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ファイアーエムブレム 封印の剣
メーカー:任天堂
開発:インテリジェントシステムズ、任天堂開発第一部
機種:ゲームボーイアドバンス
発売年月日:2002年3月29日
価格:4800円
ジャンル:シミュレーションRPG


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GBA版 WiiU-VC版

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 8 10 7 8 9 7 91
プレイ時間…1000時間以上
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
陛下!素晴らしいですぞ!
《バランス・快適性》
・全体的にゲームの根幹となるシステム面はシンプルで完成度なものに仕上がっている。目新しいシステムは目立たないが、これまでのシリーズの良い部分を上手く取捨選択しつつ分かりやすさ第一で再構成した物に仕上がっている。スキルは廃止され一見地味になったものの、運に頼る大味な戦闘から解放され、キャラごとの格差が小さくなったって点では良かったとも。これまでのシリーズで見られた全く成長しないハズレキャラもいなくなり、どのユニットにもそれなりに見せ場があるバランスが個人的にはかなり嬉しい。

・前作と同様に操作性は非常に良好な他、シリーズで初めてチュートリアルが用意された。スムーズでわかり易い操作感やRボタンでアイテムやキャラの説明を見ることができるヘルプ機能も搭載。丁寧でユーザーに優しい作り。前作以前に比べると間口が広がった印象。

・クリア後は難易度がUPしたハードモードも遊べる。ノーマルモードでは見せ場の少ないお助けユニット(ジェイガンやゼロットら最初から強いが伸びないキャラ)を上手く活用する必要があり、ノーマルモードと違った戦略が要求される面白さがある。

・電池切れのリスクを抱える携帯機での作品である事を考慮してか、戦闘中はリアルタイムでオートセーブされるのが親切。電池が切れても絶対安心である。

・成長率の悪いユニットでも「レベルアップしても何も上がらない」といったことが今までより格段に少なくなり、徒労感が無くなった点は嬉しい。

《グラフィック・サウンド》
・戦闘アニメはキャラ小さいながらも非常に良くできている。滑らかな動きは見ていて飽きない。

・支援会話システムは、キャラクターの色々なエピソードがわかり嬉しい。ストーリー上では台詞が用意されていないような影の薄いキャラにもスポットライトが当たる、といった意味で良いシステムだと感じる。戦闘中に呑気な会話が繰り広げられるのはなんかアレでもあるが、それはそれで良い味も。

《シナリオ・設定部分》
・どこか変則的なシナリオだった前作『トラキア776』と比べると、王道的な内容に大きく回帰している。従来作に比べると敵・味方の勢力が分かりやすく描写されていて隠し設定的なものだとかユーザの想像に任せる的な描写は少ないんで、背景だとかは理解しやすい。
敵襲!そんなんじゃ死にますぞ!
《バランス・快適性》
・シリーズでも屈指の陰険さを誇った『トラキア776』のすぐ後の作品だけにゲームボーイアドバンスでの2作目となる次回作『烈火の剣』と比べると、バランス部分で少々意地悪さが残った要素も多かったとは思う(一部マップの敵勢力のやたらと複雑で陰湿な動きとか)。

・マムクート(ファ)が30回しか戦闘できず、竜石の修理もできないのは不満。SFC『紋章の謎』のように「竜石を使うと数ターン変身出来る」でも良かった気が。また、主人公ロイのクラスチェンジが異様に遅く、中盤から暫くはオトリや削り役といった地味な役回りに回りがち。輸送隊が独立したユニットになったが出撃で1枠食う上に鍛えるのがほぼムリ(戦闘で攻撃をかわして1ずつ経験値を稼ぐしか無い)のが辛い。

・クラス格差は大きめか。必殺率が高すぎるソードマスター&バーサーカー、動けて速くて特効も食らわない遊牧騎兵、武器が3種使えてスキが無いパラディン等が妙に強い。バランス的にも後のGBA2作品と比べると、上位互換とかなってしまう辺りは粗っぽさもある。

《グラフィック・サウンド》
・戦闘アニメの質は高いが、『聖戦の系譜』〜『トラキア776』と比べると動きのパターンがかなり減ってしまった点は残念。

・曲自体は悪くないと思うが、前作と比べると音質はこもった感じでやや悪い(次回作『烈火の剣』では大きく改善しているが)。

《シナリオ・設定部分》
・イベントや登場キャラクターは今までのシリーズであったお決まりのパターンが多く、完全新作の割には新鮮味に欠ける面は否定できない。

・全ての外伝マップをクリアし神将器を揃えないと最終章までいけない(→バットエンディング直行)ってのは条件がちょっと厳し過ぎる気もする。ヒントも少なめで、攻略情報が必須と思えるものも。
感想ですぞ。
 ファイアーエムブレムシリーズとしては初の携帯機向け作品で、シリーズの生みの親であり前作までのメインデザイナーであった加賀昭三氏が製作に参加していない初めてのファイアーエムブレムとなる。

 個人的には発売前は「生みの親の加賀氏抜きで完成度が維持されてるかねー?」と心配しておったが、実際に遊んでみると堅実な内容でしっかり楽しめるだけの作品であった。一方、シナリオ・設定部分でも、システム部分でも(他社からFE新作と謳った作品がほぼ同時期に出たせいか)やや守りに入ってる印象でお決まり的な部分が妙に多く、刺激・新鮮味って部分では新作の割には少々見劣りはした感もある。
 全体としては派手さは皆無だが、シリーズでもトップクラスの快適さを備え、非常に遊びやすい出来だったのが印象的。後の作品で増えたスキル等の要素が無く、純粋な数字でのやり取りでのFEって事で、システムがシンプルで分かりやすいのもGBAシリーズ(本作・烈火の剣・聖魔の光石)の特長。シリーズの初心者さんにも向いとると思いますぜよ。

掲載日:2004年6月23日
更新日:2021年4月13日


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