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ファンタジーライフ
メーカー:レベルファイブ
開発:ブラウニーブラウン、ハ・ン・ド
機種:ニンテンドー3DS
発売年月日:2012年12月27日
価格:5800円
ジャンル:アクションRPG


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初期版 完全版

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 9 6 7 8 10 9 85
プレイ時間…120〜130時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
よかですたい。
《全体、システム&バランス部分》
・出来る事は膨大だけどプレイヤーの技量・記憶力がとことん問われるだとか自由度がとんでもなく高いだとか言う事は無く、『作業ゲー』の範疇に入る内容と言っても差し支えないと思う。職を極めるにしても敵を倒すにしてもとにかく単純作業の連続…なのだが、これが意外と心地よいチマチマ感。内容的にユルさを残しつつ遊んでてしっかり楽しいってのは結構貴重な存在じゃないかなーと思うんですがどうですかネ?言うなれば、『キングオブ作業ゲー』(←一応、褒め言葉ですYO)

・レベルファイブ製の作品って、その時代で流行ってる要素をあれこれ詰め込んで、結果として中途半端な出来に仕上がってしまってる事が多かったが、この作品は色々詰め込みつつも1本のゲームとして破綻なく上手くまとめているように思える。…毎回こうなら良いのにネ!

《快適性部分》
・ユルい見た目に反し、挙動だとか技の性能&バリエーションだとか、そう言った部分の作りは意外に骨太な出来。基本的に、敵との戦闘は敵の攻撃をかわしつつボタン連打、で何とかなるが、連打だけでは出ない(しっかりタイミングを要求される)技とかボタン押しのタイミングで違う技が出たりとかもあって、アクションRPGとして遊び応えがある。特定の職じゃないと通用しないとか言う事も無く、自分の好みで割と何とかできるバランスも◎。

《シナリオ&テキスト部分》
・テキストがいい味だしてる…ってか、この毒含みまくりのテキストってどう考えてもこれ『MOTHER』だよね?…って思ったらMOTHERシリーズのテキスト・シナリオライターやってた戸田昭吾氏が参加されてるのね。ははー、道理でMOTHERくさいわけだ!(ってか、開発元のブラウニーブラウン自体がMOTHER3を制作してたし、3DSに機種が移る前なんかのメディアに公開された画面写真はまんま「それ」だったわけだが)

・ストーリー本編自体は直球な作りだけども、部分的には意外な展開もあり、進めるのが楽しみに思える出来。国内製RPGでありがちな専門用語地獄…なんて事もなく、判り易さを優先しつつもしっかり出来た内容だと感じる。

《グラフィック・サウンド》
・ヌケた感じのBGMはいい味を出している。場面によっては重厚な曲も用意されてて聞き応えアリ。ゲームを進める事でそれらの曲を自由に聴く事ができるようになるのも良し。ファイナルファンタジー等を手掛けた植松伸夫氏が本作も担当されとるとの事だが、従来の氏の作風と違った感じながら、コレはコレで良く出来たサウンドと思える出来栄え。

・グラフィックは全体的にデフォルメが効いた丸っこいデザインだが、見栄えは悪くないし動きも凝っている印象。しっかりちょこまか動いて生き生きしている。
だめですばい。
《快適性部分》
・ロードは結構長い&多い。建物の出入りやフィールドの切り替え時に毎回4秒程度読み込みが入るのは結構イラつく要素ではある。何せ回数が多い&頻繁なモンでねぇ。ここんとこ、もうちょっと何とかならなかったかなぁ。セーブにかかる時間も半端なく長いけど…まあ、そっちは勝手にオート発動するわけじゃないしセーブ容量自体も相当もでかいだろうから…まぁ許す(←えらそう)

・メニュー画面も全体的にモッサリ。開く頻度が高いので、もっとテンポよく操作できたら嬉しかったのだが。あと、現在何個アイテムを持ってるか常時表示されるとか、もうちょいカテゴリとか分かり易く分類されてると良かった。

・持ち物はイベントを経る事で初期の100から300まで拡張できるが、それでも全然足りない(アイテムの種類が異常に多い上に、消費アイテムは1種類で1個扱いだが装備なんかは1個ごとのカウントなんで)。

・中ボス以上の敵倒したりだとかデカい樹伐採したりだとかするともれなく大きなアイテムの箱が出てくるのだが、これの中味を入手するのがまた面倒。ダンジョンの奥底から攻撃を受けないように街の真ん中とかにあるギルドまでわざわざ1個ずつ運ばないといけないのが手間かかり過ぎ。

