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ファイナルファンタジーVII
メーカー:スクウェア
機種:プレイステーション
発売年月日:1997年1月31日
価格:6800円
ジャンル:RPG


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PS1通常版 インターナショナル

リメイク版
PS4 PS5
(ただしちょー序盤のみ)

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 9 7 8 8 9 8 83
プレイ時間…100〜120時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
良いのでおじゃる。
《グラフィック・サウンド・演出部分》
・キャラや世界がドット絵が当たり前だったRPGにおいて、キレイなCGの一枚絵とポリゴンキャラで描かれるのが斬新であり、インパクトは非常に強かった。まぁ個人的にはPS1・サターン・64世代のポリゴンって無骨過ぎるんで当時からしても「新世代感はあるけどちょっとゴツいよなァ」ってあんま好みでなかったにせよ、演出部分で「これまでにない新たな表現だなー」って感覚はあった。

・要所要所のイベントは更にCGムービーが流れて、これまでのゲーム機に無かった次世代機感があったのものまた事実。わしゃ見てるだけの時間が長いムービーゲーって好かんタチなんで、重要視はしない要素ではあるけども、それまでのゲームには存在しない要素であったのは確かかと(CD-ROMのゲーム機ならPCエンジンやメガドライブでもあったが、ムービーは本作みたいな路線でなく、セル画のアニメ的な物で占められていた印象)。

・後の野村哲也氏がキャラデザのFF(10・13・15とか)に比べると、そこまでクセの強いデザインではなく、ゲーム機自体の性能・表現力の制限もあって、個性的でありつつも、ある程度万人向けの魅力があったデザインだったのがウケた要因の1つと思う(PS3以降のFFだと、野村氏の好み・作風が暴走して俗に言う「ホスト化」みたいな感じになって客層を狭めてトホホだったりするが本作の時点だとそこまででもナイって意味で)。

・サウンドもCD音源を使える初のFFって事で、クオリティが大きく向上しており、聴き応えが増した印象。イベント戦闘でボーカル入りの曲が流れる事もあるなど、凝った作りだった。

《ゲームバランス部分》
・「全体的には易しめ」と言われる事が多い難易度と思うが、システム部分は変に難解な要素を盛り込まず、オーソドックスな作りで非常に遊びやすい(てか、個人的には別に簡単過ぎるとも思わんしな)。後のFFは本編のナンバリング作品でも変に凝った物が増えてしまったんで、逆にこういう「奇をてらった作りでなくて遊びやすい」って内容は貴重になってしまった感もある。個人的にはこういうので良いんだけどな…(笑)。

《シナリオ・テキスト》
・シナリオは独自の用語とか結構ある方だとは思うが、しっかり作中で説明とかが入る分、置いてけぼりにならん配慮はできてるかと。

・前作『VI』の時点でSF的な色合いが濃くなっていたが、本作は更にファンタジーよりもSFの比重が上がった感じであり、当時としては珍しい感じで存在感があったな、と。
駄目でござんす。
《快適性部分》
・戦闘は演出が豪華になり見応えは増したものの、飛ばせないムービー的な演出も増えたためにテンポは前作以前よりかなり悪化したかと。そのせいか、ATBのゲージも敵味方ともに満タンで渋滞になりやすい印象。

・本作以降のファイナルファンタジーで共通の欠点と言えるが、美麗さの代償として歩ける場所とそうでない場所の見分けがかなり付きづらい(スーファミなんかだとCGツヤツヤの『スーパードンキーコング』でも感じたり)。本作の時点だとまだこなれていない分、余計に分かりにくい箇所が多いのが難点。バトルのターゲットのカーソル操作にしても、同じ方向への入力でも場所によっては方向がズレるなど気になる点も多い。

《システム・バランス部分》
・割と頻繁にミニゲーム的なイベントが挿入されるが、個人的にはあんま本編に関係ない作りのミニゲームを強制される作りってのは好みではないかな。スーファミ以降のFFだとだんだんミニゲーム推しがクドくなっとる印象はあった。

