縮緬遊戯堂 > レビューランド > Wii > ゼノブレイド

Xenoblade
ゼノブレイド

メーカー:任天堂
開発:モノリスソフト、任天堂企画開発本部
機種:Wii
発売年月日:2010年6月10日
価格:6800円
ジャンル:RPG


広告(良かったら買ってくれぃ)
 
Wii版 NEW3DS版

スイッチさん版

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 10 8 9 9 10 10 96
プレイ時間…1400〜1500時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
よっしゃ最高だぜ!(ライン風に)
《システム・バランス部分》
・戦闘はシームレス(フィールドと戦闘の切り替え無し)で行われるが、広大なフィールドをバックに巨大な敵と戦うのが壮大。感じられる“広さ”は他のRPGを圧倒する。システム的にはリアルタイムでどんどん選択を迫られる上に位置取りなんかも考える必要があって敷居は高めと言わざるを得ないが、慣れてくれば、その欠点を補って余りある爽快感もある。遊び始めるとドップリと浸かってしまう魅力を持つタイトルだと思う。また、遊ぶキャラによって、全くゲーム性が変わってくるのも面白い。ボス戦等では主人公であり神の剣モナドを持つシュルクと回復役のカルナはいるといないとで大分難易度が変わって来る印象だが、それ以外では意外と選択肢は広い。ある時は体力に優れたキャラを使って敵に突貫してみたり、またある時は遠距離から敵に狙われないようにチビチビとサポートしてみたり。技の種類・性能も多彩なので色々使い比べて自分に合うモノを探していく過程もまた楽しいものだ。また、回復役と呼べるパーティメンバーはカルナ1名のみだが、彼女を外してもしっかりゲームが成り立つ絶妙なバランスが良い。

・色々な面で広さを感じられる作りになっている。まず、フィールドそのものが広い。“世界の広さ”を痛感できる出来(空中に浮いた街の崖からフィールドの海に飛び込むなんて暴挙が許される懐の深さも味と言うべきか→敵強いから戻るのに難儀したけど)。それに昼夜の概念があり、自然の描写も凝っている。ただ広いだけだと移動に時間がかかって面倒!!…とかいった状況に陥りがちだけど、そう言ったストレスを極力排除してくれてるのは評価できる(一部重要シーン以外では、一瞬で行きたい場所に移動する事もできるとか)。シナリオ面でもメインとなる部分以外にも脇道のサブイベント部分もクリア後の周回プレイ・やり込み要素部分も細やかに作りこまれており、懐の深さが光る。アイテム収集などいくらでも脇道に反れてしまうことができる太っ腹な内容と言える。オープンワールド系って言われる大作がチラホラ出始めた中での作品であり本作もその要素を取り入れてはいるが、完全なオープンワールドではなく擬似的な物に留まってはいる。…とは言え、フィールド同士の繋がりや世界の広がりを感じられる配慮が随所になされており、ここまで『広さ』を感じられる作品ってのは真性のオープンワールドゲーでも案外少ないかと。

・ゲームオーバー時のペナルティが非常に少ない(金も減らされない、稼いだ経験値はそのままで最後に通過したチェックポイントに戻されるだけ)ので、気軽に奥地に進んでみたり、ある意味でとんでもないムチャができるのが豪快で楽しい。普通にフィールドに高レベルの敵がいて、瞬殺されることもあるので(LVが一桁の時にLV74とかの名前付きの強敵に見つかって一撃で殺されたりするのはご愛嬌)。失敗を恐れず色々試せる懐の深い作りはこれまでのRPGではなかなか無かっただけに新鮮に感じた。

《グラフィック&サウンド》
・グラフィックは確かに同時期のXbox360やPS3などのHD機には劣る…が、こればかりは仕方ない。ただ、性能の低いWiiとしてはこれ以上は望めないレベルに到達しているようには思う。風景の描き込みの代償か、キャラのモデリングで少々粗さがあるのを除けば、同時期のWiiソフトと比べても高レベルにあるびは間違いない、そもそも同時期のHD機種のRPG込みでここまで壮大な世界を表現できとるRPGが皆無だった事を思えば、十分称賛に値する出来ではある。

