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ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
メーカー:スクウェア・エニックス
開発:アルテピアッツァ
機種:ニンテンドー3DS
発売年月日:2013年2月7日
価格:6380円
ジャンル:RPG


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
7 9 6 6 6 9 8 70
プレイ時間…70〜80時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
良ひですぞ!
・PS版『7』最大の欠点と言われた石版探しがかなり楽になったのは◎。レーダー標準搭載(レーダーが反応してる場所に絶対ある)なので、取り洩らす心配が無くなったのは良し。

・シリーズ有数の鬱シナリオ。人間の負の感情に焦点を当てた、一話完結型の細かいシナリオが多数連なったような作り(もちろん、背後の部分で根っこの部分のストーリーもちゃんと進行していくが)はドラゴンクエストの他のナンバリング作品では見られない手法で独特の味わいがある。『8』以降のドラクエはテキストの重みが無くなってしまったように感じるんで、余計この重いシナリオが何とも感慨深く感じられたり。

・BGMは迫力のオーケストラ音源。元の曲自体もかなり良かっただけにこれは好印象。

・物語を振り返る『あらすじ機能』搭載のおかげで少しプレイしない期間があっても話を思い出すのが容易に。『7』は細切れの話の集合体で細かいエピソードが印象に残りにくいので、この追加仕様はかなり有り難い機能と言える。

・フィールドが3Dになったのはかなり賛否が割れそうなのだが、戦闘に関しては元のイメージを残したままグラフィックが豪華に、かつ、テンポの良さも損なわれておらず。ここは特にマイナスとなる部分も無く。3DSの立体視も程よい塩梅で迫力アップを実現している。

・PS版での冒頭の遺跡での数時間に及ぶ謎解きはバッサリとカットされている。ここも賛否ありそうだが、「ダルい」と言われがちな部分だっただけに、評価してもいいとは思う(完全再現を期待してた人にとっちゃ憤慨モノかもしれんが…)。
イカンぞね。
・基本的には戦闘もフィールドもテンポが良くてサクサク進むんだが、その割に「快適性」の点をがっつり低くした理由はフィールドの仕様・カメラ周りの出来の悪さに拠る。まず、フィールドが以前のような見下ろし型でなく、PS2の『8』みたいな3D空間になった事による弊害がチラホラと。カメラが寄っているため、視界が狭い。ワンボタンでカメラが後ろに回り込む操作ができないのも今時不自由な事この上ない。で、更に酷いのが建物やダンジョンでの視野の狭さ。カメラの位置が余りにも主人公に近過ぎるせいで周りがロクに見えない。カメラの遠近を操作できないのが実にもどかしい…!細かい点だが、L/R同時押しでの視点リセットも、リセットした後の操作を受け付けない時間が極端に短いせいで視点リセット後に右か左かに微妙にずれてしまう事が多い。諸々含めてこの部分はどう考えても改悪でしょ。

・他、フィールド関係で気になる点としては、遠くの物が表示されず、近付くにつれていきなり表示される事が多い事、フィールドが細かいエリアに区切られている事なども見た目があんまりよろしくない(そのせいで広い世界を走り回ってるって感覚は全然感じない)。完全に3D化するのが性能的に厳しいなら、無難にPS2リメイク版『5』のような、ただ綺麗にしたリメイクにすりゃあ良かったのに…と思わずには居られず。敵との戦闘に入るのもシンボルエンカウント型に変更されたが、接触の仕方で戦闘の展開が変わるでもなし、狭い場所では結局避けられない、とあんまり良い印象が無い。シンボルエンカウントにした利点が全く感じられないってのが残念なのよね…。

・直前にPS版を遊んだから余計そう感じるんだと思うのだが、仲間との会話のバリエーションは全体的に少なくなっている。イベントに関係ない他愛の無い村人との会話後なんかの反応はバッサリ減らされててちょっと残念。

・PS版『7』で欠点とされた部分の塞がれ方が強引に感じる。冒頭の謎解きなんかはそれ自体がまるまるカットされてしまっている(テンポはその分良くなってるが)。また、『特技無双』とさえ言われたクラス間のバランスも大幅に変更されているのだが、その手法がやはり強引。上級職間の転職はその職でしか特技・呪文を使えなくなったのは残念。『独りでなんでも出来る』系のキャラは作れなくなった。バランス自体は良くなってると思うのだが、昔出来た事が出来なくなってるのは賛否ありそう。個人的にはこう言う「抜け道的な部分を直接強引に塞ぐ」的なバランス調整のされ方が嫌いなんで、もうちょい自然な感じで調整して欲しかった。もうちょい、さりげな〜く調整を入れて欲しい。PS版未経験の方なら普通に入っていけるとは思うが。

・すれ違い通信を楽しめるようになるにはゲームを数十時間進めないと駄目。妙に敷居が高めてしまってあって、ちょっと疑問に思ってしまう仕様。
感想バイ。
 PS1で発売された『ドラゴンクエストVII』のリメイク作。内容部分は見た目もバランスもかなあり弄くられている方であり、再現重視ではなく作り直し型と言える。

 ただ、色々「改善した」って割には退化しとる要素も多く、以前できた事を直接できなくする事でバランスを取り直すと言う強引な調整のなされ方、3D化されたフィールド見辛さ&カメラ操作の不自由さは特に気になる部分ではある。
 その他の部分はオリジナルの良さを引き継ぎつつグレードアップさせた感じで、全体としてはそれなりに遊びやすいし見栄えもするようにはなっている。簡単な方向にバランスが変更されてサクサクと遊べるようになった分、より一層『鬱シナリオ』を楽しめるようになったのが嬉しいネ!!(←嬉しいんだか鬱なんだか…)

 とは言え、改善されとる部分はそれなりに多いとは言えども、全体としてはわしは「微妙寄り」に感じてしまった。どうもバランス部分、難易度調整のなされ方だとか過去にダメだと言われた所の穴の塞ぎ方だとかあんまりにも力技に頼り過ぎな気がしてな。あとは必要の無いアレンジだとかムダな装飾と感じられる部分もあり、どっかチグハグ感が強いように思われたのも残念。ドラクエ7をやり直すと結局PS1版に戻っちゃうわしである。

掲載日:2013年1月28日
更新日:2021年2月16日


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