣悪になったと思われるCOMの動作。COMは内部できっちり序列が決まっていて上位2~3名が必ず上に来るようになっており、それ以外の者が前に出ると速度を落として序列上位の者を先に進ませる譲り合い走行している。つまりはシステム面で過剰に1位潰しをしておきながらCOMはプレイヤーばかり狙い序列1位の者を優勝させようと譲り合う八百長レースのままと言うオニバランスになってしまっているのがどーにも納得いかない。150ccでも優勝くらいなら簡単だけど、全部優勝して☆3評価を取ろうとすると上記の仕様で途端にストレスの塊となる。

・シリーズ伝統のバトルモードが大幅劣化。なんと、専用コースが無い!!普通のコースをランダムに走って…っておいおいおい。おまけにCOMマシン強制参加!密度がスカスカ&普通に走るか逆走かしかなく他のカートとすれ違う頻度がやたら低い。まだ初代なりロクヨン版のベタ移植コース(とルール)だけあった方がまだマシ。バトルはマリオカート史上、最もツマラン!どうしてこうなった。

・遂にマリオカートもか…。レース前にはシリーズ初の『Now Loading…』表示、コース毎に10秒前後待たされる。単純にレースゲームってカテゴリで他のゲームと比べりゃ全然速いのは確かだけど、長年保持したロード画面無しから転落したのは残念としか言いようがない。カセット媒体のN64から光ディスクのGCへ移行した時でも大丈夫だったのに、まさかこのタイミングで劣化するとはなぁ…orz。

・バイクが強過ぎた反動で弱く調整するのは分からんでもないが、独自の操作を無くしてしまっただけに個性までそぎ落とされてしまった感あり。あと、カートもバイクも全体的に挙動が重い感じがする。グライダーの操作なども無茶なショートカット潰しなのは分かるが、3DS版より殆ど自由度がなく窮屈なイメージ。

・過去作であったプレイ記録・レコードの類が一切無し。積み重ねられた数字を見てニンマリするのも楽しい物だったのに。任天堂の内製タイトルって最近、こういう要素を頑ななまでにゲーム内から取り除くように動いてるけど、少しはこういう数字で見る過去の履歴とか、重要視してくれてもいいと思う。ただでさえボリューム自体はそれほどじゃないんだし。

・まぁ細かい点だが、表彰式が一切なく、ただリプレイ流して終了ってのも手抜き臭い要素の一つ。カートから降りたモーション用意する時間無かったのかねぇ?…とまた勘繰り。雑誌のインタビューでも実際のゲーム内でもやたらハイライト機能をプッシュしてくるけど、映像を振り返るだけの機能にそこまで注力するくらいなら、まず他にやるべき事があるだろうと突っ込みたい。明らかに注力する部分を間違っている。

・パーツ選択画面にて、性能のグラフがわざわざ+ボタン(従来のスタートボタンに相当)を押さないと参照できない。これも些細ながら不便な仕様。最初っから表示してもらいたい。あといい加減、ミニターボとか滑り具合も隠しじゃなく標準で表示してくれてもいいと思う。

・いい加減、同一人物であるはずのベビィやらメタルやらで人数を水増しするのはやめろ。本編マリオで一切出てこないベビィデイジー・ロゼッタとかが優先されて流用キャラじゃないキャサリンとかディディーとかリストラされてるのは意味ワカラン。仮にベビィ出すなら過去にヨッシーシリーズで出演実績のあるワリオやDKとかを優先すべきであり、マリオとルイージ、ピーチ・デイジー・ロゼッタと似たキャラばかり増やされても有り難味が感じられないのでは?子クッパ7人が出てる割に最近メインキャラ級のクッパJr.が居ないのも謎。マリオカートシリーズはいっつも「アメリカで人気あるから」(←人気のはずのファンキーコング、今回切られてますが)とか言って意味不明な人選するから、まぁ今回に始まった事じゃないけども…。

・浮遊&壁天井走り&高速モード解禁でますますF-ZERO側に侵食してるのがナントモ…。ただ、F-ZERO好きでもある当方としては、本作の200ccモードは「あくまで既存の物をムリヤリ高速化したオマケ」であり「ブレーキングや減速ドリフト必須の加速と減速どころの見極めこそが重要なバランス」であり、「常にアクセル全開でギリギリのスリルを楽しむF-ZEROとはそもそもゲーム性が違う」とは強く申し上げたい。えーと、つまり、「マリカでF-ZERO要素入れたからF-ZEROファンもいい加減黙れ」っていう製作側からの無言の圧力には屈したくない(苦笑)。
イヤッッフウゥーー!!
(注:ってかさ、感想って言うか、半分以上愚痴なんじゃね?まったくオゥノォォウ!)
 起死回生を図るWiiUいよいよ真打ち登場、「この印籠が目に入らぬかぁ!」→「ははあぁーーーっ!!」(←なんだそりゃ)…になる予定だったと思うのだが、遊んでると「あれれ?」、「はぁ?」が続出、グラフィックが順当に綺麗になった以外はどーもあちこち微妙で「おーいおい、どうしたよ黄門様ァ!?」状態に。パッと遊んだだけでぽろぽろと「どーしてこうなった?」的な箇所が出てきまくるのが難点。