・BGM。どっちかって言うと「ドラクエ」や「MOTHER」みたいに音楽自体が前面に出てくる感じでは無い(勿論、場面によっては重い曲が流れる事はあるが)。ただ、場面場面に合った曲が時に豪快に時にしっとりと流れているのは心地がいい。複数の有名な作曲家が手掛けられとる割には妙に統一感があり、かつ、それぞれの作曲者の良さも活かされてるように感じた。豊富な実績のある光田氏・下村氏作曲のBGMは勿論だが、特に注目していなかった清田氏・ACE+さん側の曲も名曲揃いで、その点では良い意味で驚きの連続であった。

《シナリオ》
・シナリオは直球勝負・分かり易さ重視で意外性は殆どないが、変にひねり過ぎるよりずっと印象はいい(→一番の意外性のある部分そのものをCMにして壮大にネタバレしてたくらいだったしな)。専門用語のオンパレードってこともなく、ゲーム独自の要素・情報も必要に応じて小出しで提供・解説してくれるので、プレイヤー側がパニックに陥ることもない。それでいて、ついつい先を知りたくなる作りになってるのは好感が持てる。

《総じて》
・なんと言っても圧倒的なボリュームは魅力。軽量級ゲームの多いWiiでは貴重な存在だったと言っていい。脇道もしっかり作られており、普通に遊んでも100時間突破は間違いなし。脇道に目をふらず、ドンドン先に進めば案外楽にクリアできるかもしれんが、クエストや強敵潰しに興味を持って脇道に逸れれば、ゲーム内表示の99時間59分というカンストの値には簡単に達するはず(要領の悪いわしみたいなプレイヤーさんだと特に、ね)。

・圧倒的なスケール感だとか万事に渡る丁寧な作り込みが光るのだが、冷静に振り返るとそんなに突き抜けた要素がある訳ではないように思う。『5に近いレベルでのオール4』的なオールラウンドっぷりとまとまりの良さ・総合力の高さこそがこのゲームの凄かったトコなのかな…とは思う。もちろん、BGMやフィールドの広大さなど文句なしで5の部分もあるにはあるけども。粗っぽい作り・割り切った仕様の事が多かったモノリスソフト製のソフトとしては驚異の仕事っぷり(良い意味でな)。
ふぅむ…それは困るのではないか?(メリアちゃん風に)
《システム・バランス》
・戦闘システムはリアルタイムに進行するため忙しい上に、複雑で慣れるまではとっつきが悪い。また、パーティと敵とのレベル差による攻撃力・命中率の補正がやたら大きく、ちょっとレベル差のある敵と戦ったりするとダメージが殆ど通らなかったりする(と言うか…攻撃そのものが当たらない)など、ちょっとバランス的に首をひねりたくなる部分も無くは無い。「レベル差のある敵=壁」なのはつまらんかも(逆に言えば時間をかけてキャラを育てればいつかは絶対勝てるってことではある。レベル上げの努力はいつか報われる…って意味ではユーザーに優しいとも言える、か)。

《UI・快適性》
・色々オプションで設定できるのはよろしいのだが、肝心のところに手が届かないって意味では改善の余地はあったかと。敵を倒した際に手に入る素材アイテムの持てる種類の上限が低く、中盤あたりからチビチビと整理に時間をかけねばならないのは面倒ではある。

・特に任天堂製のゲームではありがちなのだが、セーブファイルが3つまでしか用意されてないのは据置機のこのボリュームのRPGとしては明らかに足りない気がするね。容量キツキツのカートリッジのゲームじゃないんだし、別にデータ数に制限を設ける必要は無かったのでは?(まぁ本体側の保存用メモリはキツキツだったけどな!)あと、プレイ時間が表示されるのだが、99時間59分でカンストしてしまうのであんまり存在意義を感じなかったり(コレは後の移植作品では改善されとるが)。

