縮緬遊戯堂　レビューランド　ゲームレビュー　《3DS　大合奏！バンドブラザーズP》

大合奏！バンドブラザーズP
メーカー：任天堂
開発：任天堂企画開発本部、インテリジェントシステムズ
機種：ニンテンドー3DS
発売年月日：2013年11月14日
価格：4800円
ジャンル：アクション（音楽・作曲/演奏）

映像	音楽	快適性＆操作感	独自性	難易度・バランス	ボリューム	総合評価
6	8	5	6	6	6	61

プレイ時間…10～15時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点

良かですたい！

・パート数が増えた事、音質が向上した事は音ゲーの本作には純粋に恩恵大。多人数で合奏プレイの時は他の楽器が聞こえなくなるんでともかく、一人で遊ぶときは音質の関係でヘッドホン推奨。

・前作まではDLできる曲の数に割と厳しい制限があったが、今回はSDカードに保存され曲数も3000曲とほぼ無限大！！あれこれ考えずにあれこれ落とせるのは嬉しい（ま、あんまり渋ってると賞味期限のあるトマトが腐るって事情もあるが…）。

・初期で入ってる曲が4曲しかないが、新品で買ってるならば100曲ダウンロード券が付いてくる。100曲以上入ってるのと一緒ゆえ、その点ではお得感はある。ま、DLする（探す・絞るなどの作業）のが結構めんどうだったりするけど。

ダメですばい。

・まず一点。ニコニコ動画と任天堂が結構いい関係（ってか資本関係か）なのは分かるが、だからと言ってバンブラをそのままニコニコ全開仕様（ニコニコからデビューした人の曲を一番前に出して宣伝とか、ニコニコで受けてるボーカロイド推しの仕様だとか）がちょっと特定の層に媚びすぎで若干嫌気がさす。前作の間口の広さを切り捨ててまでそこに固執する理由が分からない…。

・新要素のボーカロイドでの作曲や演奏は画期的で面白いが、ちょっと前面に出過ぎている感あり。大半がボカロありの曲だらけなのも「なんだかなァ…」という気分に。嫌とは言わんけど、ボカロ有の曲だとボーカルの部分しか耳に残らなくて演奏してるって実感が薄いのよね…。

・他のユーザーが投稿した曲をダウンロードして遊ぶことがとにかく大前提。ネットに繋げない場合、最初から入ってる4曲しか遊べないというのは切ない。任天堂自身がアレンジしたゲームの名曲とかも無いのが寂しい。全作DXみたいに任天堂作成の曲、任天堂にまつわる曲が20曲くらい用意されてると嬉しかったのだが。

・DL曲に関しては、さっと聞いてそのままDLしても大丈夫なのは任天堂が作った曲くらいで、他の曲はだいぶ当たり外れの差が大きい。具体的には、聞いて見ると良い曲だがパート毎に演奏するとずっと待ちっぱなしとか逆に連打スピードがとんでもない物とか、見てくれは良いけどゲームとしては微妙な物が多い。…ま、そりゃま素人投稿曲ですもんねえ。ただ、その辺の素人の曲でもバランス的にある程度修正された物がリストに上がるとか配慮が欲しい。大半が素人曲になるのだからバランス面での後押しは是非欲しかったところだが。

・このソフト自体の盛り上がりが前作ほどではないようで、DL曲の増え方がかなりおとなしい＆増えてくジャンルにかなり偏りがあって、個人的に欲しいような曲が一向に増えていかない。ポップス（ただし最近のもの）とかボカロ系の楽曲など、一部はそこそこのペースで増えていってる感じはするが、それ以外はさっぱり。頑張って投稿してる職人さん（他のユーザー）頼みになっちゃって職人さんの好みの物以外は増えていってないんだろうけど、任天堂自身がもうちょっと少ないジャンルを底上げしてくれると売れしいんだけど…。

・「曲が無いなら自分で作れ」ってのがこのゲームのスタイルだとは思うが、ある程度音楽の素養が無いと完成まではまるで無理。作曲ツールとしては比較的やりやすく作ってあると思うけど、手探りで作れるほど甘くはないようで。んでもって、投稿への敷居は更に高く、一定のレベルに達してないとばっさり切り捨てられておしまい。素人が投稿した面白くない曲を切り捨てるのは品質を保つ上で大切だとは思うけど、『誰でもどの要素も楽しめる』っていうのとは相反してるよなあ、とも。素人目には両立は無理だと思えるからこそ、開発陣にはその敷居を取っ払うだけの画期的な何かを作って欲しかった。無茶な要望かもしれんけど。

・ゲーム始まったらいきなり放り出されて「ここで収録しなさいよ（顔写真撮られてあーあーと声録音してボカロ収録1回）」、「ちょっとここで演奏しなさいよ」（ビギナーモードを1回）、あとは勝手にどうぞ。……お、おぅ。最近の任天堂のゲームと比較するといやに投げっぱなしやですね…。

・UIがちょっと洗練されてないよーな。ボタン操作がある時点で駄目になってタッチパネルしか受け付けないとか、前のDSの時の初期のゲームじゃないんだから、こんな面倒な操作系のままにしなくても…って思うのだが。ダウンロードできる曲を探すときのソート機能なんかも痒いところに手が届かない作りで上手く絞り込みが出来なくてイライラする。更新で色々改善された点もあるが、こんな所は言われるまでもなく最初からちゃんとした作りであって欲しかった。

感想ですけん。

　ゲームとしての完成度が高かったDXに比べ、あちこち随分と歪な作り。現状、ゲームソフトとしての出来は悪いけど前作（DX）の方が遥かに上で、ジワ売れした過去作に比べ伸びの無い売上（DX：約50万→今回：数万本ちょい）もそれを物語っている気がしないでもない。

　せめて任天堂が製作した楽曲くらいは初期の段階で入っててくれてもいいと思うし、あんまりボカロが前面に出てる（大半がボカロ曲・ボカロが合奏と言う要素そのものと相性が良くないように思える）せいでバンブラって感じも失せる。現状ではダウンロードできる曲のジャンルにだいぶ偏りがあるし、曲数自体も褒められたレベルじゃない。追加曲購入に別途料金が必要でしかも結構高い等、前作でのお得感はバッサリ無くなってしまった感もあり。追加で色々改善してくれてる点はありがたいとは思うけど、『言われるまでもなく最初からちゃんとしとけよ』って部分も多い。

　シリーズ作と言う事で以前の作品との差別化とかも大変なんだろうけど、特定のユーザ層にのみ媚びた方向性とか従来の良さまで捨て去ってしまってるだとか、色々と残念な所が多かった。

掲載日：2014年1月20日
掲載日：2015年12月21日

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