ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡
メーカー:任天堂
開発:インテリジェントシステムズ、任天堂企画開発本部
機種:ニンテンドーゲームキューブ
発売年月日:2005年4月20日
価格:6800円
ジャンル:シミュレーションRPG


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執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
6 8 8 8 8 9 7 86
プレイ時間…400時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
サイコーですやね
・難度調整の品質の高さが光る。ユニットを1マスずらす「体当たり」は移動距離を稼いだり移動済みのユニットをずらすのに重宝する。武器を所持しつつも装備させずに丸腰にできるなどの変更点も追加。どれも非常に地味な改良点ではあるのだが、確実に戦略の幅は広がっている。

・闘技場やEXマップ、ドーピングアイテムを売る秘密の店などの廃止によりユニット育成の自由度は下がったものの、ボーナスEXの振り分けによって自分の好きなユニットを集中的に鍛えられる等、カバー可能。半永久的に経験値や資金を稼ぐ方法が少なくなった事で、かえってシビアなバランスを楽しむという点では1ランク進化したと言えるかもしれない。

・メディアがROMカートリッジから光ディスクに変更され、グラフィックも3Dになった。それらの変更点により不安だったロードやセーブ、操作感についても遊んでみれば大きな問題はなし。これまでの作品ではややくど過ぎたチュートリアルも、わからない所だけ参照できるというスタイルに改善されストレスが減った。難易度も最初から3段階から選べるなど、幅広い層への配慮も嬉しい。唯一、オンマップバトルでのキャラモーションの鈍さにはイライラしたが…、まぁ許容範囲内か。

・ゲームボーイアドバンス3作ではやや薄味だったストーリー面も今作ではかなり力が入っている。「聖戦の系譜」ほど深み(裏設定の濃さなど)は感じられないのの、ベオク(人間)対ラグズ(獣)、クリミア対デインといった複数の要素の絡み合いが判り易い範囲で丁寧に描かれており、なかなか重厚でよろしい。主人公が亡国の王子様やら貴族のボンボンではない、竜以外にも獣や鳥の民が登場する等、シリーズのお約束を打ち破った設定、登場人物は新鮮で魅力がある。

・演出面の進化はあるものの、必要最低限といった感じで派手さは皆無。反面、演出が煩わしく感じることがないのは好印象ではある。BGMの重厚なオーケストラの演奏はこれまでのシリーズのものとはかなり違った仕上がりとなっており、一味趣の異なるものを作ろう、というスタッフの意気込みがうかがえる。
だめですやん
・これまでの物をただ3Dポリゴンにした、といった趣のグラフィックにはやや落胆もあり。特に戦闘でのキャラクターのモーションの不自然さが不満。特に戦闘の演出はアドバンス3作の方が迫力は上かと。

・ムービーの画質が悪いのが惜しい。汚いわけでもないが「美麗なムービー」と宣伝する程でもないわな。ま、「ムービー全開!!」なんて展開でも困るけど。また、残酷なシーンを省く事に注力し過ぎたのか、それがかえって不自然さや悪い意味での軽さに繋がっているようにも見える。

・バランス面では不満は少ないが、全編通じて平地での戦いが多く、地形を活かす機会が極端に少ないのが残念。あと、全体的に騎馬・飛行ユニットが能力的に優遇され、歩兵・ラグズは使いづらい気がしたな。使いやすさは騎馬>飛行>>歩兵>>ラグズ、って感じか。終盤は主人公や各国の王様が強過ぎて、地道に育てた他のユニットが全然目立たないのが悲しい。スキルはバランスを崩さない事を最優先にした事がうかがえるのは評価できるが「武器破壊」や「影」など、ありがたみの沸かないものばかりなのは疑問。一部奥義等は明らかに使えないようなものもあり、バランス調整面でやや課題も。

・取扱説明書などのクラスの説明がゲームボーイアドバンス版からの流用くさい。例えば、今作ではソードマスターには必殺率に補正が無いのに「必殺が出易い」などの説明がある。流用できるところを流用するのが悪いとは言わんから、直すべきとこはしっかり直せ。

・一部の謎がさっぱり判明しなかったり、全然物語に絡まない国があったり、明らかに続編を匂わせる作り(実際そうだったけど)。続編を出す流れを否定はしないが、それならば中途半端に間を置かずに出すべき。反対に言うならば間を置いて続編を出すならば、1つの作品として世に送り出す際、その作品中である程度はしっくりくる結末が用意されているべきではなかろうか?
感想じゃい。
 2004年11月の任天堂の試遊イベントで遊んだ時は色々と不安が残る内容だったのに製品版ではきっちり仕上げてくるあたりはさすがと言ったところか。シリーズのイメージを崩さずに上手く新要素を組み入れ、ここ最近の作品でのマンネリ感を打開。しばらく停滞気味だった感のあるシナリオ面での進化も見逃せない。「新生ファイアーエムブレム」に相応しいレベルに到達したと言っても良いんじゃないかな?ムービーが多少挿入された以外は総じて演出面が貧弱なので、据置機で出す必要性があったのかと考えると、すこ〜しばかり疑問にも感じてしまうのも事実だが、何よりも据置機でもファイアーエムブレムをまた展開していってくれる、という事実が嬉しい(笑)。ま、小粒な作品若しくは対戦偏重系のタイトルばかりだった近年のゲームキューブの作品としては久しぶりのじっくり遊べる大型タイトルといった感じで嬉しい限りだった。今後の据置機でのファイアーエムブレムにも期待できると言える内容だったかと。