《シナリオ》
・シナリオ面での不満は非常に少ないと言えるが、唯一、「ラスボス後〜ハッピーエンドの間に某パーティメンバーが命を落とす危機からの復帰(=自分の肉体をどのように取り戻したのか)」…については説明不足感あり。ハッピーエンドなのは皆、無事で良かったね、と素直に思えるのだが、そこの部分の描写が無いのはちょっと物足りなく感じた。どうも『暗転中の場面はユーザさんの想像に任せる!』ってスタイルは好きになれませんで。

《スコアに反映させてないけど気になった点》
・今となっては完全にシリーズとして定着した感のある『ゼノブレイド』だが、変に過去のモノリス製RPGと関連性を匂わせる「ゼノ」をタイトルに付ける必要はあったのか?これまでの「ゼノ」シリーズのファンを釣る客寄せの意味合いは少なからずあっただろうが、内容的にはそれまでの「ゼノ」シリーズとはまるで別物ゆえ、そこまでこだわらなくてもいいように感じた(そもそも過去のゼノがスクエニやバンナムから出てたって事で、会社自体違うのである)。開発側:モノリスソフトが望んで付けたなら別だが、任天堂サイドが何らかの意図を持って無理やりこの名前にしたとしたら、ちょいとセコいやり方だとは思う。ならば別に仮タイトルの「モナド・ビギニング・ザ・ワールド」のままでよかったじゃねぇの?
感想だも!(リキ風に)
 任天堂ブランド・Wiiにしては珍しい「重厚長大」系のRPG。ストーリーはどっちかと言うと直球勝負でそんなにひねりは無いけど(→てか、一番ヒネリがあって盛り上がりそうなトコをTVのCMで壮大にネタバレしてたくらいなのでな)、脇道に逸れたイベントだとか細かい演出だとか所々で意外な展開があったりして、そう言った想定外の事態に出くわすことが面白かった。
 また、壮大なRPG(特に日本製のタイトルだと顕著だが)ともなると専門用語の羅列で混乱することも少なくないが、そう言った事態に陥らないように色々気を遣ってくれてるんだなあ、という感る部分は多かった(システム的にも、ストーリーそのものの流れとしても)。バトルの間にも人物間でのセリフのやり取りが賑やかで、遊んでいてパーティのメンバーになった気分になれるって点で没入感は大きい。カミサマの骸の上に広がる広大なフィールドは圧巻であり、様々な地形や環境の描写が凝ってて「冒険してる」感が存分に味わえるのが魅力。

 同じ『ゼノ』を名乗る過去作と比べても関連性はほぼ無く、シナリオ的にもシステム面でも一発目って言っていいオリジナル作品ではあると思うけども、既存の超大作と肩を並べても遜色の無い作品と言っていいレベルのスケール感がある。
 1周遊ぶだけで凄まじいボリューム感があるが、2周目以降への引継ぎ要素も用意されてるので、その気になればまだまだ遊べる圧倒的な懐の深さがある。とてつもないボリュームには感服。

 気になる点としては、地形描画に性能を割いている分、人物側のモデリングはやや力不足の感があり、イベントパートでの人物のアップでの描画(特に表情において)のグラフィック面で「Wiiにもう少し描画力があればな〜」と思わされる部分があったのも事実。また、アイテム整理など、UI部分で改善の余地はあった気はする。

 総じて、一本のゲームとしての完成度は間違いなく最上級であり、わしとしては21世紀に入って遊んだRPGの中でベスト作品に挙げても良い程。
 正直発売前はそんなに期待してた訳じゃなかったから、事前に期待してたより遥かに良い出来であった。うまく言葉にできないが、色んなプラスの意味で、既存のRPGの良いトコを巧く1本にまとめた“ハイブリッド志向の超大作”って言えるでしょうな。和製RPGの取るべき進化の方向を示してくれた傑作。

