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ゼルダの伝説
ティアーズオブザキングダム
メーカー:任天堂
開発:任天堂企画制作本部、SRD
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2023年5月12日
価格:7980円
ジャンル:アクションRPG
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映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
9 | 9 | 8 | 8 | 9 | 10 | 9 | 93 |
よかねー、よかばいねー。 |
《全体として》 ・アクション同士の組み合わせの幅が大きく広がり、掛け算的な遊び・奥の深さは前作『ブレスオブザワイルド』から更に向上している印象。兎に角、「えー?そんなのアリぃ!?」っていう意外性もあったりして簡単に数時間ぶっ通しで遊べてしまう。やめ時が見つからない圧倒的な没入感の高さは魅力。 ・前作から地上の地形は続投しているが(色々変わっている部分も多い)、今回は更に空と地下のフィールドも加わり驚異の三層構造に!まぁ空はどちらかと言えばオマケ程度で狭く、地下はのぺーっとした暗くて割と平坦なフィールドなんで「単純に3倍!」…って感じではないものの、前作以上に広大なフィールドになっているのは確か。 《快適性・操作部分》 ・オープンワールド系のゲームだけに前作は結構ロード時間が長かったのだが、本作は前作よりもかなり読み込みが短く感じる(データ量が多いと思われる祠の中→外でも10秒掛からん程度!)。まぁ「待ち時間ゼロで快適そのもの」ってワケではないのだが、このジャンルとしては驚異的な快適さである事は間違いない。 《ゲームバランス》 ・オープンワールド系ゲームらしく、ゲーム側から強制されるルートってのはそれほど存在せず、どう動くかはプレイヤーに委ねられているの……だが、知らず知らずにしっかり誘導されてたり、あえて寄り道しまくってもソレっぽく繋げてくれる辺りはスゴイと申すか。この辺は任天堂内製チームの開発力の高さと規模に支えられた「理詰めの力押し」で実現されてるよなァ…って感じでオンリーワンの存在感(苦笑)。 ・フィールドの地形は前作から変化ない地点が多いが、変わっている部分も結構ある。前作の経験が活きる場所と「こうだったのに全然違う!」って新たな攻略法が求められる部分との混ざり具合が巧みと申すか。この辺は流石に良く考えられて練られていて絶妙な感じ。 ・謎解きは前作から引き続いて物理演算アクションチックな物がメインになっており、結構卑怯なやり方でゴリ押ししても認められたりする点は懐が深いと思えたり(笑)。 ・新たなキーアイテムでは積み木的な組み合わせで動く乗り物とか作れるが、センスが無くてもそれっぽく味のある仕上がりになる点は面白い。 《グラフィック・サウンド・演出部分》 ・フォトリアルな方向性とは異なるものの、絵画的で印象に残りやすいグラフィックは前作から継続している感じ。生き生きとした自然の見せる表情って部分においては、やはり桁違いの表現力だなーって思える。 ・サウンドも環境音楽的な使われ方がメインであり、『ブレスオブザワイルド』より前のゼルダと比べると自己主張が弱いタイプではあるのだが、要所要所のイベントだとか道中突発的に起こったりする戦闘だとかの盛り上げ方は効果的ですな。 《シナリオ部分》 ・前作からの続き物っていう事情もあろうが、割と投げっぱなしで断片的だった前作のシナリオ描写に比べると、若干テコ入れされてキャラの心情描写とかは丁寧になったかなァ…って印象は受ける。 |
お〜の。イカンぞな。 |
