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ドラえもん のび太の牧場物語
メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
開発:マーベラス、ブラウニーズ
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2019年6月13日
価格:6710円
ジャンル:シミュレーション


広告(良かったら買ってくれぃ)
  
Switch版  PS4版

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 7 5 5 4 6 5 53
プレイ時間…5〜6時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
ホゲー!オレの歌は最高だろ?(ジャイアン風に)
《全体として》
・発表された時なんかは「ドラえもんと牧場物語のコラボ?なんちゅー取り合わせじゃ!」って思ったモンだが、案外馴染んでいると申すか、遊んでると思ったより気にならない。まぁ意外と相性は良かったのカモしんない。

・良い所って言って良いものかは微妙だが、同じスイッチさんで出たゲームで言えば「昔、牧場物語を作った」ってクリエイターが手掛けた『リトルドラゴンズカフェ』(レビューはこちら)辺りと比べれば、全然フツーに遊べる出来ではある(まぁこちらの出来が良いって言うよりは単にそちらさんが壊滅的過ぎるだけな気もするが)。

《グラフィック・演出部分》
・水彩画風で統一されたグラフィックは非常に綺麗で雰囲気が良い。BGMも存在感を主張してくるタイプの曲では無いが、まぁ出来はよろしいかと。

・個人的にはムービーとか観てるだけの要素ってゲームでは重視せんのだが、ゲーム開始時のムービーはまんまTVアニメみたいな感覚で出来はよろしいかと。

《快適性・バランス部分》
・操作部分でストレスが多い作りの割には、なんだかんだでジワジワと遊べてしまうって意味では、それなりに魅力のある作業ゲーとは言えるのかも。

・ロード自体は短く、その部分ではストレスを感じにくい点は良し(まぁ↓通り、バランスとか他の快適性部分で結局頻繁にイライラする羽目になるが…)。
ドラえもぅ〜ん!なんとかしてよ〜!(のび太風に)
《ゲームバランス》
・農作業やらドロップアイテムやらで得られる資金が非常に少なく、ほぼ儲けが出ない。一方でアイテムの物価やパワーアップに掛かる料金はやたらと高いため、必然的に長期に渡って淡々と同じ作業(主に鉱山でチマチマと元手の要らない鉱石や化石掘り)ばかり繰り返す羽目になり、ゲームとしてはかなり薄味かつ水増しされとるなァ…って印象は拭えず。似た例を挙げれば、スーファミとかPS1のB級RPGでよくあった「延々とやらされる経験値稼ぎ、しかも戦闘自体もちっとも面白くナイ」的な感覚に近い。「働けど 働けどなお わが暮らし 楽にならざり じっと手を見る」なる、石川啄木の気持ちが分かるゲームですな…(笑)。

・収集&収穫用のアイテムだけで初期の持ち物欄がほぼ全部埋まってしまう程に初期の持てる量は少ない(収集アイテムとかたったの1〜2種類くらいしか拾えんのだ…)。よって、頻繁に収集アイテム自体を入れ替える作業が必要で、コレもまた面倒で鬱陶しい要素と感じた。

・プレイヤーであるのび太はちょっと作業するとすぐにヘタッてしまい、全然やりたい事ができんのだが…何もこんな所を原作に忠実にしなくても…。

・最初にどかっと1時間くらい続く長ったらしいチュートリアルがあり、説明ばっか続くため、かなりダレる。どかーーーっとひたすらテキストで説明されてもしんどいだけ。もうちょっとその場その場で細切れにやってくれた方が助かるのだが。

・村にある施設がちょくちょく休みで営業してない事がある。開いてる日でもやたらと営業時間が短い等(利用頻度の高い雑貨屋とか、午後3時からしか開いてなくて日が暮れるともう閉まるって、店やる気あるんかオイ!?)、ストレスを感じやすい。わざわざ時間を掛けて行ってみたら休みかよ!…ってなりがちで、ジミにイライラ蓄積要素。

・版権物・コラボ物って事で、従来の牧場物語本編にはあった、恋愛ゲー的な要素(結婚とか)はバッサリと削除されている。代わりになる面白い要素があるのならコレはコレで良いのかもしれんが、要素が減るだけで代わりとなるような楽しさが無いため、どうしても「劣化してるだけなよーな…」って感じてしまう。

