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ブレイブリーデフォルト
メーカー:スクウェア・エニックス
機種:ニンテンドー3DS
発売年月日:2012年10月11日
価格:6090円
ジャンル:RPG


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 8 8 8 8 8 7 80
プレイ時間…100時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ふぅん…。藤木君、僕は君さえ良いなら別に
それで良いと思うよ(永沢君の声で)
<システム・バランス>
・ゲームのタイトルにもなっている『ブレイブ(ターンの引き出し)』『デフォルト(ターンの貯金)』がなかなか面白い試み。前借りした上でそのターンの内に敵を倒し切ってしまえば実質ペナルティが無いので、ザコ戦ではほぼ『フルにブレイブして速攻で殴り殺す』一択になってしまうのは残念だが、ここぞと言う強敵では巧く活きてる感はあらかじめデフォルトでターンを溜めといてピンチになったら複数行動して複数の仲間のHPを回復させるとかできるし、何より他のRPGでは今一つ存在価値が無くなりがちな『防御コマンド』に大きな意味を持たせてるところに見どころがあるとは言えそう。コマンドの入力の面倒さ・テンポの悪さに改善の余地はあるけれど、古典的なコマンド型戦闘の発展型としては面白い試みとは言えそう。

・ファイナルファンタジーのナンバリング作品の3とか5あたりに通じる、ジョブやアビリティのシステムが良く出来ている。キャラの育成が純粋に楽しい。そして、そのキャラの育成に必要な戦闘の繰り返し作業自体が苦にならないのが良い。システムとして目新しい要素でも無いと思うが、ヘンに尖ってなくて馴染みやすく、安心感はある。

・常に下画面の方に次行くべき所が表示されるんで迷うことが皆無なのが楽。ちょっと親切過ぎる気もするけど、まぁ、不親切でどこ行けばいいのかまるでワカランよりはマシか。

<演出部分>
・グラフィックがフォトリアルと違ったどこか絵画的・ジオラマ的な表現に味があって良い。いかにもファミコンとかスーパーファミコンとかの世代の絵の路線を変えずに進化させて豪華にしたらこうなる!!…ってテイストの暖か味のあるデザインと言えるか。飛び出す絵本的な表現ではあるけど、安っぽいわけでもなく。リアルだとか写実的だとかいう路線とは違うのだが、それとはまた違った暖か味だとかまろやかさがあって良い。3D表示を強めにしたときの立体の効き方も凄く凝ってるなあと思える作り。

<シナリオ部分>
・シナリオの出来の方は別に「凄く良い」ってレベルでもないが、近年の日本製RPGにありがちな変な造語とかよくワカラン単語のオンパレードとかって事もなく、進み方にしてもオーソドックスで安心して見てられる展開ではある。
エェーッ!?カツオくん、それは
ないんじゃないかい?(マスオさんの声で)
<システム・バランス>
・『ブレイブ』によるターンの前借が雑魚戦での前提となってくるが、そうなると1ターンの戦う選択のために『決定』する回数がやったらめったら凄い事に。ここまで選択枝が一極化するなら『全員ブレイブをフル前借で戦う』を1コマンドとして入れてくれればちょっと助かったんだけど。ああと、十字キー左右入力での決定・キャンセルが暴発しやすいのが困る(アナログスティックだと特に顕著)。個人的には別に片手で遊んだりしないから全然旨味が無い蛇足的な機能。こう言うのってON/OFF切り替えできれば良かったと思うのだが。

・従来型のRPGでセーブデータが1個しか無いってのが辛い。このソフトに限らんけど、3DSは標準でSDメモリが付属してるんだし、そっちの方に好きなだけデータ保存とかできないもんなのかな?

<シナリオ部分>
・シナリオは王道・直球勝負で見てて安心感はあるけど、安っぽい『勧善懲悪』路線が目立つのは残念ではある。「そんな悪い事は駄目だ!」とか「何故そんな非道な事を!!」とか甘っちょろい台詞吐きまくりの主人公一行が、結局必要以上に相手を虐殺しまくってるのには絶句した(苦笑)。結局のところ『自分の意見と合わん相手は悪だからぶっ殺す』に終始してて、いとも簡単にコロコロと人が死ぬのが悪い意味でFF的。簡単に人が死ぬ一方で、部分的には登場人物の死を物語的なクライマックスとされてる部分もあるアンバランスな構成のせいで、「何であの人が死んだときはケロッとしてたのにこの人の時だけこうも引きずるの?」とか、人の死に対する主人公たちの反応に対して、後味の悪さや違和感が拭えず。あと、露骨なお使い型のイベントの比率が高過ぎる気がせんでもない。あと、終盤の展開は意外性狙いにしても、ちょっと反則な気がする。後のシリーズ作品だとかHD2D系の作品だとかスクエニ・浅野氏チームのRPG全般で言える事だが、少々テキスト周りは弱いと思う。

・シナリオの内容自体はごくオーソドックスだと思うが、ところどころ重要なポイントでメタ的な要素をねじ込んで来て、それが結構な興醒め要素に思える点は惜しい。

<演出部分>
・街とか絵的にすごく豪華に作られてる割には、中に入れたりイベントがあったりする場所はごく限られていて、かなり簡略化されている。迷わないって点では良いんだろうけど、どうもシンプルになり過ぎて逆に素っ気なく感じたりもする。
いいか、しんのすけ。みさえにはナイショだぞ。
感想なんだけどな…(野原ひろしの声で)
 『悪かった点』の欄の方にズラズラと書き連ねてしまってはいるけど、まあ時間を忘れて没頭できる優れた内容の作品であることも確か。ジョブシステムや戦闘での連撃なんかは初期のFF作品を意識させられるし、何よりそれらの名前がFFそのまんまだかんね(笑)。開発元とかの系譜的にはDSで出た『光の四戦士』に連なる内容って事になんのかな。ちょっと奇をてらった作りだった『光の四戦士』と比べると、オーソドックスでストレスを感じにくい内容になってるのは良かったと思う。

 王道を意識する余りに少々単調で先の読みやすい勧善懲悪的な色合いの濃い事、メタ的な要素が鼻につくなど、シナリオ部分の弱さだとかクセは気になる部分ではあったが、全体としてはしっかり遊べる骨太内容に仕上がっていたかと。

掲載日:2012年11月5日
更新日:2025年9月23日


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