パンドラの塔 君のもとへ帰るまで
メーカー:任天堂
開発:ガンバリオン・任天堂企画開発本部
機種:Wii
発売年月日:2011年5月26日
価格:6800円
ジャンル:アクションRPG
映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
7 | 8 | 7 | 8 | 9 | 8 | 8 | 83 |
よかですたい |
・アクションゲームを作り慣れてる制作会社が担当してるだけあって、アクション部分の挙動は良好で操作すること自体を楽しめる出来。使うボタンが多くやや操作が複雑なのでプレイヤーの慣れが要るタイプのゲームだと思うが、やり応えもある。Wiiリモコンのポイント・モーション操作による鎖アクションも無理矢理感が無くて◎。Wiiらしく、またお仕着せ感も無い良好な操作体系に仕上がってると思う。 ・『オレイカルコスの鎖』なるアイテムを駆使しての戦闘と謎解きがメイン。テイストとしては『ゼルダの伝説』シリーズのフックショットをメイン武器に戦うアクションRPGって感じか。謎解きは難し過ぎず易し過ぎず、よく練られたバランス。ボスなんかもただ切りつけるだけじゃなく、工夫が必要と言う点でゲーム性に深みを感じる。狙う箇所をズームにするとゲーム展開が一時的にスローになるため、細かい部位を狙い易い等の配慮も嬉しい。 ・ヒロインの待つ小屋以外では常に時間が流れ、ヒロインが完全に獣(ってかむしろ“化けモン”だな、ありゃ)になってしまう前に敵から得た生肉を食べさせに見張り小屋に戻る必要がある。よって、しばしば塔での探索を中断して、急いで帰らないといけない(しかも、グロくなってる時間が長いほどヒロインのご機嫌も斜めになる)。こう言った制約は大概鬱陶しく感じることが多いのだが、ヒロインの感情の描写とかデザインから醸し出される健気さのおかげなのか、それらの制限要素がプラスに作用してるから不思議。このパートはあんまりエロくないエロゲーとでも言うべきか。とは言え、性的な描写とかいやらしさとかとは無縁で、あくまで「かわいそうなヒロインを救う」って描写ゆえ、女性プレイヤーでも問題なく遊べると思う。 ・シナリオは正直もうちょっと深く掘り下げてくれても良い気もするが、目的自体は直球勝負で単純明快。難解な部分が無く、感情移入はし易い。 |
だめですバイ |
・カメラ位置が完全に固定で一切動かせない。まあこれ自体のみなら「カメラ操作が要らない」なるメリットもあるし欠点にならんと思うのだが、問題はカメラが固定なことでやけに引いた視点で遠巻きに戦闘を強要される事、もしくは主人公が手前に寄った時に更に手前にいる敵が完全に死角になることが少なくない点、更には視点の切り替えの境目付近での戦いで誤操作(もしくは敵がまったく視認できない!…な状況)が誘発される事などなど、チラホラと気になる点がある作りなのが残念。慣れで多少は改善できるが、基本的には『カメラが切り替わらん戦いやすい場所に敵を誘導する』流れに持って行かざるを得ないのがなんだかなぁ的要素。この部分は改善の余地はあったと思う。 ・チュートリアルは順を追って少しずつ説明してくれるのではなく、最初っからテキストをゲーム内に用意しておき「後は自由に参照して何とかしてね」、ってスタイルなんでやや不親切。操作自体が結構複雑なんで、もうちょっと親切にレクチャーしてくれても良かったとは思う。 ・グラフィックの路線的には結構に露骨なホラー…と申すかグロ成分が強めなので、耐性が無い方はご注意。 ・ダンジョンのバリエーションが少ない。まあ1箇所に固まった塔を順繰りに攻略していく(後半は多少自由にできる)関係上、仕方ない部分ではあるが。BGMも1種類(でコーラスが男Ver.と女Ver.があるが)だけなのもちょっとさみしい。 ・昔の関係者のアーカイブ等のテキストは多少隠されてはあるが、基本ヒントらしいヒントが無いので人によっては詰むかも。 ・アイテム合成(特に材料の確保)が面倒。種類によって完全に場所が限定される上に、一度の探索で入手できる敵からのドロップアイテムが少ないので、何度も往復するはめになる。結果、作業的になってしまい、ちょっとしんどい。 |
感想ですけん。 |
かなりアクションの比率が高い系のアクションRPG。同じ任天堂の作品で言えばフックショットをメインに戦うゼルダとでも言えるか。この作品も謎解きは多いが、比率としては中盤以降なんかは特にアクションや戦闘要素が濃くなっていく。 また、ゲーム性に深く絡むヒロインはまさにギャルゲー的なテイストで、任天堂タイトルでここまでギャルゲー色が強いタイトルは珍しい(ただし、会話だとかシステム面がギャルゲー的なだけであって、絵柄だとか展開だとかは萌え・アニメゲーとは別物なのでそちら方面に期待しても何も無いYO!!)。また同時に、ヒロインのセレスは呪いによって時間経過で獣(…ってか触手ウネウネ〜なぐちゃぐちゃ異形系のバケモン)に変わるホラーゲーム的な色合いも含むのが面白い。短所としてはカメラ周りの出来の悪さなど、気になる点もあるにはあるが、完成度そのものは高水準。操作自体は似たような物が無い分とっつきは悪いが、ボタン割り振りやリモコン機能の使い方にもムリがなく、慣れで十分克服できるレベルかと。 売上がそれほどでもなく世界中で同時期に好評を博した『ゼノブレイド』(まぁゼノも売れてはいないが)に隠れて目立たない存在だが出来自体は良い。Wii後期の良作。未経験の方でホラーが大丈夫な方、独自色の強い作品が好きな方は是非どうぞ。 |
掲載日:2011年6月7日
更新日:2015年1月12日
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