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ティアリングサーガ
ユトナ英雄戦記

メーカー:エンターブレイン
開発:ティルナノーグ
機種:プレイステーション
発売年月日:2000年4月20日
価格:6800円
ジャンル:シミュレーションRPG


広告(良かったら買ってくれぃ)

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
6 7 6 6 8 9 7 76
プレイ時間…300〜400時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
最高ですぞ!
・ファイアーエムブレム(以下FE)シリーズの生みの親である加賀昭三氏がディレクターを務めているだけあってシステムが似ており、実質FEの新作の感覚で遊べる。システム的には二人いる主人公リュナンとホームズを別々に進軍させる、魔物が登場する点、同じ面を繰り返し挑戦し経験値を稼ぐ事が出来るところもある点など、ファミコン『ファイアーエムブレム外伝』をベースにしており割と同じ感覚で遊べる感じ。加賀氏デザインのゲームにしては稼ぎ作業がしやすく難易度がマイルドなんで、その点ではシミュレーションRPG慣れしてないユーザさんでも幾分馴染みやすいかと。

・ちょっとアクが強くて難解なシナリオは健在。ストーリーで難解さを取っ払った分若干インパクトだとか深みに欠ける印象となったゲームボーイアドバンス以降のファイアーエムブレムと比べると、ある意味ではこちらの方が良くも悪くも回りくどくてFEらしいと言えなくもない。裏設定も満載で奥が深い。

・ステージ数が多く、アイテム収集やキャラの育成などやり込みにもしっかり応えてくれる内容で、ボリューム面でも満足できる物量がある。

・主人公が2人おり、数回ある編成の際に2つの部隊の間でユニットを入れ替えたり、アイテムを交換できるのは面白い。特定のイベントを狙うと編成はある程度決まってくるが、それにこだわらなければかなり自由度は高い。いつもキツキツのバランスのリュナン軍と自由に進軍できてレベル上げの余裕があるホームス軍と言った風にメリハリが効いてるのも◎ですな。
だめですぞ!
・内容はほとんどファイアーエムブレムと一緒であるためにどうしても意識してしまう。操作性(カーソルの移動の滑らかさ辺りとかは特に)ではこちらの方がかなり悪い。

・加賀昭三氏デザインのファイアーエムブレムより明らかに劣る点としてはキャラの繋がりが圧倒的に分かり辛い点が挙げられる。親兄弟や国の特色が分かり易いデザインをしてる事が多いFE側に対し(≒親子・兄弟は似せてデザインされる事が多い)、こちらTSはまず見た目ではキャラの繋がりが判らないし、勢力ごとの個性付けも弱いため、人物・国家間の繋がりや歴史を認識するのに少々苦労する。この点は改善の余地はあったと思う。まあ、任天堂から突かれて急遽キャラの画を差し替えたくらいだから、スケジュール的にも厳しい点はあっただろうけども(いやエンターブレイン側の自業自得ではあるが)。

・攻略本でも見なければ絶対にわからないようなコト(レティーナ関連のイベントやアイテム合成関連)が多かった。本もセットで買ってね、ってことなんだろうけど、そういうのって興醒めするわな。この辺はハミ痛さんのエンターブレインと組んだ弊害なのかもしんない。

・プレイステーションとのリリースということで演出面の充実を期待したが、むしろ退化しているようにしか見えないのが残念。戦闘アニメの出来はコマ数が少ない上にキャラが大きいので動きのぎこちなさばかりが目立つ。まだスーパーファミコンで出たファイアーエムブレムのアニメの方が見栄えが良く、出来は数段良かったように感じられる。
感想なり。
 ファイアーエムブレム生みの親である加賀昭三氏の独立後初の作品だが、同時に宣伝の仕方のヤバさが原因で任天堂と裁判沙汰になった因縁の存在でもある。
 エンターブレインのハミ痛さんにて華々しくファイアーエムブレムの続編として宣伝。結局「パクリやんけ〜!!」との任天堂に訴えられるも、ゲームに詳しくない裁判官達の「あふりかデハヨクアルコト!」(※ちがうって)の一言で片付けられてしまい、「さすがにヨソのメニューの新作として宣伝するのはやり過ぎある。おいEb社、謝るある!」程度にしか言及されなかったのだが、ゲームに慣れ親しんだ拙者から見ると「おいおいおい、色々とパクリ過ぎだろ」と思うような箇所も少なくなかったり (※裁判に関しては詳しいページがもろもろございますのでそちらを参照くだされ)。

 おぉ、脱線した(笑)。…それはさておき、この『ティアリングサーガ』、一本のシミュレーションRPGとしてしっかり遊ぶことができる骨太な内容。難易度部分も加賀氏作のゲームにしては珍しく、かなりマイルドで遊びやすいバランス。
 ただし、色々とゲーム内で説明が不足していることもあり、攻略情報必須な部分が多いのはやや不親切。演出面はプレイステーションの作品としては地味だが、どちらも目を覆うほど酷いというワケでもないので、まぁいいことにするか。