《全体として》 ・色々と手が加えられてて変わってる部分は変わってるのは理解できるが、基本的なシステム部分や世界観・フィールドなんかは前作をベースとしている。それだけに、どうしても色んなパートで既視感があると申すか、前作を初めて遊んだ時の短時間にどかーっと何度も押し寄せた「こいつぁ桁違いのゲームだ!」っていう感動があるかって言うと、正直そうでもナイ。まぁ間違いなく面白い事は面白いしスゴイ内容である事は事実なのだが。 ・前作の時点で相当ヘビーで「めんどくさい」手のゲームだったのだが、システム部分の奥の深さがUPした分、一層輪をかけて面倒くさくなったのは否めんかな。 《快適性・操作部分》 ・ダッシュやジャンプの同時押ししにくいボタン配置は前作のまま。ダッシュ→ジャンプとか結構な頻度で使うのにやりづらいのはキツい。 ・一部UIデザインは痒い所に手が届いてない印象。オートでぼちぼちセーブされるとは言え、任意タイミングでのセーブがメニューのウインドウ順送りで一番最後までページを回さないと出来ないのは面倒。最初と最後のページを繋げてくれりゃ良かったのだが。弓矢にアイテムくっつけるのもずらーっと並んだ物から目的の物を探すのが非常に面倒。 《ゲームバランス》 ・装備が貧弱でアクションが限られる序盤が難しく、取れる選択肢の幅も狭い。装備が整いパワーアップする事で一気にラクになるっていうある意味では歪な難易度曲線は今回も一緒な印象ではある。慣れてくればバツグンに楽しさが湧き出して来るタイプの作品と思うが、めんどくさいのがニガテな人にはあんま向いてないカモ。頭も指もフル回転させられる手の超ヘビー級の内容であり、ある程度TVゲーム慣れしてないとしんどいと感じる部分は多そう。 《シナリオ部分》 ・作中で説明がある等、ある程度の配慮はあるし、シナリオ重視ってよりはプレイ体験を通じて没入感を増すタイプのゲームなんで致命的ではないにせよ、基本的には『ブレスオブザワイルド』からの続きの話なんで、前作をクリアしてないと感情移入しづらい場面は間違いなくある(どういう場所・人物なのかとか)。 《グラフィック・サウンド・演出部分》 ・グラフィックのレベルは高いとは思うが、前作同様、キャラとか樹木とか多い地点だとどうしてもフレームレートの低下は気になる(現段階だと表示物の多いカカリコ村とかで特に目立つカモ)。 ・前作よりロードはかなり短くなっているが、読み込む範囲を狭めたお陰なのかな?地形(樹木とか草中心だが)のポップアップは前作より目立つかもしんない。もっとも、敵とか住民とかポップアップしちゃ困るモノはある程度距離があってもしっかり表示されるんで、遊んでて支障はナイですがね。 《スコアに反映してないけど気になった点》 ・(見た目よりはずっと手間が掛かってて作り込まれているのは理解できるにせよ)本作の位置付けはシナリオ面も込みで『時のオカリナ』に対する『ムジュラの仮面』みたいなモンで、あくまでもエンジン流用で切り口を変えたアレンジ作品の枠には入ってるかなと。なんで、贅沢を言えばもう2〜3年は早く遊びたかった所ではある。また5〜6年も完全新作のゼルダ本編が出るまで開くのか?…と考えると少々残念にも思えたり。 ・コレはホント好みの問題で殆ど難癖みたいなモンだが、前作の祠はシーカー族の即身仏から力を授かる格好だったのだが(1人1人デザインが違う!)、今回は決まったデザインの石像である。即身仏マニアとしてはジミに残念(←なんやソレ)。 |
感想ですじゃ。 |
世界中で高く評価された傑作『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』の直接的な続編にあたるゼルダ最新作。 プレイ時間100時間は突破したものの、まだまだずっと遊び続けられそうな圧倒的な物量はありそう。どーせ当面ゼルダ本編なんて出ないだろうから、個人的にはジワジワじりじりチンタラと遊ぶつもりだったり…早解きは勿体無いからね!! 前作からの続きの物語って事で、フィールドだとか登場人物はほぼ続投。基本的なアクションもほぼ同様なのだが、謎解きに使用する特殊アクションはガラリと他の物に入れ替わっており、手触りは結構異なる部分もあったりしてしっかり新鮮さもある。 