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マリオカートワールド
メーカー:任天堂
開発:任天堂企画制作本部
機種:ニンテンドースイッチ2
発売年月日:2025年6月5日
価格:9980円
ジャンル:レース
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| 映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | 総合評価 |
| 8 | 8 | 7 | 7 | 6 | 6 | 70 |
| イーヤッフー!ハハー!(よかばいねー) |
| <システム&バランス部分> ・同時出走の人数は過去最高に増え、色んなアイテムが飛び交いハデに順位が入れ替わるため、ワチャワチャっぷり・賑やかさも向上した印象。 ・オープンワールド以外の基本的なシステム・操作部分は過去シリーズから踏襲しており、シリーズ共通とも言える安定した面白さがある。 ・グランプリは難易度がいやに高めかなァ…とは思うが、手応えがあるって点では上級者には良い調整なのかなァとは思う。 <快適性部分> ・オープンワールドのゲームと言えば、大抵20秒〜30秒だのクソ長いロードだったりするが、本作の場合はオープンワールドの割に読み込みが非常に早く、イライラさせられる事はほぼ無いと思われる(快適性にうるさいわしで大丈夫なレベルなんで)。ここは素直にスゴイ。 <グラフィック&サウンド> ・オープンワールドのフィールドは流用とか無いっぽい感じであり、丁寧に作られているかと。のんびりとドライブする事を楽しめるプレイヤーには良い新要素と言えるのでは(個人的には↓の通り、ゲームとして&大きなシリーズの新作の目玉要素としては、ちょっと退屈過ぎると思うが)。 ・ハードの性能アップに伴い、キャラの表情もグッと豊かになった印象。まぁ基本、後ろから見てる時間が長いゲームなんで、ソコまで恩恵が大きいかって言うと些かビミョーではあるが。 ・参戦キャラクターはNintendo Directで話題になったウシ(モーモーファームの背景にいる牛)など、「そんなんアリ?」っていうようなチョイスが多いのはウケる要素ではある。 ・同様に、BGMはシリーズ過去作品(マリオカートだけでなく、他のマリオ作品も全部込みで)から色んな曲がアレンジされてその都度流れるため、懐かしさ全開である。どっちかって言うと昔からマリオを遊んでる我らオッサン以上世代の方がこの部分は恩恵が大きそうな感じ(笑)。 <スコアに反映させていないけど個人的には良かったと思う点> ・前作以前(『8』や『アーケードGP』とかね)だと『マリオカート』なのにマリオ以外のキャラ(=リンク・しずえ・ナムコキャラ等)が出て来てた事もあったが、本作はマリオキャラだけに収まってた点は良かった。コラボとか称してシリーズの枠外から色々持って来るの、「世界観が崩れる」とか「客側の要求がアレもコレも…って止まんなくなる」って点で好かんかったので…(苦笑)。 |
| マンマミーア…(ダメである) |
| <システム&バランス部分> -全体- ・オープンワールド化してコースとコースを繋ぐ部分でもレースを行うようになったのだが、やたらと道幅の広い道路を走っている区間が長く、退屈に感じる場面が多い(過去作で言えば、ギミックの密度が低かったマリオカート7『ウーフーアイランド』が大量に発生してる感じである…)。アイテムの妨害が頻繁に入るため鬱陶しいって意味で退屈さこそ感じないものの、走りの部分だけで言えば良くも悪くも「ドライブゲー」(=のんびり風景を楽しむゲーム)に近付いたカモ…。 ・カートのカスタマイズがかなり簡略化されて、パーツを組み合わせるシステムでは無くなってしまったのが、個人的には残念に感じたり。 ・1人でオープンワールドを制限ナシに自由に走れるフリーランモードとかもあるのだが、ちょっとしたミッション(制限時間内に「目標地点に着け!」とか「落ちているコインを集めろ!」とか)がある程度で、ホントただ走ってるだけで退屈。べらぼうなコストを掛けて実現したのが「コース同士が繋がっててダラダラ走れます!」