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スーパーマリオブラザーズ・ワンダー
メーカー:任天堂
開発:任天堂企画制作本部
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2023年10月20日
価格:6578円
ジャンル:アクション(2D)


広告(良かったら買ってくれぃ)

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
9 8 10 9 10 7 91
プレイ時間…20〜25時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
イーヤッフー!ハハー!(良ひですのぅ)
・パッと見の演出部分の奇抜さとかに目を奪われがちではあるものの、実際の所は「伝統工芸だとか職人芸とか形容できそうな手触りの良さ、そして徹底的に練り込まれたゲームバランス」こそが一番スゴイのかなァとは思う。素人が作るコースを遊ぶ『マリオメーカー』シリーズと比較すると、ゲームバランス構築の配慮とか力量差とかを痛感するのである(苦笑)。

・DS『ニュー・スーパーマリオブラザーズ』以来、Wii→3DSの「2」→WiiU・ルイージU……と、結構長い事「DS版をベースにワンポイントだけひねって…」って感じの保守的・焼き直し感の強い内容の新作が続いたが、久しぶりにフォーマットを一新しての完全新作となる。初公開時のちょっと逝っちゃったカオスなPVが話題となったが(即刻「アブないクスリでもやってる"ガンギマリオ"や!!」とか呼ばれたり)、ステージ毎に焼き直しや流用でない別々なブッ飛び具合が楽しめるって意味で桁違いのインパクトがある。インパクト重視って言えば前述のニュー・マリオの超巨大マリオとか思い出すが、どこでも同じ変身で一発ネタに近かったあちらと比べると、1つ1つのステージ毎に違ったアクションや挙動・反応・グラフィックが作り込まれており、非常に手が込んでいる。見た目からして楽しいし、見た目だけに留まらずしっかりゲーム性部分にも反映されて差別化できているのが良い。ここ最近の2Dマリオ作品と比べると、久しぶりに野心的な内容で攻めて来たって感じではある。

・ここまでブッ飛んだ演出に振り切っているのだが、まぁアクションゲー作りに定評のある任天堂のマリオチームがこしらえたゲームなんで、内容自体はそこまでブッ飛んでなくて、客に寄り添った安心感がある。オンライン要素とかもあくまでユルい繋がりで他人を攻撃したり暴言を吐いたり……とならん作りだし、バランス部分にしてもアクションが苦手なユーザにもしっかり配慮されている辺りは流石にスキの無い作りかと。ユーザフレンドリーだけど決してヌルくない辺りは任天堂らしい幅広いユーザ層が楽しめるであろう作りと言える(……てかクリアが必須で無い所は結構鬼畜難度よりのバランスで手応えのある箇所も多い)。

・カメラ視点がかなり引いた2Dのアクションなんでそんなに目立たないが、過去作と比べるとキャラクターのモデリングの作り込みとかは相当細かくなった印象を受ける。BGMや効果音もステージのギミックに直結した作りの箇所が多く、従来のマリオ以上に凝っている。

・マリオの性能をカスタマイズできる『バッジ』は救済措置であると同時にコレクション要素・気分転換要素・やり込み要素とかも兼ねてて面白い試み。

・ステージ中で咲いていて近くを通過するとセリフを発する『おしゃべりフラワー』は思ったより違和感なく受け入れられた印象。個人的には実況動画とか興味ゼロってかあんま好きでも無いんで、そういう要素を入れるのもどーかな…って思ったが、まぁあくまで「変な世界観の住民」って感じなのが良かったのかな。
マンマミーア…(イカンのである)
・ステージ毎にしっかり作り込んであるのは分かるけども、ボリューム自体はそんなある方ではないかな…と。クッパ倒してエンディング見るだけなら、そんな時間は掛からんで終わっちゃうかな、と。

・ボス敵のバリエーションがかなり減った印象。せっかくカメックとか出てるのに、ただの運搬役ってのも勿体ない。「ヘンテコな世界」がテーマなワケだし昔の『ヨッシーアイランド』みたいにカメックが配下のザコに魔法をかけてボスキャラに仕立てる…とかもあっても良かった気も(サイケデリックな世界観的にも巧く馴染んだと思うしね)。「ワンダー」部分がステージ毎にしっかり作り込まれてるのに比べると、こちらの手抜きっぷりは残念に思えたり。
イッツミーザ、感想。
 『スーパーマリオ』シリーズの2Dアクション側の新作で、DSから最近まで続いていた『ニュー・スーパーマリオブラザーズ』シリーズとは一線を画す、久しぶりの完全新作と言える内容になっている。
 Nintendo Directでのお披露目直後からそのカオスっぷりから「ガンギマリオ」呼ばわりされていたが、ステージごとにしっかり作り込まれた別々のヤバいネタが炸裂する手の込み具合。サイケデリック全開度はこれまでに出た任天堂のあらゆるゲームを含めてもダントツの内容であり、ソレを自社の看板であるスーパーマリオでやっちゃうはっちゃけぶりが凄まじい(笑)。