まぁ全体としては「前作を下地にした超豪華な二番煎じ」って印象であり、位置付けとしては昔の『時のオカリナ』に対する『ムジュラの仮面』と立ち位置は似ている。味付けは意識的に変えて来てる感じでありプレイ感覚は変わる部分は大きく変わっている反面、随所でどうしても既視感はある。そのために純粋な驚き・受けるインパクトって意味ではどうしても前作よりも弱くなってしまうのは否めんか。どちらかと言えば、「えええっ!スゲー!!」って驚きよりは「ほほぅ、ナルホド…そう料理して来ますか…!」っていうジワジワ来る手の楽しさで構成されたゲームと言えるかもしんない。 間違いなく楽しいしバケモノ級のゲームではあるけども、前作以上にプレイヤーへ要求される技能の幅も増した分かなりヘビーな内容でもある。前作が楽しめた人ならどっぷりハマれると思うが、良くも悪くも前作の個性を更に伸ばしたようになってる感じなんで、前作以上に好みは分かれる感じになってるかもしんない。 とは言え、ゲームに対して集中力が無くなり徹夜とかも出来なくなったここ最近のヨボヨボのわしでもぶっ通しで6時間以上遊べたりするくらいなんで、ヘビー級の内容って言っても大抵の人は大丈夫な範囲と思いますけどもね。滅多に出ない桁違いの魅力を持った凄いゲームって事で、気になった方はレッツプレイですぞ。 |
掲載日:2023年5月16日
映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
8 | 9 | 8 | 8 | 7 | 10 | 8 | 89 |
良いザラシ。最高ザラシ。 |
《ゲーム全体について》 ・前作『ブレスオブザワイルド』をベースに、世界観の進化や様々な新しいゲームシステムなどを加え、一つのゲームが持ち得る内容を大幅にボリュームアップ。本作は物理演算エンジンを活かした仕掛けやクラフト要素がゲーム世界へさらに深く組み込まれているのが大きな特徴で、広大な世界でプレイヤーの自由な発想力を活かしていく内容が総じて魅力的。 ・地上フィールドの大まかな構造は前作と同じままだが、地上フィールドとほぼ同じ広さを持つ地底世界と空に島が浮かぶ上空フィールドが新しく加わった。空の島々の数はそこまで多くないため世間的に言われてるようにフィールドの広さが3倍になったとまでは言えないが、それでも前作の2倍以上はフィールドが広くなっている。前作と同じ形状の地上世界でも一部のフィールドでは崖を登りやすいように変化が加えられていたり、新しく小さめの洞窟が数多く用意されていたりと変化も多い。 ・フィールドのどこへ行ってもとにかく小ネタが多い。前作の探索における小ネタは同じく存在するが、本作の新要素で特に面白いのが『カバンダ』と『疲れちゃって動けないコログ』の2つ。カバンダは倒れそうな看板を倒れないような形にクラフトで補助をするイベント。コログは『現在いるA地点からB地点まで運んでほしい』と懇願してくるので、どんな手段を用いても送り届けるイベント。どちらもウルトラハンドによるクラフトが必要だが、サクッと終えるイベントなのでテンポよく楽しめる。 《ゲームシステムについて》 ・本作のクラフト要素は大きく2つに分けられるが、まず1つ目である『スクラビルド』。プレイヤーが所持出来るアイテムであれば何でも自由に2つ組み合わせる能力。剣盾弓に…動植物や魔物素材など、手に入るアイテムならとにかく何でもほぼ問題なく引っ付ける事が可能。単純に攻撃力が上がるだけのものから意外な性能を発揮するものまで様々であり、色々なものを組み合わていく事がゲームを有利に進める鍵となる。最終的に使うアイテムの頻度の差はあるものの、ゲーム全体を通じて使う機会のないアイテムがほぼなくなり、多種多様なアイテムをどのように使うか試行錯誤していくのが楽しい。 ・ウルトラハンドは本作のクラフト要素の2つ目の存在であり、ゲーム全体を通して最も使用時間が長くなるであろう道具。