程度ってのはいささか期待外れ。前作『8』のアップデート前の「リプレイ推し」(アングルにこだわりました!!)とかでも思ったが、マリカチームってたまに「え?こだわるのソコ?こだわってもそんな楽しくならないんでない?」って事があるわな…(苦笑)。 ・個人的には、これまでの自分のプレイ履歴の数字(=過去マリオカートシリーズだと『Wii』や『7』、マリカ以外の任天堂ゲーなら『スマブラ』や『F-ZERO99』等では搭載)とか見られるのが好きだったのだが、本作には一切無い。『マリオカート7』のすれちがい通信での要素とかもめっちゃ楽しかったモンだが。 -グランプリ&サバイバルモード- ・前作『8』の時点で気になったところなのだが、グランプリで1位で走行していると、「2回に1回以上」という異様な高確率で「コイン」(発動時点で2枚取得するだけのハズレアイテム)が出る仕様が続投しているのが退屈この上ない。COM相手のグランプリだと必然的にトップを走って1位でいる時間が飛躍的に長くなるのに、アイテムが何もできないコインばっかってのは攻撃できず防御にも使えず工夫のしようが無く、ゲームとしては明らかに面白味に欠ける改悪仕様だとしか思えず。また、防御用のアイテムをキープしてトゲゾー甲羅の攻撃を避けようとしても、やたらと他キャラのテレサ使用で盗まれてガード不能になるのがダルく、理不尽に感じる。 ・シリーズの過去作品同様にCOM同士の八百長走行(あらかじめ決まった内部の設定に沿うように順位の譲り合いしている現象。せっかく追尾機能のある赤甲羅を自身より上位のCOMに使わずにわざわざ下位のプレイヤーに投げる、順位が崩れると団子状態になってわざと速度を緩めて先に行かせるとか、露骨にプレイヤーだけ狙う行動)が酷い。COMが多くなった=プレイヤーへの攻撃が余計集中するようになっただけで、あんまメリットになってない気も。特に150cc以上のCOMは序列1位にガッチリ同じキャラが入ってくるのがインチキくさい(ここ数作で一番酷い)。任天堂の内製レースゲームって伝統的にこの部分の作りは不自然であり、違和感無く自然に見せるのがヘタだと思う。 ・DS〜3DSであった2画面の片方を使っていたマップ表示やアイテム所持状況がほぼ確認できないのが不便。速度表示とかも一切無い。近年のマリオカートって必要以上に「表示を少なくしてスッキリさせる」事にばっか執着しとる印象があるが、「ゴテゴテしてても色々と情報が欲しい」ってユーザ向けにカスタムできるようにしてくれてても良かったとは思う。画面自体(=解像度)は昔よりずっと広いワケだし、1画面でも必要な情報は表示しようはあった筈で。 ・コースのレーダーは一応表示されるものの、本作のコースは一直線で、レーダー表示は常にコース全体が表示される。すなわち、細いコースに団子状に密集してキャラが表示されるだけで殆ど役に立たない。もうちょっと局所的な表示に切り替えられるとか自動で切り替わるとか工夫は欲しかったところ。 -対戦・オンライン- ・オンラインなどCOM相手でないモードだと24人対戦はちょっと人数が多すぎてゴチャゴチャし過ぎ。強力な足引っ張りアイテムがこれまで以上に飛び交い、1度クラッシュすると格好のターゲットになって連続で被弾しやすいも相まって、あまりにカオスになり過ぎてるのはバランス的にどーなの?…って思ってしまう。 ・『マリオカートアドバンス』並に「ショートカットありきゲー」になっちゃってる印象も(オフライン専用のアドバンスと違ってこちらはオン対戦なので腕の差が露骨に出る)。他の部分は丁寧に上級者と初心者の壁を取っ払う方向になってるのに、ここだけ妙に上級者優遇ってのもイビツだなーと感じたり。 -快適性部分- ・図体のデカいキャラ(クッパやドンキー等)背の高いキャラ(ワルイージやロゼッタら)を使うとか頭部分が大きいコスチュームを着ていると、プレイヤーキャラの身体に隠れて前方が見づらい場面が妙に多いのはキツい。カメラ操作とかもほぼできないので(=一時的に傾けたりはできるが固定はできないっぽいので)プレイヤーの操作で改善はできない。できればサッサと修正していただきたいところ。