《シナリオ・テキスト》
・メインキャラでない住民などにメタ的なセリフが散見され、ゲームに関係ない描写で現実に引き戻されるって点で興醒めと言えば興醒めする要素ではある。
感想でござ〜る。
 ファイナルファンタジーシリーズの第7作で、スーパーファミコンからプレイステーションにハードを移しての初の作品。
 CD-ROMの大容量をフルに活かした作りで、主にグラフィック部分で従来に無い手法を取ってユーザにインパクトを与えた存在だったな、と。斬新だった映像周りに比べるとその他の要素は案外オーソドックスな作りだったと思うが、システムもバランス部分もシナリオ方面もしっかり高いレベルでまとまっていて遊びやすい作りだったのが世間様で高く評価されて今でも支持するユーザが多い要因の1つだと思う。

 わしとしては、プレイステーション1ってハードを買ったのが既にハードサイクル後期に迫る98年辺りで結構遅かった事、元からPS1・サターン・N64世代の無骨なポリゴン表示ってあんま好みで無かったせいもあると思うが、そこまで圧倒的な凄さってのは感じなかったタチではある(同一ハードの後継作である8とかも既に出てた時期ってのも大きいとは思うけども)。
 とは言え、ゲームとしてはそこまで奇抜過ぎる作りでもなく、本作の時点ではまだPS3以降のFFと違って尖ったノムリッシュデザインも暴走してない印象で馴染みやすく、比較的マイルドなゲームバランスもあって強み(グラフィック等の演出部分)を堪能しつつもどっぷり浸かりやすい間口の広さが良かったのかな、と。

 世界観とか表現の方向性で本作辺りからどっか純ファンタジーってよりはメカとかが目立つSF的な色合いが濃くなったとも言われるが、振り返ってみりゃ、前作『6』の時点で割とそういう雰囲気ってあったよなーと思ってもみたり。グラフィックの表現がドット絵からツヤツヤCG・ポリゴン路線に切り替わったのが本作なんで、余計目立ったのかな…と思ってみたりも。

 なお、本作は世間様からもスクエニって会社的にも、ファイナルファンタジーってシリーズの中でも過剰な神格化とか別格の扱いを受けてる感じに思えるのだが、個人的にはそこまでの思い入れはなく、あくまでもまぁ「しっかり遊べた良作RPG」止まりで「特別枠に入るような神ゲー!」とまでは思ってないモンで、何かにつけて本作だけ明らかに特別扱いで派生作とかリメイクとか乱発されるのは、正直鬱陶しいし「どんけ大昔のゲームで物語も完結しとるあるFF7で引っ張るんや…」って印象も抜けなかったりする。ま、あくまでスクエニって会社の姿勢にウンザリしてるだけであって、本作単品ならば別にネガティブな印象もナイですけどもね…(苦笑)。

掲載日:2023年3月28日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 10 7 9 7 9 9 87
プレイ時間…100時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ほひ?!良いの?、良いの?!
《ゲーム全体・映像面について》
・これまでのFFシリーズとはうってかわって近未来風の世界観になり、中世風のファンタジー色はほぼ無くなり近未来のスチームパンクSFの世界へと大きく変化。映像面がFF6までのドットによる描画ではなく、PSになって3Dポリゴンやプリレンダムービーに変わったのもあり、サイバーなデザインとは相性がとても良かった。

・そのプリレンダムービーだが、要所要所で入る映像の数はとても多く、プレイステーション初期のゲームにしてはかなり綺麗な映像。演出力の高さに関しては特に秀でてる方で、物語の壮大さがよく伝わる。

・メインのキャラクターデザインはこれまでのFFシリーズではお馴染みだった天野喜孝氏ではなく新しく野村哲也氏が担当するようになっていて、近未来風SFの色合いが強くなった本作の世界観とは新たな絵柄でもかなりマッチしてるように感じた。個人的には天野喜孝氏のデザインの方が好きだったものの、野村哲也氏の絵もFF7の世界観とはよく合ってるので結果的には良い方向に向かったのではないかと。

・戦闘アニメーションは当時でもかなり高いクオリティを誇り、通常の攻撃モーションやリミット技等の動きも激しく、魔法使用時や召喚獣が攻撃するときのエフェクトはかなり派手。地味な戦闘やシンプルな戦闘といった物がほとんど無く、常に映える戦闘が繰り広げられていて視覚的にも楽しませてくれた。

