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ファイナルファンタジーX
HDリマスター

メーカー:スクウェア・エニックス
機種:プレイステーションVITA
発売年月日:2013年12月26日
価格:3990円
ジャンル:RPG


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PS4版 スイッチさん版
(いずれもHD版)


サントラ

執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 7 7 7 7 8 7 72
プレイ時間…100時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
よひですぞ!
基本的にはベタ移植だと思いますんで、PS2版のレビューもどうぞ。

《バランス面》
・戦闘中にキャラ入れ替えが出来るようになり、よりダイナミックな展開のバトルを楽しめるようになった点が良い。固定の3〜4人だけでなく、全員で戦っているって実感が湧く(↓で挙げた通り、経験値の入りのシステム部分で改善の余地はあるとは思うが)。

・従来のファイナルファンタジーのATB(アクティブタイムバトル)にあったリアルタイム要素は無くなり、時間に追われずにじっくり考える事が出来るようになった点は、まぁこれはこれで良い。

《快適性など》
・ロードは全体的に短く、待たされる場面はほぼ無い。快適に遊べて◎。PS1の頃のFFだと戦闘中の演出が過多で遊んでてイライラしたモンだが、本作の場合はそこまでトロくさくなく。軽量でありつつも見栄えも良いって意味で良いバランスなのかな。

《演出面・シナリオ周り》
・プレイステーション2の最初の方に出たゲームの移植なのだが、見栄えって点では現在でも案外見劣りしない。その意味ではPS2版ってやっぱバケモンクラスのグラフィックだったんだな、と再認識。

・FFシリーズとしては初のボイス入りとなったが、特に違和感のある演技も無く、変に声優色が前に出ておらず、しっかり馴染んでるとは思う。

・これまでは西洋・中世ファンタジー風だとか、それに近未来のSF要素を組み合わせた作品が多かったFFとしては珍しい東南アジア的な雰囲気がなかなか独特。これまでのFFに無かった味わいで新鮮に思えたり。作品全体を通じての水の表現の綺麗さも良い。

・シナリオ中に専門用語は多い方だが、理解に難儀するような場面は無く、配慮して組み立てられていると感じる。
イッカーン!!
《快適性など》
・ムービー偏重時代の最盛期のスクエニの超大作って事で、必然的にムービーの比重が大きめ。ちょっと進める→結構な尺のムービーが流れる→やっと進める→ちょっと進んだらまたムービーが……となりがち。これらムービーは移植作品である本作でも飛ばせないので、話を覚えてるだとかボス戦でやられて再挑戦する時なんか、イライラ要素でしか無い気も。ロードは短くてもテンポが悪くなる要素が入ってるって意味ではションボリ。

・PS2版の時はそんな気にならんかった要素だと思うのだが、フィールド移動中に唐突に視点が切り替わる事が多い点が、今遊ぶと結構気になったり。

《バランス面》
・戦闘は「飛んでる敵にはワッカ」・「硬いのにはアーロン」・「魔法しか通じないプリンにはルールー」みたいな感じで、パターンに当てはめるだけの作業になりがち(パターン以外のキャラだと攻撃が当たらない・ダメージが殆ど通らない等、バランスが極端)。相性の設定が極端過ぎる印象ではある。

・PS2版を遊んだ時にはそれほど強くは感じなかったが、道中もシナリオもかなりの一本道であり、脇に殆ど逸れる事が出来ないって意味では終始、窮屈さは感じる。ある意味では後に「一本道過ぎる!」って叩かれたFF13くささも感じなくはない。

・戦闘が割りかし簡単寄りのバランスに思えるのに対し、ミニゲームは(説明不足・もしくはやたらと複雑な事もあり)妙に難易度が高いように感じられたり。

・経験値は戦闘で何かしら行動したキャラにしか入らず、1回の戦闘でコロコロとメンバー入れ替えを強要されるのが面倒。全員使わなきゃダメなバランスなんで、普通に全員に経験値が入る仕様で良かったと思う。もしくは戦闘に参加したキャラにはちょっと多め、くらいで。

・本作の武器は攻撃力が設定されておらず、特殊効果のみの設定。良く言えば「攻撃力に左右されずに最初から終わりまで色々試せる」ってなるのだが、一方では「強い武器を手に入れた喜び・実感はほぼ皆無」とも思えたり。

《演出・シナリオ周り》
・世間様だと「最高」とか「泣ける」とか言われてる事の多いシナリオだが、個人的にはそこまでかって言うと微妙な気も。グラフィックのクオリティや声優の演技の勢いで押してる感じだが、話そのものは根性論のゴリ押しであって正直薄っぺらい以外の何物でもナシ。主人公とヒロインの度が過ぎるイチャイチャぶりもかなり鼻につく感じ。ティーダのチャラさは終始悪い意味で印象に残るし、それ以外のキャラに関しても台詞がクサイのももうちょい何とかなんなかったのかなぁ、って思ったりも。まぁこの辺のわざとらしい台詞回しだとかベタな展開込みでFFの伝統って言えるのかもしれんですがね…(笑)。

・グラフィックのレベルは高いと思うが、ムービーと通常のポリゴンモデルとで差が大きい(どっちも表現の程度は高いのだがデザインが統一されてないように思えて、顔が別人に見えたりも)。

・HD移植に際して3Dモデルのポリゴンが増えて滑らかになってはいるが、モーションなんかはあんまいじられてないっぽいんで、どうしても表情や動きの硬さが気になってしまう。あと、多少手が入ったメインキャラに対してモブの村人とかはPS2版そのまんまでマネキン状態なのが不自然に思えて残念だった(これらの欠点でまぁ別に本作に限らず、他社のHD移植全般でも言える事ですがね)。
感想でごじゃる。
 PS2で人気を博したファイナルファンタジーXのHD移植。まぁ大画面のTVで遊べたプレイステーション2からちっこい画面の携帯機への移植なんで、ちまっとしててグラフィックUPの恩恵はそれほど感じないが、「携帯機でもこのレベルの映像が――」って意味では感慨深くなったりもする。

 PS2の割と初期の方に出たRPGのHD化作品ながらグラフィック等の演出部分は今見てもそれほどショボいと感じず、それでいて演出重視だとかロードの長さでテンポが悪かったPS1時代のFFに比べると、演出の品質の高さを保ちつつもテンポが改善している点が嬉しい。
 一方でバランス部分では一本道の度合いが強まってあまり自由度が高くない点は残念。世間様では評価が高いように思えるシナリオ部分も、個人的には少々薄っぺらさやクサさを感じてしまう描写が多かったように思う(この辺は好みにもよるか)。

掲載日:2020年7月21日


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