フィールド上のオブジェクトの移動や接着を一つずつ操作する事が出来、特殊な性能を持つゾナウギアや建材などをウルトラハンドを用いて自由な配置・角度を決めて組み立てていく。本作の謎解きの大半を占める要素でもあり、オブジェクトの種類や組み立て方によって用途が大きく変わっていくのが面白い。『戦闘・探索・謎解き』といった、ゼルダの基本全てにクラフト要素を組み込むことで、ゲーム性がさらに発展させられている。 ・ゲーム中でウルトラハンドを用いて組み立てたオブジェクトは『ブループリント』でお気に入り保存する事が可能で、プレイヤーが一度組み立てたものであればいつでも形状を再現してくれる。車のような形のクラフトや飛行機のような形のクラフトは多用するため、使用頻度の高いクラフトがすぐに再現出来るのは有り難い。設計図を手に入れると意外な使い方も学べるので、ゲームが進行するにつれプレイヤーの創造心に火がつく。 ・本作の謎解きで絶対使う必要があるのは『ウルトラハンド』『トーレルーフ』『モドレコ』の3つに限られているが、いずれも過去作品には無かった性能のものでかなり独自性が高い。前作で使用していた謎解き道具は全て無くなっているものの、本作でも同じ効果を発揮するアイテムや同じような活用方法は残されているので、前作よりも本作の方が謎解き手段が増えていると言って違いないかと。 《謎解き・バトル難易度について》 ・謎解きをする上で『取り返しがつかない事態』というのが発生し難くなった傾向にある。謎解きのオブジェクトを見失ってもすぐリスポーンされるようになった他、本作の『モドレコ』は発動中にウルトラハンドを併用すれば謎解きが失敗してもある程度は途中の段階までやり直せるのでかなり便利。他にもプレイヤー側が有利になる要素は多く用意されており、かなり快適に謎解きが出来る。 ・前作と比べても敵の強さは全体的に上昇しているが、ほぼ全ての敵に搦め手が用意されているのが特徴。武器を揃えてアクションの腕前のみでゴリ押しする事も可能だが、本作はそれ以上に有効な手段が数多く用意されているので、周囲のオブジェクトなども駆使して強敵を倒していくバトルバランスがよく出来ている。 ・ストーリークリアに関するダンジョンは全体的にシンプルかつ難易度が低めで、謎解きも敵の強さもまだ抑えめな傾向にある。前作では特定のボス(※雷のカースガノンなど)が強く初心者の壁の一つにもなっていたので、本作のメインストーリー部分の難易度の抑え方は丁度良い塩梅。前作では前準備無しに特定のエリアへ行くとスリップダメージを受けるため序盤は探索出来ないエリアもあったが、本作では規模が縮小され序盤から広範囲を自由に探索出来るようになった。 ・前作ではモンスターの種類が少ないのが気になったが、本作ではモンスターの種類も少し増えた。フィールド上で戦う新たなボス敵の種類も増え、バトルの面白さはさらにパワーアップしたと言える。他にも、クリア後でもメインダンジョンのボスとの再戦が可能であったり、強敵との連戦を行う環境も用意されていたりなど、手強いバトルを求める需要にも応えられているかと。 《シナリオ・音楽について》 ・前作の時点で物語は一段落ついていたのに続編とは?と最初は思うが、本作も違う切り口でまた壮大な物語が繰り広げられている。ムービーを長時間流して説明していくタイプではなく、プレイヤーが時間をかけてハイラルを駆け巡っていくうちに本来のシナリオが視えてくるという設計になっており、前作と同じく本作も独自の切り口からストーリーを体験させてくれる。どのムービーも緊張感や意外性を秘めており、メインストーリーに関しては最後まで綺麗に纏められていた。 ・楽曲数が大幅に増えた。前作から流用されている曲も多いが、本作独自のイベントや新しいボス戦などで新しく作られた曲も多い。フィールド上で使われる環境音的な目立たない曲も必要だと思うが、特徴的なメロディが目立つ曲も数多く存在したほうがゲームがより盛り上がるというもの。