・ファイナルファンタジーシリーズらしく壮大なストーリーが繰り広げられているが、一度に物語が進みすぎる事はなく、細かな伏線の配置や適度に意外性を持たせたシナリオで物語にはとても引き込まれる。ややこしい部分もあるものの、全てを紐解けるとよく出来たシナリオだと関心させられる。

《ゲームシステム・音楽等について》
・キャラごとに多少の優劣は存在するものの、全体的にキャラを育てるというよりもマテリアを育てるという傾向が強く、ゲーム全体の難易度もやや低下してる事もあってストーリーを進める上ではどのキャラを使ってもクリアまで辿り着けやすいのもポイント。マテリアの扱い方次第ではキャラの役割をプレイヤー次第である程度自由に決められるのも程よく自由度があって良かった点。

・ミニゲームがストーリーの要所要所で挿入されていて、いずれもほぼ別ゲーじみた内容だがどれもやり込み甲斐があって楽しい。クリア後でもミニゲームを再プレイ出来る場所が用意されていて、これだけでもたまにやり込みプレイしたくなるくらいには色々と用意されている。

・これまでの純粋な中世ファンタジーらしさを意識した曲は大幅に減り、FF7のサイバーな世界観に合わせたテクノミュージックやロック調の主旋律が強い曲が増えてるがこれがまた良曲揃い。個人的には、FFシリーズの戦闘曲だけで言えば、FF7が一番好きなくらい(『更に闘う者達』とか『J-E-N-O-V-A』とか)。
ほ、ほひいいい…こりゃいかん…
《快適性等について》
・PSでのファイナルファンタジー3作全てに言える事なんだけど、何よりも戦闘のテンポの悪さは目につく。戦闘開始時までのディスクの読み込み時間はまだ許容範囲内としても、特に悪目立ちしてるのが戦闘中でのアニメーションの長さ。最低限、行動を選択してから攻撃に至るまでの待機時間でさえ微妙に時間がかかる上、特に召喚獣を召喚した時の演出時間は半端ではなく長く、一度召喚すると短くても30秒くらい、終盤になったり複数召喚すれば一人だけでも2分近くかかる事さえあったり。強い召喚獣であればあるほどその傾向が強く、後半になるにつれ敵も味方も長い戦闘アニメーションを使ったバトルが繰り広げられるので、戦闘テンポの悪さは目につく。

・フィールドは基本的に一枚絵の背景を使っているんだけども、リアルに描写されている反面でキャラが通れる道が分かりにくかったり、アイテムが落ちているかどうかが分かりにくい所がある。後にPSで出た8や9でもこの点は引きずってる部分があり、この辺りは手が行き届ききれてないように思う。

《シナリオ・システム等について》
・ストーリー全体の流れはよく出来ているものの、一部ケレン味を効かせすぎて理解し辛い部分がある。勘違いも含めて出鱈目やハッタリを言うキャラが多くプレイヤーに対してミスリードを誘いすぎるせいで、クリア後にもどういった展開なのか分かり辛い部分がある。

・全般的に難易度が低下している影響で、やり応えが感じにくくなっている。これまでのシリーズでは多数存在していた強敵や難関エリアといった物が少なく、わりとトントン拍子でクリアまで到達してしまうのがやや味気なく感じる。

・戦闘に参加していない仲間は戦闘しているキャラの半分ほど経験値がもらえるのだが、流石に半分ではレベルアップの足しとしても物足りず、途中からキャラを変えたい時に簡単に変えにくい。さらに、倒した数によってそのキャラごとの必殺技であるリミット技が解禁される事もあり、複数のキャラを使い分けるといった芸当はやり辛い。ある程度の腕前を持ってる人なら、複数人の使い分けプレイをしてもなんとか進められなくはないですケド…。

・この作品以降では主人公パーティが三人パーティで進めるものが多くなってきたけども、今作は魅力的な仲間が多く、さらに主人公のクラウドはほぼ固定なので二人しか入れられないというのは少し寂しいものがあったり。

