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ピクミン3
メーカー:任天堂
開発:任天堂情報開発本部
機種:WiiU
発売年月日:2013年7月13日
価格:5975円
ジャンル:シミュレーション(アクション)


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スイッチさん版

WiiU版

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
9 8 6 6 7 5 6 69
プレイ時間…30〜35時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
坂本殿、コリャ良いですバイ!
・「悪いとこ」の欄で多数挙げてケチョンケチョンに貶してますけども、操作性・手触りの良さ、システムの根幹部分の出来そのものはしっかり良好。作りに色々と押し付けがましさが鼻につくけど快適性自体が悪いわけではない。ゲーム内容に関しては、新鮮味は殆ど無いが完成度や手触り自体は良く出来ていてやはり操作していて楽しいと思える作り。あんまり刺激は感じないがヘタにシステムを一新など冒険されて台無しにされるよりはマシ、とも言えるか。

・『2』なんかでは紫ピクミンが優秀過ぎる感じがしたが、今回は前作ほどは万能な色がなく、美味い塩梅に長所短所が散りばめられていて、いい意味で色の配分に迷うバランス。あと、以前はピクミンの色ごとに分かれていたオニヨン(ピクミンの乗り物)が今回は1つに合体。呼び出す時とか1ヶ所で全ての色を一度に呼び出せるようになったのは地味に嬉しい。利便性と言う面では一段階アップした印象。

・主人公のトリオはそれぞれキャラが立っている。使命感に燃えてるがどこか抜けてる技師、食い物しか頭に無くい&考えてる事がやたら黒い紅一点、真面目そうに見えて実は色々不純なキャプテンと三者三様にいい味を出している。個人的には可愛い顔して腹黒キャラのブリトニーがお気に入り。

・前作が2世代前のゲームキューブであり、今回の『3』までかなり間が空いた事もあり、グラフィックのレベルは一気に数世代進んだ感がある。部分的に優れてる所はあれど全体の映像のレベルは精々他社の現行機並の映像なんで綺麗である事を強烈に印象付けられる感じはしない。ただ、描写そのものが全体的に暖か味のある画風で好感が持てる。

・ゲームパッドの画面に常に全体マップが表示されるので、離れた位置の情報が確認しやすくなったのは◎。

・時間をさかのぼってやり直し可能なのは良し。割と「思い立ってリセット、やり直し」が頻発する内容なんで、便利な追加機能と言える。

・意外とグロい造形の敵だとか弱肉強食だとか生き物の生死だとかの描写がシビア・残酷なのはシリーズ共通。ここをキレイ事で終わらせずにしっかり描いてくれてるのがこのシリーズの良さの一つだと思う(…同時に、遊んだあと合わないと敬遠される要素でもあるとは思うが、この部分は今後も譲らないで欲しい)。

・ゲーム開始時のロードこそ長いが、それ以降はほぼ読み込みゼロで快適に進む。あとは本体OS側のもっさり挙動さえ改善すれば完璧やね!!

・宮本茂氏は発売前のインタビューで「自分のゲームはエンディングまでクリアしてもらう前に脱落してしまう人が多いのが気になっていた」みたいな発言があったように思うが、今回は割とクリアだけならユル目のバランスになっている。ちょっと躓くと時間が足りずにすぐバッドエンドになった『1』と違いクリアだけなら割かし楽。一方で集められるものを全て集めようとすると俄然手応えが増す“深さ”もある。『1』の高難度に挫折した方にこそ再挑戦してみていただきたい内容。
西郷さん、そりゃいかんですきに〜。
・『ニューマリオU』の時も感じた事だが、長期間待たされた割にはバージョンアップの域に留まっており、遊んでいて驚きを感じる事が無かった。システム面は『1』をベースに突き放し過ぎたバランスをマイルドに調整したのが目立つ以外はこれと言って新しい内容も無く。グラフィック等の演出面なんかは2世代前の機械であるゲームキューブで出た『2』と比べりゃ遥かに進化してるのは分かるけど、PS3とか箱360と言った他社のHD機のゲームと比べて違いが判るほど綺麗ってわけでもないしね。贅沢だとは思いますけども、発売まで5年も6年も待たされた割にはなんだか無難過ぎる気がするんだなァ…と言う(苦笑)。