ゼルダの世界との親和性が高い本作の新曲はどれも高評価。 ・作中の固有名詞やキャラクターデザイン・楽曲などで、日本の文化が取り入れられているのは面白い試み。いずれも主張し過ぎない程度にハイラルの世界観へ馴染んでいる。京都の地名に関係する祠の名前など、京都に本社がある任天堂ならではの地元ネタがあったりして面白い。 《快適性・操作性について》 ・ワープマーカーは前作では1つしか置けなかったが本作では3つまで置けるようになり、圧倒的に使いやすくなった。ちょっと高台から降りる前に置いておくとやり直しがしやすく、気軽に使えるようになったのは良いところ。 ・前作よりもさらにロード時間が短くなっている。NPCやオブジェクトの多い場所にワープすると少し時間が長くなるが、それでもまず10秒はかからない。オープンワールドゲームのロード時間は問題点の一つとしていつも存在するものだが、本作はかなり解消されている部類。 《特殊なプレイヤー視点から見た評価》 ・本作も早い段階で色々と縛りプレイを始める事が可能になっている。ハート&がんばりの器を増やさない縛りも可能だし、他にも《スクラビルド縛り》などもやろうと思えば一応可能。無茶苦茶な縛りプレイの一つとしては、リンクが空を滑空する際に使っているパラセールを取得せずにゲームを進める《パラセール縛り》も可能だったり(※どの程度のイベントまで問題なく進行出来るかはまだ不明ですが、ゾナウギアを多用すればラストダンジョンまで行ってラスボスを倒す事も可能なのを確認)。取得タイミングの関係などから察するに恐らく、パラセール縛りに関しては取得せずとも進められるよう予めの想定はされていた模様。任天堂の《特殊なプレイヤー》に対する配慮も感じられた。 |
まずいザラシ。駄目ザラシ。 |
《ゲーム全体について》 ・ストーリーは全体的に前作をプレイしてあることが前提になってある。ゲームシステム的な説明はしっかりされるものの、NPCとの会話では前作から続く固有名詞が続々登場するし、世界の変化の過程などもさっぱり分からないので追い付きにくいのではないかと。 ・前作の時点でゲーム慣れしてるユーザー向けなところがあったが、本作はさらにゲームシステム的にも複雑化している。謎解きやバトルに使うアイテムやオブジェクトも前作以上に複雑化しているので、何も考えずにプレイしていると前作以上にすぐ負けてしまう。特に本作は最初の段階から高い発想力とアクション性が求められるので、大地に降り立つまでの時点でそこそこハードルが高い。 ・地上世界の各所に存在する洞窟の入り口がとにかく見つけ辛い。とあるギミックを使えば周囲の洞窟の入り口がわかるようになっているが、高低差は分からず表示される時間が短めな上、そもそもこのギミックを各地で見付け出すのにも探索が必要であるなど、総じて便利とは言えない。 ・バトルの難易度は、前作で慣れているユーザーであれば難易度がかなり低下したように感じる。素材の組み合わせ手段が豊富になるにつれて強力な武器や戦術が続々と生まれてくるので、早い段階で主人公のリンクの性能が前作を遥かに超えた強さになってしまう。だからといって安易に縛りプレイをすると、本作のクラフト要素が台無しになってしまうのも難点。 《新しいゲームシステムについて》 ・詳細な方法の明記は避けますが、スクラビルドの手法によっては謎解きの大半を無視して瞬時にクリア出来るものが幾つか用意されてる。祠の種類によっては謎解きも何も関係なくスタートからいきなりゴールへ到達してしまうものもあり、初心者救済要素としてもやり過ぎな気が。不必要な人は使わなければいい話ではあるのですが、上記の手段でなくともグレーゾーンと言える程度に便利な組み合わせもあるので、どこまで縛ればいいのか分からなくなってくるという妙な悩みのタネが…。 ・手持ちのアイテムをスクラビルドをするためにはフィールド上に一度落としてからスクラビルドする必要があるのが一手間かかって面倒。細かい事ではあるのですが、本作はこの手順を挟む機会が何度もあるので常に気になった。