掲載日:2004年7月19日
更新日:2021年5月4日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
6 8 6 7 7 9 8 82
プレイ時間…200時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
お見事!快勝でございますな。
・このゲームの製作ディレクターがファイアーエムブレムと同じなのもあって、ファイアーエムブレムシリーズとほぼ同じような感覚でプレイを楽しめる。ユニットを育てる面白さや、戦略性を考える奥深さは変わらず。

・育成を楽しめるように作られたホームズ軍と、ほぼストーリー通りで自由に育成する機会が無い難易度高めのリュナン軍による二つの編成がよく出来ている。ファイアーエムブレムシリーズにはよく出てくる、成長させると強いが、成長させるのが面倒なキャラというのを使いやすくした良システムであると言える。ファイアーエムブレム外伝のようにどちらの軍でも育成し放題で、育てすぎるとヌルくなりすぎるという訳でもなく、軍によって抑揚がつくのが良かった。

・ファイアーエムブレムシリーズよりも少し多めの約60人もの味方になるキャラが居るが、このゲームは部隊を別ける必要があるために使用するキャラ数が自然と多くなり、色んなキャラを使い分けながらプレイ出来るのは魅力的。

・スーパーファミコン以降のファイアーエムブレムシリーズに有りがちだった複雑かつ壮大な物語は健在。ディレクターの加賀氏の大きな魅力の一つともいえるところで、多国を巻き込んだ一筋縄ではいかない物語は良くも悪くも加賀氏のシナリオらしい。

・ファイアーエムブレムと作曲している方々は違うのだが、このゲームも名曲揃い。曲調は似てるもののハードの差による音源の違いからか、音が綺麗だった。状況に合うように曲が作られていてグッド。

・遭遇戦時のマップ等も含めると全部で50近くものマップ数が用意されていてボリュームが多い。クリア時間も下手するとファイアーエムブレムシリーズの倍近くかかる事もあるほどで、このボリュームは凄い。

・ファイアーエムブレムトラキア776のキャラクターデザインを手掛けた広田麻由美氏が同じくキャラクターデザインに関わっており、氏のキャラクターデザインはトラキアに引き続き秀逸だった。

・クリア後に育て上げたユニットを使って対戦できる対戦モードの存在は面白かった。これまでのFEシリーズではクリア後の要素が無いものばかりだったので、育て上げた自分だけのチームを使って遊べる新要素の試みは面白かった。
ぬぅ…これはまずいのではないですか。
・シナリオが難解でゲーム内専門用語が容赦なく出てくるので、初めてプレイした時には話を理解するのが大変。同じく難解なシナリオだった聖戦の系譜の時は(裏設定はともかく)ここまでゲーム内では複雑な面を見せてなかったし、髪色やステータスの確認で血族が分かるといった工夫もあったが、このゲームでは容赦なく専門用語が出てくる上に分かりにくいので大変。シナリオを補強するためか、急に説明口調になるキャラ達も気になった。

・戦闘予測画面やキャラ絵が表示される時に細かく読み込みが入ったり、システムの説明文がややこしかったりとUIが少し不便なのは感じた。

・通常の戦闘アニメーションが明らかにショボく、動きが少ない。テンポの悪さにも繋がってるので、自分は普段はマップ戦闘でプレイしていた。マップ戦闘のアニメーションはファイアーエムブレムシリーズとそこまで格差は無かったが。

・隠し要素が多く、普通にプレイしてるだけではそもそも仲間になるとすら気付かないレベルに難しいレティーナイベントや、特定のタイミングでユニットをどちらかの軍に入れないと入手出来ないアイテムの存在など、普通にプレイしてるだけでは分からないような隠し要素が多いように感じた。
コメントを取りました。一読下さい。
 同じ制作者の一人が関わっていのもあってついついファイアーエムブレムと比べてしまうゲームだが、こちらもファイアーエムブレムと同じような面白さを楽しめる。ファイアーエムブレムと比べるとUI面やら劣化してる点も所々あるものの、全体的なボリュームやまた少し違った戦略性など、このゲームならではの面白さというものも多い。

 発売前の時点で任天堂から色々とゲーム内容に突っ込まれたりしていたそうなので、急遽ゲーム内容を変更せざるを得ず、その為か所々に荒さが出てしまったのは残念。まあ任天堂が悪い訳ではなく、ディレクターが同じと言えどもファイアーエムブレムシリーズと関連性を持たせた宣伝やらは間違いなくエンターブレイン側が悪いのだが(このゲームの元々の題名が『エムブレムサーガ』だったり、元々は明らかにファイアーエムブレムと関連付けられたような宣伝だった)。
 任天堂と裁判沙汰になった今となっては間違いなく無理な話だろうが、このユトナ英雄戦記の物語の中で行われたもう一人の英雄、セネト王子側の物語も見てみたかった。実はセネト編も収録するつもりだったとか、続編でセネト達の物語も作られる予定だとか噂が飛び交っているが、それだけ話として気になるほど魅力的だという事でもあるはず。

 何かと物議を醸し出したゲームではあるが、ファイアーエムブレムシリーズと同じような感覚で楽しめるゲームである事には変わらない。このゲームならではの面白さというのもあるので、自分はファイアーエムブレムシリーズに続いてこのゲームもお気に入りのゲームになっている。

掲載日:2018年1月23日


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