《個人的には評価に反映してないけど、一応》
・FF7という存在そのものがこれまでのFFシリーズとは一線を画す方向性で作られたゲームなので、これまでのFFシリーズと同じような方向性の物を求めている人にとってはFF7の長所として挙げてる部分のいくつかがそのまま短所にもなり得そうな。良くも悪くもFF7以降におけるFFシリーズ及びその派生作品の流れが、過去のFFシリーズ及びスクウェア作品とは色合いが変わってる事が多いので、そういう意味ではFF7という作品そのものが人を選ぶ部分も無くはなかったり。
思い出の中でじっとしながら感想。
 ファイナルファンタジーというシリーズにおいては、最大の転機を迎える切っ掛けとなったと思われるFF7。自分はスーパーファミコン→プレイステーションへの進化を体感した世代ではないんだけども、先にFF6までの作品をいくつかプレイしていた事もあって内容の大きな変化にはかなり圧倒された思い出が。

 これまでの中世風ファンタジーな世界観とは変わって、サイバーな雰囲気を備えた近未来SFとしての色合いが強めの世界観へと変化。PSの性能を活かしてゲーム全体が3Dグラフィックでの描写になったり、ストーリー上の演出の一つとしてのプリレンダムービーが多用されるようになった事、PSならではの演出力と路線変更したFF7の世界観はかなりマッチしてるように感じた。

 シナリオ・イベント面での大きな変化としては、新たに野島一成氏が加わったり、坂口博信氏がガイア理論(地球そのものが一つの生命体として扱う、みたいな理論)をFF作品にも取り入れ近未来SFの世界観にしたりと、中世ファンタジー要素を主軸にしていたこれまでの作品の流れとは明らかに違う方向性になっている。

 メインのキャラクターデザインに関しては、後のFFシリーズやスクエニ関係の作品ではお馴染みとなった野村哲也氏が新たに担当。ただしFFという枠組みで見れば、本当に個人的な意見ではあるんだけども、FFシリーズでは長らくメインのキャラクターデザインを担当されていた天野喜孝氏が7からは担当されなくなったのはやや寂しいところ(9ではメインキャラの原案でもう一度だけ担当されてますけどネ)。7からの担当である野村哲也氏のデザインも中々イケてるし、野村哲也氏がキャラクター原案担当となったのも3Dグラフィックで造形しやすいようにという兼ね合いもあっての事らしいので、ここは仕方ない部分ではあるんだけども。

 天野喜孝氏は後のシリーズでも、ゲームパッケージの『FINAL FANTASY』のタイトルバックのイラスト等は描いている他、イメージイラストレーターという立場でFF7以降に登場するキャラ達のイラストも描いていたりして、この範疇であっても活動し続けてもらえるのはとても嬉しい。(氏がFF7で描いたキャラならセフィロスのイラスト等が特に最高)。

 FF7が従来作のFFらしくないと言われたりはしてるものの、FFシリーズ自体が作品ごとに開発陣が結構入れ替わってる事が多いシリーズで、主要な開発陣が固定されてる事が多い他のゲームのシリーズ作品と比べても明らかに異色な存在なので、時代の流れやこういう路線に変わったのも至極当然の流れだったのではと個人的には思う。何をもってしてFFとするかというのを考えるとキリがないし、なんなら12辺りの時点で初代FFからずっと継続して手掛けてきた開発陣の方々はほとんど居なくなってる訳で、FFという物を無理に型にはめ過ぎずに考えるのが最も楽しみやすいんじゃないかという考えの元で自分はFFシリーズを評価していマス。

 他のFF本流作品と比べても、FF7の派生ストーリー作品の多さや主人公クラウドの他ゲーム作品へのゲスト出演などは他に類を見ないほど多く、FFどころかゲームのキャラクターとしても名高い存在となったりと凄まじい出世っぷり。ゲーム史においても重要な立ち位置にあるゲームで、特に現在に至るまでのFFを知りたいのであれば、一度はプレイしておくべき立ち位置にあるゲームなのではないかと思います。

掲載日:2016年2月29日
更新日:2021年3月30日


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