掲載日:2010年6月16日
更新日:2020年5月19日


執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 10 8 10 9 10 9 95
プレイ時間…1000時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
も!とっても良いですも!
・本作の戦闘で特徴的かつ特に面白いのは、敵の強力な攻撃が起きる前に予めどのような攻撃を行ってくるかの予告が見える、未来視(ビジョン)システム。未来視は物語の重要なキーワードにもなっているが、本作独自のこのシステムは強力な敵との対峙やピンチの時にこそ面白味がかなり発揮される。相手の攻撃に合わせてこちらの行動を変えていくというのが重要で、プレイヤー達が編成した物の中から最善の選択肢を選び、本来の流れを変えて敵を打倒していくバトルがかなり爽快。本作は意図的に、ゲームの進行状態から考えても明らかに格上と言える存在が随所に登場するようになっているのだが、そのモンスターがレベル差次第では壁役の体力を8割以上削ってくるような攻撃を放ってきたりする事もあり、普通のゲームならとんでもない初見泣かせにしか過ぎない攻撃にしかならない物でも、このシステムのおかげである程度の事前対応が可能になっている。

・最終的に7人まで増えるキャラを、編成や装備を考え使い分けてプレイしていくのが面白い。普通にプレイする分にはシナリオ的にも技的にも汎用性が高く使いやすいシュルクを主軸にプレイヤーが使っていくと思うが、敵の攻撃を主に引き受ける役割である壁役や、回復役などをプレイヤーが使っていくのも立ち回りや操作感が大きく変わっていって、これまた違う楽しみ方が出来る。キャラバランスもかなりとれていて、『回復&壁役』さえある程度ハッキリさせておけばそこまでカスタマイズしなくても、クリアまではそこまで苦労なく進められると思う。しっかりと装備を整えれば(かなりネタ編成にはなるけど)、シュルク以外のキャラは全てメインの壁役として運用する事も出来たりと、ある程度のおふざけも可能な自由がある。

・マップが極めて広大で、ただ広大なだけでなく各所にモンスターやランドマーク、隠されている宝箱など、随所に探索心をかき立てられる物が用意されている。マップ構成も洗練されており、物語の舞台となる広大なフィールドの魅せ方に関してはかなり高レベル。後に開発のモノリスソフトはゼノブレイドクロスやゼノブレイド2の制作、他にもゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのマップの制作協力をしてたりするが、そのいずれもマップ構成は高いレベルを誇ってるので、この点に関しては素直に高い技術力があるのだと思う。

・フィールドのグラフィックはなかなか綺麗。天候や時間帯によって景観が大きく変化する場所が多く、いわゆる名所や秘境といったロケーションも多く用意されていて、適当に歩いているだけでも自然と美しい風景が目に入る。

・ゲームオーバー時のペナルティが極めて少ない。ゲーム中のエリア各所にはランドマークが数多く用意されており、敵との戦いで全滅したり、ちょっと足を踏み外して落下死したりしてもすぐ最寄りのランドマークまで戻れる。本作は意図的に各地に強敵が用意されており、特にラスボスよりも強い敵とは普通にプレイしていても早いと3つめのエリアで遭遇する(大袈裟に言ってる訳ではなく、少し道を外れるだけでラスボスより強い敵が出てくる事が本当によくある)ので、ただ快適なだけでなく本作の敵配置的にもこの仕様はなかなか良かったと思う。

・マップ移動時の読み込み速度はまあまあ速く、10秒弱ほどでいつでも別のフィールドへ行く事が出来る。一度訪れたランドマークへは世界各地のどこにいようとすぐにノーコストで行く事が出来るので、シナリオ的に重要な敵を目の前にして、ランドマークで最初の街まで戻って一用事を済ませる…なんて事もすぐに行えてしまう。ゲーム中に提示されるクエスト的にも、そういった歩き回るプレイを推奨してる印象があるので、そういう遊び方はある意味新鮮にも感じた。