…てか、長く続いたシリーズ作品でまたココが悪化してるってどういう事なの!? <グラフィック&サウンド> ・グラフィックは綺麗な事は綺麗なのだが、彩度が低めでモヤが掛かったような見た目なのは気になる(前作のマリオカート8もそんな感じ)。昔の作品(GC『ダブルダッシュ』〜3DS『7』)のような方向性のクッキリ彩度の高めな絵作りの方がマリオの世界観にはマッチしてるのでは。あと、キレイなのは結構だが、視認性が犠牲になっててギミックやアイテムが見づらいコースが少なくないのは、快適性重視だった任天堂らしくない方向性だなーとは思った。 ・サウンドも懐かし要素多めだが、ステージに合う物が流れるってよか、過去のマリオ作品の懐メロ(アレンジ曲)がダラダラとラジオのように流れてるだけで印象に残りづらく、個人的には微妙に感じた。本作のオリジナルの曲が殆ど存在せず(=タイトル表示中に最初に流れるのメインBGMくらい)本作ならではの印象が非常に弱い。 ・「コース毎の自然な繋がり」に注力した上で作られた事は分かるんだが、「自然に繋がる事」ありきで作られてて、コース毎の個性が薄れてしまった感も否めず。また、あまりに過去作からのリメイク・懐かし要素だらけってのも考えものだと思う。 ・オープンワールドではあるが、同じ格好をしたモブのキノピオ・ノコノコ・ヨッシーが歩いてるだけであり、同じくオープンワールド制だった『ゼルダ ブレワイ』みたいな一般人の生活感を感じるような空気感は無いかなーって印象ではある。あくまでコース同士が繋がってるだけ…って感じで(ジャンルも違うし、そんなゲーム性に直接関係無いトコまで作り込んでられっか!…ってのは当然理解はできるにせよ、な)。 <ボリューム、価格関係> ・同梱で買えたので4000円で済んではいるが、ソフト単体で買うと定価は1万円弱で、明らかに高い。そして定価が高い割にはボリュームが大して無いように感じられ、物足りなさがある。公式サイトに掲載された開発者インタビューによれば開発期間は長かったらしいが、極端な話、そういう事情って客には本来関係無い話でな。万人向けに位置付けられるマリオ作品で1万円ってのは割高で強気過ぎる価格設定と思う。Switchが任天堂ハードとしてダントツで売れた点、『マリオカート8DX』が移植+α程度なのにやたらと売れた結果、任天堂の悪癖(=勝った直後に天狗になる傾向。スーファミ〜64、3DS初期本体の価格設定の強気さ辺りが典型例)が出ちゃったかなーって印象ではある。 <スコアに反映させる程でないけどモヤモヤした細かい点> ・日本産のタイトルなのに海外(てかメリケン國)優先で右車線走行なのねー…とか思ったり。他だと『スプラトゥーン』や『どうぶつの森』の作中の小物グッズのファミコンやスーファミとかも日本版でも北米のNES・SNESで「あー…日本だけで数百万本売れるゲームでもゴリゴリの北米準拠なん?」ってガッカリしたモンではあるが(苦笑)。 ・頻繁にヘリコプターがプレイヤーの上空について来るんだが、アレ、なんか意味あるんかな?ファンタジー寄りのマリオの世界観でそんな『リッジレーサー』『セガラリー』チックな「TV中継されてます」的な演出って必要かな? ・せっかく過去の懐かしのBGMのアレンジ曲が多いのに、自由に聴けるモードが一切無い。まぁ元から任天堂の内製ゲーってそういうサウンドテストチックな要素って頑なまでに付けんですけども。 |
| イッツミーザ、感想。 |
| マリオカートシリーズ初のオープンワールド化作品。任天堂の内製で作られた完全新作って意味ではWiiUの『マリオカート8』以来、十数年ぶりの完全新作となる。 …のだが正直なところ、オープンワールド化はメリットよりもデメリットの方がかなり目立つ感じ。スイッチで出ていたオープンワールドでのショット後に走って移動するモードがゴリ押しの『マリオゴルフ スーパーラッシュ』と同じ感じになっちゃってる感じはある(そちらよりはフツーに楽しめる内容と思うが、精々「ちょっとマシ」程度であり、外注のマリオゴルフでなく大ヒットが求められる内製チーム開発のマリカでソレ止まりじゃ困るぜ!!)。任天堂のシリーズ物でオープンワールド採用って言うと『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』を連想してしまうのだが、流石の任天堂でも毎回「ブレワイ級のバケモノ!」