フィールド上で発動出来る仕様に加えて、メニュー画面から武器や盾を選んで直接的に素材を付けられるようになっていれば尚のこと便利だったと思われる。 ・地下世界のチェックポイント的存在である、破魔の根が探しづらい。暗闇の中で薄ら明るく光っている以外は見た目にも分かりにくく、地上世界では使えるサーチ機能の対象になっていないのも不便。とある特別な関係性に気付くと大まかな場所は分かるようになってくるものの、高低差などは分からないのでかなり迷子になりやすい。 ・地底世界は『コログがいない』『NPCがほぼ存在しない』『地域ごとの見た目の違いや動植物の存在の変化が乏しい』など、探索していても面白みがやや薄い。地上の祠は入ると謎解きダンジョンが用意されていたが、地底世界の破魔の根は登録しても周辺地域のマップが分かる事と明るさを取り戻すのみなので、見付けた時の喜びも地上世界の祠より一回り劣る。総じて、地上世界の方がオープンワールドのメインだという事は否めず。 ・労力と割に合わないイベントがいくつかある。特定の装備を買い揃える必要があったり、時間と労力がかなりかかるものであっても、最終的には僅かな裏情報が手に入るのみで報酬も無しであるなど。メニュー画面の冒険手帳の『◯◯チャレンジ』に載っているものはしっかり限定的な報酬を貰える傾向にあるので問題ないが、このパターンに属さないイベント系は求められるリスクの高さの割にリターンが見合わないものが多いように感じた。 《シナリオ・イベントについて》 ・前作と本作の関係性について、合理性に欠けている部分がある。まず、メインストーリーで関わる主要人物達はリンクと会った時に既知の関係であるような反応をするものの、その他のNPCの大半からは初対面のような対応をされるのにはかなり違和感を覚える。前作で関わりが生じた可能性のあるNPC全てがリンクの事を知っているか、知っていないかのどちらかに統一して会話を用意していた方が良かったのではないかと。前作でリンクが貢献した功績が本作でもしっかり残っているのに、その関係者から初対面的な反応をされるとかなり萎える…。 ・細かな点を挙げるとキリがないが特に気になった点としては、前作のキーパーソンがだった神獣がどこへ行ったかの説明が乏しい。よく探すとサラッと触れていたりはするものの、重大な出来事なわけでそれはもっと深く掘り下げた方がいいのでは…と思ったり。他にもまだまだ『前作の◯◯はどうなったの!?』と言いたくなるような変化が多いにもかかわらず、深く説明してくれる存在がこの世界であまり居ないのは寂しいものがある…。 《前作と比べて劣化してる点》 ・リモコン爆弾が使えない事や、武器を扱う際にスクラビルドでさらに一手間加える必要性など、前作の方が素早く便利だったのにと比較してしまう面もある。複雑性が増した面白さもあるので、これらは賛否両論。 ・ワープ時のロード時間は短くなったものの、一部の地域へ高所から素早く移動した時など、情報量が多くなる行動をすると細かくロード時間が挟まれゲームが止まる事がある。通常のロード時間を短くするための弊害だと思われるので、こちらも致し方ない問題点ではあるのですが。 ・普通にプレイする上で発生するバグは少ないものの、ワープマーカーを使う事でイベント進行が進まなくなる不具合は幾つか遭遇した。細かな発生条件は不明だが、もしもイベントが進行しなくなった時はSwitch本体を再起動するor赤い月の夜のムービーが流れるのを待つ(※赤い月の夜のムービー後はキャッシュクリアが行われている)と解消される。正解の場所に行っても何もイベントが起きない事があるので、困惑する事もあった。 ・宝の地図を見付け、地底に埋められている宝を取り出して手に入れる限定品が幾つか存在する。前作では専用のイベントが用意されていたアイテムも本作ではただ単に埋め込まれているだけだったりするため、本来ならもっとイベントが用意されていたのでは?と推測するところも…。前作と比べると、限定的なアイテムを手に入れる際のイベント数が減ったような気がする。 ・前作の英傑の技と似た機能が本作にも存在するが、僅かな手間で発動出来た前作と違って本作は発動に一手間かかる事がある。効果が異なるので下位互換というほどではないが、個人的には前作の方が扱いやすかったと思う。 ・前作ではアップデートでVR機能が存在していたが、本作では存在していない。今後のアップデートで追加がある可能性もありますが、前作のVR機能は魅力的だったので本作でもぜひ続投してほしいところ…。 |
