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ドンキーコング バナンザ
メーカー:任天堂
開発:任天堂東京制作部
機種:ニンテンドースイッチ2
発売年月日:2025年7月17日
価格:8980円
ジャンル:アクション(3D)


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執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
8 9 9 9 9 9 89
プレイ時間…60〜70時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ウホッ!良い所。
<ゲームデザイン・バランス部分>
・アクションゲームとして挙動が豪快で気持ち良く、操作していて純粋に非常に楽しいと思える部分が何と言っても一番の長所と言えるかと。自キャラの攻撃性能が高めに設定されており、敵キャラも障害物も壁・床・天井すらも次々にガンガンガシガシとブン殴って道を切り開けるのは本作ならではの味わいかと。

・掘れば掘るだけジャラジャラと金塊が出て来る爽快感がナイス。同じ任天堂作品で言えば、ジャンルは2Dと3Dで多少異なるが3DSの『NEWスーパーマリオブラザーズ2』辺りに近いカモ。「とにかくジャラジャラ湧いてくるコインをひたすら集めまくれ!」…って割り切ったデザインが妙に似ていると感じる(個人的には真っ先に思い出したゲームがソレ)。

・難易度は任天堂の長く続く作品としてはかなり高めだったシリーズ作品に比べるとかなり低く抑えられている。良く言えば、レア社〜レトロスタジオ製の期間のドンキーコングではかなり高めで「誰でも問題なく全クリできる」って感じでは無かったドンキーコングシリーズが、久しぶりに「とっつきが良くてマイルドなゲームバランスになり、ユーザフレンドリーな出来に回帰した」とは言えそうな(途中、本作と同じ東京制作部開発のGC『ジャングルビート』やパオン開発の中小規模のアクションパズル等もあるにはあったが、シリーズの中では少数派でありソレ路線がメインになる事は無かったのでネ)。

・アクションゲームとしてはボリュームがかなりあり、長く楽しめる作りなのが嬉しい。同じ開発チームの前作であるSwitch『スーパーマリオオデッセイ』と比べても、かなりボリュームアップしていると思う。

<快適性部分>
・処理的には結構重そうな割には動作はスムーズでストレスを感じない。ロードもステージ間の移動(=穴をひたすら落下する場面で読み込み時間を稼いでる?)程度で待たされないのは良し。

<グラフィック&サウンド部分>
・開発会社・部署が変わった(てか、海外メーカへの外注から任天堂内製に回帰した珍しいケースではあるが)って事で、雰囲気は大幅に変わっており、グラフィックやサウンド等の演出部分から洋ゲー臭いバタ臭さみたいな成分が薄まり、全体的に(特に日本のプレイヤーには)親しみを感じやすい感じになっているかな、と。

・下記で挙げたように気になる部分でもあるのだが、大幅にモデルチェンジしてデザインが変更されたドンキーコングは表情が豊かであり、親しみを感じやすいデザインになっていると思う。

・BGMも海外の作曲家でなく任天堂内製になってて雰囲気は変わってるが、近年のゲームミュージックに多い環境音楽的な曲調とは違い、ポップな曲多めでで旋律強めの印象に残りやすい曲も多く、わし好みではある。

・ポリーンは日本語でガンガン喋りまくるが、(下記のマリオキャラが日本語フルボイスで話す事がほぼ無い事に由来する違和感以外は)まぁカワイイ路線でマッチしててよろしいかと思う。ヘンに演じる声優を前面に出してない辺りもまぁ任天堂らしくて良いかと(個人的には作中で演じる声優を前面に出すって好みでナイんで)。

<DLCについて>
・新モード『エメラルドラッシュ』で獲得したバナナコインはそのまま入手できるため、稼ぎ促進用としては効率が良い。
ウキー!ダメなとこ。
<快適性部分>
・プレイヤーがカメラをいじらずに意識せずに遊べる印象だが、任天堂の3Dアクションにしてはカメラがちょっと酔いやすい感じかもしんない(わしの場合は狭い場所でガーッと掘りまくって視点が近付いたり揺れたりするとちょっと気持ち悪くなる)。

<ゲームデザイン・バランス部分>
・ある程度進んで行くと毒沼だの溶岩だのダメージ床だらけのステージとかあって(しかもスリップダメージ大きめ)、途端に窮屈さが上がってしまう。本作のドンキーはそこまで緻密な動きに向いてない感じなんで、狭い足場をチマチマ動く事を要求されるのは結構ストレスが大きい。

・暫くの間は(スーファミのレア社〜近年のレトロスタジオ開発期間)任天堂のアクションゲームの中では高難度寄りで近年特に顕著だったと思えるのだが、その傾向に反して本作はかなりユル目に難易度になってると思う。高難度で手応えがある事を期待するとちょっと肩透かし感はあるかも。

<スコアに反映してないけど気になった細かい点>
・遊んでるウチに思ったよりは気にならなくなったが、30年以上も慣れ親しんだレア社版ドンキーコングのデザインから大きく変わってるんで、そこはやっぱ「えー?今更デザイン変えんの?」ってモヤモヤ感もやっぱある。変えるなら任天堂とレア社の関係が切れた20年以上前に変えてりゃ(=レア社版デザインは7〜8年止まりで留まった事になる)、今ほど違和感覚えずに済んだのに。

・ホントにどうでもイイ所なんだが、本作のバナナってどう見ても「バナナじゃなくて岩」じゃないスか?ドンキーが美味そうにガツガツ食ってるんだけど、「岩食ってんの?ゴリラが?」って思えてビミョーにモヤモヤ(苦笑)。