《快適性部分》
・アイテム使用や物のやり取り、会話するボタンがAだったりXだったりYだったりまちまちで、アクションの誤爆が非常に起きやすいように思えるボタン配置なのが気になる。コレだったら「人の前でAボタンを押すとウインドウが開いて別窓でコマンドを選ぶ」とかで良かったと思う。

・体力が表示されず、何故かメニューのウインドウを開かないと確認できない仕様なのが謎(体力が減ると一瞬テキストが出る等はあるが、数値は結局確認できないので不便)。体力が尽きるとその場にバッタリ倒れて病院行きでペナルティが痛いため頻繁に作業を止めてチマチマ確認する羽目になるのだが面倒な事この上ない。なるべくパラメータ表示類をスッキリさせたい…とか意図はあるんだろうけど、コレじゃ本末転倒じゃないですか?

《演出・シナリオ部分》
・水彩画風のグラフィックは綺麗なのだが、ドラえもんって題材に合ってるかって言うと微妙な気も。開発がブラウニーズ(スクウェアで聖剣伝説シリーズ、任天堂ブランドでマジカルバケーションを作ったクリエイターの会社)って事で、このグラフィックで聖剣とかマジバケに連なるRPGを遊びたいと思ってしまったぜ…。コラボ物じゃなくて自前のゲーム、本作系統のグラで作ってくれんですか、ブラウニーズさん(てか「任天堂傘下だと下請けばっかでウンザリ〜」で新しい会社作った割には、結局また下請け作品だらけなのがチト寂しい所だが。現実はキビシイ…)。

・登場するオリジナルのキャラクターは性格が悪くて共感しにくい…てか、ムカーっと来るようなイヤな人物が多め。最近の牧場物語ってなんかこういうの多くないスか?(苦笑)

・イベントで村人を探そうにも、大雑把にしか位置が分からず、しかも好き勝手に細切れに別の場所に移動するため、「探しても居ない!」→マップを見たらもう別の場所に行ってる…とか頻発する。また、会話は「疲れた」・「眠い」・「腹減った」などのバリエーションの少ない、しかも愚痴がやたらと多くてゲンナリする。
悪いなのび太、この感想は3人用なんだ(スネ夫風に)
 スローライフ系シミュレーション『牧場物語』のシステムに漫画・アニメ『ドラえもん』のキャラクターを載っけた形のコラボゲーム。個人的には最近微妙な出来の事が多い牧場物語とか(てかマーベラスやバンナム製のゲーム全般だが)高いカネを払って買う気は起きんのだが、スイッチさんオンラインのタダ飯キャンペーンで配布してたので遊んでみた次第である。

 …なのだが、最近ビミョーなクオリティの事が多い気がする牧場物語&昔シリーズを手掛けてた人の実質的な新作群と同様、快適性やらUIやらバランス部分やらにおいてかなり問題が多い感じ。遊んでてイライラが募りやすい出来に思えて残念である。
 まぁそれでも意外とチマチマと遊べてしまう辺りはそれなりにポテンシャルはあるのかなー…とは思うのだが、「イライラする割には意外と遊べる」止まりであり、やっぱモヤモヤしてしまうのではある。一流の題材を料理しきれていないって意味ではかなり勿体ないのだが、まぁいっつも詰めが甘いマーベラスだし、期待しても仕方ないのかなァ(←オイ)。

 見てくれだけは良いのだが、肝心のバランス部分や操作性・快適性部分の出来が大雑把過ぎるのがトホホ要素。牧場物語を遊びたいんなら、クオリティに難のある最近のでなく、古いハードを引っ張り出して初期作でも遊べば良い。ドラえもんを楽しむならTVかDVDかアニメ、もしくは原作の漫画とか見てた方が有意義な気も。遊んでいれば案外気にはならなかったとは言え、牧場物語×ドラえもんである必然性は見出だせない内容・完成度であり、もうちょっとね…本作ならではの面白さ・丁寧なゲームバランスとかこだわって欲しかった感じではある。

掲載日:2022年7月12日


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