・ゲームパッドの使い方にしても「ま、二画面を無理矢理使うとしたらこう使うわな」程度の内容なんで、そこまで必然性があるかって言うと別にそうでもない。必然性が無い操作方法の強制(Wiiリモコン使おうがゲームパッド必須・マップは絶対サブ画面でしか見れない)されるのは正直押し付けがましい。任天堂は元から「こう!」と思った操作方法をプレイヤーに押し付けてくる例は多かったが、ゲームパッドの必然性が結局乏しいWiiUタイトルではDS/Wiiよりも押し付け感が強い。これまで1画面でできてた事を無理矢理2画面でやっていて無駄が多い。DS・3DSの二画面と異なり、テレビと手元で距離が開くのでリアルタイムで両方の画面は確認できず、どのみちポーズをかけて手元で考えるってカタチに落ち着いてしまうんで、別画面を用いる必然性と言う点では『ニューマリオU』同様、またしても新たなスタイルの提案には至っていない印象。正直な所、これは別にユニークな新提案ではなく、ただの押し付けに過ぎない。

・明らかにボリュームが足りない。繰り返し遊んでもらう事を前提にした作りになってるけども、それにしては引きが弱く、何度も遊び直したいとあまり思えない&モチベーションを保ちにくい作りなのは残念。2周目以降であろうとムービースキップが無いのも不満。集める物もこれまでのような色んな小物があるわけでもなく純粋に果物だけだし、前作まで見られたコレクション的な要素や味のある事典等のテキストも少なく、かなり肩透かし。プレイヤー側が意識して奮起し繰り返し遊ぼうとしないと辛い。近年の宮本氏のゲームって物量を削るとかストイックな作りにするとかこういう内容にしたがってるのが伺えるけど、好みが分かれる味付けに傾きつつあり、その振れ方向が自分の好みから離れつつあるのはちょっと残念に思う。

・視点が近過ぎて敵の全容が確認できなかったり角度が悪かったり、はたまた向きの微調整がやり辛かったり、カメラの動きにおけるストレスを感じる事が多かったように思う。カメラワークの悪さは前二作では感じなかったと思うのだが…なんか返って退化してないですか?

・何か操作面で欠けてるなァと思ってゲームキューブ版を遊んでみてようやく気付いた。アレだよ、ピクミンの隊列自体を動かす操作がバッサリ削られてるんだな、今回。効率は悪いけど数で押す時とか便利だったのに。代替操作はあるにはあるけど細かい調整が効かず全軍で突っ込んでしまうのが難点。

・荷物を運搬して地面を歩くピクミンがルート上に陣取る敵に襲われてやられるってのは判るんだが、空を自由に飛べる羽ピクミンがわざわざ空中のごく狭い範囲に網を張るクモの巣に突っ込んで行きやられるってのは個人的には納得がいかないよーな…。アナログで自然な動きにこだわってる割に、こういう部分が妙にゲーム的で不自然になっちゃってるのは惜しい。

・任天堂の宮本氏がオススメしていたWiiリモコンプラスでの操作だが、ストレスを感じる事がかなり多かった。カメラ操作が不自由になり、正面に向ける操作しか出来ないのも地味に痛い(十字キー左右とかはカメラの左右回り込みに振ってもらっても良かった気が)。特に辛かったのは遊んでいる内にジャイロセンサーの軸のズレが発生してしまうようで、照準が思うように動かないケースが多発してる事が原因と思うのだが、もうちょいストレスを感じない作りにはならなかったものか?1つ1つのゲームが細切れになっている『Wii Sports Resort』とかだとその都度、軸位置をリセットする事でズレを解決していたと思われるが、本作のように1ステージ開始するとまとまった時間を断続して遊ぶ本作みたいな作りだと修正が困難な様子…(思い返せばジャイロセンサーを積んだGBA『まわるメイドインワリオ』のボスステージ(通常のプチゲームより大幅に1プレイの時間が長い)でも同様にズレに困らせられた記憶があるな)。あれこれ試した感じだと、プレイ中に赤外線でのポインタ操作を感知(=画面にリモコンが向けられセンサーバー側で認識したタイミング)に強引に修正しているようだが…)リモコンを向けても改善されない事も多く、結局一旦ポーズをかけてリモコンをセンサーに向ける操作をする羽目になる事が多かった。狙いを付ける動作は操作のキモとなる部分だけに、この部分は大幅な改善求む。手が震える持病がある筆者限定かもしれんけど、それならそれで特定の症状を抱えてる人間をふるい落としてる事に変わりはないわけで。

