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街〜運命の交差点〜
メーカー:チュンソフト
機種:セガサターン、プレイステーション
発売年月日:1998年1月22日(SS)、1999年1月28日(PS)
価格:5800円
ジャンル:アドベンチャー(サウンドノベル)
映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
10 | 10 | 8 | 10 | 8 | 9 | 10 | 94 |
良いんじゃないかしら?もぐもぐ…。 |
・物語の展開がとにかく秀逸でグイグイと引き込まれる魅力がある。複雑に絡み合い互いに影響しあう8人の主人公のストーリーが破綻なくまとまっているのはスゴイ。シリアスな内容のものから恋愛モノ、さらにはギャグチックなものまであり、楽しませ方の幅が広い。盛り上がる場面が頻繁にあり、遊び手を飽きさせない作り。個人的には似た風貌の2人が入れ替わって進行する「牛と馬」編と刑事ドラマ風の「桂馬」編がお気に入り。 ・用語解説なども(無駄に、と言えるほどに)充実しており、随時参照することができるため、練り込まれた世界観にドップリ浸かりやすい作りと言える。解説文はピリリとアクセントが効いた内容でいい。 ・実写取り込みのグラフィックは個性的。役者さんの表情の変化を楽しめるのがいい。盛り上がる場面ではムービーも効果的に使われており、臨場感は抜群にいい。 ・BGMも雰囲気に合っており文句なし。まさに“サウンド”ノベル。テーマソングも記憶に残る曲調。うむ、いいですな。 ・テキストアドベンチャーと言うことでアクション性がまったく無いので、反射神経がニブい人(→わしみたいなトロくさい人間)でも十分魅力を満喫できるはず。その点で敷居は低め。 |
ひぃっ!ダメだよぉぉ! |
・複雑に絡み合う8本のシナリオが並行に進行しており、シナリオが進行してる途中で頻繁に切り替えするため、1つの物語に集中できない点は気になった。物語同士の結び付け優先なのか、シナリオの中には展開的にやや強引だなあ、と思えるものも。バッドエンド集めも作業的になりがちで面倒。 ・実写モノということでアクが強く、とっつきづらさがある。ただ、実際遊んでみれば“実写であること”がも強みとなっていると感じるはず。映像としてそれだけの底力はある。 ・終わり方があまりに切なすぎるシナリオも。個人的にはハッピーエンドで終わってほしかった物語もあったり。 |
感想であると思われる! |
最初に出たのはセガサターン版だが、遊んだのはプレイステーション版なのでレビューはこちら(PS版)で掲載。 世間様で評価が高く、ゲーム雑誌の人気投票なんかでも常に上位にあり、気になっていたゲームではあったが手に取ることなく近年まで至っていた。…が、ふとしたきっかけで元同僚の110号の住人氏から借りて遊んでみたのだが、その完成度は想像以上だった!まさか、テキストアドベンチャーでここまで驚かされるとは!この作り込みにはただただ脱帽するのみ。これを遊んだのを期にPSP版も買ったくらいだけど、テキスト部分でPSP版は多少改変があるんで、原典重視の方はこちらをどうぞ。 実写モノということで雰囲気的に若干とっつきづらさはあるが、遊び始めてみれば違和感はすぐ消える。この手のジャンルがよほど嫌いってんでなければ、食わず嫌いせずに遊んでみていただきたい作品ですな。 |
掲載日:2009年5月4日
更新日:2020年7月7日
映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
10 | 9 | 9 | 10 | 7 | 9 | 9 | 93 |
チンチコーレ!!(素晴らしいところ!) |
・今作はチュンソフトお得意のサウンドノベルシリーズで、これまでのサウンドノベルと大きく違うのは背景の一枚絵が、実在の俳優を使って実写の一枚絵を使っている。この実写の背景というのがこのゲーム最大の魅力であり、最大の特徴である。実際の街である渋谷を使い、物語の舞台や地名も渋谷周辺を使っているので、非常に実写との相性は良い! ・一枚絵は全部で1000枚を越える数が収録されており、その場を演出することには事欠かさない。 ・出演している俳優の数は100人近くにもなる。その俳優達も無名の俳優からお笑い芸人の北陽の伊藤さおり氏や、たけし軍団の一人であるダンカンまでもが主人公の一人として登場している。主人公ではないがかなりのストーリーに深く関わってくる人物の役が、大物役者である竜雷太氏である。これは金かかってんだろうなあ(笑) ・チュンソフトお得意のサウンドノベルというだけあって場の雰囲気に合わせた音楽や効果音のセンスはとてもいい。 ・8人の主人公の誰かの行動が誰かの結果に影響するという、このゲームがおそらく初となる独特のゲームシステム。物語は渋谷の10月始めの五日間で主に繰り広げられる。なので、例えば初日の昼過ぎに主人公の誰かがエレベーターを止めてしまったりした場合、その日の同じ時間、別の主人公がそこのエレベーターを使おうとしても動かない→別のルートになりそのままその主人公はバッドエンド。という風になる。そういうのがいくつもあり、一人の主人公の物語だけでは物語は進まないようになっている。この仕様は一見複雑に見えるが、馴れるとさほど難しくなくなってくる上、難易度をイージーにすると、どこでどうしたらストーリーが進むのか的確に指示してくれるので初心者でも詰む事はない。 ・ストーリーによってはよく分からない用語を使ったりするが、そういう用語には大抵TIPという用語解説が用意されており、簡単にみる事が出来るようになってある。常識レベルのものにも用意されてあったりするが、そういうのは大抵、制作者が笑えるような文章を載っけてあるのでそういうのを見る楽しみがある。 ・8人のストーリーもそれぞれ、シリアスやハードボイルド、ラブコメやサスペンス等、ジャンルがはっきり分かれており、それらのどれも良い出来なのでどの物語にも熱中して進められる。特に自分が好きなのは『七曜会』編と『できちゃった』編が好きである。どちらもチュンソフト特有のギャグセンスが輝いているのだ。 ・プレイしていると嫌でもバッドエンドにしょっちゅう遭遇するが、それらのどれも魅力的なので、むしろどっからどうみてもバッドエンドな選択肢を選びたくなってくる(笑)。しかもバッドエンドになっても、簡単に遡って選択肢を変える事も出来るのでプレイしていてもストレスが少ない。 ・スタッフロールの演出が素晴らしい。『街』のメインテーマにボーカルがつき、8人の主人公達の撮影風景の映像が流れるというだけのモノなのだが、ストーリーが終わればまず、全てのキャラに愛着を持っているだけに、楽しそうに撮影している風景を見ると中々感動するものがある。 |
チンチコーリ!(ダメなところ) |
・全ての主人公のストーリーを同時進行しないといけない。それも様々なジャンルのストーリーがあるせいで、俺はラブコメは嫌いだぜっ!とか私はサスペンスは嫌いだわっ!とかいう人には嫌なジャンルのストーリーをプレイしなければならないというところがある。自分はホラーが物凄く苦手なので、サイコホラー風味のダンカンが主人公をしている『シュレティンガーの手』編はビクビクしながらプレイしていた(笑)。他のストーリーでもバッドエンドの画像が結構ホラーだったりすることがあるので少し注意。 ・実写というのは本当に最大の長所であるのだが、これを短所と見なしてしまうと本当に魅力が激減してしまう。プレイしていくと実写の利点がとても分かってくるのだが、それを利点と見なせなければ評価は激減するかも。一応シルエットモードなる実写ではないモードもあるのだが、こちらの出来はあまり良くなく(かまいたちの夜みたく不気味な雰囲気ならともかく街では合わない)シルエットモードでのプレイはオススメできない。 ・用語解説は真面目な場面でもふざけた解説だったりすることがあるので、そこでそんなふざけるか!!?となる場面がある。 ・ストーリーの展開が強引だったり、物語のラストが悲しかったりする場面もある。ここは文章モノにありがちなところではあるが。 |
感想でございます。 |
チュンソフトのサウンドノベルシリーズ3として降臨した『街』。一つの街の五日間を舞台に繰り広げられる8人の主人公の奇妙な繋がりを描くのはチュンソフトのサウンドノベルならではの作品である。 実写モノということで、最初は「俳優とか撮影場所とか物凄い金かかるだけだろうに、もったいねえな〜」と思っていたが実写だからこその魅力は素晴らしいの一言であった! やはり実写かつ、サウンドノベルということで「それなら小説読めばいいんじゃねーの」では済まない魅力はまさに実写サウンドノベルならではの魅力である。何気に実在サウンドノベルというジャンルは『街』と同じチュンソフトの『428』くらいしか主にないので、メジャーなジャンルとしてはならないんだろうなぁ…と思う。 メインテーマの曲もストーリーをクリアした者にとっては感慨深いものであり、カラオケでもなんと収録してあることが多いので自分はカラオケに行ったらいつも歌っている。このゲーム自体はそこそこの売上だったようだが、いかんせん製作費用がかかりすぎる!!面白いものの、こういうジャンルのゲームはいくつも作れない作品ではある…。 今では中古屋で500円くらいと小説より少し高いくらいなので、サウンドノベル初心者にも是非ともすすめたい傑作。 |
掲載日:2016年3月14日
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