ティアリングサーガシリーズ
ベルウィックサーガ
メーカー:エンターブレイン
機種:プレイステーション2
発売年月日:2005年5月26日
価格:7140円
ジャンル:シミュレーションRPG
| 映像 | 音楽 | 快適性 &操作感 |
独自性 | 難易度・ バランス |
ボリューム | シナリオ | 総合評価 |
| 4 | 6 | 4 | 7 | 4 | 8 | 5 | 58 |
| いいねぃ!たまらんぜぃ! |
| <システム&バランス部分> ・従来のシミュレーションRPGでの「育てた強キャラでのゴリ押し」を徹底的に封じる作りになっている。レベルアップでの成長度合いが少ないとか、ランダム要素での自キャラの無力化とか、一瞬の油断やゴリ押しが死を招く。突発的なアクシデントへの対応が求められるとも言え、緊張感を保つことが重要なバランスに仕上がっているかと。非常に難しい分、クリアできたときの達成感は大きいかと。 ・自軍が全部動く→敵軍が全部動く…と言った『ファイアーエムブレム』や『スーパーロボット大戦』のような完全なターン制で無く、敵味方が入り乱れた同時ターン性の採用でこれまでのシミュレーションRPGとは違った戦略を楽しめる(『タクティクスオウガ』『FFタクティクス』に近い)。 ・圧倒的な強キャラがおらず、どのユニットにもそれなりに見せ場があるのが良い。キャラクターがほとんど成長しないこともあり全体的にゴリ押しが通用しづらいゆえ、性能にものを言わせてガンガン前に出して敵を殲滅する…といった単純な戦法は通じず、その分頭を使う機会が多い。気力さえ持つならボケ防止に最適(笑)。 ・「攻撃命中で敵の反撃を封じる」「敵の装備を破壊する」「移動距離に応じて威力が上がる」など、前作や他のシミュレーションであまり見られない効果を持つ武具が多いのもユニーク。 <グラフィック&サウンド> ・サウンドはほぼ前作のイメージの延長上で、重厚な曲調のBGMが多い。ここは「あぁ、続きモノだな」って感じられる数少ない要素かも。 ・下記の通り全体的にショボい戦闘グラフィックだが、キャラの動きそのものは前作よりかなり滑らかになっているかと。動きのパターンそのものも結構豊富だったりはする。ちょっと力の入れ具合がイビツだった、とは言えるカモ…。 |
| べらんめぇ!いけねぃぜぃ! |
| <システム&バランス部分> -戦闘- ・とにかくランダム要素が多過ぎる。まず、序盤での攻撃の命中率は60%台未満!まともに攻撃が当たらない。また、武器がランダムで壊れるのもどうにかならなかったものか。難しい事そのものを否定はしないが、リセット多用を前提としたバランスの取り方は「理不尽」に片足を突っ込んだ感じであり、ストレスばっかり溜まって仕方がない。 ・システム面ではファイアーエムブレム色が濃かった前作と比べると革新的な要素も多いが、全体的に「色々放り込んで独自色を強めてみました」的でまとまりに欠ける印象も強い。更に、新要素が多い割には作中で説明が少な過ぎで、理解に難儀するのも辛いところ(ある程度理解しても結局戦闘結果は予測通りに動かないのもまた、ね…)。しっかり作中で説明さえあればだいぶ理不尽感も軽減できてたと思えるだけに惜しまれる部分ではある。リリース元が攻略本を出してるエンターブレイン社で、攻略本の販促であえて理不尽にしてるんじゃないか?…って思えて、更にモヤモヤ(もっとも、『FEトラキア』や『ティアリング〜』の時点でこの手のマスクデータは非常に多かったので、リリース元に関係無く、純粋にディレクター加賀氏の趣味な可能性もある)。 ・タクティクスオウガライクな同時ターン制なのはよろしいが、次に誰が動くか分からない点も理不尽感を強めてるとは思う。「次に誰が動いても大丈夫なように自キャラを動かすのがキモ」だとは分かっていても、流石にここまでランダム要素(=しかもプレイヤーを苦しめる方向にばかり作用)だらけだと辟易するのも確かで…(笑)。 ・「強キャラでのゴリ押し封じ」の副作用として、レベルアップでのパラメータ上昇が非常に少なく、キャラを育成する楽しさはあんまり感じられないかも。 ・クラスチェンジの条件がやたらと厳しい上に、やっぱ説明不足で分かりにくい(似たような性能のキャラでも武器レベルの要求数値が異なるとかザラで法則性とかも見受けられない)。 ・攻略本前提のクリア条件・ユニットスカウト条件が多すぎるのが難点。前作の時点でかなり多かったのだが、本作も更に増えてて「そんなん攻略本ナシで分かるか!」って条件が増え過ぎてるのは×。上述の出版メーカからリリースされてるデメリットがここにも出てる印象。 -ユーザインタフェース- ・ユーザインタフェースの完成度は前作以上にキツい仕上がり。カーソルの動きとか妙にモッサリしててサクサク動かん上に、誰が何を持ってるか把握がしづらくアイテム整理がめんどくさい。 ・やたらとセーブ容量が大きく、本作だけでPS2のメモリカードの容量のガツッと食ってしまうのが難点。 <グラフィック&サウンド部分> ・戦闘のアニメはプレイステーション2と思えんくらいジミで見栄えがしない。前作は「表示は大きいがコマ数が少なくて異様にカクカク」だったが、本作は「滑らかには動くがやたらと表示がちんまくて滲んでる上に無駄にモーションが長くてテンポも悪い」って感じであり、前作の欠点が直ったと思ったらまた別の部位がダメダメになっててナントモ…。 <シナリオ> ・ストーリーはイマイチ盛り上がりに欠ける。最初からほぼ最後までひたすら「理不尽な上司に突き上げつつ、ミッションをチマチマこなす」が続く。しまいには一番の黒幕には倒す前に逃げられてジ・エンドである。「虐げられる」とか「パシリにばかり使われる」とか続きで「スカッとする場面」があまりに少ないのが微妙。この辺りもひたすらにマゾゲーだったり(苦笑)。 ・敵側の登場人物にしても、加賀氏ゲーによくいる「敵ながら複雑な事情を抱えて同情できる人物」とかも居なくて、ひたすら小物っぽい貴族だらけである。そんなこんなで盛り上がりが無いウチに「アレ?なんかクリアしちゃった?」…って感じで、起伏も印象に残る部分も無い感じだったのは残念。 |
| 感想だぜぇ、べらぼうめィ。 |
| 『ティアリングサーガ』(レビューはこちら)とは付いているものの、システム部分は痕跡が残らない程に大胆に刷新した続編。 とりあえず、同シリーズである事を謳っていた割にはシステム部分に共通点が殆ど無いくらい独自色の濃い内容になっており、ここまでなら前作みたいに任天堂から訴えられる事も無いでしょうな(…と言うか無かったね実際)。 …とは言え、その独自色の強い新要素の大半は「攻略本・サイト前提って言える程に説明不足」かつ「とにかくランダム性を強める」方向にばっかり作用しているため、個人的には「手強い」ってよかひたすら「理不尽」に感じられてしまい、遊んでも達成感より疲労感ばっかり溜まる内容に感じてしまった。 まぁこの辺は元からわしが「難しいのがニガテ&嫌いなへっぽこエムブレマー」なせいもあると思うんで、「高難度のモノの方が燃えるぜ!」ってタイプの猛者ならば加賀昭三氏ゲー特有のストライクゾーン低めギリギリ…てか若干外れ気味の剛速球(=直球なマゾ要素)を楽しめるのでは(←オイ)。 個人的には前作くらい手加減してもらった方が素直に楽しめるかなー、と。本作にせよ、FEトラキア776にせよ、ホンキバージョンの加賀氏バランスはちょっとわしにはキツ過ぎる。大胆な手加減モード(FE紋章や前作ティアリングサーガ並)とかありゃ助かるんだがね…(苦笑)。 |
掲載日:2006年2月5日
更新日:2025年9月2日
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