The Wonderful 101
メーカー:任天堂
開発:プラチナゲームス、任天堂企画開発本部
機種:WiiU
発売年月日:2013年8月24日
価格:6930円
ジャンル:アクション


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 9 5 8 5 8 8 75
プレイ時間…15〜20時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
トウッ!!良いところだッ!!
・アクションにも道中の謎解きにも使うアクションが用意されていて、それが違和感なく(ただし腕前と瞬時の反射神経は要る)馴染んでいるところはPS2の傑作「大神」に通じる物がある。アクションの骨太さは「ベヨネッタ」譲りで(巧く決めるにはやっぱりやたら技量はいるが)決めれば爽快・見た目もカッチョイイ、スタイリッシュアクションが楽しめる。タッチパネルを活かしての操作って意味ではWiiUらしさもしっかり活かされている。

・難易度がかなり幅広く用意されている。よって、どんな「ゲームでもかかって来いやッ!!」な歴戦の猛者も「いやー、手強いのはちょっと…」っていうアクションが苦手な人でも……と思ったけど、一番ユルいのの時点でも相当キツいんで、苦手な人は無理ですね、ハハハ…。まぁ、ゲームの腕に自信がある強者がとことん上を突き詰めるのには向いた難易度設定なんだとは思う。…個人的には、「もうちょっと手加減して…」だが。

・まぁ性能の良い機械が他メーカーから複数出てる以上、突き抜けてキレイとは感じないけども、引いてる視点でのちんまい見た目ながらグラフィックは意外と細かいところまで描き込まれており、手の込んだ仕事だと思わせてくれる完成度。

・序盤、道中のBGMのヒーローソング、こっそり日本語で歌詞が流れてるアホくささは好き。いかにも戦隊物チックな変身シーンやコテコテのナレーションとか、明らかにハリウッド映画を模したデモやエンディングシーン等の作りとか、そこそこトシいってる人には懐かしさ全開要素なのも面白い。「子供向けか?」って思わせるのはパッと見のパッケージだけで、実はバリバリのオッサン向けのゲームなのかも。

・パッと見のポップさに反して王道のヒーローアクションと思わせといて実はコテコテのギャグ路線コメディ路線もあり(というかそっちがメイン)だとか、意外と黒い描写・微妙にエロいが多いとかギャップが楽しめるのは同じ開発元のゲームキューブ「ヴューティフル・ジョー」に通じる物がある。そういう面では良い意味で任天堂らしくないソフト。…でもこれ、20代前半より若い人とか戦隊物に馴染みの無い国の人には、この演出・シナリオの良さはまるでわかんないよね、これ?どうなんだろう…?

・リトライポイントが多いのは救済措置としては助かる…。

《追記》
・始めの数時間ひたすら最低評価(参加賞だのブロンズメダルだの)ばっかでゲンナリし続けるも、慣れるに従いようやく部分的にゴールド・プラチナ評価ももらえるようになり、面白さが分かるようになってきた印象。アクションが上手いとは言い難い筆者でも慣れさえすればしっかり楽しさは分かるようには作られてるんだなァと感心。まぁ忍耐、忍耐が肝要ですな。
ハアッ!!それでは困るぞッ!!
・操作がかなり複雑かつやたらアクションの種類が割にはレクチャーらしいレクチャーも無し(一度テキストによる表示があるのみ)でいきなり放り出されてあとは「戦闘中に使って自分でどーにかしてちょ!!」…で常にパニクりながらの操作を要求されるのが非常にしんどい…。任天堂ブランドのゲームとしては妙に突き放した投げやりな調整だなぁとは感じた。似たようなゲームが多数あるならばともかく、かなり独自性の強い操作方法なのにこの不親切さは、もうちょいフォローが欲しかったところ。斬新なのは判るんですけども、もうちょっとだけでもユーザ側に歩み寄って欲しいとでも申しますか、ね。