・スキルや攻撃技のアーツ、装備といったバトル性を大きく変化させるシステムが極めて豊富で、独自性の高い編成や、やり込みプレイにも幅広く対応出来ている。こういった細かい仕様がなんの事だか分からない人でも、なんとなく強そうな武器や防具を付けて、ある程度レベルを上げればレベル差補正でまずクリアまでは駆け付けられるだろうし、強敵との戦いを求める人ややり込みを求める人はスキルをふんだんに使ってストイックにやり込みする事も出来る。

・初めはゲームの展開に適度に合わせたあまり主張しすぎないBGMが多いが、物語が本格的に進むにつれてフィールドの雰囲気とあったBGMや、イベントの展開に合ったBGMが多数使われてくるようになっている。曲単体で聴くために作られたものというよりも、物語の雰囲気としっかり合わせた物が多く、個人的にはかなり好評。

・ボイス量はかなり多く、普段のムービーシーンはフルボイスなのは勿論だが、他にも戦闘時のかけ声が多いのが他のゲームと比べてもあまり無い特徴。ぶっちゃけ最初は有用性が分かりづらく、キャラの声がうるさくて仕方がない感じがするが、仲間が自らの状況を知らせてくれたり、敵の状態に合わせてアドバイスをしてくれたりと、このうるさいほどのかけ声が戦闘にかなり役立つ。ボイスを入れるだけでなく、しっかりと場を盛り上げられるようにボイスを使っているのを感じた。

・ストーリーはどちらかと言うと王道的な物語に近いが、かつてモノリスソフトが出していた方の’’ゼノ’’シリーズほどの複雑さはなく、バランスよく伏線や意外性が含まれていて惹き込まれる。仲間達や登場人物の数はそこそこ多めではあるが、その全てにスポットが当たるように考えられている。

・テキスト量がかなり多い。普段のストーリー中でのテキスト量も多いが、特にすごいのがゲーム中に登場するキャラ(名前が用意されていないモブキャラも含む)のほぼ全てに会話が用意されてるのは驚いた。他愛もない話から、ゲームの進行に合わせて変化する話を一人につき2種類ずつ聞く事ができ、こういう所での『人間臭さ』が各地に住まう人々に対する思い入れの深さに代わっていくんだなと感じた。

・普通にクリアするだけでも60時間近くはかかるだろうし、数々のイベント達成や広大なフィールドを駆け巡っての探索、何より、多数存在するラスボスよりも強いモンスター達を倒そうとしたりすれば、総合的なボリュームはクリア時間までの比ではないほど多い。当時のゲームの中でもオンライン要素や複数人プレイ等は全くできず、完全に一人でプレイするタイプのRPGであるにも関わらず、ここまでのボリュームがあるゲームもなかなか珍しい。
もも!まずいですも!
・強敵と戦おうとする上で敵とのレベル差が4以上上回っていると、普段の攻撃が急に通らなくなる。道中の雑魚敵を無視して素早くボスの所までたどり着こうとするとこの現象は起きやすいので、せっかちな上級者は目につきやすい。実は特殊なスキルを着けたり、素早さを高めたりする等で強敵にも攻撃が通るようになるのだが、普通にプレイする分にはちょっと理不尽さを感じてしまうかも。逆に敵のレベルが自分よりも4以下になっていると、向こうの攻撃がこちらに通りにくくなり、少しレベルを上げれば通常の敵には対処できるようになるので、このシステムは初心者向けとして役立ってなくもないが…。あと、バトルを行う前に行うべきセッティングの量や、細かいバフ&デバフの情報管理など、バトルでの管理は気にしだすと複雑な要素がそこそこ組み込まれていたりする。ある程度RPGに慣れている人がしっかり理解しようとすればまず理解できるとは思うが、この手のシームレスバトルのゲームを苦手とする人なら戦闘面を楽しみきれない可能性もある。

・マップのグラフィックや敵のモデリングはよく出来ている一方で、普通のキャラクターのモデリング(特に顔)の出来は悪い。ムービーシーンだと特に顕著で、マップのグラフィック等との対比もあってやや目につく。

・保存出来るデータ枠が3つしかないのが辛い。あと、取得出来る素材の所持限界枠数がやけにキツく、後々のクエストに必要な物なのかどうかの見極めが出来ずに売ったりする必要があるので、余分に手間がかかる事がある。