 ゲームパッドを無理矢理使うのは開発者側の都合・ただの足枷であって、実際の遊び易さとか考えれば、自分が開発者だったら絶対こうはしないのになぁ…と思われる部分が妙に多い。バランスが大味だったが革新的要素が加わりゲームモードが充実していたDS版、バイク無双だったが疾走感がありアイテムバランス自体は向上したWii版、外注ながらバランス面を中心に無難に良く出来ており欠点らしい欠点が無かった優等生的な傑作3DS版と比べると、UIデザインとバランス面の悪さから一回り…いや二回り以上見劣りする内容なのが残念。内容的にはなんかPS3・360の出始めの時の感覚に近い。とりあえず一言。「HD機に移って見た目に注力するあまりに、肝心の内容が劣化」ってソニー・MSハードで開発したメーカーが8~9年前にたどった道を任天堂も愚直に繰り返す必要なんてねえから!!外野から見てて「映像ばかり進化してもゲーム性が進化してなければ意味が無い」(←DS・Wiiブームの折、いわっち、そう言ってよく他社のゲーム機を間接的にこき下ろしてたよね!!)なんて他人に皮肉・悪口言う前に同じ失敗犯さないよう準備してろっての!!なんでヨソ様の失敗から学ばずに同じ失敗を繰り返すのかなぁ…?アタリショックを見て品質管理の重要性を認識したという任天堂らしからぬ振る舞いではないか!?(←いつの話や)

 また、他の例え方としてはゲームキューブの『マリオカート ダブルダッシュ』、マリオカートシリーズじゃないけど『マリオサンシャイン』、『ゼルダの伝説 風のタクト』でも感じた、「パッと見の見た目やさわりの部分は抜群にいいんだけど、ちょっと遊ぶとぽろぽろ粗が出てきて、細かい部分に手が行き届いてないよーな…?」そして強く頭に浮かぶのが、「これ、ひょっとして開発する時間がまだ足りてなかったのかなぁ?」って事。WiiUの場合、全世界で致命的にソフトが足りんかった、絶対この時期には出さなアカンでって言う。でもなぁ…納期重視で中途半端な出来の物を出しても前記のソフト達は結果的に芳しい評価を得られなかったわけで、WiiUの現状を立て直すには中途半端な出来の内に出すよりはしっかり煮詰めてから出すべきだったのじゃないかと思わずにはいられない。何もゲームキューブのそれらの作品と同じ轍を踏まんでもいいのに…と思ってしまうのは、現場の苦労を知らんただの一ユーザーだからなのでしょうか?


 古参のニンテンダーとしちゃあ、ゲームの内容そのものよりもWiiU、更には任天堂の置かれた立場の微妙さが妙に切なく心配に思えてしまうシリーズ最新作。WiiUの任天堂内製タイトルにはどっちかって言うと期待を裏切られてるソフトの方が多いなァ(新鮮味ゼロで焼き直しの域に留まる「NEWマリオU」、多人数特化でオンライン要素ナシのミニゲーム集「NintendoLand」、悪かぁないけど極端に1に寄り過ぎた精進料理的な味付けでちょっと好きになれない「ピクミン3」などなど)。

 ま、苦境の任天堂やらWiiUやらに対する愚痴・ボヤき・文句だらけになっちゃいましたけども……思い入れとか好みとか、マリオカートシリーズの過去作品との比較抜きでゲームとしての良し悪しを判定すりゃとりあえずは「佳作」程度の範疇に収まってる内容である事は間違いないと思います、ハイ。ま、逆を言えばそこ止まりであり、そのハードを代表するソフトに名を連ねた歴代マリオカートと比べると平凡…と言うか明らかに粗末でちんまい作り

 このガッカリ感は事前に煽られた期待の大きさとの落差で増幅された感はあるにせよ『粗は多いけどそこそこ楽しいレースゲーム』止まりであって、WiiUで求められていた『一本で状況をひっくり返すだけの力がある傑作』、『ネガティブな雰囲気を吹っ飛ばすだけのパワーのある作品』には程遠い内容だったのは返す返すも残念。やたら不満点が多くなってしまったが、それも期待度の高さからの反動と捉えていただければ
 思い返せばイベントやらDirectやら、任天堂から出される映像はリプレイ視点のものばかりで実際のゲームプレイを映した物は皆無だった。これ、叩かれそうだからあらかじめその映像配信を回避した、とも言えなくもないよね…?仮に欠点として認識していたならば、なぜ製品版としてそのまま流してしまったか。他を圧倒する品質の高さこそが任天堂の強みではなかったのか?もっと品質に対してプライドを持ってもらいたい。歴代のマリオカートは100時間以上遊んで来たけど、そこまで遊ぶ気になれんかった家庭用のマリオカートはこの8が初めて。残念としか言いようが無かった。

掲載日:2014年6月2日
更新日:2017年5月1日


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