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バランワンダーワールド
メーカー:スクウェア・エニックス
開発:アーゼスト
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2021年3月26日
価格:7678円
ジャンル:アクション(3D)


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PS5 PS4 Switch

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
6 6 1 1 2 6 29
プレイ時間…5〜6時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ワオ、良いじゃんね〜。
・グラフィックやサウンド部分はそれなりと申すか、まぁ楽しそうな感じではある……パッと見はね。メインキャラクターは同じデザイナーが手掛けた『ナイツ』に近くてミステリアスなデザインではある。

・数時間遊んでバグらしいバグには遭遇しなかった。いや、「短時間遊んだ限りではとりあえずバグに出くわしてない」は果たして長所と言って良いのか怪しいが…(笑)。
クワーッ!!イカンぜよ。
《全体として》
・とにかくゲーム性が希薄で全編通してゲームとして恐ろしく陳腐で退屈。また、挙動部分がトロくさく、動かしていて楽しさが微塵も感じられないのがアクションゲームとしては致命的かな、と(自機の運動性能が信じられんくらい悪いのである…)。ただっ広いフィールドをとぼとぼチンタラと移動してるだけの時間が長く、ホント、純粋に面白さを感じない作りではある。

《システム・ゲームバランス部分》
アクションが簡略化され過ぎており、単純過ぎてアクションとしての面白みに欠けているのが致命的。移動自体もモッサリでトロくさく、操作していて快適さも爽快感もナイのが、アクションとして致命的。

・「80種類以上もの変身アクション」とか宣伝されておったのだが、これがまたツマランと申すか。この変身でアナログスティックでの移動の他にアクションが1種類追加されるのだが、なんと通常のジャンプすら追加アクションの1つであり、衣装によってはジャンプすらできなくなる。無論、3Dアクションゲームなんで、至る所段差だらけなのに、である。基本的に「直後の障害物を乗り越える作業の専用アクション」以上でも以下でもなく、使い分ける面白さだとかゲーム性は皆無なのがキツいし芸がない。明らかにボタンが余ってるんで、「数種類のアクションを同時に装備できて変身ナシで瞬時に使い分けできる」方が快適かつ深みが出て面白くなったと思う。

・また、殆ど似たようなモーションでの水増しが相当数ある他、衣装チェンジする度に着替える動作で数秒程足止めされるのがまたダルい。一度敵にぶつかるだけで衣装は剥がれてアクションが使用不可能になるため、また衣装を得られる地点まで戻る作業が必要だったり(そしてフィールドは無駄にただっ広く、歩くのは遅いので、欲しい物を取りに戻る作業が余計にダルい悪循環…)。

・「バランチャレンジ」なるタイミング良くボタンを押すだけのQTE的ミニゲームが頻繁に挟まれるのだが、これがまた面白味もヘッタクレも無くて、しかも分単位で無駄に長ったらしく、しかも妙に判定が厳しい「プレイヤーに対する嫌がらせ」・「プレイ時間水増し」・「悪意のカタマリ」としか言えんシロモノであり、なんでこんな物に力を入れているのか理解に苦しむ作り。

《グラフィック・サウンド・シナリオ部分》
・他の欠点に比べれば些細な事ではあるのだが、自キャラのモーションが恐ろしく不自然で気持ち悪い。具体的に挙げると走るモーションとかジャンプとか、やたらと足を高速でバタつかせている割には移動速度は非常に遅い。開発者が同じ『ソニック』とモーションが殆ど同じなのに移動速度だけは遅いので余計に違和感が強い。「ソニックの走るモーションで悪魔城ドラキュラ」って感じなのよね。

・作中ではテキストが極力省かれており、ミュージカル風の演出でキャラの身振り手振りといった動きや短い掛け声だけでシナリオも表現されるのだが、残念ながら説明不足である。どのような物語展開で登場人物にどういう背景があるかとかもまるで分からず、「なんとなく楽しそー」だとか「へぇ」だとか以上の感情が湧かない作り。終始置いてけぼりで登場人物に共感できないのが残念。