《システム・バランス部分》
・各職業でのアイテム加工がまったく同じミニゲームってのは芸が無さ過ぎ(料理・木工・錬金・裁縫・鍛冶でやる事が同じってのは…)。あと、コマンド入力に対してGoodとかExcellentとか表示されるのだが、これが入力の巧さではなくて純粋にその職のレベル判定されてるのは納得がいかない部分でもある。

・イベントの露骨な『お使いっぷり』は近年のRPGとしては最強級かと。シナリオで巧く誤魔化されてるしシステム面でも親切だから苦痛には感じないけど、人を選ぶ面はあるね、これ。

・困ってる人を助ける『サブクエスト』は大した物をもらえる訳でもなく、経験値を多く得られるでもなく、オマケ要素が用意されてるでもない。そんなんだから、苦労してあれこれアイテムを用意してもまるでメリットが無い。

・1つの職業だけをとことん極めるって遊び方はほぼ不可能。あれこれスキルを習得してないと早かれ遅かれ行き詰まるので、そう言った意味では案外自由度は高くない。
感想ですばい。
 タイトルを聞いてパッと思い出したのは初代XBOXで「超大作ファンタジー・オンラインRPGの登場!!」とか大々的に宣伝してたクセに肝心のオンライン部分がまるで実装できずに開発が頓挫した『トゥルーファンタジーライブオンライン』。現にタイトルの後半かぶってるしね。ファンタジー色が濃い世界観とか色々用意された職業に転職できるとか、これ多分、中止されたアレからアイディア転用してるよね…?実際の所はどうなのかはよく知らんけど、これ10年越しでの製品化実現ってことでよろしいですかねー?と言う事は…何と申すか…ご苦労様です(笑)。

 「悪いとこ」の欄にあれやこれやとズラズラ並び立ててしまったが、「遊んでてツマラン!!」と言うわけではなく、しっかり楽しめる内容であることは確か。ただ、UIの作りだとか細かい読み込みだとか快適性の部分では改善すべき問題点が多いように思う。

 内容については別に驚くような斬新な事はしてないと思うのだけど、レベルファイブ製ゲームだといっつも微妙なシナリオも日野社長でなく(←オイ)外部の実績のあるライターが手掛けており、王道ながらじっくり楽しめる出来。
 全体としては良い意味での独特のチマチマ感が何とも言えない心地良さ。一度始めるとやめ時が見つからない中毒性の高さがあり、気付くと数時間程度は簡単に吹っ飛んでしまう時間ドロボウぶり。個人的にはレベルファイブ製のゲームって既存のメジャータイトルのツギハギ的要素が多くて、そのクセ、ヘンにクドいアレンジがなされる事も多く、「ここの会社のタイトルは自分にゃ合わん味付けなんだよなー」と感じる事が多かった。…のだが、今作に限って言えばとりあえずかなり楽しめてたり。ただ、内容的には思いっきり『作業ゲー』の中に分類できる作りなんで、楽しいと思えるかは好みに依存する感じの内容でもあり。まァ、このチマチマ感、個人的には嫌いじゃないです。

 メーカーの宣伝では任天堂の『どうぶつの森』だとかに近いように言われてたけど、あの手の『スローライフ満喫系ゲーム』とは確実に違うスタイルのゲームゆえ、あの宣伝はどうかとは思う。ただし、出来自体は決して悪くない。
 たぶんね…わしと似た価値観・好みの、ファイアーエムブレムとかFFタクティクス系でチマチマと経験値を稼いでユニットを育てるのが好きな人、ゲーム内での導線が全く存在せずに「あとはご自由に。好き勝手にどうぞ!」とポーンと大海に放り出されるのがニガテな人・モノグサな人なら、本作も楽しめる可能性は大です。

 なお、本作の続編は一時期アプリ展開に躍起になってたレベルファイブの方針でそちらさん方面に方面に行っちゃったのだが、短期で終了とかしちゃって家庭用ゲーム機では(完全版的なのを除いて)続編も何も出ずに終わっちゃったのが至極残念。相変わらずレベルファイブはシリーズ作品の勢いを維持するのが下手だな、ホント!(苦笑)

掲載日:2013年2月11日
掲載日:2022年10月25日


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