・全体のテイストがちょっとミュージカルっぽい感じ(てか言ってしまえばディズニーのアニメ)に寄せ過ぎな部分とか、これまであんま日本語ボイスで喋らなかったマリオキャラ(ポリーン)がガンガン日本語フルボイスで喋りまくる点(=旧開発一部系の『メイドインワリオ』では喋ってたが、EAD系のマリオキャラが日本語ボイスを喋りまくるとかは過去無かったと思うんで)は、少々鼻につくとか違和感があったりとか思えなくもナイ。若干好みが分かれそうな部分ではある。

<DLCについて>
・新モード『エメラルドラッシュ』はローグライト系で繰り返し遊べるって宣伝文句だが、個人的にはそこまで面白さは感じなかった。ヴォイドコングから出すお題をこなすのが重要なバランスに感じるが、お題が出された所まで移動するのが作業的になりがちで、しかもただ移動してるだけなんでどうも退屈に感じてしまう。あと、本編でのパワーアップ分はほぼ剥奪された上で遊ぶ事になるが、地形とか敵とか壊した時のエメラルド出現率も大幅に下がってしまうため、苦労してアレコレとブッ壊しても雀の涙ほどのエメラルドしか得られない。本編側で感じたザクザク感が味わえないのも地味に痛いションボリポイントな気が。

・本編でのバナナや化石の位置を覚えておくと有利だが…「そんな細かいトコまでいちいち覚えてらんねー!」…って関係上、頻繁にマップを開いて「ん〜どこだ?ん〜ありゃ、ここじゃねーな…」ってニラメッコする必要があり、その都度進行がストップするのがダルい。オマケに苦労してバナナまで到達/ミッションクリアしてもよりにもよって報酬で「変身すらできないバナンザのパワーアップ」(=実質無意味)がガンガン選択肢を占有してくるのも、結果的に選択肢の幅を狭めまくりで印象が良くない。

・スコアアタック形式なのだが、最初のウチに引けた能力がショボいと稼ぎ効率が極端に落ちてしまう。結局リアルラック次第で極端にスコアの伸びが変わってしまう雑なバランスに思えてしまうのもモヤモヤ要素ではあるかな、と。

・新フィールド『DKアイランド』が追加されたが、ホント見た目が綺麗なだけで特に面白い要素とかも無いオマケ要素に留まってる印象。レア社時代のドンキーコング要素がかなり散りばめられてて懐かしい事は懐かしいのだが、返す返すも懐かしいだけで別に楽しくはナイ。
ウホウホ、感想。
 任天堂の内製チーム開発としてはゲームキューブの『ジャングルビート』以来、約20年ぶりとなる新作で、3Dアクションとしてもニンテンドウ64の『ドンキーコング64』以来となる新作。『ジャングルビート』同様に任天堂の東京チームが開発を担当。

 内容は過去のドンキーコングシリーズの任天堂初期作品、レア社版、レトロスタジオ版、ジャングルビート、パオン社開発作品などなど、どの作品の系譜にも繋がらず、完全に新規のアクションゲームにドンキーコングのキャラを載っけた感じに仕上がっている印象。謎解きしたりジャンプで穴や障害物を避けたりするのではなく、とにかく邪魔な物を豪快にブッ壊してガンガン進む、爽快感優先の作りになっているかと。

 難易度はレア社〜レトロスタジオ製の2Dアクションに比べるとかなりユルめのバランスになっており、高難度ゲーを好むプレイヤーさんの好みにはあまり合わないんじゃないかと思えた一方、個人的には最近増えた気がする『死にゲー』的な高難度なアクションってストレスばっか溜まってヘタレなわしは苦手&好かんので、本作みたいに「比較的ユルくてガンガン遊べてスカッとする内容」は、かなり好印象であった。
 爽快感特化で割り切った作りではあるが、任天堂内製作品らしい丁寧でスキの無い作りって感じであり、アクションゲームとして完成度は高い。30年以上定着してたレア社デザインからかなり大幅に見た目が変わっており違和感も無くはないが、ゲーム自体はしっかり骨太な作りになってるかと。

<DLCについて>
 個人的には微妙寄りだった。まぁ本編側は楽しかったんでソフト全体としてのスコアは据え置きにするが、ゲームバランスが大雑把な上にボリュームも無く、DL部分単体なら65〜70点止まりって印象。
 新フィールドでドンキーコングの故郷『DKアイランド』が追加されたが、見た目はキレイなものの新しいギミックとか遊べる要素が増えるとかでも無く、ゲームとして面白い部分は無い完全なオマケ要素で、だいぶ肩透かし。
 『エメラルドラッシュ』は随分と丁寧なバランス調整がなされていた本編側に比べるとかなり「やっつけ」な作りで、ヘンに「運要素が強い」「まだ持ってないバナンザ変身のパワーアップばっか出て来てイライラする」「バナナや化石の場所探しでマップを何度も頻繁に見る必要があってその都度進行が止められる」とか、モヤっとする要素が多くて個人的にはあんま楽しめなかったな、と。
 同じローグライト形式のゲームで言えば『HADES II』は楽しませてもらってるのだが、この『エメラルドラッシュ』は作業色の濃さばっかり気になる作りで、ランダムである要素がストレスにしかなってない気が。ローグライト形式とスコアアタックって食い合わせが悪いかもしれんね…。

掲載日:2025年9月9日
更新日:2025年12月2日


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