・フィールド上で楽しげに踊ってるのに近付くと消えて見えなくなるキャラクターを配置した意図が読めず、ブキミとしか言い様がナイ…。また、ボスを倒すと前フリも無くミュージカル風の演出が挟まり、正気に戻ったと思われる元ボスのキャラクターとプレイヤーが踊り出すのだが、やはり説明不足で意味が分からない。恐らく開発者が狙ったのは『メタルスラッグ』(1〜3)の「セリフ・説明が一切なくても分かるストーリー」なのだが、残念ながら、身振り手振りだけでしっかりストーリー性も演出していたメタルスラッグと異なり、こちらバランは「唐突過ぎて意味不明」とか「なんでそうなるか常時置いてけぼり」でしかナイ…。

《快適性・ユーザインタフェース部分》
・「引っ掛かる」、「揺れる」、「めり込む」等、3Dアクションとしてカメラの作りが前時代的であり、短時間のプレイでもすぐにカメラ酔いしてしまう程にカメラの出来は悪い

・操作は単純化され過ぎな一方、一つのボタンに機能を集約し過ぎるなどのイビツさも気になる。

・任天堂・PS・XBOX・PCといった具合で多く機種で展開している影響なのか、全てのボタンが決定ボタンに割り振られており、メニュー画面で「ワンボタン(Bボタンなり×ボタンなり)でキャンセル」が不可能なのがジミに不便。まぁそれぞれの機種に最適化するのが面倒で手抜きした結果なんだろーが、こういう基本的な部分すら端折っちゃう辺り、印象が悪い…(苦笑)。
感想でごじゃる。
 セガにて『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ナイツ』を開発したレジェンド、中裕司氏や大島直人氏の新作アクションゲームでバランカンパニーなる独自のブランドでの第一弾!!…だったのだが、体験版の時点で明らかに出来が悪く、「えー!?2021年にもなってこんな陳腐なアクションゲーム出すの?えーとコレ…正気か!?」なる、目に見える地雷状態だったのが印象的。なんでわしとしては元から微塵も期待してなくて単純に「クソゲーハンターとしての面白半分・怖いもの見たさ」でワゴン行きになるのを待って買った…って感じなんですが(←悪趣味だな)。
 なお、「体験版はショボくても製品版は実はマトモかも?」…なんて思ったモンだが、製品版もほぼテコ入れナシのそのまんまであり、案の定とは言え全然マトモでは無かった…(←オイ)。

 開発は元からアクションゲー作りが苦手なスクウェア・エニックスと、ゲームボーイアドバンス初期の微妙なアクション『ピノビィーの大冒険』や低迷期の『ヨッシー』シリーズ(GBA〜3DS期)を手掛けたアーゼスト(元アートゥーン)である。本作も見事にそれら同様、アクションゲームとしての面白味・快適性・爽快感に欠ける内容になってしまっている印象。なお本作は、わしとしては「ピノビィーの3D版」って表現するのが一番近いと思う。

 「多彩な変身アクションを使い分けて進む箱庭ゲーム」だとか「カラフルで賑やかな世界観」だとか、パッと見だと3Dアクションの傑作『スーパーマリオオデッセイ』と共通点が多く、かなり似た臭い雰囲気なのだが、実際の品質・手触りは恐ろしいほどの差がある印象。どちらかと言えば、見た目だとか表面上の雰囲気とかよりも手触りだとかゲーム性の高さこそ似せて欲しかったモンだが…。そしてこちらバランの方が傑作のマリオより値段が高い。てか、3Dアクションが出始めの25年程前に本作が出ていても、定価が500円で発売されていたとしても、面白いとは感じないと思う。純粋に陳腐で退屈なのだ…。

 フリーズだのバグだのといった不具合とは無縁そうなのに純粋に内容部分がつまらないって意味ではなかなかのツワモノと申すか、王道スタイルを征く系のクソゲーと言えるカモ。いや…間違いなくつまんないですけどもね。わしがよく使う表現だと「子供向けを狙って子供騙しになっちゃってる勘違い系の作品」。かつて一時代を築いたレジェンドが集まってこのクオリティ。あぁ、どうしてこうなった…?

 しかしねぇ。コレさ。「光るモノはあったが惜しい出来」とかじゃなくて「どっからどう見てもウンコ」でしかなく、そもそも企画時点でどんな楽しみ方を想定していたのか、サッパリ理解しかねる作りと申すか。作る側もさ、テストプレイで少しでも「面白い」って思えた所はあったモンかな?思えてたんならセンスに疑問符が付くし、思えてなかったんならソレなのに発売を強行したって意味でモラル面で大いに問題があるし。まあ、どっちみち救いようがナイって事にゃ変わりないのですがね…(苦笑)。

掲載日:2022年3月8日


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