 あとは急がず慌てず、じっくり作り込んだモノを出して欲しいですわな。ここ数年は年に1本は新作が出ている。「烈火の剣」や「聖魔の光石」のように急いで作ってバグ・誤字脱字が目立ったりボリューム不足のままをリリースされるよりは、多少遅れても質の高い満足できるような作品を望みたい(まー良いもの作るのを待つにしても限度はあるけどね)。

掲載日:2005年8月3日
更新日:2009年6月28日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
6 8 7 9 7 9 8 87
プレイ時間…300時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
こりゃあええのう…。
・複数の国を巻き込んだ複雑さが垣間見えるストーリーは、SFC時代のファイアーエムブレムを回帰していると言える。本作だけでは明かしきれていない部分も多いが、専門用語が多すぎて解りにくいといったような説明不足的な難解さは少ない。個人的にはこれくらい深みのあるストーリーの方が好み。

・戦略性が増したように感じる。スキルのシステムが本格的に復活したり、補正が強力だった地形効果が軽減されたりと、従来作を参考に導入されたバランスも良い感じ。新しく追加されたキャラの位置を一つずらせる体当たりの存在や、時間限定でステータスが強化されるラグズの存在も戦略性に深みを増せていると思う。

・チュートリアルが初心者にも解りやすく丁寧な作り。シリーズ経験者で見る必要が無い人は全く見ずにプレイする事も出来るし、初心者の方が見たい場合は何時でも見直す事が出来て親切。

・クラスチェンジアイテムの必要が無くなり、レベルを上げるだけで自動的にクラスチェンジが行えるシステムへ変わった。従来作ではキャラのクラスに合わせたアイテムが必要であったりして、戦略性を生み出す点もあったが不自由さを感じる点もあったので、個人的には良いと思う。本作以降もクラスチェンジアイテムが統一される傾向が強くなり、丁度良い塩梅。

・支援会話がマップ上ではなく拠点で全て行われるようになった。これまでは基本的にマップ上での会話だったので敵が目前に居るのに気ままな会話をしているのに違和感があったり、あまり話の幅が広げにくい点もあったが、本作からは拠点で会話をする設定になったので話のバリエーションが違和感無く増やせるようになったのは大きい。

・ハードモードを越えるマニアックモードの難易度が絶妙で、稼ぎプレイがやりにくい本作の特徴も相まってやり応えを求めるプレイヤーにはとても良い。トラキアの時のような初見殺し的な理不尽な難易度は少なく、それでいて全体的に難しい絶妙な難易度に仕上がっている。

・ゲームを始める時にキャラがレベルアップする際に乱数を用いたレベルアップか、固定された割合でステータスアップするかを選ぶ事が出来るようになった。乱数によりキャラがヘタれたり、逆に物凄く強くなったりする事が無くなるものの、そのキャラの本来の成長率そのままの成長を遂げるので安定した運用方法が出来て個人的には好きだった。次作以降は採用されてないのが残念。
こりゃいかんのう…。
・初の3D化であったせいか、キャラの動きがショボい物が多い。魔法等のエフェクトは良いのだが、通常のキャラの動きはぎこちない物ばかり。苦痛というほどではないものの、もうちょっと戦闘アニメも格好よくしてくれた方が良かった。

・バランス面の悪さが挙げられる。全体的に斧が強く剣が弱いバランスになっていたり、ラグズ系やソードマスター等のクラスが使いにくいといった格差が大きい。地形効果が弱くなり、平地での戦いが多くなったのも戦略的に物足りない。一部スキルや奥義が全く使えなかったりするのも調整不足かと。特効ダメージが従来の3倍から2倍へと変わり、特効武器に対する脅威が減ったのも物悲しい。

・本作だけでは物語は完全に終わっておらず、次作に持ち越しの伏線も多々ある。本作だけでしっかり話が終わるのではないかと期待している場合、ちょっと肩透かしを喰らうかもしれない。
感想ですじゃあ。
 気軽にプレイ出来る携帯機のGBA3作から据え置き機へ戻ってきたファイアーエムブレム。GBA時代の良さを引き継ぎつつ、SFC時代の重厚さも取り入れつつあるファイアーエムブレムといったところか。初心者でも取っ付きやすいように指南も親切に作られており、何かと進化している点が多い。

 バランスの悪さや演出の弱さなどの欠点が無くはないのだが、本作からの新システムは秀逸な物が多く、据え置き機らしく濃密さが増しているゲームに仕上がっている。

掲載日:2018年4月24日


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