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F-ZERO ファルコン伝説
メーカー:任天堂
開発:朱雀、任天堂開発第一部
機種:ゲームボーイアドバンス
発売年月日:2003年11月28日
価格:4800円
ジャンル:レース


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GBA版 WiiU-VC

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
6 7 7 5 6 6 63
プレイ時間…40〜50時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ウホッ、最高ですタイ!
・基本的には初代(スーファミ版)や同じゲームボーイアドバンスでの前作(FOR GBA)に則ったシステムであり、それにほんのりとXやGXといった据置機側要素(体力消費制のブーストやサイドアタック等の攻撃アクションの導入)新作という印象。派手さは皆無だが、まぁ堅実な作りで遊びやすいのが利点。

・F-ZEROシリーズとしては難易度はかなり低めでシリーズ入門用としてなら良いかもしんない。アニメから入るプレイヤーを想定してかシリーズの中ではダントツで難易度は緩い。アニメのゲーム化なので、まあ間違った方針ではないかと。演出面でもアニメをイメージした作りになっている。

・個別のテクニックを磨く事ができるゼロテストはなかなか面白い試み。オール金メダルゲットはかなり歯ごたえがあり。タイムアタックもかなり燃える。コース数が多めなので、はまれば長く楽しめるはず。やや作業的になりがちなのは難点だが。
ぬほッ、駄目ですぞな!
・わしのような古参のエフゼラーだとグランプリやストーリーは1回もやり直さずにぶっつけで最高難易度までクリアできてしまい物足りなさがある。せめてグランプリに最高難度の「マスター」クラスは欲しかった。

・スーパーファミコン版『F-ZERO』のコースも収録されているが、何故かデスウィンドだけは収録されておらず完全再現でもない。中途半端さにややガッカリ。

・体力消費制のブーストや左右に攻撃できるサイドアタックの導入など、『F-ZERO X』、『GX/AX』の要素も取り入れているが、ブーストに関しては重ねがけできないのでイマイチ爽快感がなく、サイドアタックは繰り出した瞬間スピードが大きく落ちるのが不満。おまけにグランプリでいくら敵を破壊してもスペアマシンが増えないしライフも回復しないので、『とりあえずGXに寄せてみた』感しかなく、ゲームとしてのまとまりは悪い。

・マシンの台数は30台と、GBAでの前作の3倍も用意されているが、能力は使い回しで1台毎の個性は薄い。「シルバーニールセン」、「ザ・スカル」ら等、カードeが無いと絶対に使えないパイロットのいるのは不満。色々買わないと隠し要素が揃わないという近年の任天堂のソフトにちらほら見受けられるやり方はやめてもらいたいのものだが。あと、ブラックシャドーなど極端にコーナリング性能の悪いマシンは、そもそも壁にぶつからず完走できるように作られていないっぽいなど、細かいパラメータのデザイン部分でお粗末さも露呈しておる気が…。

・グランプリでは同時に3〜4台までしか画面に表示されず、せっかくの沢山用意されたマシンが活かされていない。しかも、ショートカットに失敗して大幅にタイムロスしたのに順位が変わらない等、敵マシンのAIの作りの不自然さが目立つ。

・ミストフローなど極端に視界の悪いコースだとか、ムダに覚えゲー化するだけでちっとも面白くない。そういう無理矢理な難易度の引き上げ方は理不尽なだけであり、ゲームの完成度を高めるには役立たんと思う。まぁ続編のCLIMAXで緩和された辺り、反省はしてたと見るべきか(苦笑)。
感想だべ。
 全体的にそこそこまとまってはいるが、完成度の高かった前作と比べるとアニメに合わせてやっつけ仕事で「エイヤッ!」とばかりに作ったような粗末さがかなり見られ、わしとしては不満の残る出来ではあった。

 仮にこの作品の位置付けが入門用だとしても、この半端な内容じゃ役割を十分に果たせたかは怪しい。今にして思えば、F-ZEROって任天堂の中では中堅以下の弱小シリーズが原作のゲームと異なる設定でアニメとして登場した事、そしてメディアミックスと称して半端な完成度のゲームを半端な性能のゲーム機に出してしまった事こそがF-ZEROシリーズにトドメを刺してしまった一因とすら思えるんじゃが…。

 当時を振り返ってみると、ちょっと任天堂らしからぬ安易な展開だったとは思う。

掲載日:2004年7月22日
更新日:2021年8月10日


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