ゼルダの伝説 風のタクトHD
メーカー:任天堂
開発:任天堂情報開発本部
機種:WiiU
発売年月日:2013年9月26日
価格:5985円
ジャンル:アクションRPG
映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
8 | 9 | 7 | 7 | 7 | 8 | 8 | 76 |
良き哉。 |
・他機種のHD化なんてのは大半がほぼベタ移植の範疇に留まってて「そんなんで何千円も取るの!?」なんてのが大半だったりしたが、このゼルダは全編に渡ってグラフィックそのもの(モデリング)や描画のスタイルそのものに手が加わっている豪華仕様。ただ高解像度化しただけで返って粗さばかりが目立ってしまう手抜きHD化ゲームとは格が違う!!ハード性能に合わせて出来る事をしっかり実装してくれる姿勢は、他のメーカーも絶対見習ってほしい部分だな。 ・1度クリアする必要なく、最初からハードモード(敵からのダメージ倍など)が選択可能なのは良いと思う。ゲームキューブ版経験者かつ上級者の方なんかは「何度もクリアしてんのにまた簡単なモードなんて遊んでられるかッ!」ってなると思うので。筆者的には何回もクリアしてようが腕前はヘタレ級なので、ノーマルモードでまったり…。 ・ゼルダシリーズとしては微妙な出来だった『風のタクト』だが、全メーカー全ハード・並ゲー糞ゲーひっくるめて比較すりゃ(さすがに)やっぱり完成度自体は高い。ゲーム性自体は98年発売の『時のオカリナ』で完成しているシリーズなので、今遊んでもしっかり一本のゲームとして通用する面白さはある。本作『風のタクト』は3Dゼルダの中では戦闘も謎解きも比較的シンプルにまとまっていて難易度が低めなので、「他のゼルダが難し過ぎるっ!」とか「3Dゼルダはあれこれやる事が多岐に渡り過ぎて、どうにも荷が重い…」と敬遠されてる方でもしっかり楽しめる内容だと思う。 ・大きく手が加わってるのは映像部分くらいだが、細かい部分の挙動の改善など、快適性を上げるための工夫が為されてるのは良し。いずれも欠点自体が100%消えてるワケじゃないのは残念で無条件で喜べないけど、改善のために手が入ってる事自体は評価できるのではないかな、とは思う。 |
イカンぞな。 |
・テレビ画面にはマップが表示されない。ゲームパッドには常時表示させられるけど、位置が離れてるから常時確認できるわけじゃない、…故にダンジョンなんかではひっきりなしに視点を上下・手前奥に行ったり来たりさせる必要があって返ってめんどくさい。WiiU、特に任天堂のソフトは全般そうだけど、二画面を使いたがるあまりに利便性が犠牲になってる作品が多過ぎる。こう言うハードの機能を無理矢理使うために快適さが犠牲になる『お仕着せ仕様』ってのが個人的には昔からずぅーーっと嫌いで、「改善せぇや!」・「使い易さ優先で設計すべし!!」って繰り返し繰り返しアンケートに記入して送ってるんだけど、一向に改善する気配なし。デフォルトで『画面すっきり』モードを優先するならそれはそれでいい。せっかく画面を広く使えるワケだから、テレビ画面にゴチャゴチャと情報をまとめる旧来式の設定ができるようにしてあってても当然だと思うの、個人的には!!(力説 ・大きく変化してるのはグラフィックくらいでゲーム内容自体は原典とほぼイコール。なんで、原作を遊んでる自分(しかも複数回クリアしてる)みたいな人間にとっては殆どワクワク感は無い。謎解きとかも一度クリアした物は何となくおぼろげに覚えてたり指が勝手に動いてくれたりするもんだし。ゲームキューブ版より綺麗とは言ってもゲームとして面白くなったかって考えると別に全然その点は変わらんので、マイナーハードだったゲームキューブの購入を控えて遊び損ねてた方や、あくまで新しくなった映像に魅力を感じる方向けなんでしょう。 ・また、そもそもの元の『風のタクト』自体が(あくまでゼルダという括りでは、だが)イマイチな完成度でボリューム自体も控えめ。他機種・メーカーではただ解像度上げただけ or 良くてテクスチャをちょっと手を加えた程度な物が大半を占めるHD化作品の中では充分手は加わっているが、ゲーム部分が大きく底上げされてるわけでないので、原典からの欠点もだいたいそのまんま。