・小さいキャラが大多数、カメラはかなり引いた位置にあり、おまけに敵味方・更にはアイテムまでごった返して画面を埋め尽くす。攻撃などのエフェクトも合わさって画面がとにかくゴチャゴチャしていて見にくくて混乱しやすい。このカオス具合の中でリアルタイムに的確な操作を要求されんのが、やはり…、とにかくしんどい…(苦笑)。

・同じプラチナゲームス開発のベヨネッタと同様の気になる点なのだが、やたらとクイックタイムイベント的な通常の操作とは違う特殊な入力を瞬時に要求される事が多く、必要以上に覚えゲー的な色合いを強めてる要因になってると思う。この辺は好みの問題なんだろうが、個人的にはQTEが大嫌いだし、通常の操作とは勝手の違う物を道中に事前の準備なしに咄嗟に入力求められるのがかなり嫌なんで、減点要素って事で…。そういや、ベヨネッタもこの点で酷評したっけな自分…(また苦笑)。

・他に理不尽さを感じる点として初見殺し的なガード不能・前モーション殆ど無し・おまけに追尾機能付きとかの敵の攻撃が多く、しかもそんな攻撃を仕掛けてくる敵(しかもボスじゃなくてザコ)が同時に複数体出てきてそれが画面内に収まり切らず攻撃が画面外から飛んで来るとかやらかされると、ホントに痛感する。嗚呼…しんどい…(さらに苦笑)。

・カメラはほぼ固定で操作できないのだが、もうちょい融通の利いたカメラにできんものだったのか?繰り返しになるが、まったくの視界外からホーミング機能付きの体当たりやらミサイルやらを連続してして食らうと、非常にストレスに感じる。敵のいる方向に矢印付けるとか、攻撃しそうな敵がいる方向に警告表示付けるとか、画面外から何らかのアクションが入るなら何らかの表示を出して理不尽と思われんような工夫は欲しかった。

・謎解きや特定のボスの倒し方で判り難い箇所、入力判定が妙にシビアな箇所が多い。あるボスでは片手を壊した後、「もう片方に橋渡して渡るんだな」と思って入力しても場所がちょっとズレてたせいで「駄目」判定、「違うのか、じゃあどうすんだ、これ!?」とかずっと止まってしまったりとか。QTE関連のイベントには判定が妙に厳しい場面もあったりして、これまた理不尽に感じる部分は多い。

・ステージ開始時のロード時間は20秒近くかかる。最初に軽めのロードが入ってヒマ潰しアクションできるんだけども、もうちょい短くなんなかったのかなぁ…ってのが率直な印象。

・ヘタレの筆者が遊ぶと大半のミッションが最低評価(参加賞とか)続きで、ゲーム側からひたすら「ヘタレ〜!ヘタレ〜!」と連呼されているようで、一層気持ちを折られる(ひたすら苦笑)。

・敵味方ともに女性キャラクターが出てくると途端に直接的な下ネタが増える。この辺りの下品さは人によってはかなり嫌悪感に繋がりかねん描写が多い気がする。個人的にはあんま気にならんタイプですが。

・ステージ途中で洞窟や物の影に隠れるシーンではゲームパッドの液晶側に画面表示が切り替わるのだが、ここがまたクセモノ。上からの俯瞰視点ではなく自分視点に事前説明ナシで切り替わり、更にカメラ操作の説明が一切無い(あったかもしれんが少なくとも筆者は見つけてない)ので位置・状態が全く把握できず混乱する。
すなわち!!感想なのだッ!!
 とりあえず個人的には、遊んでいて感じるのは『面白い』より『しんどい』、ここに尽きる。難しいって感じる要素が一つじゃなく、操作の方法、要求される操作の正確さ、トリッキーで陰湿な敵の攻撃など色んなベクトルの難しさが絡まり合って一気に襲ってくる手の難しさゆえ、余計タチが悪い…。更にタッチパネルで正確・迅速な操作を要求されるQTEの多用、ごちゃごちゃと狭い画面に入り乱れて状況の把握もままならぬ画面構成…。いやー、アクションを楽しむとか言う余裕が…ない。ほんと……もう…ちょっと手加減して……(苦笑)。《追記》まぁ、慣れてくるに従い、ちょっとずつ手強いなりに楽しさが分かるようにはなってはきた。操作が特殊な上にやたら投げっ放しなんで不親切さ全開なんだが、ひたすら我慢して遊び続け操作に慣れてくれば地が丁寧に作られてるだけに楽しさは分かるような作りになってるのかとは思う。