・※以下ネタバレに付き反転
↓ここから↓(前作のメインキャラの某キャラクターがこれまで集めたが食糧、しかも全部を盗んで逃亡するイベントには腹が立った。そのキャラには特に見せ場らしい見せ場も無く、とっ捕まえた後ですら反省の色もうかがえずぬぼーっと「メシメシ」連呼するばかりで、憎たらしいと言うか殺意すら湧く程(苦笑)。殺されかけたのに手ぬるすぎるメンバー達の描写も明らかに不自然だろ。)
↑ここまで↑
感想ですけん。
 プロデューサーの宮本茂氏は制限時間無しに好き勝手に遊べる『2』よりもあれこれと制限が厳しく高難度で工夫のしがいがあった『1』の方ががお気に入りだった模様(と言うか、雑誌や公式HPのインタビューでそう発言してるけど)で、今回の『3』はかなり『1』寄りの内容となっている。

 全体的な手触りは流石の横綱相撲でシステムの根幹部分の完成度は高いと思う。一方で、個人的には『1』よりも『2』の方がずっと好みだったせいか、やたら制限を設けて原点回帰を狙った内容の本作にはやや抵抗感があったのも確か。好みの問題なのかもしれんが、過度に『1』を意識しあれこれとシェイプアップし過ぎて部分的には退化している所も多いように感じた。また、開発期間の長さに反してボリュームはかなり控え目な感じ。コレクション要素はザックリそぎ落とす。オンライン要素が加わったと言ってもランキングの参照程度でオンライン対戦とかできるでもなくモードも最小限で驚きを感じる内容には程遠い。…何と申すか、3DS『STEEL DIVER』・『ペーパーマリオ』の時も強く感じたんだが、最近のミヤホン氏、ちょっと自身の好みに振れ過ぎてる傾向があるよーな気がせんでもない…。“クリエイターが外からの意見や流行に流されずに作りたい物を作りたいように作る”ってのは確かにすごく大事なことだとは思うけども、ここ最近の氏の作品をあれこれ遊んでみると、変に“古き良きシンプルなゲーム”を目指すあまりに贅肉を削る部分に変に力を込め過ぎ(→妙にボリュームを削り過ぎ)な方向に走り過ぎな感じがする。何と申すか、無条件に大多数に支持される内容からどんどん離れてるとでも言うか。もちろん、そう言う内容の物があったって良いとは思うけど、WiiUのラインナップが砂漠状態でヒーヒーもがいてる時期に出す内容かと言うとちょっと疑問符が付くよーな?もうちょいユーザ側に媚びてくれても良いような気はする。天下のミヤホン氏・任天堂に対してすんごい不遜な言い方ですが。
 あともう一点加えれば、あくまで『1』の延長上の作りでそれ以上でもそれ以下でもなく長所も短所も大まかには同様なので、これまでのピクミンがゲーム性の時点で合わなかったって人は今回も合わんと思う。

 その他、地味に辛いと感じたのがWiiリモコンプラス自体の軸のズレによる照準のねらいにくさ。これは純粋に欠点と言って良いと思う。狙いを付けやすいのがウリとされていたのに実際はストレスを感じる事が多かった(リモコン数本付け替えて試したけど駄目だったので、アルツ所持のリモコン側の不良・故障では無いと思う)。

掲載日:2013年7月22日
更新日:2022年9月6日


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