感想ザラシ。 |
任天堂史に残る傑作であった前作『ブレスオブザワイルド』をベースにしているだけあり、前作の面白さや魅力は本作でも最大限活かされ、さらなる進化まで遂げて一つのゲームとして完成させた内容になっている。 本作ならではの特徴として真っ先に挙げられるのが、クラフト要素。採集やクラフトなどの要素は元を辿れば別ゲームのマインクラフトシリーズなどに行き着くが、本作のクラフト要素とは目的が共通する部分と異なる部分がそれぞれ存在する。本作のスクラビルドなどはマインクラフト的な概念に近く、採集したものを使って武器や道具を作り出すという点では両者はとてもよく似ている。 ただ完成品のモノを渡されて使うのではなく自らが手を加えて創造してから使うという、ウルトラハンドによるクラフト。こちらはさながら子供が組み立ておもちゃで立体物を創って楽しんでいるかのようでもあり、本作では組み立てたモノによって『戦闘・探索・謎解き』を行い、ゲーム世界の攻略手段として役立てられる。前作までの謎解きのセオリーが通用しないという点では、これも『ゼルダのアタリマエ』が見直されたのではないかと言えそう。謎を解くというよりも、答えを創るという方が表現としては近い。 根本的なゲームシステム・ゲームデザインなどの方は素晴らしい発展を遂げたといえるが、新しく作られたフィールドの制作・イベントシーン管理などでは粗が見えるところもあった、というのが所感。メインシナリオについてはほぼ文句なしだが、サブイベントなどのシナリオではやや違和感を覚えるところがある。前作の関係者との違和感ある会話や、報酬のないサブイベント、宝の地図によるボリューム稼ぎなど、ひょっとすると本来ならもっとボリュームがあったのでは…と思う部分も幾つか存在する。これらは主観や推測の域を出ない話なので、なんとも言い難いところなのですが。新規要素の地底世界も期待していたよりはあまり面白味がなく、滞在時間は地上の方が遥かに長くなるので、前作と同じく地上のフィールドが主な世界と考えておいたほうが良さげ。 前作と形状は同じでありながら、現地に行くと実際の内容は前作と異なる広大なフィールド群も素晴らしい。前作のプレイヤーだからこそ気になる場所には開発者の新しいおもてなしが幾つも用意されており、前作プレイヤーであっても探索がとにかく楽しい。新規プレイヤーよりも前作のプレイヤーの方が楽しめるのではと思う場所やイベントも存在するほどで、前作の存在は実に偉大だったのだなと痛感した。ティアキンは前作を遥かに超えるペースで売れ続けており、発売3日で売上1000万本という驚異的な売上を達成したらしいが、本作のみを買ったプレイヤーの方々にはできれば前作もプレイしてほしい。本作は前作の続編というよりも、表裏一体の関係と表現するほうが近いゲームなので、相乗効果をぜひとも堪能してほしいところ。 ネタバレが致命的なゲームなのでTwitter公式アカウントに乗ってる情報の範囲外の詳細は避けますが、ガノンドロフの登場がかなり久し振りだったのも個人的には嬉しいポイント。前作は厄災ガノンであり、最後にガノンドロフとしてゼルダシリーズに登場したのは2006年発売のトワイライトプリンセス。おおおっ、およそ17年ぶりの出演………なんとも感慨深いですね……。 |
掲載日:2023年5月23日
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