 謎解きにもアクションにも多用する特殊なアクションがあると言う点ではかの傑作「大神」(図形を描いてその場で効果を発揮させる点だとか、プレイ感覚が非常に近い)、道中にQTEがやたら用意されている点やゲーム自体の骨太さ・更には一見王道的に見せかけといて結構なバカゲーである点なんかは「ベヨネッタ」、コミカルなアメコミ風のヒーロー物&ちんまいキャラがちょこまか動くって言う演出の方向性は「ヴューティフル・ジョー」と見事にプラチナゲームス(旧カプコン・クローバースタジオ)らしさ全開なゲーム。
 その中でもやたらと難しくてパッと見の可愛らしさ・ポップさに反して敷居が高い作りなのは「ヴューティフル・ジョー」に近い極悪レベルの難易度設定だなぁと感じた。まぁ全体的にヘタレとは言えども30年TVゲームを遊び続けてる筆者みたいな人間でもノーマルモードだとまるで手も足も出ないんで、遊んでいて「面白い!!」って感じる以前に「ひたすらしんどい」ってのが先行してしまうバランス調整なのが惜しい(こりゃノーマルは無理だと思って速攻イージーに逃げ込んだが、それでもとにかくしんどい…)。アドベンチャーではなくバリバリのアクションだから「大神」くらいユルい難易度にしてくれ、とまでは言わんですけど、もうちょい遊んでて辛さを感じないバランスだったら良かったなァ。あと、敵や咄嗟のイベントにやられた際「自分がミスったから死んだ」ではなく「避けようのない攻撃でボコられて死んだ」って理不尽に感じられる点がやたら多かったのは惜しい点。ゲーム全体が高難易度ならばプレイヤーがミスした理由がはっきり分かる&自分がヘマったせいだと思える作りじゃなきゃイカンかったと思うんだな。一通り(低難度で)クリアしてみての印象としてはカメラの出来やステージ構成は洗練されてたとは言い難い。

 似たようなゲームがあるでもなく、すっごく丁寧に一からシステムを練り上げて作られた作品って印象は強いし要所要所で製作者のコダワリも感じられる骨太なゲームだとは思うんだけど、「さあ猛者共よ!この帝王たる余にかかって参れッ!!」(←なんだそりゃ)みたいな硬派で手強すぎる内容に感じるのね…。かの名作漫画・北斗の拳で例えれば『拳王ラオウ』、食べ物で例えれば『本場の印度カレーしかも超激辛』、芸術作品で例えれば『ピカソの絵!!』みたいな。本物・本格派・王者・猛者・至高の存在である事は認めるけど、もうちょっと…ちょっとでいいからお手柔らかにお願い…みたいな。なんか泣き言全開になっちゃいましたけども、合う人にはとことん楽しめる内容だと思いますよ…。ゲヱム道・アクション道を究めたい方、是非どーぞ。明らかに「選ばれし勇者のみが遊ぶゲーム」っぽいんで、選ばれし勇者じゃない並のユーザーさんは相当な覚悟持って挑まんと、あまりの壁の高さに泣かされる事必至(=筆者みたいなヘタレ系と思われる類の人は特に)。

掲載日:2014年10月27日
更新日:2014年11月10日


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