とは行かないようで。定価1万円でコレかぁ…って感覚が強い。んんーー…ナントモ、残念ではある。 『マリカ8DX』が長くDLコンテンツで更新され続けていたので、本体同梱で数の出る本作も長く改善を続ける事で素直に楽しいと思える所まで改善すれば嬉しいのだが。色々粗はあれどもしっかり遊べる内容にはなってはいるのだが…ハード同発の大作って位置付けだと前述の『ゼルダブレワイ』よりも相当受ける感動とかインパクトにおいて見劣りするのは否めんかな…。 売れるゲームだから継続的なDLコンテンツの更新で改善する可能性はあるとは言え、DLCありきで後出しで改善ってのもショボいし(しかも、改善が入ればまだマシだが、ロクに改善されないで終わるリスクも当然ある)。単体で買えばパッケージで1万円も取るゲームなんでしょ?あくまで発売したタイミングでしっかり完成されてて欲しいと思う。 |
掲載日:2025年9月2日
更新日:2025年11月25日
| 映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | 総合評価 |
| 8 | 8 | 7 | 8 | 8 | 6 | 74 |
| 親方!楽しかったッスね〜! |
| 《新要素について》 ・本作ではほぼマリオシリーズにのみ限定した上で、キャラクターの選出やコースの世界観設計が行われている。過去作品でパックマンやリンクやしずえさんを使って運転したり、F-ZEROのビッグブルーをコースとして走るのも悪くはなかったが、何のゲームか分からず、ごった煮感も感じる内容であったのも事実。マリオシリーズの歴代作品からのゲスト出演も多くなり、過去の名作BGMはアレンジされ道中曲に、雑魚敵はコース上のギミックとして再登場するなど、総じて純粋なマリオシリーズファン向けの見た目に仕上がっている。 ・新システムの中でもチャージジャンプはかなり特徴的。これを使う事でレールに飛び乗ったり壁を少しだけ走る事が可能で、走るルートを平面的から立体的へと少しだけ変える事が出来る。落下するのではと思う場所の壁面や、背景にしか見えない観客席のそばのレール上を走るなど、思い掛けないルートで大幅にショートカット出来るようになっている。コース設計を前もって理解する必要がありプレイヤーの操作の腕前も求められるものの、立体的なルートで走り回る爽快感は本作独自の面白さだと感じた。 ・地上と空中に加えて、水上も走る事が出来るように。ニンテンドウ64のウェーブレースのように波の動きに合わせて走り方を考える必要があり、上手くいくとジャンプアクションを繰り返し大幅に加速出来るのが特徴。区間的に地上とは大きく異なる走り心地を楽しめる。 ・リワインド(巻き戻し)機能は驚いたが、フリーランや1人プレイではちょっとしたミスをやり直す上で補助的に使えて便利。もちろん全く使わずともゲームは進められるため、初心者向けの配慮としては中々にグッド。 《ゲームバランスについて》 ・新しいコースには走行ルートの選択肢を豊富に用意されているものが多い。曲がりやすい軽量級が急カーブを更に鋭角に曲がるためのショートカットルート、最高速度の高い重量級が速度を落とさず曲がるための外周を通るルートなど、様々な性能に合わせた道筋が各所に用意されている。よく探さないと気付かない地味で分かりにくい長所だが、この走行ルートの多様さによるバランス調整は絶妙であると感心した。 ・マリオカートは作品によって加速度重視の軽量級や、最高速度重視の重量級が有利であるなどバランスの偏りがあったが、本作はキャラクターやマシンのバランスがそこそこ良い印象がある。キャラクターやマシンの性能差ははっきり分別されているが軽量級も重量級も得手不得手がはっきりしており、プレイスタイルに合わせて自由に選べるのは良い点。 《快適性について》 ・フィールドが中々に広いがロード時間も短め、処理落ちもほぼ皆無と快適に遊べるように上手く処理されている。ゲーム開始時に少しだけロード時間がかかるが、それ以降はロード時間にほぼ悩まされない。 ・オンラインプレイでは通信回線の影響で他のプレイヤーが急加速や急減速する事もあるが、赤コウラなどの追尾型のアイテムの命中率が大幅に上がった事などの改善点もあり、オンライン上の通信環境の不具合による大きな苦痛は減ったように感じる。 《その他について》 ・問題点に挙げている同じコースを3ラップ走る機会が少ない点だが、過去作品では最下位になり真面目に走らず周回遅れで馴れ合い行為を始めるプレイヤーがいたのも事実なので、そうしたプレイヤーを目にする不快な体験は確実に減っている。 ・マシンの構成がマシン・タイヤ・グライダーの3つから、纏めて一つのマシンのみ選択する方式に変わったのはカスタマイズ性の低下に繋がっている一方で、オンラインでも素早いマシン変更が行いやすく、初心者でも長時間悩まされる事が無くなったという長所には繋がっている。 |
| 親方〜!まずいッス! |
| 《フリーラン・グランプリ等について》 ・フリーランはコース各所を自由に走り回れるのが最初は面白いものの、やる事はコースの各所に隠されている収集品を探したり短めのミッションを達成する事くらいなので、あまり長時間楽しめるとは言い難い。 ・グランプリとサバイバルでは、一度のレースに走る3ラップのうちの序盤か中盤辺りまでは、レース場からレース場までの一般道を走らされる事が多くなった。そしてこの一般道はどれも道幅が広く、直線的で単調な道があまり変化なく続いている事が多い。結果的に本作では次の目的地に到着するまで直線や緩いカーブの単調な道を走る時間が長く占められており、単調さを感じる事がある。 ・最大24人参加のレースは、人数があまりにも多過ぎると感じる事がある。特にレース開始直後は固まりあってゴチャゴチャして避けようのない攻撃が飛び交うため、ゲームの腕前関係なく理不尽な目に遭遇する事が多い。全体的に一般道やコースの横幅が広くなったのもこの24人参加レースの事情を考慮したのが理由の一つであると思うので、総じて長所より短所に繋がっている印象。 ・一般道を走る機会が増えた代わりに過去作品のように同じレース場を3ラップ走るコースの数が少なく、同じレース場を3ラップ走る機会は基本的に一人プレイでタイムアタックする時の為に制作されている模様。一般道の方が単調な道が多く、それに対してレース場は走り甲斐があるギミックや急カーブが多い構成になっているので、できれば野良オンライン対戦でも同じレース場を3ラップ走る形式で遊べる機会を設けていてほしかったところ。 《快適性について》 ・キャラクター選択画面では、雑多に並んでいるキャラクター達を横スクロールして選んでいく形なのが見辛い。これはコスチュームも含めてキャラ選択をしたい時に特に感じる問題点。過去作品のようになるべく一画面で全キャラクターを表示した上で、キャラ選択後にコスチュームを選択出来るようにするといった仕様にすれぱ、尚の事快適にキャラクター選択が出来たのではないかと思う。 ・オンラインでの通常レースは一つ一つコースを選んでからそれを走る形式だが、待機時間とランダムで抽選される演出が長めであり、もう少しテンポ良くプレイ出来れば尚のこと良かった。 ・オンラインでフレンドと合流するには、フレンドが通常の野良対戦に潜っている最中に素早く合流するしかないのがやや不便。2人だけならともかく、大人数でプレイすると上手く合流に間に合わない事もあるのが困る。複数人でのチーミングや馴れ合い行為などを避けるためなのかと考えたが、これも実行しようと思えば幾らでも可能なので対策された結果とも言い辛く。オンラインでは確実かつ素早く合流出来る仕様にしてほしかった。 《その他について》 ・選出したキャラクターをマリオシリーズで纏めるのはアリだと感じたが、知名度の低い雑魚敵が多く選出されていてあまり画面映えしないように感じた。その割にディディーコングやファンキーコングやハニークイーンなど、過去作品に登場しつつ知名度が雑魚敵よりは高いキャラクターが再登場させてもらえなかったのはやや寂しい。 ・販売価格がかなり高い割にはボリュームが控えめ。長期間に渡り桁違いのコース追加を繰り返した8DXと比べるのは酷ではあるが、それでも値段の高さに反して、プレイ可能なコース数とやり込み要素が不足し過ぎているように感じた。 ・初心者向けに走りやすく上級者との腕前の差が影響しにくいコース設計の所もある一方、チャージジャンプと壁走りを活かしたショートカットが利用出来るかが偏重されすぎているコースも多い。少しのミスでコースから外れて落ちるなどハイリスクハイリターンなショートカットが多く、それでいて大幅なタイム短縮で高順位を目指すためには使わざるを得ないので、過去作品よりも初心者と上級者の間にそびえ立つ腕前の壁は大きいと感じた。 ・プレイヤーが何を成し遂げたのかを記録する対戦記録やカウント集が用意されていない。タイトル画面で堂々と見せるのは避けるとしても、最低限オプションなどから確認出来るようにはしてほしかったところ。 |
| 感想ッス! |
| Switchのマリオカート8DXが、WiiUで発売されたマリオカート8の超バージョンアップ版とでも言える内容であったため、マリオカート8が発売された2014年から考えると実に11年ぶりの完全新作と言える。発売期間が長く空いているもののマリオカートのパーティゲームとしての基本は継続したままで、ゲームの内容もかなりの制作時間をかけたのだろうと感じる点が多くなっている。 チャージジャンプや水上走行などの新たな仕様もあり、上級者向けではあるもののコース上を立体的かつ自由に走り回るのは本作独自の面白さとして誇れる点。初心者でもハンドルアシスト付きで気軽に遊ぶ事も可能であり、パーティゲームとしてのマリオカートの面白さは存分に味わえると思われる。 しかし、グランプリやサバイバル、オンラインの新システムなどが、どれも上手く噛み合っていない事やシンプルさに尖り過ぎたのは明確な問題点。オフラインもオンラインも余計なものを減らしパーティゲームとしてシンプルに内容を楽しめるようにはなっているが、それがゲームの長時間の楽しさややり込み要素への意欲へと繋がっているかはまた別の話である。 そもそもレースゲームはオープンワールド化に向いているのだろうかという、言及してしまうとかなり致命的になる疑問がある。まず、一般的なオープンワールドゲームにありがちな、制定されたチェックポイント区間を走るレースゲームは、局所的なミッションなどであれば面白い事もある。しかし逆のパターン、ある程度決まったコースを幾度も走る事を目的としたレースゲームに於いては、特に何も無くだだっ広い場所が一定の面積を占めるオープンワールドのフィールドとの相性が良いとはあまり思えない。 この2つを上手く融合し工夫出来る技量があれば面白くなる可能性はあるものの、本作がオープンワールドの魅力とレースゲームの魅力を上手く融合させられたとは言い難い。本作はオープンワールドのフィールドとしては大きな問題を抱えていないので、やはりレースゲームとして如何に折り合いをつけて工夫するかが課題なのではないかと思った。遊びの幅を狭めたのも問題点で、ゲーム制作にかかった作業量に対して、長時間の面白さへと上手く繋げられていないと感じる。 24人参加レースは本作の様々な短所に繋がった原因の一つなのではないかと自分は分析しており、アップデートをする上では人数を減らした上で同じコースを3ラップ走るという、過去作品と同じようなレース体制で遊ぶ機会を増やしてほしいところ。現状ではこの遊び方が出来る機会が少なく、過去作品とは面白さの質そのものが変化してしまったように感じる。 過去作品では意図的に最下位になり嫌がらせをするプレイヤーも存在したが、これは8DXで周回せず同じアイテムボックスを連続で取るとアイテムが段々とショボくなり妨害出来なくするなどの対策があった訳で、本作でもレースの和を乱すことの無いオンラインプレイ体験は可能なはず。最近の任天堂以外のオンラインゲームでは、新シーズンのアップデート等でUIが大幅に変化するものもあるが、任天堂のゲームではそういう事をほぼ行わないのでUIの改良については諦めているものの……。その他の仕様については現状維持ではなく、アップデートで何かしらの思い切った改革が必要なのではないかと思います。 |
掲載日:2025年9月16日
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