・メニュー画面を開いて何らかの操作をするたびに細々と読み込み時間が入るのは気になる。特に装備の変更やキャラ変更は度々繰り返す事が多いので、この点はさらに快適であれば良かったと思うのだけど…。他にも常に気になる快適性の悪さと言えば、ゲーム全般的に文字が小さいところも…。これらの点に関しては、ちょいちょい快適じゃないなと感じる。

・しっかりやり込みをしようとする人しか気にならないかもしれないが、本作はプレイ時間のカウントが99時間までしか記録されない。初見で普通にクリアするだけでも60時間ほどはかかるし、やり込みも始めると99時間は軽く越してしまうので、せめて999時間くらいまではカウントしてほしかったところ。


・ゲームの内容ではなく広告・CMに関する事だけども、これらには本作のシナリオに関するネタバレの内容が思いっきり使われているものがある。CMだけでなく、他にもスマブラfor、スマブラSPECIALや、PXZ2(PROJECT X ZONE 2)等でも強烈なネタバレが含まれており、これを知ってるかどうかでストーリーに対する感慨深さが変わる可能性すらある。こればかりはこのゲームを作った時の製作者が悪いというよりかは、その後の広告、マーケティング等のせいなので得点には影響させてないが、あまりにも致命的すぎる内容なのでそういった情報を知らない人、もしくはスマブラ等をやってるけど何の事なのか分からない人は、なるべく知らずにプレイした方が良いと思う。
感想ですも!
 重厚大作な作りが目をひくJRPG。少しプレイするだけでも王道的なストーリーかつゲームシステムにしか感じず、奇抜すぎるポイントもあまり見受けないのは間違いないのだが、とにかく王道的な面白さを持ち味としてプレイヤーを楽しませてくれる内容。
 高い評価を受けているRPGの中でも、他のRPGでは『ストーリーがとにかく複雑かつ重厚で、先が気になって仕方がない!!』とか、『どこまでもオープンワールドで自由度が高い!!』といった、それぞれのゲームごとに大きく突き抜けた独自の面白さが重点的に評価されてる物が多い気がするが、ゼノブレイドは一つだけ突き抜けた独自の面白さがあるゲームというよりも、、『映像、音楽、システム、シナリオ、広大さ』等、いくつもの要素において、全てがバランスよく高水準に仕上がってるタイプのゲームだと思う。

 様々な伏線や謎を用意しつつも、王道的で分かりやすいシナリオは次から次へと進めたくなるし、仲間との協力や未来視を使ったバトルは熱中出来るしと、とにかくゲームの世界へと惹き込まれる。敵に全滅させられて町まで戻らされたりといった大きく幻滅してしまうような仕様が少なく、一度ハマるととにかく続きをプレイしたくなる作りなので、懐の深さはかなりのもの。時にはユニークに、時にはシリアスな人間味あるキャラクター達を使って、一人でプレイしてるだけなのに実際に複数人でプレイしているかのように時間を忘れてひたすら没頭できる。

 主人公かつ、モナド関係の性能故にシュルクを重点的に使っていきたくなるが、火力を求めてバトルを手早くクリアしようとしたり、アーツやスキルの組み合わせを色々と考えて自分なりのプレイスタイルを楽しみたい場合は、意外とシュルクでは楽しみきれなかったりするので、初プレイの人にはある程度他のキャラも使ってみてほしいところ。寄り道がとにかく楽しいゲームでもあるので、ランドマークを探してみたり、クエストを受けてウロウロ敵をや捜し物を見つけてみたりと、ストーリーだけでなくフィールドそのものを求めて行動するのも大きな楽しみになると思う。ゲーム好きな人が、一人でどっぷりとゲームの世界へと入り込んで楽しむゲームになっていると思うので、少しでもゲーム好きだという人は是非とも遊んでほしいところ。

掲載日:2020年5月19日


縮緬遊戯堂 > レビューランド > Wii > ゼノブレイド