露骨なフラグ立て・お使い作業がやたら多いだの、海での移動が退屈で漫画片手に着くまで休憩できる(敵がほぼ出ない昼だと方向指定してトイレ休憩可)だの、ダンジョン難度のバランス調整がシリーズの中では大味だったりするだののも一緒。筆者は終盤までまだ到達してないが、後半ダンジョンがスカスカで数が少ない上にゼルダシリーズ中で最もタルい作業である『タライとホースのサルベージ』(水に埋もれてるだけに正に『水増し』なアレ)もほぼそのまんまと思われる。《追記》『船の退屈な移動』に関しては、高速かつ常に追い風なる破格性能の帆が手に入るようになり、移動は格段に楽になった。ただ、アルツ個人としては終盤の物探し以外は攻略サイト・本とか見ながら遊んだわけでもなく、入手方法が『オークションで出品される賞品の内の一つ』かつ『ゲーム内で特にプレイヤーに存在は知らせてくれない』ため、ほんと終盤になるまで気付かなかった(たまたまヒマ潰し・気分転換にオークションに参加して初めて存在を知った位なんで、下手すりゃ気付かないまま終わってたかも)。ポスト機能で教えてくれれば中盤あたり、もっと楽できたのに…。『タライとホース』に関しては、多少改善されている。原典ではまずマップが手に入る→チンクルのボッタクリ解読屋でマップを読めるように→ようやく海から引き揚げ作業を開始できる…の多重の水増しが行われていたが、本作では半分くらいが直接カケラが入手できるようになっており、作業感については多少薄れたとは言えるか。ただ、竜頭蛇尾的な展開や作業感を覚えてしまう構造自体が改善された訳では無いのでやはり不満点としては残るかな。 ・一部操作の操作性には疑問符も。原典ではどうだったか忘れたが、リンク自身が持つ剣(Bボタン)と敵から奪った武器の使用(Aボタン)が違うってのは混乱する。そして、ゲームパッドでの弓やフックの使い勝手の悪さ。右側に右スティックの昇順移動とアイテム使用が割り振られているが照準を移動して即使う事ができないのは何とかして欲しかった。「ジャイロ操作でカバーしろ」って事なんだろうが、細かくぶれる関係上、操作性良好とは言い難し。 ・絵は描画方法自体が変えられ相当綺麗になっているが、やたらコントラストが強め(明るい所と影の部分の所の明度差がキツい)ので、好みは分かれるかも。個人的にはくっきりした絵は嫌いではないが、のっぺりだったが物の判別がし易かったGC版と比べると、見易さと言う観点ではちょっと劣化したかな…とも思う。 ・細かい点だが、敵を倒した際に出現するアイテムが敵を倒した場所付近に散らばる仕様になっているので、穴の上を飛ぶ敵だとか崖の傍にいた敵を倒した場合、ルピーとかアイテムがバラバラーッと穴の底に消えてしまうケースが結構多かった。一度出現したアイテムがどう足掻いても取れずに穴に落ちてくとかションボリもいいとこなんで、ちょいとばかり散らばる場所に補正かけてくれると有り難かったのだが…。 |
感想也。 |
ゲームキューブで出た『風のタクト』のHD化作品。PS3等で多く見られたほぼベタ移植の高解像度化ではなく、全編に渡り映像が作り直されている手の込んだ仕様。ただしその分が値段に跳ね返ってきて、ゲーム内容自体はほぼ変わらんけどフルプライスってのは少々割高に感じられるかもしれない。ダンジョンが少なく後半なんかは痛恨のガッカリ仕様、密度スカスカでやる事が少ない海の移動がひたすらタルい等の欠点も相変わらずゆえ、どちらかと言うとゲームキューブ版をプレイされてない方向きかと。3Dゼルダにしては難度が低めで馴染みやすい&ゼルダとしては完成度はイマイチ級でも全ての世にあるゲームと比べれば高レベルなのは間違いないわけだし、遊んでない方には一度手に取ってみて欲しい作品でもある。 とりあえず、国内ではハーフミリオンさえ苦しくなりブランド価値がガタ落ちになってしまったゼルダでさえ出してくれたんで、同じゲームキューブの『スーパーマリオサンシャイン』や名作と名高い『カービィのエアライド』あたりもこっそりHD化期待。個人的な超お気に入り『F-ZERO GX』とかプレミア価格で手が出しにくくなった『FE蒼炎の軌跡』なんかも出してくれればうれしいけど、…流石にムリか。 |
掲載日:2014年10月6日
更新日:2014年10月27日
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