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ワイルドトラックス
メーカー:任天堂
開発:任天堂情報開発部
機種:スーパーファミコン
発売年月日:1994年6月4日
価格:9800円
ジャンル:レース


執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム 総合評価
6 8 5 8 6 7 68
プレイ時間…70〜80時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
最高である!
・操作感はそれほど快適というワケではないのだが、いい意味での重さがある。

・選べるマシンは4種類(モードごとに若干異なる)しかないが、遅いがタフで滑らない4WDとか速度重視でキビキビ動くが脆いF-1とか、それぞれの個性がハッキリしてて操作する楽しみがある。

・操作する車に目が付いてたり車が壁にぶつかるとパーツが一瞬バラバラになったりするコミカルでユニークな演出は任天堂ならでは、か。

・コース数は20超あり、まぁ90年代のレースゲームとしてはそこそこボリュームはある方か。

・カントリー調のBGMは結構好み。トンネル内で反響で響くエンジン音とか、音響・効果音の部分でのこだわりもなかなか。
イカンぞな。
・「スーパーファミコンにしては」って見方なら、すんごい頑張ってるのは判る…のだが、いかんせんフレーム数が極端に少なくカクついた動作が辛い。恐らく毎秒10程度しかないと思われるほどフレーム数が低く操作性って部分でどうしても犠牲は大きい(快適とは言い難い)。もっさり感が酷く、ゲームデザインで誤魔化すにも無理があり、お世辞にも快適とは言えない。

・描画の負担を軽くする事を重視したせいか、メインのウインドウの描画がやたら小さい。上記のスクロールの粗さに加えて画面の小ささと言う二重のハンディが痛い。

・アーケードのレースゲームみたいに制限時間があるんだが(しかも結構、序盤の方からしてスレスレである)、これって必要だったかなぁ?元の難易度の時点で結構高いのに一層制限をかされるとかなりツライものがある。COM自体も一番ユルい難易度の時点で相当速く、しかもやたらと好戦的でガツガツと視界外の後方から体当たりをかまして来るのがキツい。同じSFCの任天堂製レースのF-ZEROやマリオカートの一番低難度のグランプリよりもかなりキツ目の設定に感じる。敷居の低さを重視する任天堂の、特に内製のゲームとしてはかなり異例な作りではある。
感想。
 『スターフォックス』等でも搭載していたスーパーFXチップで、スーパーファミコンでムリヤリにポリゴンのレースゲームを実現している。任天堂には珍しいリアルさ重視の真っ当なレースゲーム(表現はやっぱし可愛らしいだけどね)。デザインはかなりアーケードゲームチックで良くも悪くも任天堂っぽくない作り。挙動なども「重さ」が感じられるあたりに相応にコダワリは感じる。

 しかし、どうにも強烈な『モッサリ』感がキツい。多分、秒間フレーム10前後しか出てないんじゃないかな…(普通の2Dゲーでだいたい60/秒、PSや64以降の大概の3Dゲームは30〜60/秒間)。画面まで更に小さくなって、とにかく『重い』がキッツイ!同じFXチップ搭載の『スターフォックス』はほぼ一方向への強制スクロールだったからそんなに気にならなかったが、このゲームみたいに低フレーム数で360度好き勝手に進める…とか、スーパーファミコンではスペック的にそもそもムリがあったとしか思えない。任天堂ならではの発想転換的な技巧でハンディを長所に変えるべくあれこれ工夫がなされているのは判るのだが、正直、洗練された内容に仕上がってるとは言い難い。同時期に出たメガドライブの『バーチャレーシング』辺りと比べるとモードとかボリュームでは優れる一方、純粋なグラフィック表現や快適性ではかなり見劣りしてしまうなぁ…といった印象。スーファミはCPU性能がメガドラやPCエンジンにさえも劣っていたそうで、こういう性能勝負のソフトってのは苦手だったんだね。

 N64→ゲームキューブなどを経て、現行のゲーム機は3D描画で充分な性能を備えるに至った。任天堂内製のレースゲームは『マリオカート』一本に絞られてしまってるけど、今の任天堂ならこのワイルドトラックス路線でどのようなゲームを作れるだろうか?見てみたいところではあるけど、きっと作ってくれないんだろうなあ(泣)。

掲載日:2005年11月14日
更新日:2020年12月29日


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