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ビヨンド・ザ・ビヨンド
メーカー:ソニーコンピュータエンタテインメント
開発:キャメロット
機種:プレイステーション
発売年月日:1995年11月3日
価格:5800円
ジャンル:RPG


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
5 7 4 5 4 7 5 50
プレイ時間…30〜40時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
よかですたい。
・ダンジョン探索はなかなか良い感じですな。後にキャメロットがゲームボーイアドバンスで開発したRPG『黄金の太陽』の原型っぽい感じもする。

・システムとしては(下記の通りに蛇足的な要素も結構あるけどもベースとなってる部分自体は)ごくオーソドックスなRPG。特出した要素は見当たらないが割合安心して遊べる。これでもうちょっとゲームバランスとかマトモだったらなァ…。

・戦闘のグラフィックはプレイステーション初期としては迫力がある出来。「大きめのキャラが表示されていて賑やか」だとか「ドット絵がガンガン動く」とか、後にキャメロットがGBAで手掛ける『黄金の太陽』シリーズに通じる作りではある。

・桜庭統氏作曲のBGMは重厚で出来は良ろしいかと。
だめですばい。
<ゲームバランス部分>
・戦闘中に特定のボタンを連打する事でダメージが軽減したりカウンターが発動したりする、という試みは「単純作業になりがち」なる古典的RPGの欠点をカバーせんと意図した物だと思うが、疲れる程に連打しても結局何も起こらない事の方が多いので、やり切れぬ気分になることもある。また、「連打を要求される頻度が高い」・「ご丁寧に連射パッド使用不可」等、「面白くしよう」ってよりはプレイヤーを疲れさせる方向にばっか作用してるのがガッカリポイント。

・2〜3歩移動するだけですぐ戦闘になったり、エンカウント率が妙に高いのも昔のB級RPGでよくあった仕様だが、本作もまんまソレ系だったり。

・サムソンなる筋骨隆々のゴツい男がパーティメンバーにいるが、呪いだかなんだかのせいで著しく弱体化しており数値は低いわ頻繁にマヒして行動不能になるわでイライラさせられる。それでいてパーティからは外れないで常時お荷物状態のまま終盤まで行っちゃうってのが結構なストレス要素。

<グラフィック・サウンド>
・グラフィックがチープで前時代的。解像度がちょっと高い以外は大してスーパーファミコンのゲームと変わらんのはやや肩透かしではあった(『ファイナルファンタジー』(7〜9)とかのようにCGツヤツヤでフィールドが表示されるでもなく、『グランディア』みたいに3Dポリゴンで…ってのも無いんで)。戦闘画面でキャラが攻撃の際に足を動かさずに「ズゴゴゴゴ…」と動くのはある意味では楽しいけど。

・キャラクターデザインは漫画家の柴田亜美氏。…なんだが、氏のイラストとゲーム内のドット絵があんまり似ていない。デザイン自体も氏のテイストが抑えめで物足りなさはある。この辺の顔グラのいい加減さはキャメロット製作品では結構多いけども(同時期のサターンの『シャイニングフォース』シリーズでもそんな感じだし)。

・キャメロット名物『フィールドでキャラがブルブル震える』演出の意味がワカラン。それが妙に気になって話の内容が更にわからなくなったり。

<シナリオ部分>
・色々と謎を残したまま終わるストーリーはしっくり来ない。大風呂敷を広げて全然回収しないのキャメロットの悪癖だな…。後に『黄金の太陽』でも全く同じ事を繰り返しとるし、どうも懲りてない印象でキャメロット社の悪癖って感じではある。頼むから、続編出す見込みが無いなら作中でちゃんと伏線回収せぇ!

・キャメロット製RPGではお馴染みのセリフ周りの珍妙なテイスト(=社長の高橋兄氏が手掛けた通称「高橋語」)もやはり健在。ある意味では味わい深いとも言えるのだが、シナリオの良いメジャーなRPG作品と比べるとやはり違和感の大きい作りではある。
感想なり。
 セガハードで『シャイニングフォース』シリーズを手掛けていたキャメロット社がプレイステーションで開発したRPG作品。

 作りとしては後に任天堂ブランドでゲームボーイアドバンスで発売した『黄金の太陽』に近い要素も結構見られたりはする。ただ、「この作品ならでは」の独自性を出そうとしている部分が軒並みコケてしまって蛇足になっちゃってるのが痛い。
 まぁ遊べない程のウンコな内容って訳でもなく中の下あたりに収まってる感じのレベル…と申すか、ドラクエ・FFブームでRPG作品が乱発されたファミコン〜スーファミ期のB級RPGクラスの出来って印象。まぁ凡作レベルですかね。ドラクエ本編を作ってたスタッフも参加されててB級RPG止まりかよ!…とは思ったモンだが(←禁句)。

 当時はTVCMだのゲーム雑誌の広告だので「プレイステーションで発売する超大作RPG!」って宣伝されておったのだが、そこまでの出来では無かったかなァ。「ハードメーカ自身がリリースする(自称)大作RPGで出来はビミョー以下」っていうと、同じSCE社からリリースされたPS2の『ローグギャラクシー』(開発はレベルファイブ)に通ずるモノがあるかも…(苦笑)

 今だと1コインで買えるお手軽さが魅力。「面白いゲーム!」とは到底言い難いが、システムなりデザインなり、遊んでて随所でツッコミどころがあるって点で楽しめるゲームではあると思う。

掲載日:2004年11月9日
更新日:2025年6月17日


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