 過激な見た目が話題に上がりやすい内容とは思うが、見た目のヤバさとは裏腹の、客を振り落とさない優しい作りと、アクションの小気味よさ、そして絶妙なゲームバランスがしっかりソレを下支えしてる辺りは流石の横綱相撲。2Dアクションというファミコン時代から続く古典的なジャンルである関係上、どうしても新鮮味とか出しにくいのを見た目の強烈なインパクトとネタの数でカバーして来たのかなァって印象である。見た目はちょっとヤバいが、手触りはしっかりマリオ本編のソレなんで、気になる方はレッツトライですぞ。

掲載日:2023年10月24日
更新日:2024年7月30日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
8 8 9 9 10 7 88
プレイ時間…10時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
おめでと〜!(GOOD!なところ)
・さすが2Dスーパーマリオシリーズ本流作品といったところで、秀逸なステージ構築や難易度調整、心地良い操作感、適度な謎解き要素など、総合的にかなり優れたゲーム作りがされていると感じる。行き付けのラーメン屋に行って、いつも通りのラーメンが食べられる安心感…とでもいいましょうか。シンプルで基本的なものほど誤魔化しがきかないもので、2Dマリオの基本ゲームデザインとしての完成度は変わらず高い。

・本作ではステージクリアに加えて、コース中に必ず一つは隠されているワンダーフラワーに触れてワンダー世界へ突入するのが目玉の新要素。これがステージによって攻略方法やシチュエーションが全く異なるというレパートリーの豊富さを誇り、単純さや作業感を感じさせず常に斬新な遊びが楽しめる。見た目の楽しさと攻略の斬新さを両立した良い新システムだった。

・オンライン接続中は他のプレイヤーとリアルタイムで同じステージを攻略するシステムがあり、お互いに物理的な干渉はしないもののミス時に助け合う事が可能になるため、浅く広く他人と助け合ってプレイ出来る。近年のPvE系オンラインゲームの要素も取り入れた面白い試み。

・ステージの各所に存在するおしゃべりフラワーによるかけ声は最初はちょっと不気味かつ鬱陶しく感じなくもないが、慣れるとわりと悪くなかったり…(笑)。近年増えているゲーム実況動画のようにプレイスタイルに茶々を入れるものに近いが、ネガティブな事はほぼ言わず攻略のヒントになる事も言うので、一言コメントとして有れば助かる程度の役割で収まっているのも気楽で良い。上記の浅く広く繋がるオンラインシステムもあって、一人でプレイしていても孤独感なく複数人でワイワイ盛り上がっているような気分で楽しめた。誰の助けも借りずに完全に孤軍奮闘で進めたい場合は、どちらも設定でOFFにする事が可能。

・バッジセレクトやパネルコレクションなど、カスタマイズ可能な収集品も追加。ステージの性質に合わせて有効なバッジ装備を変えるなどの攻略にも繋がっており、こちらも良好な新要素。本編クリア後の超高難易度ステージではバッジ選択次第で攻略手段が丸っきり変わる事もあり、シンプルながら奥深い。
うわぁ〜!(BAD!なところ)
・全クリアまでに必要なステージ数は過去作よりやや少なめな模様。一つ一つのステージの作り込み度合いは段違いではあるものの、実プレイ時間だけで見れば過去作よりも少し短めになると思われる。

・ボスステージが少なく、基本的にはクッパJr.戦ばかりなのは寂しかった。過去作のようにクッパ軍団と多種多様な戦い方が出来るのを発売前は期待していたので、ちょっと残念。ワンダー世界との相性はかなり良かったんじゃないかと思うンですが…。

・これは本作の問題ではないのですが、マリオ&ルイージのCVがこれまでお馴染みだったチャールズ・マーティネー氏からケビン・アフガニ氏に変わった点は少し気になった。声色はかなり近いものの、昔から聞き慣れた声とは明らかに異なるのでまだ少し違和感を覚える。
お疲れ〜!(コメントです)
 DS『Newスーパーマリオブラザーズ』→WiiU『NewスーパーマリオブラザーズU』の発売期間が約6年であったのに対し、そこからSwitchで本作『スーパーマリオブラザーズワンダー』が発売されるまで約11年!2D横スクロールアクションとしての基本的なゲーム性以外はほぼ一新されたと言っていいほどで、見た目にも攻略にも新しいものが揃っている。

 いわゆる"ワンダー"な部分に関して言及すると、正直なところ『変なキノコをキメた光景』のようなサイケデリックな世界観が不気味なのではないかという偏見が最初はある。ただ実際にプレイするとサイケデリックな描写も存在するものの、どちらかというとディズニー映画やカートゥーンアニメーションの演出のような、非現実世界を違和感なくゲーム部分と調和させたものなので、マリオの世界観と結果的にはよく馴染めている。新しい攻略方法にも繋がっていて、2Dマリオの新機軸としてはかなり成功した試みだったのではないかと思う。

 初心者向けの調整や配慮もしっかりしつつ、クリア後の高難易度やり込み要素も用意する。ゲーム作品における一種のブランド品のような位置付けのシリーズだが、やっぱりマリオという高品質ブランドならでは。長らく待たせられただけあって、万人向けのマリオ作品となったと思います。

掲載日:2023年10月31日


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